【今日のラインナップ】
✅ 試合結果:セルタ 1-2 レアル・マドリード [バルベルデの劇的弾で辛勝、ラ・リーガの優勝争いに踏みとどまる]
✅ 選手・監督の評価と采配 [アルベロアの采配、カンテラーノの活躍と主力選手の低調]
✅ アーノルドとギュレルへの厳しい目 [守備の穴を露呈したアーノルドと交代に不満を爆発させたギュレル]
✅ 試合中の物議を醸す判定 [VARの介入によるPK取り消しとバルベルデの決勝点への疑義]
✅ ベンフィカ戦のナチス式敬礼にUEFAが処分 [罰金とベルナベウの一部閉鎖処分(執行猶予付き)]
✅ 負傷者と野戦病院化の惨状 [トップチームのフィールドプレーヤーはわずか12人、ロドリゴは2027年まで復帰絶望]
✅ 移籍市場の動向とターゲット [ロドリ、シュロッターベックに1億ユーロ用意。コナテやトナーリもリスト入り]
✅ クラブの周辺ニュース:ベルナベウ問題と元選手の告白 [米ファンドからの圧力、ミゲル・トレスのアルベロア批判、ベイルの負傷隠し]
✅ クラブ創立124周年とレトロ節への不参加 [記念動画の公開とラ・リーガ企画への不参加]
■【試合結果:セルタ 1-2 レアル・マドリード】
運と執念がレアル・マドリードを救った。バライードスで行われたラ・リーガ第27節、レアル・マドリードはアウェイでセルタ・デ・ビーゴを1-2で下し、首位バルセロナとの勝ち点4差をキープした。試合のペースは非常に遅く、マドリーはキレを欠き、ゴール前に迫る場面も少なく、今季最悪の試合の一つを演じた。まさに「引力のないチーム」「生ける屍」のような状態であり、パスを回すだけで苦しんでいた。
先制点は前半11分。アルベロア監督がデザインしたセットプレーが完璧に決まった。右サイドからのコーナーキックで、トレント・アレクサンダー=アーノルドがアルダ・ギュレルへショートパス。ギュレルはペナルティエリア中央ではなく、ペナルティアークへパスを送る。そこで待っていたオーレリアン・チュアメニが右足のインサイドでカーブとコースを狙ってシュートを放ち、ファーポストに当たってネットを揺らした。セルタの守備陣は完全に虚を突かれ、足が止まっていた。最近ゴールを量産しているチュアメニは、この試合でも攻守にわたって顔を出し、マドリーの真の灯台としてピッチに君臨した。
しかし、リードは長く続かない。25分、セルタのウィリオット・スウェドベリの裏への抜け出しに対し、アーノルドが非常に甘い対応を見せる。スウェドベリに簡単にペナルティエリア内への侵入を許し、折り返しのパスからボルハ・イグレシアスに余裕で同点ゴールを決められた。1-1。
その後もマドリーはセルタにダメージを与えられず、逆にスウェドベリやイアゴ・アスパス(後半から出場、左足シュートがポスト直撃)に勝ち越されそうになる場面があったが、ティボー・クルトワが前半に2度のスーパーセーブを見せてチームを救った。クルトワがいなければ、マドリーの試合は悲惨な結果に終わっていた。
引き分け濃厚と思われた94分、フェデ・バルベルデがやけくそのキャノン砲を放つ。この魂を込めた強烈なシュートがDFに当たって軌道を変え、GKラドゥの守るゴールに吸い込まれた。土壇場での個人の力による劇的な勝利で、マドリーはリーグ戦3試合連続のつまずきを回避し、来週のチャンピオンズリーグ、マンチェスター・シティ戦に向けて首の皮一枚で生き残った。
■【選手・監督の評価と采配】
野戦病院と化したチーム事情の中、アルベロア監督はトップチームのフィールドプレーヤーがわずか12人しかいない状況でやり繰りを強いられた。スタメンは、クルトワ、アーノルド、アセンシオ、リュディガー、メンディ、バルベルデ、チュアメニ、ギュレル、ティアゴ・ピタルチ、ブラヒム・ディアス、ヴィニシウス・ジュニオール。
リュディガーはヘタフェ戦でのディエゴ・リコへの膝蹴り騒動の後も先発し、危険な場面を作らせず安定していた。ラウル・アセンシオもスペースへの対応で光るプレーを見せた。そして4ヶ月ぶりの先発出場となったフェルラン・メンディは、攻撃面での貢献こそ少ないものの、守備のミスが皆無で完璧な壁として機能した。
攻撃陣は総じて低調だった。ヴィニシウスは前半ほとんどプレーに関与せず、セルタのジラルデス監督が仕掛けた常に1対2の徹底マークに苦しみ、『もっと高く』と味方に要求して状況を打開しようとしていたが不発。遠目からのシュートや、エンドライン際でランブレッタ(ヒールリフト)に失敗してスタンドの爆笑を誘う場面が最も目立っていた。「9番」不在で先発したブラヒム・ディアスも、序盤は右サイドに張り付いていたが一度も自信を持って突破できず、可もなく不可もないままゴンサロと交代した。
一方で、最大の輝きを放ったのはカンテラーノのティアゴ・ピタルチだった。怪我人の続出によりトップチームに昇格し先発した彼は、マドリーの中で最も試合を読めていた。ダイナミックで正確、守備にも献身的で、プレッシャーのかかる試合でも臆することなくプレーし、アルベロア監督は彼をギュレルよりも長くピッチに残した。
■【アーノルドとギュレルへの厳しい目】
トレント・アレクサンダー=アーノルドには厳しい評価が下されている。失点シーンではスウェドベリに対してほとんど抵抗せずにエリア内への侵入を許し、守備の適性がないことを露呈した。ピッチ上での無気力な歩き方も警鐘を鳴らしており、快適にプレーできていないのは明らかだ。右足のキック精度が守備の欠陥を補えていない。
また、アルダ・ギュレルは「偽9番」のようなポジションで起用され、チュアメニのゴールをアシストする活躍は見せたものの、全体としては試合から消えている時間が長かった。64分に最初の交代選手としてセサル・パラシオスとの交代を告げられると、不満を爆発させた。自分が交代だと気づいたギュレルは『俺が...?!』と唇を動かし、何か言葉を呟きながら、皮肉な笑みを浮かべて走ってピッチを後にした。代わりに入ったパラシオスやアルベロア監督には礼儀としてタッチしたものの、納得がいかない様子は明白だった。アルベロア監督は、ギュレルがロッカールーム内で他の主力選手よりも重要度が低いことを理解しており、波風を立てないための交代策を取ったと見られている。なお、ギュレルはその交代の数分前、ミンゲサにエリア内で倒されたとしてPKを猛アピールしていたが、VARが介入せず諦めのジェスチャーを見せていた。
■【試合中の物議を醸す判定】
1-1で迎えた72分、VARの介入による判定が大きな物議を醸した。マドリーのコーナーキックからチュアメニがシュートを狙った際、セルタのフェラン・ジュグラがエリア内で明らかなハンドを犯した。VAR(プラ・サンタナ)が主審のイシドロ・ディアス・デ・メラをモニターに呼び出し、マドリーにPKが与えられるかと思われた。しかし、主審はモニターで映像を確認した結果、ハンドの前にマドリーのセサル・パラシオスがマークを外そうとしてイライクス・モリバを明らかに突き飛ばしていたファウルを確認した。結果として、PKは取り消され、セルタのフリーキックで再開された。VARはハンドの事実を認めつつも、その前のファウルが原因であることを全員の目で確認させるための「透明性の演出」として介入した。
しかし、元審判のイトゥラルデ・ゴンサレスはこの判定を痛烈に批判している。『セルタの選手の明らかなPKだ。チュアメニの接触はただの接触であり、パラシオスのプッシュはボールとは関係ないゾーンで起きている。どちらをファウルとみなしたにせよ、もしその前の接触を笛で吹かないのであれば、その後のプレーでファウルを取ることはできない』と主張した。
さらにイトゥラルデは、94分のバルベルデの決勝ゴールについても『無効にされるべきだった』と断言している。『マヌエル・アンヘルがフェル・ロペスからボールを奪う際、明らかにファウルをしている。ボールに全く触れず、右足を上げて選手を倒しているのだからファウルだ』と指摘した。
■【ベンフィカ戦のナチス式敬礼にUEFAが処分】
ピッチ外でも問題が発生している。チャンピオンズリーグのベンフィカ戦(サンティアゴ・ベルナベウ)の試合開始前、ファン層が集まる南スタンド下層(グラダ・ファン)のエリアで、一人のソシオがカメラに向かってナチス式敬礼を繰り返した。マドリーのセキュリティは即座にこの人物を特定し、スタジアムから追放して会員資格の剥奪手続きを開始した。クラブは『スポーツや社会において、暴力や憎悪を扇動するいかなるジェスチャーや表現も非難する』との声明を出していた。
しかし、UEFAの規律委員会はこれを許さず、クラブに対して15,000ユーロの罰金処分と、サンティアゴ・ベルナベウの南スタンド下層(500席分)の1試合閉鎖処分を下した。ただし、このスタンド閉鎖処分は1年間の執行猶予付きとなっており、今後1年以内に同様の人種差別的または差別的な行動が繰り返された場合にのみ執行される。ベンフィカ戦の第1戦でヴィニシウスが相手のプレスティアンニからサルのジェスチャーで侮辱され、第2戦ではマドリーファンが「人種差別反対」の横断幕を掲げていたにもかかわらず、皮肉な結果を招くこととなった。
なお、ヘタフェ戦でディエゴ・リコの顔面に膝蹴りを入れながら退場処分にならなかったアントニオ・リュディガーについて、この試合のVARを担当していたバレンティン・ピサーロ・ゴメス審判が処分(割り当て外し)を受けることが決定した。ただし、今週末のビルバオ対バルセロナ戦のVAR担当はすでに決まっていたため、処分は来週以降に適用される。被害を受けたディエゴ・リコは『もし当たり所が悪ければ大怪我だった。逆の立場なら10試合出場停止で今季絶望になっていただろう』と怒りを露わにしている。また、ドイツ代表のナーゲルスマン監督も、リュディガーのこのような素行の悪さを問題視し、代表招集を見送る可能性を議論している。
■【負傷者と野戦病院化の惨状】
レアル・マドリードのスカッドは完全に崩壊している。セルタ戦の遠征メンバーにおいて、トップチームのフィールドプレーヤーはわずか12人、GKのクルトワとルニンを入れても14人しかいないという悲惨な状況だった。
欠場者は10人に上る。負傷者はエデル・ミリトン、デビッド・アラバ、ジュード・ベリンガム、エドゥアルド・カマヴィンガ、キリアン・ムバッペ、ロドリゴ・ゴエス、ダニ・セバージョスの7名。ロドリゴに至っては深刻な膝の怪我により2027年まで復帰が絶望的となっている。カマヴィンガについては、次戦のシティ戦を見据えてアルベロア監督が無理をさせなかった。
さらに、フランコ・マスタントゥオーノ(ヘタフェ戦でのレッドカードにより2試合出場停止)、ディーン・フイセン、アルバロ・カレーラス(累積警告)の3名が出場停止。フラン・ガルシアは完全に構想外となっており起用されていない。
この事態を受け、アルベロア監督はカスティージャから7名の選手を緊急招集した。GKメストレ、DFアグアド、ラミネ、MFセステロ、マヌエル・アンヘル、パラシオス、ピタルチの7名である。驚くべきことにFWのユース選手は一人も呼ばれず、セルタ戦で使える純粋なアタッカーはヴィニシウス、ゴンサロ、ブラヒムの3人だけという危機的状況に陥っていた。
なお、左膝の捻挫で離脱中のムバッペは、現在パリで療養中であり、免許を取得したばかりの車を運転する姿が目撃されている。彼は日曜日にマドリードへ戻る予定だ。パリでファンからサインや写真撮影に応じた際、『PSG対モナコ戦を見るか?』と尋ねられたムバッペは『いや、ノーだ。レアル・マドリードが試合をしているから』と即答し、その動画がSNSで大反響を呼んでいる。
■【移籍市場の動向とターゲット】
クラブは来季に向けた補強計画を本格化させている。フロレンティーノ・ペレス会長は夏の補強の最優先ターゲットとして、マンチェスター・シティのスペイン代表MFロドリ(29歳)と、ボルシア・ドルトムントのドイツ代表CBニコ・シュロッターベック(27歳)の2人を指名し、この両選手を獲得するための第一弾の資金として1億ユーロを用意した。どちらも現在の契約は2027年までとなっている。それ以上の補強については、現有戦力の売却で得た資金次第となる。
しかし、センターバックの補強に関しては、リヴァプールのフランス代表DFイブラヒマ・コナテ(26歳)が最大のターゲットに浮上しているという情報もある。シュロッターベックの獲得には最低でも4000万ユーロが必要とされるが、コナテは今夏でリヴァプールとの契約が満了するため、移籍金ゼロのフリーで獲得できる点が極めて魅力的だと判断されている。
さらに、中盤の補強候補としてニューカッスルのイタリア代表MFサンドロ・トナーリ(25歳)もリストアップされている。マドリーのスカウト陣は最近、彼のパフォーマンスをチェックするために直接イングランドへ飛んだ。トナーリの契約は2028年まで残っており、移籍金は約1億2000万ユーロに達すると見込まれる難易度の高い交渉だが、アーセナルやマンチェスター・ユナイテッドとの争奪戦になる可能性が高い。
■【クラブの周辺ニュース:ベルナベウ問題と元選手の告白】
巨額の収益を生むはずだった新サンティアゴ・ベルナベウのプロジェクトが暗礁に乗り上げている。近隣住民からの騒音への猛反発により、大規模なコンサートやイベントが軒並み中止となり、地下駐車場の建設もストップしている。この状況に、クラブの戦略的パートナーであるアメリカの投資ファンド「Sixth Street」が激怒し、2022年に結んだ契約条件の全面的な再交渉を突きつけた。
Sixth Streetは、マドリーがスタジアム収益の最初の1億5000万ユーロを得た後、そのビジネスの30%を吸い上げる権利を持っている。しかし計画の大幅な遅れにより、ファンド側はスタジアムの利益に参加する権利を約1シーズン分延長し、2043年3月まで居座ることに成功した。さらにマドリーは、「公式オープニング」の後にファンドから支払われるはずだった3250万ユーロを含む、約3000万ユーロの資金を失う羽目になった。
フロレンティーノ・ペレスの右腕であるアナス・ラグラーリは、クラブのビジネス部門を分離して外国資本を注入し、事実上の株式会社化へ向けた企業構造改革を推し進めようとしており、Sixth Streetもその投資家として入り込むことを狙っている。しかし、チームの成績不振の中でこの劇薬を投入すればソシオの猛反発を食らうため、フロレンティーノ会長はこの計画を凍結せざるを得ない状況に追い込まれている。
また、クラブのレジェンドや元選手からの発言も話題を呼んでいる。
マドリーの元選手であるミゲル・トレスは、アルベロアのトップチーム監督就任について『アルベロアと一緒に指導者ライセンスを取ったが、彼がマドリーのトップチームの監督になれたのは、監督としての能力というより、クラブへの忠誠心とフロレンティーノ・ペレスとの個人的な関係によるものだ。経験という点で見ればそれが現実だ』と辛辣に批判。さらにシャビ・アロンソの解任についても『契約の20%も消化せずに解任された。マドリーの今のプロジェクトには彼のサッカーのツールがもっと必要だったと思うので、彼に時間が与えられなかったのは驚きだ』と苦言を呈した。
かつてマドリーで数々のタイトルをもたらしたギャレス・ベイルは、キャリアの秘密を告白した。『18歳の時にトッテナムで背中の椎間板を骨折し、キャリア中ずっとそれを抱えてプレーした。その怪我がキャリアを通してふくらはぎの多くの問題を引き起こした。公にされていなかったので、プレーできない時は言い訳をしていると批判された。耐えられなくなったら背中に注射を打って落ち着くのを待っていた』と、負傷を隠しながらプレーし続けていた事実を明かした。
■【クラブ創立124周年とレトロ節への不参加】
1902年3月6日に「マドリード・フットボール・クラブ」として産声を上げたレアル・マドリードは、今日で創立124周年を迎えた。クラブはこれを記念し、サンティアゴ・ベルナベウの歴史、フロレンティーノ・ペレスの功績、そして15回のサッカー欧州制覇と11回のバスケットボール欧州制覇を振り返るエモーショナルな記念動画を公開した。
一方で、ラ・リーガが4月10日から13日にかけて開催する第31節の「レトロ節(各クラブが過去の復刻ユニフォームを着用してプレーする企画)」について、レアル・マドリードは参加を拒否した。バルセロナ、ラージョ、ヘタフェは技術的な問題で今回はユニフォーム着用を見送るものの企画の趣旨には賛同しているが、マドリーはハビエル・テバス会長率いるラ・リーガとの対立姿勢を崩さず、1部・2部の全クラブの中で唯一、この企画から完全に距離を置く方針を貫いている。
【本日の総括】
野戦病院状態の中でセルタに劇的勝利を収め、リーグ優勝の望みを繋いだレアル・マドリード。しかし、試合内容の乏しさ、アルベロアの采配への疑問、UEFAからの罰金処分、スタジアム運営を巡るファンドとの摩擦など、ピッチ内外で火種が燻り続けている。来週のマンチェスター・シティ戦に向けて、満身創痍のチームは文字通り総力戦を強いられる。
