モウリーニョ監督復帰と新プロジェクト
ジョゼ・モウリーニョ監督(63歳)が13年ぶりにレアル・マドリードのベンチに復帰することが決定しました。フロレンティーノ・ペレス会長(79歳)との会談で合意に達した背景には、両者が抱く年齢に対する偏見(エイジズム)への反逆という共通の思いがあります。モウリーニョ監督は『プロジェクトを発展させるための時間』と『補強に関する発言権』を要求しましたが、ホセ・アンヘル・サンチェスGDや代理人のジョルジュ・メンデスの存在もあり、これらはスムーズに受け入れられました。
彼は単に昔の栄光にすがるのではなく、ローマでカンファレンスリーグを制し、フェネルバフチェやベンフィカでの経験を経て、選手の感情面や人間関係の管理において自身をアップデートして戻ってきました。今回の最大の課題は、『チームの上に立つ者は誰もいない』という原則を適用し、スター選手たちが特別扱いされている現在のロッカールームの秩序を正すことです。近年、ヴィニシウスとシャビ・アロンソ前監督の間の緊張、キリアン・ムバッペのアルベロアに対する無礼な態度、オーレリアン・チュアメニとフェデ・バルベルデの対立など、グループ内の衝突が表面化していました。モウリーニョ監督はペレス会長に『ノー』と言える唯一の友人であり、最大の目標は共にチャンピオンズリーグ優勝を祝うことだとされています。 (via SPORT)
大規模な人員整理
モウリーニョ監督は、チームの弱点を克服するために大幅な人員整理に着手し、フロントに放出リストを提出しました。契約満了を迎えるダニ・カルバハルとダビド・アラバに加え、ラウル・アセンシオ、フラン・ガルシア、ダニ・セバジョス、エドゥアルド・カマヴィンガ、そしてロドリゴがリストに名を連ねています。若手のフランコ・マスタントゥオーノとゴンサロ・ガルシアについては、レンタル移籍または買い戻しオプション付きでの放出が予定されています。
一方で、かつてチュアメニとのトラブルやシャビ・アロンソ前監督への無礼な態度を理由にクラブが放出候補としていたフェデ・バルベルデについては、モウリーニョ監督がリストから除外しました。ただし、ヴィニシウス、ムバッペ、ジュード・ベリンガムといったスター選手間の共存という構造的な問題にはメスを入れていないため、この動きは一部で『臆病者の革命』とも揶揄されています。 (via SPORT)
ベルナルド・シウバの電撃獲得
レアル・マドリードは、マンチェスター・シティを退団してフリーとなっていたベルナルド・シウバの獲得という大きな一手を打ちました。フリーでの獲得という条件は、現在のクラブの財政事情に完全に合致するものでした。シウバはアトレティコ・マドリードへの加入が確実視されており、木曜日には契約書にサインする予定で、ディエゴ・シメオネ監督からも退団するアントワーヌ・グリーズマンの後釜として期待されていました。
しかし、モウリーニョ監督からの1本の電話が状況を完全に覆しました。アトレティコを上回る移籍ボーナスと4年間の長期契約が決め手となり、わずか数時間でマドリー行きが決定しました。バルセロナも獲得を狙っていましたが、この争奪戦を断ち切った形です。モウリーニョ監督は彼に対し、チュアメニやバルベルデと共に、かつてのルカ・モドリッチやトニ・クロースのように中盤でゲームをコントロールする役割を期待しています。一方で、この獲得によりアルダ・ギュレルの出場機会は激減すると予想されています。PSGやチェルシーがギュレルに関心を示していますが、クラブに売却の意思はありません。 (via SPORT / ElDesmarque)
マルク・ククレジャの獲得合意
レアル・マドリードは、チェルシーの左サイドバック、マルク・ククレジャ(27歳)と完全な口頭合意に達しました。移籍金は固定費5500万ユーロに加え、500万ユーロの変動ボーナスで合計6000万ユーロに達する見込みです。契約期間は6年間となります。バルセロナやアトレティコ・マドリードも数週間にわたって獲得を狙っていましたが、アトレティコは高額な移籍金を支払う意思がなく、バルセロナはアレハンドロ・バルデの売却が前提だったため断念しました。
マドリーは、フェルラン・メンディが怪我で年末まで復帰できず、アルバロ・カレーラスが期待外れのシーズンを送り、フラン・ガルシアが構想外となっているため、左サイドバックの絶対的なスタメン補強が急務でした。モウリーニョ監督が獲得を強く希望し、迅速な対応を求めたことで、ペレス会長が素早く動きました。公式発表は現在開催中のW杯終了後になる予定です。
この移籍合意のニュースは、W杯でスペイン代表がデビューする前日に漏れました。スペイン代表の練習直後にこのニュースを知ったククレジャは、バスから降りる際に満面の笑みを見せており、チームメイトのミケル・メリーノやマルティン・スビメンディと共に行動していました。また、彼がマドリーに移籍することで、かつて所属していたヘタフェにもFIFAの連帯貢献金メカニズムにより約60万ユーロが入る見込みです。 (via SPORT / MARCA / Estadio Deportivo / Mundo Deportivo / ElDesmarque)
スペイン代表のルイス・デ・ラ・フエンテ監督は、ククレジャのマドリー移籍が代表チームに与える影響について問われ、『全く影響しない。選手たちのプロ意識を知っているし、誰にとっても良いニュースなら喜ばしい。不快な状況は生まれないし、私も彼らと同じくらい幸せだ』とコメントし、彼を『代表にとって確かな価値だ』と絶賛しています。 (via Estadio Deportivo / ElDesmarque / Mundo Deportivo)
守備陣の再構築
モウリーニョ監督は、右サイドバック、センターバック、左サイドバックの補強を強く求めていました。右サイドバックには、契約解除金2000万ユーロのデンゼル・ダンフリースと、フリーで獲得可能なイブラヒマ・コナテの加入が内定しています。
左サイドバックには当初、ローマ時代に指導したアーセナルのリッカルド・カラフィオーリを希望していましたが、本人が移籍を拒否しました。そのため、マンチェスター・シティのヨシュコ・グヴァルディオル(24歳)に狙いを定めましたが、シティが2031年6月までの契約延長(大幅な昇給付き)にほぼ合意したと報じられました。これがマドリーにとっては大きな打撃となり、最終的にククレジャの獲得へと舵を切る結果となりました。
これらの新戦力に加え、アントニオ・リュディガーの契約延長と、ディーン・ハイセンの獲得により、守備陣の再構築が完了する予定です。なお、リュディガーは現在開催中のW杯において、ドイツ代表としてキュラソー戦の後半73分から途中出場し、評価点6を獲得しています。 (via SPORT / Mundo Deportivo / ElDesmarque / Estadio Deportivo)
サミ・ケディラのコーチ就任
モウリーニョ監督の右腕となるセカンドコーチとして、元ドイツ代表で2020-21シーズンに現役を引退したサミ・ケディラ(39歳)が就任する見通しです。モウリーニョ監督は、第一期政権でのアイトール・カランカやジネディーヌ・ジダンのように、クラブの構造を熟知し、ロッカールーム、フロント、そして監督の間の架け橋となる人物を求めていました。
ケディラは2010年から2015年までマドリーに在籍し、モウリーニョ監督の下で中盤のバランスを取る重要な役割を果たし、7つのタイトルを獲得しました。数日前にはペペがアシスタントに就任するという噂もありましたが、本人がチャリティーマッチ後に『SNSの憶測に過ぎない』と完全に否定しました。ケディラはすでにジョアン・トラリャンやペドロ・マチャドといったモウリーニョの信頼するスタッフに加わり、首都での会議に出席してプレシーズンの計画を進めています。 (via SPORT / Mundo Deportivo / MARCA)
中盤と前線の構想
ペレス会長が掲げた「チャンピオンズリーグ出場クラブに1億5000万ユーロのオファーを出す」という公約を満たすため、最大のターゲットとしてPSGのジョアン・ネヴィスを狙っていました。しかし、PSGはネヴィスもヴィティーニャも売却しない方針を固持。次にバイエルン・ミュンヘンのマイケル・オリーズにアプローチしましたが、『オファーを出すだけ無駄だ』と一蹴されました。そのため、拒否されることを承知の上で、アトレティコ・マドリードのフリアン・アルバレスに対して1億5000万ユーロのオファーを出し、公約の形だけを満たしました。
中盤の底の補強として、マンチェスター・シティと残り1年契約となっているロドリの獲得にも関心を示していますが、これはW杯終了後まで保留されています。また、チェルシーのエンソ・フェルナンデス(25歳)も再び獲得候補に浮上しています。チェルシーは1億4000万ユーロを要求しており、獲得は容易ではありません。
攻撃陣について、モウリーニョ監督はムバッペ、ヴィニシウス、ベリンガム、エンドリック、そしてニコ・パスで十分だと考えています。しかし、ニコ・パス(21歳)の復帰については状況が急変しました。マドリーはコモに900万ユーロを支払って買い戻す予定でしたが、選手本人がチャンピオンズリーグに出場するコモでもう1シーズンプレーしたいと希望し、マドリーもこれを了承しました。ベルナルド・シウバの獲得により中盤の必要性が下がったことも影響しています。ニコ・パスの市場価値は現在8000万ユーロまで高騰しており、インテルなどが関心を示していますが、マドリーは彼のコントロールを手放すつもりはなく、来季に1000万ユーロを支払って買い戻す予定です。 (via SPORT / Mundo Deportivo)
アルバロ・アルベロアの新天地
昨シーズン終了時にレアル・マドリードのトップチーム監督を退任したアルバロ・アルベロアが、プレミアリーグのフルハムの新監督に就任する見通しです。彼はトップチームを5ヶ月間指揮しましたが、コパ・デル・レイでのアルバセテ戦敗退でデビューし、リーグ戦ではバルセロナに及ばず、チャンピオンズリーグでもバイエルン・ミュンヘンに敗れるという苦い結末を迎えました。ミランも彼に関心を示していましたが、最終的にルーベン・アモリムを第一候補としたため、アルベロアはマルコ・シウバの後任としてイングランドへ渡ることになります。現在、交渉は最終段階にあり、数日中に公式発表される予定です。 (via Estadio Deportivo / SPORT)
ヴィニシウスのW杯での活躍と苦悩
W杯グループCの初戦、カルロ・アンチェロッティ監督率いるブラジル代表はモロッコと1-1で引き分けました。この試合でヴィニシウス・ジュニオールは、試合全体としては存在感が薄かったものの、一瞬の隙を突いて同点となるスーパーゴールを決めました。アクラフ・ハキミが攻撃から戻りきれていなかったスペースを見逃さず、イッサ・ディオプと対峙しながらペナルティエリア内から右上隅に強烈なシュートを叩き込みました。
試合後、元ブラジル代表のロナウドからMVPを受け取った彼は、次のように語りました。
『暑さのせいで芝生がすぐに乾いてしまい、プレーがとても滞ってしまった。プレーのリズムを掴めず、あちこちへボールを動かしてプレーしたい僕たちには困難だった。でも、大会中ずっとこうなるのだから、適応しなければならない。誰もが同じピッチでプレーするのだから』
『攻撃面で改善し、ブラジルをもっと助けることができると思う。守備では手助けできたし、全員が非の打ち所のない仕事をした。僕たちは改善し、進化しなければならない。もっとうまくプレーする必要があるだろう』
『その後、僕たちは試合をよりコントロールした。監督がハフィーニャのサイドを変え、ピッチを広く使い、より良く適応できた。これはワールドカップだ、簡単な試合なんてない』
『僕たちはこの結果に満足していない』
また、元選手のクリストフ・クラマーは、アンチェロッティ監督のブラジル代表について『アンチェロッティはおそらく、選手に自由を与えるリーダーとしては最高だ。しかし、それは絶対的なスーパースター相手にしか機能しない。チームに手綱を緩めて「さあ行け」と言うだけでは機能しないだろう』と苦言を呈しました。 (via ElDesmarque / SPORT)
ラウル・アセンシオの期待
レアル・マドリードのディフェンダーであるラウル・アセンシオが、モンメロで開催されたF1スペインGPを訪れ、インタビューに応じました。彼はモウリーニョ監督の就任について次のように語っています。
『モウリーニョの新プロジェクトは非常にワクワクするし、始めるのがとても楽しみだ。僕は子供の頃、彼がチームをどう変えたか、クラブにもたらした競争力、怒り、闘志を見ていた。これらは僕を選手として形成する特徴でもある』
バルセロナに奪われたリーグタイトルの奪還については『もちろん。彼は記録的なリーグ優勝(勝ち点100)を成し遂げた。それを取りに行く』と意気込みを見せました。また、ベルナルド・シウバの加入の可能性についても『彼は非常に、非常に素晴らしい選手で、チームにとってクオリティの飛躍になるだろう。来るものは何でも両手を広げて歓迎するし、彼らが作っているプロジェクトは信じられないものだと確信している』と歓迎の意を示しました。 (via ElDesmarque)
記録と小ネタ
ヴィニシウスのモロッコ戦でのゴールにより、レアル・マドリードはワールドカップの歴史において、所属選手が最も多くのゴール(通算79ゴール)を挙げたサッカークラブとなりました。これにより、バイエルン・ミュンヘンと並んでランキングのトップに立っています。
また、元レアル・マドリードのボルハ・フェルナンデスが、ラジオ番組でロナウド・ナザリオにまつわるシュールなエピソードを披露しました。2002年にマドリーに加入したロナウドの誕生日に、彼の自宅を訪れた際の話です。
『ラ・モラレハに買い物に行き、彼に良いブランドのセーターを買った。その時、彼が家を案内してくれると言ったんだ。テレビやみんなのための部屋がたくさんあった。バロンドールなど全てを見せてくれて、バスルームに着くと、なんとリバウドが用を足しているのに出くわしたんだ。シュールで信じられない出来事だったよ』と当時を振り返りました。
その他、ラス・パルマスでプレーするヘセ・ロドリゲスが『元レアル・マドリードでチャンピオンズリーグを2回優勝した』と紹介されたり、今季のビジャレアルがリーグ戦で72ゴールを記録し、レアル・マドリードにわずか5点差まで迫る攻撃力を見せたこと、さらにスペイン代表のデ・ラ・フエンテ監督がアンチェロッティ監督の言葉を借りて『アンチェロッティがお気に入り(優勝候補)であることは何も保証しないと言ったが、今回のW杯は最も優勝候補が多い大会になるだろう』と語ったことなど、様々な場面でマドリーの名前が登場しています。 (via SPORT / MARCA / Estadio Deportivo)
【本日の総括】
モウリーニョ監督の復帰により、レアル・マドリードは大規模なスカッド整理と大型補強(ベルナルド・シウバ、ククレジャ等)を同時進行させ、新たなプロジェクトを急速に進めています。W杯の舞台でもヴィニシウスがゴールを決めてクラブの歴史的記録を更新するなど、ピッチ内外でマドリーの話題が尽きない1日となりました。
デスクコメント
戦術デスク
配置と起用法から読む
モウリーニョの復帰は、単なる指揮官交代以上の意味を持ちます。特にベルナルド・シウバの獲得は、中盤の構成力を劇的に変える一手です。かつてのモドリッチやクロースが担ったような、ゲームをコントロールする役割をシウバに託す意図は明白です。一方で、スター選手間の共存という構造的な課題には依然としてメスが入っておらず、戦術的な規律と個の自由のバランスをどう取るのか。ケディラをコーチに据え、守備陣の再構築を急ぐ姿勢からは、まずは強固なブロックを築き、そこから逆算して攻撃を組み立てるという、彼らしい現実的なアプローチが透けて見えます。
クラブ動向デスク
フロントとクラブの空気を追う
クラブの空気が一変しました。ペレス会長とモウリーニョという、かつてを知る二人が再び手を組んだ背景には、近年のロッカールームにおける規律の緩みに対する強い危機感があります。スター選手が特別扱いされる現状を打破し、「チームの上に立つ者はいない」という原則を再徹底する。この方針は、一部で「臆病者の革命」と揶揄されつつも、クラブの威信を取り戻すための不可避な選択と映ります。サミ・ケディラの招聘も含め、クラブのDNAを熟知した人物を配置することで、フロントと現場の距離を縮め、再び一枚岩の組織を目指すという強い意志を感じます。
移籍・契約デスク
契約・補強・登録を整理する
今回の補強は、財政的な合理性と即戦力としての質を極めて高いレベルで両立させています。ベルナルド・シウバをフリーで獲得し、ククレジャに6000万ユーロを投じる動きは、現在の市場価値を冷静に見極めた結果でしょう。一方で、カルバハルやアラバといったベテランの放出候補化、ニコ・パスの買い戻し延期など、年齢構成の刷新とサラリーキャップの最適化も同時に進めています。1億5000万ユーロのオファーを公約として掲げるなど、フロントの姿勢は極めて攻撃的ですが、あくまでクラブの持続可能性を損なわない範囲での編成バランスを重視している点は評価できます。