プレシーズン始動と新戦力・カンテラーノの参加
セビージャFCは、ホセ・ラモン・シスネロス・パラシオス・スポーツ・シティにて2026/2027シーズンに向けたプレシーズンを本格的に始動させました。土曜日と日曜日の午前中に行われた2回のメディカルチェックを経て、月曜日にはルイス・ガルシア・プラサ監督の下、午前と午後のダブルセッションという厳しいトレーニングが行われました。午前中はストレッチ、ランニング、フィジカルトレーニングに続いて、激しさと初日ならではの意欲が目立つボールを使ったメニューが実施され、監督は昨季流行した足場の上から俯瞰で選手たちの動きを観察しました。午後の非公開セッションでも、フィジカル調整とポゼッション、プレッシング、ボール奪取を組み合わせたメニューが組まれました。火曜日も引き続き2回のセッションが予定されており、土曜日の夕方にはヘスス・ナバス・スタジアムでフベントゥド・トレモリーノスとの非公開の親善試合(クラブ公式メディアで配信される可能性あり)が予定されています。
ピッチ上では、アディダス製の新しいトレーニングウェアを身にまとった新加入のフアン・イグレシアス、アルナ・サンガンテ、ジョン・グリディが、セビージャのエンブレムを胸に初めてルイス・ガルシア・プラサ監督の指揮下でトレーニングを行いました。イグレシアスとグリディは常に一緒に談笑やメニューをこなし、チームへの適応を図っています。一方のサンガンテは、街や練習への適応を助けてくれるルシアン・アグメを頼りにしています。
さらに、このプレシーズンは多数のアカデミー出身選手(カンテラーノ)が参加していることも特徴です。GKのラファ・ロメロ、ロレン・ルチーノ、セルヒオ・レシオ、CBのイケル・ムニョス、MFのニコ・ギジェン、エドゥ・アルトサノ、ウイングのマヌエル・アンヘル・カスティージョ、ヘスス・クルス、そしてFWのイブラ・ソウの9名が新たに招集されました。彼らは、アルベルト・フローレス、アンドレス・カストリン、ホアキン・マルティネス・ガウナ(オソ)、マヌ・ブエノ、ミゲル・シエラといった、昨季トップチームの背番号を持たずに実質的に定着していたメンバー、さらにキケ・サラス、フアンル・サンチェス、イサク・ロメロ、ホセ・アンヘル・カルモナらと共に、トップチームでのチャンスを掴むために戦います。(via Estadio Deportivo / ElDesmarque)
ガブリエル・スアソの復帰とインターナショナル組の動向
火曜日のセッションにおいて最も注目を集めたポジティブなニュースは、チリ代表としてW杯を戦っていた左サイドバック、ガブリエル・スアソの復帰でした。代表戦の疲労を考慮して休暇が延長されていたスアソは、予定通り火曜日にスポーツ・シティに姿を見せました。メディアに公開された最初の15分間は別メニューで調整しつつ、チームメイトと挨拶を交わす姿が見られました。数日中には全体練習に完全合流する見込みです。
一方で、代表戦などに伴う欠席者も複数います。ギリシャ代表のオディッセアス・ブラホディモスやナイジェリア代表のアコル・アダムスは、6月上旬の代表戦に参加したため合流が遅れています。また、スイス代表のルベン・バルガスとジブリル・ソウは、現在進行中のW杯でラウンド16のコロンビア戦を控えており、まだチームには合流していません。新加入のナイジェリア人ウインガー、チデラ・エジュケに関しては、官僚的なビザ手続きのトラブルによりクラブの特別な許可を得て合流が遅れていますが、サウジアラビアからの関心も噂される中、数日中には問題が解決して合流する予定です。(via Estadio Deportivo / ElDesmarque)
アルフォンの長期離脱と深刻なウイング不足
プレシーズン初日から、セビージャに非常に重いアクシデントが発生しました。ビジャレアルへのレンタル移籍から復帰したウインガーのアルフォン・ゴンサレスが、ルイス・ガルシア・プラサ監督のピッチ上でのスピーチを聞いた直後、練習に参加することなく施設内へ引き返しました。その後のメディカルチェックの結果、右大腿四頭筋の筋断裂が確認され、クラブから公式に負傷が発表されました。
この怪我により、アルフォンは7〜8週間の長期離脱を余儀なくされ、プレシーズンを完全に棒に振ることになります。さらには、6週間後に予定されているラ・リーガ開幕戦(ホームでのラージョ・バジェカーノ戦)への欠場が確実となり、続く第2節のアスレティック・ビルバオ戦、そして第3節のアトレティコ・マドリード戦にすら間に合わない可能性が高いという最悪の事態です。
アルフォンは昨季前半戦、セビージャで期待外れのパフォーマンスに終わり(リーグ戦スタメン3試合のみ)、1月に買い取りオプション(700万ユーロ)付きでビジャレアルへレンタルされました。セビージャとしては、フリーで獲得した選手を700万ユーロで完全売却できれば純利益となるため、このオプション行使を強く望んでいました。しかし、ビジャレアルでもふくらはぎの肉離れで離脱するなど影響し、マルセリーノ監督の下で10試合出場(先発3試合、1ゴール)にとどまり、買い取られることなくセビージャへ戻ってきました。
今回の負傷は、アドナン・ヤヌザイとアレクシス・サンチェスの契約満了による退団、そしてルベン・バルガスとチデラ・エジュケの売却の可能性も浮上しているセビージャにとって、致命的なサイドアタッカー不足をもたらしています。現在、サイドのポジションは本来サイドバックであるフアンルやオソの貢献に頼らざるを得ない状況であり、フロントにとってウイングの補強が急務となっています。さらには、アルフォン自身を今夏再びレンタルや完全移籍で放出する計画があった場合でも、この長期離脱により移籍先を見つけることが極めて困難になりました。(via Estadio Deportivo / ElDesmarque)
放出候補ニャンズとラファ・ミルの去就問題
セビージャのサラリーキャップを大きく圧迫し、クラブの補強計画の足枷となっているタンギ・ニャンズとラファ・ミルの2選手は、月曜日の練習からクラブの許可を得て欠席しています。
タンギ・ニャンズは、モンチ元スポーツディレクターによる過去の大きな失敗補強の一つとみなされています。彼は現在フランスに滞在しており、代理人を通じてリーグ・アンなどでの新たな所属先を模索しています。セビージャ側は彼の売却による移籍金収入を完全に放棄し、フリートランスファーでの退団と彼に有利な条件での契約解除を受け入れる姿勢を示しています。ニャンズは昨季、クラブからの給与削減の要求を拒否していましたが、度重なる筋肉の負傷、退場処分、失点に直結するPK献上など、セビージャでのキャリアは破滅的なものでした。現在残り1年の契約で総額800万ユーロ以上の高額な給与を受け取っており、減価償却費を含めるとクラブに年間約1200万ユーロの負担を強いています。彼を放出できれば、新加入のフアン・イグレシアス、サンガンテ、グリディ、ブラホディモスらを登録してもまだ余裕ができるほどの大きなサラリーキャップの空きが生まれるため、クラブはこの問題の早期解決に全力を注いでいます。
一方のラファ・ミルも極めてデリケートな状況に置かれています。エルチェへの半年間のレンタルを終えて6月30日にセビージャに戻ったものの、ピッチ上での練習には参加していません。彼はバレンシアの裁判所から性的暴行の罪で懲役8年半の判決を受けており、現在控訴中ではありますが、この司法判断はスポーツ面にも深刻な影響を及ぼしています。RFEF(スペイン王立サッカー連盟)の規律規定第66条「スポーツの尊厳と品位を損なう公然の行為」に抵触する可能性があり、これが適用されれば3,006ユーロから30,051ユーロの罰金に加え、2年から5年のライセンス停止処分が下される恐れがあります。セビージャはルイス・ガルシア・プラサ監督の構想外である彼に対し、ライセンスの登録を行わない方針です。現在、クラブと選手双方はこの厄介な事態をこれ以上長引かせないため、論争を避けてできるだけ早く契約を解消(退団)するという共通の目的を持って交渉を進めています。(via Estadio Deportivo / ElDesmarque)
構想外メンバーの別メニュー調整
ニャンズやラファ・ミルに続き、火曜日のトレーニングではさらに3人の選手がピッチから姿を消しました。ジョアン・ジョルダン、フェデ・ガットーニ、そしてファビオ・カルドソの3名です。月曜日には全体練習に参加していた彼らですが、火曜日のセッションでは別メニューとなりました。
この事態に対し、クラブは公式声明を通じて状況を説明し、『彼らの契約状況が解決するまでの間、別のグループでトレーニングを行いました』と発表しました。これにより、彼らがルイス・ガルシア・プラサ監督の来季の構想に全く含まれておらず、今夏の移籍市場での退団が既定路線であることが明確になりました。昨季終盤にも出場機会を失っていた彼らは、過去の移籍市場でもレンタル等での放出が試みられてきましたが、財政難に苦しむセビージャにとっては、彼らの完全移籍先を見つけることがサラリーキャップを空けるための重要な鍵となります。特にジョアン・ジョルダンは昨季、手術を伴う負傷によって移籍が破談になった経緯もあり、今回の別メニュー調整は移籍前の負傷リスクを避けるための措置である可能性も指摘されています。(via ElDesmarque / Estadio Deportivo)
ストライカーの去就:アコル・アダムスとヴェネツィアの交渉
1年半前にモンペリエから550万ユーロで獲得したナイジェリア人ストライカー、アコル・アダムスの退団が現実味を帯びています。昨季はセビージャで公式戦26試合に出場し、16ゴール3アシストという見事な成績を残した彼に対し、セリエAに昇格したヴェネツィアが強い関心を示しています。
ヴェネツィアはすでにアダムス本人と2030年までの契約で個人的な合意に達しており、現在の給与を大幅に上回る条件を提示していると報じられています。しかし、クラブ間交渉にはまだ隔たりがあります。ヴェネツィアは最初のオファーとして約1000万ユーロを提示したとされていますが、セビージャは彼の市場価値に見合った最低でも1500万ユーロを要求しています。ヴェネツィアはアメリカ人実業家のティム・レイウィーク氏とフランチェスカ・ボディ氏の資本参加により財政的に潤っていますが、これまでの補強は堅実なものが多く、セビージャの要求額まで引き上げるかは不透明です。
現時点でヴェネツィアからはセビージャに対して文書による正式なオファーは届いておらず、クラブ間の合意には至っていません。代表戦の休暇を終えたアダムスは、ヴェネツィアから正式なオファーが届き交渉が進展しない限り、数日中にはセビージャのプレシーズン・トレーニングに合流する予定です。セビージャとしては、アダムスを高値で売却し、大きなキャピタルゲインを得ることで補強資金を確保したい狙いがあります。(via Estadio Deportivo / ElDesmarque)
補強の動き:アドリアン・リソ獲得への交渉
アルフォンの負傷や既存ウインガーの退団・放出の可能性により、ホセ・イグナシオ・ナバロ・スポーツディレクターは新たなサイドアタッカーの獲得を急いでいます。そのメインターゲットとなっているのが、レアル・サラゴサに所属する21歳のウインガー、アドリアン・リソです。
リソは昨季ヘタフェへレンタル移籍し、ラ・リーガで28試合(先発21試合)に出場して3ゴール1アシストを記録しました。ヘタフェは300万ユーロ(または全体の50%の保有権)の買い取りオプションを行使しなかったため、彼は一旦サラゴサへ戻っています。しかし、サラゴサは財政難により、ヘタフェ時代と同水準となった彼の高額な給与を負担することができず、7月16日のプレシーズン開始前までに彼を放出することを義務付けています。
サラゴサのSDであるラロ・アランテギは移籍金として約300万ユーロを要求していますが、セビージャは資金不足からこの金額を支払う意思はなく、買い取りオプション(義務ではない)が付いた形でのレンタル移籍を提案しています。リソにはレバンテ、ラージョ・バジェカーノといった国内クラブに加え、イタリアのトリノ、ヴェネツィア、ジェノア、さらにはギリシャのオリンピアコスやベルギー、オランダのクラブも関心を示していますが、選手本人はラ・リーガ(またはイタリア)でのプレーを強く希望しています。セビージャは彼を獲得するためにも、ルベン・バルガス(W杯での活躍でブライトンなどが関心)やエジュケといった選手の売却を成立させ、FFPの枠を空ける必要があります。(via Estadio Deportivo / SPORT / ElDesmarque)
補強失敗:バンバ・ディエンがサウジへ
アコル・アダムスの売却に備え、セビージャの強化部がゼロ円での獲得候補として長年リストアップしていたセネガル代表FWバンバ・ディエン(26歳)でしたが、彼の獲得は失敗に終わりました。
ディエンはオリンピック・マルセイユのBチーム時代からセビージャのスカウト網に認知されており、2022年の冬の市場ではホルヘ・サンパオリ監督(当時)が獲得を熱望した過去もあります。昨季まで所属したロリアンとの契約が6月30日で満了しフリーエージェントとなった彼に対し、セビージャやレアル・ベティスが獲得を狙っていました。しかし、最終的にディエンはサウジアラビアのアル・シャバブへの移籍を選択しました。アル・シャバブは彼に対し、ロリアン時代に受け取っていた年俸(100万ユーロ)を大幅に上回る高額な給与と3年契約を提示し、経済的な魅力でスペイン勢との争奪戦を制しました。(via Estadio Deportivo)
契約延長交渉:ブレイクしたオソの引き留め
セビージャは、昨季のラ・リーガでセンセーショナルな活躍を見せ、一躍チームの重要な資産へと成長した左サイドバック、ホアキン・マルティネス・ガウナ(愛称:オソ)の流出を防ぐための動きを活発化させています。
現在、オソの契約は残り1年となっており、この状況はクラブにとって大きな懸念材料です。彼の現在の契約解除金は2000万ユーロに設定されていますが、国内外の複数のクラブが彼の状況に注目しているため、セビージャは他クラブのオファーを牽制すべく、契約の延長と違約金の大幅な引き上げに向けた交渉を急ピッチで進めています。
この状況を密かに注視しているのが、オソがユース時代に所属していたマラガCFです。マラガはFIFAの連帯貢献金の仕組みにより、もしオソが契約解除金(2000万ユーロ)を満額支払われて移籍した場合、最大で35万ユーロの育成補償金を受け取ることができます。財政的な制約を抱えるマラガにとって、この金額は非常に魅力的な収入源となるため、彼の去就の行方を見守っています。(via ElDesmarque)
カンテラの星:ニコ・ギジェンへの期待
プレシーズンにおいて、サポーターやメディアから最も熱い視線と期待を集めているのが、カンテラ出身の若手MF、ニコ・ギジェンです。
昨季、下部組織で卓越した才能を見せつけたギジェンは、ルイス・ガルシア・プラサ監督からも非常に高く評価されていました。昨シーズン中もトップチームデビューの可能性が囁かれていましたが、チームが厳しい残留争いに巻き込まれていたため、監督はプレッシャーのかかる状況下で若手を起用することを躊躇し、デビューはお預けとなっていました。
しかし、すべてがリセットされて迎えた今季のプレシーズンにおいて、彼のトップチーム定着の可能性は飛躍的に高まっています。資金難で選手層が薄い現在のセビージャにおいて、彼のようなアカデミーの才能は不可欠なリソースです。プレシーズン初日のトレーニングでも、監督が彼に対して特別な愛情とコミュニケーションを取る姿が確認されており、強い信頼関係(フィーリング)が築かれていることが窺えます。今夏のプレシーズンマッチを通じて、ニコ・ギジェンがトップチームの扉を完全にこじ開けることが期待されています。(via ElDesmarque)
【本日の総括】
プレシーズンが本格始動したセビージャですが、スアソの復帰や新加入組の合流という明るい話題の裏で、アルフォンの長期離脱によるウイング不足、ニャンズやラファ・ミルの重い去就問題、そして資金難によるアコル・アダムスの売却交渉やリソ獲得の難航など、フロントが解決すべき課題は山積みです。厳しい台所事情の中、ニコ・ギジェンをはじめとするカンテラ組の台頭がチームの希望の光となりそうです。