ヤン・ディオマンデ獲得
レアル・マドリードはRBライプツィヒから19歳のコートジボワール代表ウイング、ヤン・ディオマンデを獲得しました。移籍金は固定1億2500万ユーロに加え、比較的達成が容易な1000万ユーロ、難易度の高い500万ユーロの計1500万ユーロの変動給が設定されており、総額最大1億4000万ユーロに達する可能性があります。これはジュード・ベリンガムの1億2700万ユーロを超え、クラブ史上最高額の補強となります。なお、固定費の5%はレガネスに支払われます。契約期間は2033年6月30日までの7年間で、現スカッドで最長です。
当初の最優先ターゲットはバイエルン・ミュンヘンのマイケル・オリーセでしたが、バイエルンが交渉を拒否したため、調査リストにあったディオマンデに照準を合わせました。PSGも彼と個人合意に達していましたが、マドリードが電撃参入して強奪に成功しました。ライプツィヒのスポーツディレクターであるマルセル・シェーファーは合意を否定していましたが、水曜日の夜に最終合意に達しました。
クラブは金曜日のメディカルチェックより前の木曜日16時頃に公式発表を行いました。これはバルセロナによるロドリ獲得の動きに対抗するための情報戦略と噂されています。ディオマンデは金曜日に単独で練習を行い、土曜日のフェレンツヴァーロシュ戦の遠征メンバーからは外れました。
会計上、UEFAが2023年に導入したチェルシー対策の規則により、7年契約であっても減価償却は最大5年までに制限されるため、年間2500万ユーロのコストが計上されます。これにより、当初の予定より年間500万ユーロの負担増となります。
レガネス時代のチームメイトであるエンリク・フランケサは、彼のピッチ外での様子を『最初はスペイン語が話せず控えめで目立たない男の子だった』と振り返りつつ、『ピッチに立つと全く違った。ピッチでの成熟度や大胆さには驚かされた。練習初日から特別な選手だと感じ、ファーストチームの選手たちが「あいつを使わなければならない」と言い出すほどだった。下部組織から上がってきた選手に対して、トップチームの選手がそこまで言うのはキャリアで初めての経験だった』と、その別格の才能を絶賛しています。主に左ウイングで活躍してきましたが、左はビニシウスの定位置であるため、マドリードでは右ウイングでの起用が予想されます。 (via SPORT)
ヴィニシウス・ジュニオール契約延長
ビニシウス・ジュニオールは、2032年6月30日まで(6年間)の契約延長に合意しました。この延長により、年俸はネットで約2400万ユーロに引き上げられ、さらに肖像権の70%を選手側が保持する条件が盛り込まれました。これにより実質的な収入は大幅に増加し、チーム内ではキリアン・エムバペに次ぐ高給取りとなります。
この契約に至るまでには1年半に及ぶ極めて緊密で緊張感のある交渉がありました。代理人側は忠誠ボーナスの支払いを強く要求し、クラブが拒否したため「契約を延長せず2027年まで全うしてフリーで退団する」と警告していました。さらに、アーセナルのミケル・アルテタ監督が彼に直接アプローチし、アーセナルの主役に据えるために1億7000万ユーロ相当のオファーを準備したことでマドリード側は焦り、交渉を本格化させました。ジョゼ・モウリーニョ監督がビニシウスに直接不可欠な存在であることを説得したことも決め手となりました。
発表の前日、ビニシウスがInstagramの全投稿を削除しアイコンを白紙にする不可解な行動を起こしましたが、これは契約延長の正式発表を厳かに行うための演出でした。公式発表後、本人は『ベルナベウでの8年間は短すぎた。あと6年、そして永遠に!』と綴りました。ビニシウスは2018年7月に18歳で加入して以来、375試合に出場して128ゴールを記録。CL2回、ラ・リーガ3回を含む14個のタイトルを獲得し、2024年FIFA The Bestなどの個人賞も受賞しています。 (via El Desmarque)
ロドリ・エルナンデス獲得失敗
レアル・マドリードが3週間にわたり交渉を進めていたマンチェスター・シティのスペイン代表MFロドリ・エルナンデスですが、最終的にマドリードへの移籍を拒否し、バルセロナへの移籍を選択しました。バルセロナはロドリと2030年までの契約、年俸ネット1500万ユーロで個人合意し、シティへ4500万ユーロ+変動400万ユーロのファーストオファーを送りましたが拒否されています。
マドリードが獲得を逃した背景には、内部の確執と不信感があります。フロレンティーノ・ペレス会長は当初、ロドリが会長選の対抗馬エンリケ・リケルメル側の公約選手であったため獲得を渋っており、財務アドバイザーのアナス・ラグラーリも「30歳という年齢と過去の膝の怪我」を理由に大反対していました。また、マドリードがロドリ獲得について満場一致の支持を欠き、会長を説得する必要があったという情報が本人に伝わり、ロドリ側の熱意が冷めました。さらに、マドリードはシティに対し移籍金を6000万ユーロ以下に抑える交渉をしており、熱意や切迫感に欠けていました。また、2024年のバロンドール授賞式でビニシウス落選を理由にクラブがボイコットしたことも、受賞者であるロドリに不快感を与えていました。
今週の月曜日から火曜日にかけて、ロドリ本人がペレス会長らマドリード幹部に直接電話をかけ、関心への感謝を述べつつ、断りの連絡を入れました。代理人のパブロ・バルケーロはマドリード側の紳士的な対応に感謝していると述べました。
元マドリードFWのフェルナンド・モリエンテスは、この破談について『ロドリがマドリードを断ってバルサを選んだなどというのは、我々をバカにしている。フロレンティーノが本当に獲得しようと思えば、逃すはずがない。クラブが「ロドリ本人がプレースタイルを理由にバルサを選んだ」と発表しているのは質の悪いジョークだ。本質はリケルメル候補の公約だったため、マドリード側が獲得を引いたことだ』と鋭く指摘しました。また、ジャーナリストのシロー・ロペスも『3週間も時間があったのに、適切なオファーを出さなかったクラブのミスだ』と非難し、ファンの間でも公式SNSにロドリの写真を貼り付けるなどの抗議運動が起き、大炎上しています。モウリーニョ監督も「信じられない」と激怒し、幹部と激しい衝突を繰り返しました。 (via Estadio Deportivo)
ベルナルド・シウバの新たな役割
マンチェスター・シティから今夏フリーで加入したポルトガル代表MFベルナルド・シウバは、今回のロドリ獲得失敗を受け、モウリーニョ監督の戦術プランにおいて極めて重要な役割を担うことになります。
モウリーニョの基本布陣である4-2-3-1において、トップ下にはジュード・ベリンガムが君臨し、プレシーズンでアピールに成功したモウリーニョお気に入りのアルダ・ギュレル、さらにブラヒム・ディアスも控えているため、前線の競争は熾烈です。そのため、ベルナルド・シウバはボランチ(ダブルピボーテの一角、8番の位置)として中盤の底でゲームを組み立てる「レジスタ」として起用される見通しです。
ベルナルド・シウバ自身は、過去に『自分のベストポジションはピボーテの隣、8番の位置だと思う。ベンフィカの下部組織では10番だったが、モナコでは4-4-2の右ウイングだった。中盤とウイングの中間のような役割だった』と語っており、中盤でのプレーに自信を示しています。チュアメニ、バルベルデ、カマヴィンガといったフィジカルに優れた中盤の中で、彼の創造性とキープ力は、トニ・クロースの引退後にマドリードが欠いていた組織力を補うキーパーツと期待されています。 (via MARCA)
カンテラ売却ビジネスモデル
レアル・マドリードは近年、カンテラ選手を売却して一線級のスター選手を獲得する資金を得るビジネスモデルを確立しています。今夏だけで11人のカンテラ選手を売却し、1億7000万ユーロ以上の売却益を手にし、銀行口座には約2億ユーロが蓄積されています。
今夏の主な売却実績として、FWゴンサロ・ガルシアがアルベロア元マドリードカンテラ監督が率いるフルハムへ完全移籍しました。フルハムはゴンサロの70%の権利を4000万ユーロ(マドリードが30%の権利を保留)で獲得し、これはクラブ史上最高額タイとなります。また、同じくフルハムへ移籍したセサール・パラシオスとゴンサロの2人の売却総額は5000万ユーロに達します。また、フラン・ガルシアはレアル・ベティスへ完全移籍、ニコ・パスはコモにローン移籍(買い戻しオプション付き)となりました。
現在、ファーストチームに残るカンテラ出身者はチアゴ・ピタール、ラウル・アセンシオ、アルバロ・カレーラスの3人のみですが、ピタールはアルベロアのフルハムへの移籍交渉が進行中(現在6週間の離脱を強いる怪我のため交渉は低速)、アセンシオもモウリーニョ監督の構想外となっており、売却に最低2500万ユーロを求めています。カレーラスは左SBのレギュラーとして活躍していましたが、今夏チェルシーからマルク・ククレジャが加入したため、控えのセカンドプランに降格する見込みです。
モウリーニョ監督はプレシーズンでカンテラ選手をあまり信用しておらず、フィオレンティーナ戦で先発起用されたのはジョアン・マルティネス、マリオ・リバス、アレクシス・シリアの3人のみ。チェステロ、ヤーニェス、ラコスタ、ラミニ・ファティらは65分以降の出場に留まりました。ただし、アレクシス・シリアはフィオレンティーナ戦で得点を挙げるなど、著しい成長を見せています。 (via SPORT)
キリアン・エムバペの自主トレーニング
キリアン・エムバペは、マドリードへの合流を前にしたバカンスの終盤、イビサ島にある3部相当のUDイビサのトレーニング施設に突如姿を現しました。彼にはPSG時代の元同僚アクラフ・ハキミも同行しており、現地でトレーニングを行っていた選手たちを驚愕させました。
UDイビサの25歳のDFマヌ・ペドレーニョは、この驚きの遭遇について『練習中に彼らがスタジアムの補助グラウンドの裏側に現れたときは、何が起きているのか信じられなかった。自分たちがロンドなどの練習を終える頃、エムバペは個人トレーナーとランニングを始め、ハキミもピッチでいくつかのメニューをこなしていた。走る姿はまるでアスリートそのものだった。練習が終わると、驚いている僕たちに近づいてきて、全員に挨拶をして写真を撮ってくれた。とてもフレンドリーな人で感動した』とその衝撃を興奮交じりに語りました。 (via Mundo Deportivo)
プレシーズンマッチとフェレンツヴァーロシュ戦
レアル・マドリードはプレシーズン第4戦(公式親善試合としては2戦目)として、ハンガリー・ブダペストのGroupama Aréna(容量約22,000人)にてフェレンツヴァーロシュと対戦します。キックオフは2026年8月8日(土曜日)19時00分(スペイン時間)で、Real Madrid TVおよびRM Playで無料生中継されます。両チームの対戦は1995/96シーズンのCL以来となります。
これまでのプレシーズン、マドリードは練習試合としてアルコルコン(1-0)、レガネス(4-1)に勝利。初の一般公開マッチとなったフィオレンティーナ戦では、エンドリックとカンテラのアレクシス・シリアのゴールにより2-1で勝利を収めています。
モウリーニョ監督にとって、このスタジアムは2014年にチェルシーを率いて開場記念試合を戦い、フェレンツヴァーロシュに勝利した思い出の地でもあります。
また、マドリードにとってブダペストは、95年前の1931年8月18日に初めて遠征した歴史的な地でもあります。当時、アトチャ駅から列車でパリ経由でブダペストへ向かい、伝説的GKサモラらを擁したマドリードはブダペスト選抜と対戦。名手イェノ・カルマールに2ゴールを許して敗北しました。そのカルマールは後にスペインでセビージャやグラナダ、マラガを指揮し、スペインサッカー界に深く根を下ろすことになりました。
今回の遠征メンバーには、新加入のベルナルド・シウバ、ブラヒム、リュディガー、そして筋肉系のトラブルから回復したハイセンが復帰し、契約を延長したビニシウスも含まれています。新戦力のディオマンデはマドリードに残って調整するため遠征を外れました。 (via MARCA)
新加入・退団およびその他の選手動向
今夏、レアル・マドリードはフリーでのベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)、イブラヒマ・コナテ(リヴァプール)の獲得に加え、マルク・ククレジャ(チェルシー)、デンゼル・ダンフリース、そしてレバンテから違約金2500万ユーロを支払って獲得したFWカルロス・エスピーら、多くの新戦力を迎えています。
一方で、ダニ・カルバハルとダビド・アラバが契約満了で退団し、ダニ・セバージョスも双方合意の上で契約を解除し退団しました。
18歳のアルゼンチン代表MFフランコ・マスタントゥオーノは、今夏獲得したディオマンデらとの右ウイングの競争に敗れ、フィオレンティーナへの1年間の単純ローン(買い取りオプションなし、マドリードが給与の50%を負担)が決定的となりました。木曜日にフィレンツェに到着し大歓迎を受け、すでにメディカルチェックを通過してフィオレンティーナのユニフォーム姿を披露しています。
また、W杯のスペイン戦で筋肉を負傷していた守護神ティボ・クルトワは、休暇を終えて金曜日にバルデベバスで単独練習を開始。すでにモウリーニョ監督の起用可能な状態に回復しています。現在、未合流のインターナショナル選手はジュード・ベリンガム、キリアン・エムバペ、オーレリアン・チュアメニ、イブラヒマ・コナテ、マルク・ククレジャの5人のみとなっています。 (via Mundo Deportivo)
【本日の総括】
マドリードはディオマンデの電撃獲得やビニシウスの超大型契約延長で補強を進めましたが、ロドリ獲得の失敗により中盤の再建に課題を残しています。モウリーニョ監督はベルナルド・シウバの役割変更などでこの難局を乗り切ろうとしており、プレシーズンマッチでの調整が今後の鍵となります。
デスクコメント
戦術デスク
配置と起用法から読む
ディオマンデの獲得は、右サイドの攻撃的な質を劇的に変える一手です。左のビニシウスと対照的に、右サイドで個の打開力を担保できる存在は、モウリーニョ監督の戦術において不可欠でした。一方で、ロドリ獲得失敗による中盤の再構築は急務です。ベルナルド・シウバをレジスタに据えるプランは、クロース退団後のビルドアップの停滞を解消する意図が見えますが、守備の強度とバランスをどう担保するか。プレシーズンでの配置の噛み合わせが、今季の成否を分ける鍵となるでしょう。
クラブ動向デスク
フロントとクラブの空気を追う
クラブの動きからは、強烈なリーダーシップと内部の軋轢が同時に透けて見えます。ビニシウスとの長期契約延長は、モウリーニョ監督の説得が功を奏した形ですが、ロドリ獲得を巡るフロントの迷走は、ペレス会長の求心力や意思決定プロセスに影を落としています。ファンがSNSで抗議の声を上げるなど、クラブの「格」を巡るプライドと現実の乖離にサポーターも敏感です。監督とフロントの緊張関係が、シーズン開幕後にどのような影響を及ぼすか注視が必要です。
移籍・契約デスク
契約・補強・登録を整理する
ディオマンデへの史上最高額投資は、将来への先行投資であると同時に、UEFAの減価償却ルールを考慮した緻密な計算の上に成り立っています。一方で、カンテラ選手の売却で1億7000万ユーロを捻出するビジネスモデルは、トップチームの編成バランスを維持するための生命線です。ロドリ獲得失敗は編成上の誤算ですが、フリー移籍のシウバやコナテの獲得で実利を確保しており、収支と戦力のバランスを保つための綱渡りが続いています。