イグレシアスとグリディをゼロ円で獲得、サンガンテやマルティネスらの動向も詳報
✅ 移籍・補強動向:アコル・アダムスの売却構想
クラブ最高額の市場価値を誇るナイジェリア人ストライカーの売却計画と本人の胸中
✅ 移籍・補強動向:左ウイングの刷新とアドリアン・リソへの熱視線
退団候補が相次ぐポジションに対し、サラゴサの若手アタッカー獲得を画策
✅ 新加入ファン・イグレシアスの決意表明
ゲタフェから加入した右サイドバックが語る指揮官との対話やダビド・ソリアの金言
✅ OBハビ・カスケーロが語るファン・イグレシアスの真価
元セビージャの重鎮が新戦力の堅実な守備力とポリバレント性を徹底分析
✅ スイス代表ルベン・バルガスとジブリル・ソウのW杯動向
売却候補のバルガスがカタール戦で躍動し市場価値を証明、ソウの起用状況も
✅ クラブの財政事情と新オーナーへの移行計画
増資を見据えた売却プロセスと、低コスト補強に奔走するフロントの台所事情
移籍・補強動向:新戦力の獲得劇
セビージャFCは現在、移籍金のかからないフリートランスファーや極めて安価な取引を中心に、新シーズンのチーム編成を急ピッチで進めている。すでに元ゲタフェのDFファン・イグレシアスと元アラベスのMFホン・グリディの2選手の獲得をゼロ円で確定させた。前者はアントニオ・コルドン前スポーツディレクターが数ヶ月前から取りまとめていた案件であり、後者はホセ・イグナシオ・ナバーロ新スポーツディレクターが就任後に初めて手掛けた補強である。
さらに、ル・アーヴルとの契約が満了しフリーエージェントとなるフランス人CBアルナ・サンガンテについても以前から合意に達しており、公式発表が間近に迫っている。
一方で、中盤の底を支える新たな戦力として、レバンテと6月30日で契約満了となる28歳のMFパブロ・マルティネスにも関心を寄せている。クラブは以前から彼に注目しており、移籍金が発生しないメリットを活かして、獲得に向けた選手の要求条件をヒアリングしている段階である。パブロ・マルティネスは今季レバンテでリーグ戦27試合とコパ・デル・レイ2試合に出場し、1864分間プレー。2月中旬に左膝内側側副靱帯の負傷で4試合を欠場したものの、ルイス・カストロ監督のもとで終盤の8試合で絶対的なレギュラーに定着し、チームの奇跡的な1部残留に貢献した。シーズン通算で1ゴール5アシストを記録し、これまでレバンテで155試合に出場し12ゴール18アシストという1部での確かな実績を誇る。現在、ヘタフェ、ラージョ・バジェカーノ、オサスナ、エルチェに加え、ホン・グリディが退団したアラベスのセルヒオ・フェルナンデスSDも熱視線を送っている。マルティネス本人はクラブへの感謝から、まずはレバンテからの契約延長オファーを優先して聞く意向を示しているが、レバンテ側は主将である彼に対してまだ具体的な動きを見せていない。
その他の動きとして、インデペンディエンテ・デル・バジェのパトリック・メルカドとは基本合意に達していたものの、同選手が重傷を負ってしまった。所属クラブは合意の履行を強硬に求めているが、セビージャでの公式な加入は宙に浮いた状態となっている。(via Estadio Deportivo)
移籍・補強動向:アコル・アダムスの売却構想
慢性的な財政難を抱えるクラブにとって、今年の夏も赤字削減のための選手売却は避けて通れない至上命題となっている。昨夏はドディ・ルケバキオをベンフィカへ、ロイク・バデをバイエル・レバークーゼンへ売却して計約5000万ユーロを捻出し、さらにスタニス・イドゥンボをモナコへ1000万ユーロで放出した。しかし、現在のスカッドには彼らのような高額な移籍金をもたらす資産が見当たらないのが実情である。
その中で、経営陣が現有戦力の中で最も市場価値が高く、ルケバキオやバデの売却額に近い金額を引き出せると踏んでいるのが、ナイジェリア人FWアコル・アダムスである。アダムスは昨季の冬の移籍市場でビクトル・オルタ前SDの主導により、ノルウェーのリールストロムでの活躍を経てフランスのモンペリエから550万ユーロで加入した。当初は負傷の影響もあり4試合で無得点に終わり、失敗の補強という烙印を押されかけた。しかし直近のシーズンではリーグ戦32試合で10ゴール3アシストを記録。エスパニョール戦やビジャレアル戦で残留を決定づける貴重なゴールを決め、キャリア最高の評価を確立した。
さらに、W杯に出場するナイジェリア代表としても存在感を高めており、直近の8試合で4ゴールを記録。W杯直前に行われたポルトガルとの親善試合でもゴールを挙げたことで、その評価は国際的にも上昇している。現在、専門サイトでの市場価値は1500万ユーロに達し、インテルに800万ユーロを支払って保有権の90%を獲得したルシアン・アグメと並んでチームトップの評価額となっている。ただし、アグメは利益を出しにくい契約形態であるため、アダムスこそが最大の資金源とみなされている。
クラブはアダムスの移籍金として2000万ユーロから2500万ユーロを設定し、すでに市場に売り込みをかけている。オリンピック・マルセイユがボーナス込みで1800万ユーロのオファーを提示し、さらにニール・モペイを取引に含めて移籍金を下げる提案を行っている。また中東のクラブからも打診があったが、26歳のストライカーは中東行きに難色を示している。2029年までセビージャと契約を残すアダムス本人は、『常に多くの噂があるけれど、今はまったく心配していない。セビージャとの契約があるし、今後どうなるか次第ではあるが、ここでとても幸せだ』と語り、自身の去就について落ち着いた姿勢を崩していない。(via Estadio Deportivo)
移籍・補強動向:左ウイングの刷新とアドリアン・リソへの熱視線
アドナン・ヤヌザイの退団が決定し、ルベン・バルガスやチデラ・エジュケの売却の可能性も高まっている中、ホセ・イグナシオ・ナバーロSDは左ウイングの強化に向けた市場調査を進めている。ビジャレアルへのレンタルから復帰したアルフォンを同ポジションの戦力として計算しつつ、新たに獲得リストの最上位に挙げているのが、レアル・サラゴサに所属し、昨季はゲタフェへレンタル移籍していた21歳のアドリアン・リソである。
リソは今季開幕直後にサンチェス・ピスフアンで行われたセビージャ戦で2ゴールを奪うなど、常に相手の脅威となる活躍を見せた。ゲタフェは彼に設定されていた300万ユーロの買い取りオプションを行使せず、アンヘル・トーレス会長が150万ユーロへの減額オファーを提示したが、サラゴサ側は「3部へ降格したからといって選手を誰にも安売りするつもりはない」とこれを一蹴。そのため、リソは再び移籍市場に名前が出ることになった。
この若きウインガーには、ラージョ・バジェカーノ、レバンテ、バレンシアといった1部のクラブや、降格したマジョルカなど国内から多くの関心が寄せられている。さらにギリシャやオランダのクラブ、イタリアのヴェネツィアやパルマからも熱心なアプローチがある。しかし、リソ本人がスペイン1部リーグでのプレー継続を強く望んでおり、海外への移籍に難色を示していることが、セビージャにとって大きな追い風となっている。とはいえ、資金捻出が急務のセビージャにとって、移籍金が発生するリソの獲得は決して容易なミッションではない。リソはサラゴサと2029年までの契約を結んでおり、昨季は31試合で1801分間プレーし、3ゴール3アシストという実績を残している。(via Estadio Deportivo)
新加入ファン・イグレシアスの決意表明
ゲタフェとの契約を満了し、フリートランスファーでセビージャへ加入した27歳の右サイドバック、ファン・イグレシアスがクラブ公式メディアのインタビューに答え、新たな挑戦への熱い思いを語った。すでにセビージャでの新生活に向けた引っ越し作業を進めている彼は、『もうここにいられることにとてもワクワクしている。今は箱を動かすのに多くの時間を費やしているが、早く終わらせてここで楽しみたい。南部に立ち寄ったことはあるが、この街は初めてだ。早くトレーニングや試合を始めて、シャツを着てワクワクするシーズンにしたい』と目を輝かせた。
チームへの適応については、元セビージャでありゲタフェ時代のチームメイトであるGKダビド・ソリアの存在が大きかったと明かす。『ソリアが友人としているのは本当に幸運だ。セビージャというクラブと街について教えてもらうのに彼以上の適任者はいない。適応を助けてくれたことに何度も感謝している。彼からは「謙虚さを忘れないこと、ゲタフェで俺に見せてきたような振る舞いを決して変えないこと。お前がここに来てくれて俺もとても嬉しく誇りに思うよ」とアドバイスされたので、その言葉に絶対に従うつもりだ』と語った。
自身のキャリアを振り返り、『苦しみながら這い上がってきた数年を経てラ・リーガでの経験を積んだ、大人で成熟した人間』と自己分析する。バジャドリードの下部組織に11年間在籍しながらトップチーム昇格を逃した苦難の時期を思い返し、『サッカーはジェットコースターのようなもので、上にいると思ったら翌日には下に落ちていることもある。困難な道のりだったからこそ、ここに来られた満足感はより大きい。自分のベストの時期にいるが、これが最高到達点ではない。自分のエネルギーと経験をロッカールームやファン、この街に還元したい』と力強く述べた。
セビージャを選んだ理由については、『信じられないほどの歴史を持つ巨大なクラブであり、彼らがコンタクトを取ってきたとき、常に私の最優先事項だった』と断言。まだ直接顔を合わせていないルイス・ガルシア・プラサ監督については、『対戦相手として知っており、彼が私に何を求めているかもわかっている。プレシーズンが始まったらポジションなどについて話す予定だが、私はどのポジションでも全力でプレーできる』と語った。ポリバレント性については『若い選手にもよく言うが、多くのポジションをこなせるほどプレーしやすくなる。右サイドバックが一番好きだが、今季はディフェンスライン全般やウイングでもプレーした。監督が望むことに適応し、どこでも同じようにプレーするだけだ』と自信をのぞかせた。
クラブの歴史を彩ったダニ・アウベスやヘスス・ナバスについては『彼らがいたポジションに就けることを幸運に思う。ハードルは非常に高いが、いつか彼らのような歴史を築きたい』と敬意を表し、手本とする選手にはガレス・ベイルの名前を挙げた。
本拠地サンチェス・ピスフアンの雰囲気については『アウェイチームとしては「最初の15分間は何も起こらないように耐えろ」と言われるほど圧迫感のあるスタジアムだ。今は逆に相手を威圧できる側に立てる。ピッチに出てファンがアンセムを歌うのを見るのは本当に圧倒される』と語り、チームが目指すべき姿としてゲタフェ時代のホセ・ボルダラス監督のスタイルを引き合いに出した。『誰も対戦したがらない、タフで厄介なチームのDNAを持ち込みたい。初日からロッカールームとファンの間に団結の雰囲気を作り出す必要がある。難しい状況から抜け出すと結束が強まる。毎試合エネルギーと勝利への意欲を持って臨み、勝つことに飽きないメンタリティを植え付けたい』と熱く宣言した。(via ElDesmarque)
OBハビ・カスケーロが語るファン・イグレシアスの真価
ゲタフェとセビージャの両クラブでプレーし、現在はテレビ解説者として活躍するハビ・カスケーロが、新加入のファン・イグレシアスについて非常に冷静かつ的確な分析を披露した。クラブが直面している財政的な制約を踏まえ、ファンに過度な期待を持たせないための配慮を込めつつ、新戦力の長所を高く評価している。
カスケーロは『現在のクラブが置かれている状況を考えれば、すぐに結果を出せる選手を狙うのは非常に現実的な補強だ。彼はゲタフェで数シーズンにわたって非常に良いプレーを見せており、ほとんど試合を欠場することがない。彼が負傷した記憶もなく、それはチームにとって非常に価値があることだ』と耐久性の高さを絶賛。さらに『ラ・リーガでの経験が豊富で、優れたディフェンダーであり、ゲタフェのロッカールームでも素晴らしいチームメイトとして非常に評価されていた。成熟した年齢で加入し、ルイス・ガルシア・プラサ監督は彼から多くの能力を引き出せるはずだ』と人間性やプロ意識の高さも称賛した。
プレースタイルについては『ゲタフェでは右サイドバックだけでなく、左サイドバックや右ウイング、3バックの右センターバックとしてもプレーしたチームプレーヤーだ。非常に突破されにくい選手であり、彼がいるサイドでは対戦相手は常に困難を強いられる。ミスが少なく常に起用可能だ』と、その確かな守備力とポリバレント性を評価した。
一方で、かつてのセビージャのサイドバックと比較されることについては警鐘を鳴らした。『私はダニ・アウベスとチームメイトだったし、アルメリア時代にはアレイクス・ビダルのような超攻撃的な選手とも一緒にプレーした。ファン・イグレシアスはそうしたプロフィールではない。ヨーロッパリーグで優勝していた頃の、深く攻め込んでゴールを量産するような超攻撃的なサイドバックではないということを、人々は理解しなければならない』と明確に線引きをした。その上で『彼は攻撃よりも守備で目立つ選手なので、彼と補完し合うために、フアンルのようなより攻撃的なプロフィールの選手を配置することが必要になる』と、チーム内でのバランスの取り方について具体的なアドバイスを送った。(via Estadio Deportivo)
スイス代表ルベン・バルガスとジブリル・ソウのW杯動向
セビージャがこの夏の移籍市場で資金を得るための主要な売却候補として期待しているのが、スイス代表のルベン・バルガスである。彼はW杯開幕直前に負傷し、最大のショーケースとなる大会への出場が危ぶまれていたため、クラブ内部では大きな懸念が広がっていた。しかし、無事に回復を果たし、アメリカのリーバイス・スタジアムで行われたW杯グループBのカタール戦に左ウイングとして見事に先発出場を果たした。
試合はカタールがアディショナルタイムに劇的な同点ゴールを決めて1-1の引き分けに終わったが、バルガスのパフォーマンスは際立っていた。序盤から非常に高いモチベーションでプレーし、果敢なドリブル突破やスピード、電気のようなキレのある動きでフレン・ロペテギ監督率いるカタールの守備陣を翻弄。前半17分にブレール・エンボロがPKを決めてスイスが先制した場面でも、その前の攻撃の流れで間接的に脅威を与えていた。前半途中にムラト・ヤキン監督の指示で右サイドへポジションを移してからも、エンボロとの連携からGKアブナダと1対1になる決定機を迎えたが、これは惜しくもセーブされた。
後半に入ると再び左サイドに戻り、カタール守備陣にとって悪夢のような存在となり、ファウルでしか止められないほどのプレーを連続して披露した。79分にゼキ・アムドゥニと交代するまで、スイスの攻撃を牽引し続ける素晴らしいショーを見せた。この活躍は市場価値の向上に直結するため、セビージャ上層部は「市場に向けた価値ある最初の贈り物」として大いに喜んでおり、売却に向けた期待を高めている。なお、同じくスイス代表に招集されているセビージャのMFジブリル・ソウは、この試合でベンチ入りしたものの、後半からの出場機会は与えられず出番なしに終わった。(via Estadio Deportivo)
クラブの財政事情と新オーナーへの移行計画
現在のセビージャは、損失を削減し財政を健全化するために、極めて厳しい運営を強いられている。その打開策として、大規模な増資による資金注入が計画されており、筆頭株主たちはすでにクラブの新たな買い手候補の選定を終えているという。このクラブ売却プロセスが完了するまでの間、フロント陣の基本的な補強ルートは「移籍金ゼロ、もしくは非常に低コストでの選手獲得」と「主力選手の売却による利益確保」という明確な方針に設定されている。これがイグレシアスやグリディのフリー獲得、そしてアダムスやバルガスの積極的な売却推進の背景となっている。(via Estadio Deportivo)
【本日の総括】
本日のセビージャFCは、資金難を乗り切るためのフリートランスファー戦略が結実し、ファン・イグレシアスやホン・グリディら実力者の確保に成功。一方で、財政再建の切り札としてアコル・アダムスやW杯で躍動するルベン・バルガスの売却交渉が本格化しており、クラブの身売りを含めた大きな転換点の中で、フロントのしたたかな動きが目立つ一日となりました。