プレシーズン始動と新体制の構築
今週土曜日に行われるメディカルチェックをもって、セビージャの新たなプレシーズンが幕を開けます。クラブの厳しい経済状況は抜本的な変革を要求しており、就任から1ヶ月が経過したホセ・イグナシオ・ナバーロ新スポーツディレクター(SD)がチームのコスト削減と新プロジェクトを牽引しています。セルヒオ・ラモスによるクラブ買収交渉が破談となった後、前SDアントニオ・コルドンのナンバー2であったナバーロが首脳陣からこの大役に指名されました。
ナバーロSDは信頼できる人物で作業チームを編成しており、新たなテクニカルセクレタリーとしてマラガ出身のカルロス・ヒメネスを招聘しました。ヒメネスは、Five Eleven Capitalでアントニオ・コルドンと共にスカウティングコーディネーターを務めていた人物で、ベティス時代にはアサン・ディアオやヘスス・ロドリゲスを発掘した実績を持つ才能の発見者です。彼は同社を離れ、ナバーロの右腕としてセビージャに加わることになりました。 (via MARCA)(via Estadio Deportivo)
新戦力4人の獲得と深刻な選手登録問題
ナバーロSDの指揮下で、セビージャは極めて限られた予算の中で動いています。これまでに約700万ユーロという管理された支出で4人の新戦力を確保し、この金額は全額が彼らの給与に充てられます。獲得したのは、アラベスを退団したジョン・グリディ、前体制で合意していたフアン・イグレシアスとアルナ・サンガンテの3人で、いずれもフリートランスファーでの加入です。さらに、ニューカッスルからオディッセアス・ヴラホディモスが再びレンタルで復帰します。彼の給与は高額ですが、ディエゴ・コンデを完全移籍で獲得して移籍金や減価償却費を背負うよりも、確実なレンタルに賭けるという判断が下されました。
過去の浪費とは対照的な緊縮財政路線ですが、ラ・リーガの厳格なサラリーキャップ制限により、現時点ではこのフリー獲得の3選手やヴラホディモスの選手登録すらできない状況に陥っています。ナバーロSDは就任会見で『多くのスペインのクラブと同様に、ラ・リーガの規則を遵守し、経済的な現実を直視しなければならない』と語っており、限界の財政状況では1ユーロも無駄にできない方針が徹底されています。 (via MARCA)(via Estadio Deportivo)
ルベン・バルガスの市場価値高騰と売却オペレーション
選手登録問題を解決し、サラリーキャップの枠を広げるために、セビージャは早急なキャピタルゲインを生み出す選手売却を必要としています。その中で最も注目を集めているのが、ワールドカップでスイス代表として大活躍中のルベン・バルガスです。昨季は怪我に悩まされましたが、W杯ではカタール戦で先発し、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦では途中出場から1ゴール1アシストを記録。カナダ戦でもゴールを挙げ、アルジェリア戦では先発としてドリブル突破などで相手の脅威となり、歴史的な決勝トーナメント進出に大きく貢献しました。
クラブは彼の売却で1500万ユーロの収入を見込んでおり、これは現在の市場価値を300万ユーロ上回る金額です。昨夏も同額を要求しビジャレアルが接近しましたが、代役不在のため放出を拒否していました。今夏はトルコのトラブゾンスポルが負傷歴を懸念しつつ関心を示しているほか、プレミアリーグからの注目も集めており、W杯での活躍がさらなるオファーを引き出すと期待されています。他にも、ルシアン・アグメや、イタリアのヴェネツィアからオファー(金額は不十分)を受けているアコル・アダムスが売却候補に挙がっています。 (via MARCA)(via Estadio Deportivo)
アコル・アダムスの去就と攻撃陣の再編計画
ルイス・ガルシア・プラサ監督とナバーロSDは、チーム最大の弱点である攻撃陣の再編に頭を悩ませています。昨季チーム得点王であるアコル・アダムスについて、1500万ユーロから2000万ユーロでの退団の可能性は排除していませんが、監督は彼の重要性を数字で示して警告しています。アダムスが売却されてもその金額全てを補強に回せるわけではないため、彼を放出した場合、残された少ない資金で低コストまたは超低コストのストライカーを2人獲得しなければならないというリスクが伴います。
それでも監督は、自身のキャリアで多用してきた1-4-4-2や1-4-4-1-1のシステムに適合する、現在チームにいないタイプのアタッカーを強く要望しています。具体的には、長身のアダムスとは異なる生粋のフィニッシャータイプと、ペナルティエリアに侵入して2列目から飛び出せる選手の2名です。彼らはイサク・ロメロの相棒としてファイナルサードで組み、ロメロの調子を取り戻させる役割も期待されています。現在、ロリアンと契約満了になるセネガル人FWバンバ・ディエンが候補に浮上しているほか、レンタル、フリーエージェント、若手、ベテランを交えた複数のリストが作成されています。 (via ElDesmarque)(via Estadio Deportivo)
パトリク・メルカドの契約を巡る攻防とプランB
セビージャは2月末、インデペンディエンテ・デル・バジェと22歳のエクアドル人MFパトリク・メルカドの獲得について、ボーナス込み600万ユーロ、2031年までの契約で基本合意に達していました。しかし3月に彼が右膝の前十字靭帯と内側半月板の二重断裂という大怪我を負ったことで、事態は複雑化しています。復帰は2027年初頭になる見込みです。
交渉をまとめた当時のコルドンSDや現在のナバーロSDは『パトリク・メルカドとは基本合意があるが、メディカルチェックを通過する必要がある。優先権は持っているが、6月にメディカルチェックの結果に基づいて決定を下す』と主張し、検査をパスしなければ契約を破棄できるとしています。しかし、インデペンディエンテ・デル・バジェのサンティアゴ・モラレスGMは、ポルトガルでホセ・マリア・デル・ニド・カラスコ会長が署名した労働契約を盾に取り、破棄すれば多額の訴訟を起こすと警告。フランクリン・テージョ会長も『残念ながら彼は怪我を負ったが、事前の取引は成立していた。ワールドカップの後、彼はまさにあちらへ行かなければならない』と主張し、一歩も引かない構えです。
これに対しセビージャ側は、メディカルチェックをクリアし、サラリーキャップに収まり、EU圏外枠(現在はガブリエル・スアソのみのため問題なし)が空いていれば、獲得を見送っても違約金は発生しないと反論しています。メルカドは間もなくセビージャに到着し、詳細な検査を受ける予定です。もし後遺症の心配がないことが確認された場合、セビージャは「プランB」を発動する構えです。彼を戦力に組み込めるのはシーズン後半であり、1月まで選手登録を遅らせることができるため、給与が低いことを活かして、すでに合意している600万ユーロの移籍金を減額するための再交渉を行う意向です。 (via Estadio Deportivo)(via MARCA)
退団選手とカンテラーノのトップチーム昇格
サラリーキャップの圧迫を軽減するため、セビージャは大幅な人員整理を断行しました。契約満了に伴い、ネマニャ・グデリ、エルヤン・ニーランド、セサル・アスピリクエタ、アレクシス・サンチェス、アドナン・ヤヌザイの5選手がチームを去りました。さらに、バティスタ・メンディとニール・モペイもレンタル期間が終了して退団しています。
これらの放出により、ラ・リーガの厳しい登録基準を満たすために不可欠な給与枠が解放されました。空いた枠には、昨季終盤に高い評価を得たBチームのカンテラーノたちが昇格し、出番を増やす予定です。アンドレス・カストリンはトップチームのライセンスを与えられる見込みですが、他クラブからの関心もあり、移籍の可能性も残されています。また、オソに対しても複数のチームが興味を示しており、クラブは慎重に状況を見守っています。ニコ・ギジェンやミゲル・シエラといった若手有望株も、今季はトップチームでより多くの出場時間を得ることが期待されています。一方で、ホセ・アンヘル・カルモナやフアンル・サンチェスといった若手選手たちも、資金捻出のための売却候補として名前が挙がっています。 (via MARCA)
【本日の総括】
厳しいサラリーキャップ制限のもと、コスト削減と新陳代謝を進めるセビージャ。新戦力を迎える一方で選手登録問題が重くのしかかり、ルベン・バルガスらの売却益に大きな期待が懸かっています。パトリク・メルカドの去就や前線の再編など、フロントの手腕が問われる熱い夏が始まりました。