プレシーズンマッチ・エルデンセ戦の結果と詳細
バレンシアはエスタディオ・アントニオ・プチャデス(パテルナ練習場)に約1,200人の観客を集め、セグンダ・ディビシオン昇格組のCDエルデンセとプレシーズンマッチを行いました。数日前に非公開の練習試合として行われたペトロ・デ・ルアンダ戦では1-3で敗れていましたが、この日は3-0で快勝し、プレシーズン初勝利を飾りました。
前半、カルロス・コルベラン監督は主力を中心としたスタメン(アブリル、ルボ・イランソ、デ・ハース、ディアカビ、ヘスス・バスケス、ウグリニッチ、グイド・ロドリゲス、オトルビ、ラバ、サト、サディク)を送り出し、チームはピンク色の第3ユニフォームを着用してプレーしました。序盤からバレンシアが主導権を握り、4分にはダニ・ラバの素晴らしいパスからヘスス・バスケスが1対1のチャンスを迎えるものの、シュートは枠を越えました。その後、サトのパスからサディクがネットを揺らしますが、これはオフサイドの判定で取り消されました。
22分にサトの芸術的なボレーシュートで先制すると、31分にはサトの強烈なシュートがポストに当たった跳ね返りをヘスス・バスケスが押し込んで追加点。前半終了間際の43分には、サディクが前線でボールを奪ってパスを出し、これを受けたダニ・ラバが流し込んで3-0としました。エルデンセもフィデルを中心に反撃を試み、アマリージョがヘディングでネットを揺らす場面もありましたが、オフサイド判定となり得点は認められず、GKビセント・アブリルも随所で好セーブを見せました。
後半に入ると、バレンシアはGKアブリル以外の全選手を入れ替えました。ワンジャラは30分にディアカビと代わってすでに出場しており、60分にイケル・コルドバと交代。後半からはガヤ、セサル・タレガ、ガモン、ペペル、アリウ・ディエン、ハビ・ゲラ、アンドレ・アルメイダ、ルイス・リオハ、ウーゴ・ドゥロらがピッチに立ちました。ハビ・ゲラには2度の決定機がありましたが、エルデンセのGKフアンパの好セーブに阻まれ追加点は奪えず、そのまま3-0でタイムアップを迎えました。
(via MARCA, SPORT, Estadio Deportivo, ElDesmarque)
新星リュウノスケ・サトの鮮烈デビューとゴール
FC東京から加入した19歳の日本人MFリュウノスケ・サト(背番号39)が、左インサイドハーフとして初スタメンを飾り、鮮烈なデビューを果たしました。ペトロ・デ・ルアンダ戦では出場しなかったため、この日がバレンシアのユニフォームを着ての初の実戦となりました。
前半22分、ペナルティエリア手前の半円付近でダニ・ラバからのパスをフリーで受けると、左足でコントロールしてボールを浮かせ、利き足である右足で振り向きざまのボレーシュートを放ちました。ボールは美しい軌道を描いてトップコーナーのクロスバー内側に当たりながらネットに吸い込まれるスーパーゴールとなりました。得点後、サトは「江南スタイル(Gangnam Style)」のダンスを踊ってチームメイトからの祝福に応え、会場を沸かせました。
さらに前半31分には左サイドを突破して強烈なシュートを放ち、ポストに当たったこぼれ球からヘスス・バスケスの追加点を演出。サディクの幻のゴールをアシストする場面もあり、実質1ゴール1アシストの大活躍を見せました。常にボールを足元に置くファーストタッチの技術やエリア外からのシュート力が際立っており、ファンの間で「サトマニア」現象を巻き起こしています。この試合は日本のU-NEXT JAPONでも生中継され、多くの注目を集めました。
(via MARCA, ElDesmarque, SPORT, Estadio Deportivo)
エルデンセ戦の選手個別評価
プレシーズンマッチのエルデンセ戦における、各選手の評価は以下の通りとなっています。
・ビセント・アブリル(8点):前半の立ち上がりや後半に素晴らしい好セーブを見せ、非常に安定していた。
・ルボ・イランソ(6点):目立たなかったが、無難に役目を果たした。
・ムクタル・ディアカビ(6点):キャプテンマークを巻いて30分間プレー。大ケガからの復帰戦であり、それ以上の無理はさせず、堅実なプレーを見せた。
・ジャスティン・デ・ハース(6点):左サイドに大きく開いてプレーし、空中戦でも強さを発揮した。
・ヘスス・バスケス(9点):ピッチ上で最高の選手の一人。常にアクティブで、左サイドから何度もチャンスを創出し、サトのシュートの跳ね返りを押し込んでゴールも記録。絶好調である。
・グイド・ロドリゲス(6点):徐々に調子を上げ、最終的には試合をコントロールした。
・ウグリニッチ(5点):与えられた役割を果たした。
・オトルビ(5点):運には恵まれなかったが、積極的に仕掛けていた。
・サト(9点):ゴールとアシストを記録し、ボールを持つと何かが起こる予感を与え続けた。完璧なデビュー戦。
・ダニ・ラバ(9点):昨季のプレシーズン同様、キレのある動きを見せた。自由に動き回り、最高のパスは彼の足元から生まれていた。42分にはサディクのパスから余裕を持ってゴールを奪った。
・サディク(8点):ゴールはオフサイドで取り消されたが、諦めることなく前線でプレッシャーをかけ続け、ボールを奪ってラバの3点目をアシストした。
・ロドリゴ・ガモン(7点):アタッカーからサイドバックにコンバートされたが、非常にアクティブで、右サイドを積極的に駆け上がり常に危険を生み出していた。
・ワンジャラ(5点):30分にディアカビと代わって出場。60分にイケル・コルドバと交代するまで、迅速な対応で役割を果たした。
・セサル・タレガ(5点):いつも通りよく働き、迅速な対応を見せた。
・ガヤ(6点):キャプテンとして機会があるごとにサイドを駆け上がった。ボールを受ける回数は少なかったが、プレーに関与した際にはチームに貢献していた。
・アリウ・ディエン(8点):中盤で圧倒的なフィジカル能力を見せつけた。リスクを冒さず、ボールを奪い、チャンスがあれば攻撃にも参加した。
・ペペル(6点):チームの舵取りを担い、常にロングボールを狙っていた。
・アンドレ・アルメイダ(5点):あまり目立たず、質の高いパスと不正確なパスが混在していた。
・ルイス・リオハ(5点):いつものようにアクティブだったが、不正確さも見られた。プレシーズンの始まりであることが影響している。
・ハビ・ゲラ(8点):自由なポジションでプレーし、非常に危険なシーンを2度演出。ウーゴ・ドゥロに素晴らしいパスを供給した。素晴らしいパフォーマンスを完璧なものにするためのゴールだけが欠けていた。
・ウーゴ・ドゥロ(5点):生粋のストライカーであるため、ボールがない場面では目立たなかった。訪れたチャンスも相手GKに阻まれた。
・イケル・コルドバ(6点):60分にワンジャラと代わって出場。クロスへの対応などで非常に良いプレーを見せた。
(via ElDesmarque)
新戦力ジャスティン・デ・ハースのデビュー
ファマリカンから今夏最初の補強として加入したオランダ人CBジャスティン・デ・ハースも、このエルデンセ戦で実戦デビューを果たしました。194cmという長身を誇る左利きのCBは、ディアカビとセンターバックのコンビを組み、左サイドに大きく開いてヘスス・バスケスと連携するプレーを見せました。
守備面ではエルデンセの攻撃機会が少なかったため大きな見せ場は限られましたが、空中戦の強さを発揮。攻撃面では、グイド・ロドリゲスやウグリニッチに向けて相手のラインを破る効果的なパスを通す能力を証明しました。また、加入して日が浅いにもかかわらず、チームメイトに積極的に指示を出し、サトのゴールが決まって周囲が祝福している間にもヘスス・バスケスと戦術的なコミュニケーションを取るなど、ディフェンスリーダーとしての資質を示しています。ハーフタイムでワンジャラと交代して退きましたが、バレンシアの最終ラインにとって非常に興味深い戦力になることを予感させる好パフォーマンスでした。
(via SPORT)
右サイドバックの起用状況とカンテラーノの台頭
右サイドバックに負傷者が相次ぐ中、カルロス・コルベラン監督はアカデミー出身の2選手を起用してテストを行っています。
スタメン出場したのは、レバンテから加入したアーロン・マヨル。彼は本来ピボーテ(ボランチ)の選手ですが、そのパワーと推進力を買われて右サイドバックとして起用されています。マヨルは試合前に『全ての子供がトップチームでデビューし、サッカー選手であることを実感するという夢を持っています。バレンシアというこれほど大きなクラブでそれができるのは最高のことです』と喜びを語っていました。
後半から出場したのは、パテルナ育ちのロドリゴ・ガモン。彼も本来はより攻撃的なポジションの選手ですが、右サイドバックにコンバートされ、そのスピードを生かしています。コルベラン監督が好む、トーマス・ムニエのような攻撃的でオーバーラップを得意とするサイドバックのスタイルに合致しており、彼自身も『子供の頃からの夢でした。毎日努力し、このチャンスを100%生かさなければなりません』と強い決意を口にしています。ルボ・イランソの起用法がどうなるか未定の中で、彼ら2人が右サイドバックのバックアッパーとしてアピールを続けています。
(via ElDesmarque)
ルイス・リオハの試合後コメント
後半から出場したルイス・リオハが試合後にメディアの取材に応じました。ヨーロッパの大会への復帰という目標について問われると、『クラブ、選手、ファン、誰もがそれを望んでいると理解しています。我々はこのエンブレムとファンに常に最高のものを捧げようとしています。このクラブは巨大な偉大さを持っているからです。昨季以上の素晴らしいシーズンにするつもりですし、それができればチームが何を目指せるかはみんな分かっているはずです』と野心を語りました。
試合の感想については『結果だけでなく、良い感覚を得ることが重要です。古参の選手たちは、サト、デ・ハース、ディエンといった新加入選手たちが少しでも早くこの家族の一員だと感じられるように統合を助けています。フィジカル面でも良い方向に進んでいますし、開幕戦に高いインテンシティと良い感覚で臨めるようにしたいです』と手応えを口にしました。
さらなる投資や補強の必要性について聞かれると、『それは私が答えることではありません。私はピッチで最大限のパフォーマンスを出すために契約しました。もちろん、チームがより競争力を持ち、上位に行けることを誰もが望んでいます。我々の役目は、新しく来る選手が最高のパフォーマンスを出せるよう助けることです』と答えるにとどめました。
(via ElDesmarque)
今後のプレシーズン日程と移籍市場の噂
バレンシアの今後のプレシーズンマッチの日程は以下の通りです。
・7月25日(土)20:00:パテルナ練習場にてCDカステジョンと対戦(ア・プントおよびGOL Playなどで放送予定)。
・その後、イングランドへ遠征し、8月1日(土)19:30にストーク・オン・トレントのBet 365スタジアムでストーク・シティと対戦。イングランド滞在中にはダービー・カウンティとの非公開練習試合も予定されています。
・夏の締めくくりとして、8月8日(土)21:00にメスタージャで伝統の「トロフェオ・ナランハ」が開催されます。今年の招待チームはプレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドであり、ラ・リーガ開幕前の重要なテストマッチとなります(ア・プントおよびクラブ公式チャンネルで放送予定)。
移籍市場の話題としては、ウーゴ・ギジャモンに対する他クラブからの動きをバレンシアが注視しています。まとまった移籍金がクラブに入る可能性があるためです。また、放出候補の筆頭とされているダニ・ラバですが、プレシーズンで結果を出していることが、他クラブへの良いアピール材料となっています。一方で、キャプテンのホセ・ルイス・ガヤは『常にここにいることをとても大切にしています』と語り、バレンシアへの深い愛情と忠誠心を再確認しています。
(via ElDesmarque, Estadio Deportivo)
ピーター・リムの7年ぶりバレンシア電撃訪問
バレンシアの筆頭株主であるピーター・リムが、2019年12月のレアル・マドリード戦以来、約7年ぶりにバレンシアの街を電撃訪問しました。彼はカタール王室関係者でクラブ買収の潜在的な候補ともされる友人のナセル・アル・ケライフィと共に、アメリカで開催されたワールドカップ決勝を観戦しており、その帰路にバレンシアへ立ち寄りました。
最初の訪問先は建設中の新スタジアム「ノウ・メスタージャ」でした。ハビエル・ソリス(ゼネラルディレクター)、クリスティアン・シュナイダー(インフラ部門ディレクター)、ロン・ガーレイ(フットボールCEO)、セル・ミアン・ン(VCF財団会長兼理事)らを伴い、工事の進捗状況を直接視察。新スタジアムは現在、屋根を支える50本の鉄柱の上に圧縮リングを設置する作業を終え、新たな建設段階に入っています。
また、重病から回復中で治療を続けながら業務を行っているインマ・イバニェス(VCF財団ディレクター兼財務ディレクター)と直接面会し、彼女を激励しました。
その後、リム一行はバレンシア市内の有名レストラン「La Principal」で会食を行いました。この店は2004年にオープンし、古典的な市場の料理と質の高いサービスで知られる名店です。会食にはソリスGD、ガーレイCEO、インマ・イバニェスらが同席し、夏の移籍市場の状況やスポーツ面のプランニングについて話し合いが行われました。クラブ幹部からは、右サイドバックやセンターバックの補強のためにさらなる資金拠出の努力をリムに要請したとのことです。
会食後、リムはボディーガードや腹心のジョーイ・リムと共に街を後にし、夕方にパテルナで行われたエルデンセとのプレシーズンマッチには姿を見せませんでした。スタジアム建設の最終段階や補強の必要性が叫ばれる重要な時期の訪問だけに、クラブ周辺では今後の動向について様々な憶測を呼んでいます。
(via MARCA, ElDesmarque, SPORT)
ディミトリ・フルキエとその他の負傷選手の状況
膝の負傷と手術により5ヶ月間戦列を離れていた右サイドバックのディミトリ・フルキエが、今週からパテルナでピッチでの練習を再開しました。フルキエは先週ジローナで行われたキャンプにも長期離脱組の中で唯一帯同していましたが、そこでは個別メニューでの調整を続けていました。現在もチームの全体練習には合流しておらず、当面はプレシーズンマッチに出場することはできません。
クラブ側は彼の復帰について慎重な姿勢を崩しておらず、8月22日(土)19:30にメスタージャで行われるラ・リーガ開幕戦のセルタ・デ・ビーゴ戦には間に合わない可能性が高いと見ています。現実的な復帰目標は、9月のインターナショナルブレイク明けの9月後半に設定されています。フルキエは現在のチームで唯一の本職右サイドバックであるため、彼の回復状況はクラブにとって大きな関心事となっています。
その他の負傷者であるディエゴ・ロペス、ホセ・コペテ、アルベルト・マリ、セルジ・カノスの4選手はジローナでのキャンプには帯同せず、パテルナのシウダ・デポルティーバに残り、それぞれの回復プロセスを続けています。
(via ElDesmarque)
【本日の総括】
コルベラン新体制となったバレンシアはプレシーズンマッチでエルデンセに3-0と快勝。特に日本人MFサトが1G1Aの鮮烈デビューを飾り、新戦力のデ・ハースや若手SB陣も持ち味をアピールしました。一方でピーター・リムが約7年ぶりにバレンシアを電撃訪問し、新スタジアム視察や幹部との補強に関する会談を行うなど、ピッチ外でも大きな動きを見せた一日となりました。