プレシーズントレーニングと選手たちの現状
ルイス・ガルシア・プラサ監督率いるセビージャFCは、ホセ・ラモン・シスネロス・パラシオス・スポーツシティにてプレシーズントレーニングを精力的に進めている。午前と午後の2部練習が組まれる中、午前中のセッションはメディアに一部公開され、戦術面を最優先とする監督の姿勢が明確に見て取れた。監督は最初のミーティングの後、戦術ボードを持ち出して選手たちに自身のアイデアを詳細に説明するなど、チームへの落とし込みに時間を割いている。
この日の最大のニュースは、ギリシャ人GKオディッセアス・ヴラホディモスのグループ練習への初合流である。彼は昨シーズンもセビージャでプレーし、1部残留に大きく貢献した選手だ。今季も再び1年間の期限付き移籍でクラブに戻り、契約満了で退団したオルヤン・ニーランの穴を埋めるGK問題の解決策として期待されている。
一方で、休暇から戻ったチデラ・エジュケは最初のミーティングにのみ参加し、その後は負傷中のアルフォン・ゴンサレスやアンドレス・カストリンと共に個別での負荷調整メニューをこなした。前日のセッションで負荷管理のために欠席していたイサック・ロメロとアルナ・サンガンテは、この午前のトレーニングから問題なくグループ練習に復帰している。 (via ElDesmarque) (via Estadio Deportivo)
戦力外・構想外となった5選手の厳しい現実
プレシーズンが始動する中、クラブは構想から外れた選手に対して非常に厳しい姿勢を貫いている。現在、計5名の選手がルイス・ガルシア・プラサ監督の全体練習から除外されている。
ラファ・ミルに関しては、プレシーズン初日の数時間前にクラブとの間でグループ練習から外れる合意がなされた。これは、性的暴行の罪で8年半の懲役刑を言い渡された同選手がセビージャのトレーニングウェアを着て練習に参加し、クラブのイメージを損なう不快な姿を世間に晒すのを避けるためである。彼はクラブとの契約を完全に解消する解決策が見つかるまで隔離された状態が続く。
タンギ・ニアンズは、新しい移籍先を探す目的でクラブから合流の遅れを許可されており、現在はフランスに滞在している。22-23シーズンに約2000万ユーロで獲得されたものの、怪我の多さとパフォーマンスの低さからこれまで4シーズンでわずか62試合(4037分)の出場に留まり、クラブ史上最悪の補強の一つとされている。2027年6月まで契約を残す彼の年俸と減価償却費は年間約1300万ユーロに達しており、クラブは多大な経済的負担を取り除くために放出を急いでいる。現在はリールが獲得に強い関心を示し交渉は大きく進展しているものの、過去の怪我の履歴からリール側は徹底的なメディカルチェックを要求しており、その結果待ちとなっている。
また、フェデ・ガットーニ、ファビオ・カルドソ、ジョアン・ジョルダンの3名もプレシーズン2日目から練習メンバーから外された。彼らは新監督の構想に全く入っておらず、来季に向けた新しい所属先を探すように通達されている。とりわけジョアン・ジョルダンは2027年までの契約を残し、チーム内でもトップクラスの高給取りであるため状況は複雑だ。全体練習から外された措置に対し、彼の代理人はスペインサッカー選手協会(AFE)へセビージャを告発することを検討している。なお、ヤヌザイとアレクシス・サンチェスの2名については既にクラブを退団している。 (via Estadio Deportivo) (via ElDesmarque)
放出候補マルカンにおける特異な状況とクラブの事情
戦力外として全体練習から外された選手たちがいる一方で、同じく構想外でありながら日々のグループ練習への参加が認められているのがブラジル人CBのマルカンだ。ルイス・ガルシア・プラサ監督の来季の構想に入っていないという方針は変わっていないが、彼は除外組には含まれていない。
ガラタサライから1300万ユーロで加入して以来、彼は度重なる怪我と退場処分に悩まされ、4年間で出場したのはわずか49試合(昨季は13試合)という寂しい数字に終わっている。今年1月には左足の舟状骨を骨折し、モペイを選手登録するために自身の登録枠をクラブに譲るという事態にもなった。現在は怪我から回復し、本人は今でも状況を覆せると信じて疑わず、冬の移籍市場でオファーがあったグレミオへのレンタル移籍も拒否した。
現在30歳となり、Transfermarktの市場価値が250万ユーロにまで下落した彼を獲得しようとするクラブを見つけるのは、ホセ・イグナシオ・ナバーロSDにとっても至難の業となっている。さらに彼の放出を難しくしているのが、昨夏にクラブの補強選手の登録を助けるため、自身の高額な給与の支払いを先延ばしにし、契約を1年延長して2028年までとしたことだ。このクラブへの「貸し」が、皮肉にも今となっては放出の大きな障壁という両刃の剣になっている。それでも、セビージャが彼に恩義を感じていることだけは間違いなく、結果として彼は現在の大規模なチーム粛清から免れる形となっている。 (via Estadio Deportivo)
トップチームの移籍市場: アコル・アダムスらの放出とブライアン・サラゴサ獲得への動き
セビージャFCは来季のチーム編成を進めるにあたり、まず選手を売却して資金を得ることに完全に集中している。最大の資金源として期待されているのがナイジェリア人FWのアコル・アダムスだ。ヴェネツィアのフィリッポ・アントネッリSDが交渉のためにセビージャ入りし、クラブの代表者と会談を行って正式なオファーを提示する予定となっている。ヴェネツィアは以前に約1000万ユーロのオファーを出したもののセビージャに拒否されており、今回のセビージャ訪問でオファーを引き上げ、合意を取り付ける構えだ。セビージャは1年余り前に550万ユーロで獲得した同選手に対し、売却益を最大化するために1500万ユーロ近い金額を要求している。選手本人は数週間前に退団の意思がないことを明かしていたが、現在はイタリアのクラブと口頭で合意に達した模様だ。
これに加えて、ワールドカップで市場価値を高めたルベン・バルガスの売却にも大きな期待が寄せられている。また、チデラ・エジュケの放出も有力な選択肢として検討されており、アルフォン・ゴンサレスについては古巣セルタ・デ・ビーゴへの復帰の可能性が浮上している。
一方の獲得市場では、アラベスと競合しながらバイエルン・ミュンヘンに所属する左ウイング、ブライアン・サラゴサの獲得を目指している。3度のスペインA代表歴を持つ24歳の彼は、昨季グラナダでの活躍が認められて冬にバイエルンへ約1300万ユーロで移籍した。しかしドイツでは出場機会に恵まれず、オサスナへのレンタル(28試合1ゴール6アシスト)やセルタへのレンタルを経て、今年1月からはローマへ貸し出されたものの、ローマでも後半戦に戦力外となり買い取りは見送られた。2029年まで契約を残すバイエルンでも完全に構想外となっており、現在の市場価値は800万ユーロまで低下している。エスパニョールのモンチSDも一時関心を示していたが、現在は手を引いている。彼の高額な年俸がネックとなり、セビージャの現在の財政状況では完全に買い取ることは困難であるため、新たなレンタル移籍が最も現実的な選択肢となる。バイエルン側はできるだけ経済的に有利な条件での放出を狙っており、解決にはまだ時間がかかると予想されるが、ホセ・イグナシオ・ナバーロSDは状況を注視している。並行して、レアル・サラゴサのアドリアン・リソの獲得にも数週間前から動いており、サラゴサ側が要求を満たす完全移籍のオファーがないことから、レンタルでの放出に前向きな姿勢を見せ始めている。 (via Estadio Deportivo) (via ElDesmarque)
下部組織の積極補強: ガーナの逸材アブロクワを含む多数の若手を獲得
トップチームの深刻な財政状況を受け、クラブは将来的なスポーツ面および経済面でのリターンを狙い、国内外からの若手発掘にこれまで以上に力を入れている。トップチームの残留にカンテラ出身のオソやカストリンらが貢献し、キケ・サラス、フアンル、カルモナらが経済的な救いとなる可能性を示したことが、この方針をさらに後押ししている。
国際的なスカウティングの成果として、ガーナからU-19代表の有望なウインガー、エマヌエル・アブロクワ(18歳)の獲得を確実なものとした。ピース・ボーイズやアダブラカ・エルダーズでプレーしていた彼はヨーロッパの複数のクラブのスカウトから注目を集め、ウエスカの練習にも参加していた。今年3月にセビージャのトライアルに招待されると技術スタッフを完全に納得させ、SBEマネジメントのダニエル・ボイフィオ・ジュニアとホルヘ・ガルシアを代理人として、2029年までの3年契約(記事内の年数表記のまま)にサインを済ませた。現在はスペインへ渡航するためのビザの発給手続き中であり、到着後はまずディビシオン・デ・オノールのフベニールAでプレーする予定だ。ガーナ人選手がセビージャと契約するのはクラブ史上初めてのことである。
さらにカタルーニャの育成組織からも積極的に選手を引き抜いている。セビージャ・アトレティコなどのリザーブチーム向けに、ジムナスティック・マンレサから21歳のウクライナ人MFビクトル・チュマチェンコ・コラブロフを、モジェルーサから20歳の右ウインガー、マルク・スクリを獲得した。フベニール部門には、エスパニョールからカタルーニャのディビシオン・デ・オノール・カデテで28試合15ゴールを記録し得点王に輝いた2010年生まれのストライカー、マックス・エスパニョールを補強した。また、以前からカタルーニャで発掘して所属していたエリック・アルカイデとは2028年までの契約延長で合意している。
これら以外にも、ウエスカでその圧倒的なフィジカルを見せつけた15歳のスペイン系マリ人CBデンバ・ダンソコ、TSKロセスのアストゥリアス出身の若きストライカーであるダニエル・アルガンサ、そしてベティスのカンテラから右サイドバックの補強としてサンティ・ネグロンを獲得するなど、下部組織の陣容を大幅に強化している。 (via Estadio Deportivo)
プレシーズンマッチ全7試合の無料生配信スケジュール
セビージャFCは、新シーズン開幕に向けて行われるプレシーズンマッチ全7試合を、クラブ独自のコンテンツプラットフォームである「Sevilla FC+」を通じて完全無料・オープンで生配信することを発表した。クラブのソシオ(会員)は自身の契約にこのプラットフォームへのアクセス権が既に含まれており、それ以外のファンも所定のリンクから登録を行うことで、試合のライブ配信だけでなく、ドキュメンタリーやインタビュー、過去の試合のアーカイブなど多彩なコンテンツを楽しむことができる。
配信が予定されているプレシーズンマッチのスケジュールは以下の通りである。
・7月11日(土) 21:00 キックオフ
対戦相手: フベントゥド・トレモリーノス
場所: ヘスス・ナバス・スタジアム (無観客試合)
・7月19日(日) 16:00 キックオフ
対戦相手: KSクラコヴィア
場所: ポーランド
・7月23日(木) 21:00 キックオフ
対戦相手: コルドバCF (第4回プエルタス・デ・コルドバ杯)
・7月26日(日) 21:00 キックオフ
対戦相手: ADセウタCF
場所: ヘスス・ナバス・スタジアム
・7月31日(金) 19:00 キックオフ
対戦相手: NECナイメーヘン
場所: オランダ・ナイメーヘン
・8月2日(日) 14:30 キックオフ
対戦相手: FCユトレヒト
場所: オランダ
・8月8日(土) 15:30 キックオフ
対戦相手: バイエル・レバークーゼン
場所: ドイツ
これらの試合を通じて、ルイス・ガルシア・プラサ監督率いるチームの仕上がり具合をファンは余すところなく確認することができる。 (via Estadio Deportivo)
ラモン・サンチェス=ピスフアン改修計画に対する市長の強力なバックアップ
セビージャFCが計画している本拠地ラモン・サンチェス=ピスフアンの全面的な改修工事に対し、セビージャ市のホセ・ルイス・サンス市長が全面的な支持を表明した。現在、ネルビオン地区の自治委員会において、PSOE(スペイン社会労働党)が近隣住民の建設中止を求める動議に賛同しており、クラブの計画に反対の声を上げている。
この政治的な動きに対し、サンス市長はロペ・デ・ベガ劇場の秋季プログラムのプレゼンテーションの場を利用して明確に反論した。市長は次のように語り、工事を止める意思が一切ないことを強調している。
『セビージャのスタジアム・プロジェクトについては、ベティスのスタジアム・プロジェクトと全く同じように考えている。これは市を挙げてのプロジェクトなのだ。我々には世界中に対してこの街をアピールしてくれる素晴らしい2つのチームが存在しており、スタジアムの改修はすでに実行されるべきタイミングだった。どちらのチームも、この状況が打開されるのを22年間も待ち続けていたのだ』
さらに市長は両クラブのファンと街の価値について触れ、『私は当初から、2つのスタジアムの拡張プロジェクトを解き放つと明言してきた。なぜなら、これらはセビージャの街にふさわしいプロジェクトであり、擁するチームの規模に見合ったスタジアムを持たなければならず、ベティスとセビージャのファンもそれに値するからだ』と言い切った。
また、近隣住民やPSOEがスタジアム周辺の「緑地」が失われると苦情を申し立てている点についても、次のように具体的な現状を指摘して反論している。
『PSOEが緑地と言う時、スタジアムの前にあったアルベロ(砂地)の緑地帯のことを指しているのだと思うが、あそこはサッカーの試合がある度に駐車場として使われていた場所だ。誰も22年間、気にかけていなかったアルベロの緑地について彼らは言っているのだろう。誰も気に留めず、日常的に駐車場として使われていたアルベロの緑地を譲渡することには、全てのセビージャ市民の利益となる見返りを市役所が受け取ることになる。もちろんそうだ』
このように市長は、改修工事によって市側も正当な見返りを得ることを説明し、クラブに対して市が一方的に何かをプレゼントしているわけではないという事実を明確に宣言した。 (via Estadio Deportivo)
【本日の総括】
プレシーズンが本格始動し、新戦力の合流と同時に構想外選手への厳しい隔離措置が実行されています。財政難からトップチームは売却による資金捻出を急ぐ一方、未来を見据えた下部組織の積極的な補強が目立っています。スタジアム改修には市長の後押しもあり、ピッチ内外でクラブは大きな変革の時を迎えています。