新体制とカンテラ人事

トップチームの監督が交代し、マルセリーノ・ガルシア・トラルに代わってイニゴ・ペレスが新監督に就任しました。ビジャレアルはラ・リーガを3位で終え、来季のチャンピオンズリーグ出場権を獲得するという素晴らしい結果を残しており、クラブは各カテゴリーの成績に大きな満足感を示しています。

このトップチームの体制変更に伴い、クラブは下部組織(カンテラ・グロゲタ)の男子主要チームの監督人事についても決断を下し、3名の監督との契約を1シーズン延長しました。

ビジャレアルBを率いるダビド・アルベルダ監督は、プリメーラRFEFという厳しいカテゴリーでチームを4位に導きました。サモラCFとのセグンダ昇格プレーオフでは、ロスタイムに失点して惜しくも敗退したものの、シーズンを通して非常に優れた手腕を発揮しました。さらに、アラサン・ディアッタ、カルロス・マシア、ウーゴ・ロペス、ホセ・アンヘル・ガイタン、ダニ・ブデスカといった複数の若手選手をトップチームのダイナミクスに参加させるなど、選手の育成面でも大きな貢献を果たしています。

ビジャレアルCのダビド・シフエンテス(通称 "シフ")監督も契約を更新しました。テルセーラRFEFを4位で終えた第2リザーブチームは、セグンダFEBへの昇格プレーオフに初めて進出しました。アトレティコ・レバンテとの激しい入れ替え戦の末に敗退しましたが、クラブの育成ルートにおける重要なチームとして安定した成績を残しました。

フベニールA(U-19)の監督を続投するのは、指導者として初のシーズンを終えたペペ・レイナです。国内リーグのディビシオン・デ・オノールでは尻上がりに調子を上げ、来季のコパ・デル・レイ・フベニール出場権を得られる3位でフィニッシュしました。特筆すべきはUEFAユースリーグでの大躍進です。グループステージを6戦5勝という圧倒的な成績で5位通過し、その後の決勝トーナメントでも欧州ベスト8に進出するという歴史的な快挙を成し遂げました(準々決勝でパリ・サンジェルマンに敗退)。現役時代から持つ持ち前の闘争心をベンチでも発揮し、若手選手たちを力強く牽引しています。

(via SPORT, MARCA)

W杯とプレシーズン

2026年ワールドカップ(アメリカ・カナダ・メキシコ共催)の開催により、イニゴ・ペレス新監督のプレシーズン計画は通常とは全く異なるアプローチを強いられます。

ラ・リーガの新シーズンは8月15日・16日の週末(あるいは14日の金曜日)に開幕することが決定しています。W杯で準決勝まで進出した選手を多く抱えるチームには開幕戦延期の特例が認められていますが、ビジャレアルがこの特例の対象になる可能性は極めて低いと見られています。

現在、ビジャレアルからは7名の選手が各国代表としてW杯に参加しています。タジョン・ブキャナンとタニ・オルワセイ(カナダ)、アレックス・フリーマン(アメリカ)、ローガン・コスタ(カーボベルデ)、レナト・ベイガ(ポルトガル)、パペ・ゲイェ(セネガル)、ニコラ・ペペ(コートジボワール)の7名です。また、ガーナ代表のトーマス・パルティもW杯に参加していますが、彼はすでに契約満了を迎えており、大会終了後にクラブへ戻ることはありません。

代表選手が所属する国々のグループリーグ終了日は、カナダが6月24日、コートジボワールが6月25日、セネガルとアメリカが6月26日、カーボベルデが6月27日、ポルトガルが6月28日となっています。ヨーロッパや南米の強豪国と比べると、ビジャレアルの所属選手が準決勝まで勝ち進む可能性は相対的に低いため、クラブは予定通り8月中旬の開幕に向けて準備を進めています。なお、6月30日にはRFEF(スペインサッカー連盟)の総会が開かれ、国内大会の詳細なカレンダーが発表される予定です。

イニゴ・ペレス監督は、夏のプレシーズンを段階的なフェーズに分けて計画しています。選手たちは7月6日にメディカルチェックを受け、7月9日からフィールドでの初トレーニングを開始します。この時点ではW杯がまだ進行中であり、代表選手たちは不在です。そのため、プレシーズン序盤はBチームやフベニールから多くの若手選手を招集し、少人数のグループで戦術的な基盤を構築していくことになります。

さらに、AFE(スペインサッカー選手協会)の規定により、W杯に参加した選手は大会敗退後から最低21日間の連続した休暇を取得することが義務付けられています。このため、グループリーグを突破した選手はチームへの合流が自動的に8月にずれ込みます。開幕までに実質2週間しか準備期間が取れない選手も出てくるため、クラブは筋肉系の負傷リスクを強く警戒しています。イニゴ・ペレス監督とコーチングスタッフは、代表組の選手たちを肉体的に保護することを最優先とし、リーグ戦序盤は出場時間を制限したり、個別の調整プランを提供することも検討しています。

(via Estadio Deportivo)

厳格な実力至上主義

長年にわたってスペイン屈指の才能育成工場として機能してきたビジャレアルのカンテラですが、来季チャンピオンズリーグに挑むトップチームにおいて、若手選手たちがそのポジションを勝ち取るためには厳しい競争が待っています。

イニゴ・ペレス新監督はカンテラへの信頼を口にする一方で、若手に対する甘やかしを一切排除する姿勢を明確にしています。指揮官は選手たちに対し『若手にチャンスは与えるが、何もプレゼントするつもりはない』と実力至上主義を強調しました。来季のビジャレアルはヨーロッパの最高峰の舞台で戦い、国内リーグでも上位を争う義務があるため、感傷やクラブへの貢献度だけで出場機会が与えられることはありません。

現在、カンテラには非常に刺激的な世代が台頭しています。カルロス・マシアは近年で最も期待されるプロジェクトの一人であり、ダニ・ブデスカにはすでにプリメーラ・ディビシオン(1部)の他クラブから関心が寄せられています。アラサン・ディアッタも急速な成長を見せており、セグンダ・ディビシオンでのレンタル移籍から復帰したダニ・レケナも移籍市場で高く評価されています。さらに、ニサル、ウーゴ・ロペス、ラウタロ・スパッツといった選手たちもトップチームの扉を激しく叩いています。

しかし、ビジャレアルBがサモラCFに敗れて昇格を逃したことで、状況は少し複雑になっています。彼らのような高いポテンシャルを持つ選手たちが、来季もプリメーラRFEFというカテゴリーに留まって成長を続けることができるのか、クラブは慎重な診断を下さなければなりません。トップチームで戦力になれる選手は引き上げられ、出場機会が必要な選手はレンタル移籍で外の世界を経験することになります。カンテラは単なる飾りのためのものではなく、あくまで「ビジャレアルをより強いチームにするため」の基盤として機能することが求められています。

(via Estadio Deportivo)

U-19スペイン代表

ウェールズで6月28日から7月11日にかけて開催されるU-19欧州選手権に向けて、パコ・ガジャルド監督が発表したU-19スペイン代表のプレリスト26名の中に、ビジャレアルの育成組織から3名の選手が選出されました。

1人目はフベニールAのゴールキーパー、パウ・ポロです。身長1.94mという恵まれた体格を持ち、カルロス・ムレ監督(※UEFAユースリーグなどで指揮を執るコーチ陣の1人)の下で非常に安定したシーズンを送りました。特にUEFAユースリーグでは8試合に出場して3試合でクリーンシートを達成し、ペナルティエリア内での高い支配力と、プレッシャーのかかる場面での冷静さが評価されています。

2人目はビジャレアルBの左ウイング、ホセ・アンヘル・ガイタン、通称 "ホセリージョ" です。マラガ出身でクラブと2028年までの契約を結んでいる彼は、今季ダビド・アルベルダ監督の下で絶対的な主力として活躍しました。全公式戦40試合に出場して2,239分間プレーし、7ゴール2アシストを記録。プリメーラRFEFだけでも30試合に出場し、1対1のドリブル突破や決定力に磨きをかけています。年代別代表の常連であり、今回の選出も順当な結果と見られています。

3人目はトップ下でプレーするウーゴ・ロペス・コルテスです。2007年生まれのムルシア出身で、すでにプリメーラ・ディビシオンでトップチームデビューを果たしているチーム屈指の至宝です。今シーズンは34試合に出場して約1,600分間プレーし、3ゴール4アシストを記録しました。ストライカーの背後や両サイドから仕掛けることができ、ラストパスの精度、得点感覚、そして何よりも若さに似合わない戦術理解度と成熟度がクラブ内で高く評価されています。彼とビジャレアルの契約は残り1年となっています。

代表チームは木曜日からマドリードのラス・ロサスで合宿を開始し、6月19日までに最終メンバー21名への絞り込み(5名の落選)が行われます。その後、アリカンテのエル・アルビルでの第2次合宿を経て、6月25日にウェールズへと出発する予定です。

(via Estadio Deportivo)

グローバル育成戦略

ビジャレアルは、スペイン国内で確立した卓越した育成モデルを国外へと積極的に展開しています。

南米では、7月20日から8月7日にかけてエクアドルの首都キトにあるColegio Intisanaの施設を利用し、「ビジャレアルCFキャンプ・エクアドル2026」を開催します。Villarreal AcademyとGlobal Sport Talentのパートナーシップによって実現したこのプロジェクトは、6歳から20歳までの男女の若手選手を対象としています。

キャンプでは、テクニック、戦術、フィジカルの向上だけでなく、規律、仲間意識、リスペクト、謙虚さ、学習能力といった人間的な価値観の教育にも重点が置かれます。さらに、8月3日から7日までの期間はスペインからビジャレアルのコーチ陣が直接キトに飛び、現地の若手選手たちに直接指導を行います。参加選手には個別のテクニカルレポートが提供され、特に優秀なパフォーマンスを見せた選手には、スペインのビジャレアルの施設でスポーツ体験をするチャンスが与えられます。

一方、北米アメリカでは、ユタ州プロボに「Villarreal Provo Academy」を新たに開設しました。これはユタ州で初、アメリカ全土で10番目となるビジャレアルの公式アカデミーです。すでに2026/2027シーズンに向けた入団テストが開始されています。

このアカデミーのスポーツディベロップメントは、UEFAライセンスを持つビジャレアルのコーチ、カルロス・オルティスが監督します。また、現地でのアカデミー責任者には、元セミプロ選手であり9年の指導歴を持つマヌエル・"マニー"・ベガが就任しました。彼は過去に何度もビジャレアルの施設を訪れており、クラブの哲学と育成メソッドを深く理解している人物です。

(via Estadio Deportivo)

元守護神の心温まる秘話

ビジャレアルで長くゴールを守った元スペイン代表GKのセルヒオ・アセンホが、自身のYouTubeポッドキャストのインタビューで、現役時代に経験した過酷な膝の怪我と、その時期に他クラブのレジェンドたちから受けた心温まるサポートについて明かしました。

アセンホはキャリアを通じて4度もの深刻な膝の負傷を経験しましたが、その苦しいリハビリ期間中、ジャンルイジ・ブッフォンやイケル・カシージャス、マルク=アンドレ・テア・シュテーゲンといった世界的名手たちが、影ながら彼を励まし続けていました。

アセンホは当時を振り返り、次のように語っています。

『私が怪我をして苦しんでいた時、ブッフォンがユニフォームを送ってくれました。家には彼からのメッセージが入ったそのユニフォームが飾ってあります。それを私に届けてくれたのは、当時ビジャレアルでチームメイトだったニコラ・サンソーネでした。他にもカシージャスやテア・シュテーゲンからのサイン入りユニフォームもあります。カシージャスは私にとって憧れの存在でしたし、テア・シュテーゲンは私が怪我をしている間、ずっと私のことを気にかけて心配してくれました。これらは本当に美しい思い出で、見るたびに心の内側からこみ上げてくるものがあります』

(via Mundo Deportivo)

【本日の総括】

イニゴ・ペレス新監督の下、来季のCLに向けた厳しい実力至上主義が宣言される中、W杯による異例のカレンダー調整が進められています。下部組織の監督続投やU-19代表への3名選出、アメリカ・エクアドルでのアカデミー展開など、クラブの誇るカンテラは国内外で確かな存在感を放っています。