コルベラン監督を悩ませる深刻な選手層不足とプレシーズンの結果から見る開幕への懸念
プレシーズンで行われた全8試合のうち、計4敗を喫するという結果に終わったバレンシア。この成績が新シーズンの開幕に向けて大きな不安の影を落としています。毎年繰り返される根深い問題として、カルロス・コルベラン監督が極めて限られた選手層、いわゆる「 escasez(不足)」の中でやりくりを強いられている現実が浮き彫りになりました。
ファイナンシャル・フェアプレーの厳格な制限や現スカッドの整理のための放出オペレーションが思うように進まない中、スタメンとしての実力を保証できる確固たる戦力は極めて少ないのが実態です。フットボール界における理想とされる「各ポジションに同レベルの選手を2人揃える」という状況からは程遠く、主力であるAユニットすら未完成な状態で、控えのBユニットに至っては大幅なクオリティ不足が指摘されています。8月22日にメスタージャで迎えるクラウディオ・ヒラルデス監督率いるセルタ・デ・ヴィーゴとの初戦に向けて、スタメンイレブンの選択肢は事実上ほぼ決まってしまっています。これ以上の補強がなければ、GK、CB、ウイング、およびFWのポジションにおいて、実質的にバックアップ不在のままでタフな公式戦に挑むことになります。 (via SPORT)
エルクレスとの最終戦をハビ・ゲラと佐藤龍之介のコンビで制し有終の美
バレンシアは開幕まで残り9日というタイミングで行われた最終親善試合において、エルクレスを2ー0で撃破し、プレシーズンを勝利で締めくくりました。前半はゲームコントロールに苦しみ、クリアなアイデアやクリエイティビティを欠いて無得点に終わるなど厳しい展開となりましたが、後半からギアを上げました。
後半開始早々の47分、中盤のフィリップ・ウグリニッチからの素晴らしい縦パスを受けたハビ・ゲラが、自らエリア付近でシュートコースを創り出し、エルクレスのゴールキーパーを破る見事なシュートを突き刺して先制に成功。さらに直後、ウーゴ・ドゥロからのワンタッチパスを起点に、ゲラが絶妙なタイミングでラストパスを供給。これを日本の若き才能である佐藤龍之介が落ち着いてネットに流し込み、鮮やかな2点目をマークしました。ゲラと佐藤のピッチ上でのケミストリーは抜群であり、間違いなく現在のチームにおいて最大の武器、そして希望となっています。 (via ElDesmarque)
3バックの中央を任されるペペルの新境地と選手たちが描く欧州進出の野心
中盤の要であったペペルは、新シーズンに向けて全く新しい役割を開拓しつつあります。昨シーズン、ギド・ロドリゲスがアンカーの位置に定着したことで一時は中盤のレギュラー争いにおいて難しい立場になるかと思われましたが、プレシーズンから本格導入された3バックシステム(1ー5ー3ー2)において、ディフェンスラインの「中央」に抜擢されました。
ペペルは持ち前のビルドアップ能力の高さを活かし、最後尾から極めて正確でインテリジェンスに富んだパスを配給してビルドアップの質を劇的に向上させています。また、守備の局面でも卓越したポジショニングセンスと読みの鋭さで味方の背後を的確にカバーし、リベロとしての素晴らしい能力を証明しました。
ペペルは試合後にSNSを通じて『準備期間が終了しました。そして今、私たちは自らがサポーターに喜びを届ける最大の責任者であることを自覚し、大きな野心を持って新しいシーズンをスタートさせます。私たちの結束が強ければ強いほど、目標の達成はより容易になると確信しています』と力強くコメント。クラブのフロント側が公式には一切明言していないものの、選手たちの更衣室内部ではすでにヨーロッパツアー(欧州大会への切符獲得)を本気で目指すという高い志が共有されています。 (via SPORT) (via ElDesmarque)
ハビ・ゲラが語る自身の去就と補強の必要性およびファンへのメッセージ
チームの絶対的な心臓でありマジシャンでもあるハビ・ゲラは、最終テストマッチでの大活躍の後にメディアの取材に応じ、今後の自らの進路について次のように言明しました。
『現時点で私はここにいます。したがって、私がこのチームに残り続ける限りは、ここを去るつもりはなくバレンシアの一員として戦うということです。移籍市場では何が起こるか分かりませんが、私はここに契約を持って存在していますし、これ以上繰り返して語る必要はありません』。
さらに、チームの戦力状況についてはフロントに対して率直な要求を隠しませんでした。
『いくつかのポジションにおいて選手が不足していることは間違いありませんが、それでも私たちは素晴らしいグループを築いています。これからはチームが一枚岩となり、死に物狂いとなって開幕のセルタ戦へ向かって突き進まなければなりません』。
また、近年のクラブの低迷やプレシーズンの結果によってファンの間に募る懐疑的な不満についても理解を示しています。
『サポーターの皆さんの不満や不安は十分に理解できます。現実的に見て、ここ数年のチームのパフォーマンスはファンが求めていたような高い水準ではありませんでしたから。しかし、まだ新しいシーズンは始まってさえいません。今最も大切なのは、チームを信じて最初から全員が一丸となってサポートしてくれることです』。 (via ElDesmarque)
アトレティコのオベド・バルガス獲得へ向けた期限付き移籍の交渉進展状況
バレンシアは、アトレティコ・マドリードに所属する21歳のメキシコ代表MFオベド・バルガスの動向を注意深く追っており、期限付き移籍(ローン)での獲得に向けたアプローチを強化しています。バルガスは昨冬にアメリカのシアトル・サウンダーズからアトレティコに加入し、プレシーズン中もシメオネ監督の下で素晴らしいアピールを見せていましたが、アトレティコの中盤にはモルテン・ヒュルマンド、パブロ・バリオス、コケ、ロドリゴ・メンドーサといった実力者がひしめいており、出場機会を確保するための武者修行として放出が検討されています。
バルガスは中盤の底でのボール奪取能力や鋭いタックル、ピッチを広くカバーできるスタミナに優れており、非ポゼッション型ながらも守備に多大な強度をもたらすプレースタイルです。特筆すべきは、母親がスペインの血を引いていることから、今年5月にスペイン国籍を取得した点です。これにより、ラ・リーガで極めて貴重な「非EU登録枠」を一切消費しないタレントとなっており、バレンシアのスポーツディレクター、ロン・グーレイにとっても極めて魅力的なターゲットとして映っています。ヘタフェやベティスといった強豪ライバルも関心を示していますが、バレンシアは彼を迎え入れる準備を進めています。 (via ElDesmarque) (via Estadio Deportivo)
右サイドハーフ補強を巡るベルンハルドソン獲得の条件と優先順位の壁
バレンシアは、ドイツ2部ホルシュタイン・キールのスウェーデン代表FWアレキサンダー・ベルンハルドソンの獲得に向けて、ヴォルフスブルクやコペンハーゲンなどと争奪戦を展開しています。ベルンハルドソンは昨シーズン、2部中位に終わったキールからのステップアップを望んでおり、キール側も移籍金を確保するために本人の売却を容認したとされています。
2026年ワールドカップでもスウェーデン代表の主軸として3試合に先発出場した彼の実力は疑いようがありませんが、バレンシアのフロントは、この獲得交渉を進めるために2つの優先的な前提条件を設定しています。まず、右ウイングの最優先ターゲットは、昨季終盤に残留を決定づける6ゴールを挙げて大活躍し、リーズからの退団が濃厚となっているラルジー・ラマザニである点です。ラマザニ本人はすでにSNS上でバレンシア復帰への熱烈なメッセージを送っており、両クラブの間の金銭的な合意が待たれています。そしてもう一つの大きな条件が、現在チーム内で最も危機的な状況にある右サイドバックの補強問題です。 (via ElDesmarque)
右サイドバックのアルナウ・マルティネス獲得難航とスイスのザノッティ獲得案
バレンシアが今夏の移籍市場において、総力を挙げて取り組んでいるのが、ジローナFCに所属するキャプテン、アルナウ・マルティネスの獲得です。2部に降格したジローナを去り、1部でのプレー継続を望むマルティネスとはすでに個人的な契約条件で合意に達しています。しかし、クラブ間の交渉は膠着状態に陥っています。バレンシアは移籍金として500万ユーロを提示しているのに対し、ジローナ側は契約解除金である800万ユーロの満額支払いを一歩も譲らずに要求しており、300万ユーロもの大きな開きが存在します。交渉妥結にはシンガポールのピーター・リム・オーナーからの資金拠出のゴーサインが不可欠となっています。
この交渉の難航を受け、バレンシアは万が一に備えた低コストの代替案を確保しました。それがスイスのFCルガーノに所属するイタリア人右SBマッティア・ザノッティです。2028年まで契約を残すインテル下部組織出身の23歳は、移籍金約400万ユーロというバレンシアの緊迫した財政制限に完璧に合致する「ローコストオプション」として、フルキエの去就如何によっては迅速に交渉がまとまる見通しです。 (via ElDesmarque)
フェラン・トーレスのPSG移籍でバレンシアに舞い込む160万ユーロの連帯金
バレンシアの現在の補強資金を劇的に潤すことになる、予期せぬ「臨時収入」が確定に近づいています。バルセロナに所属するスペイン代表FWフェラン・トーレスのフランス・メガクラブ、パリ・サンジェルマン(PSG)への完全移籍が、ファブリツィオ・ロマーノ記者などの報道により秒読み段階となっています。移籍金は約5000万ユーロとされています。
この国際移籍に伴い、バレンシアはFIFAの「メカニズム・デ・ソリダリダ(連帯貢献金)」の恩恵を受けることになります。これは、12歳から23歳までの期間に育成を担ったクラブに対して移籍金の総額の5%を分配するシステムであり、パテルナ(バレンシアの下部組織)で12歳から20歳までを過ごしたフェラン・トーレスのケースにおいて、バレンシアは移籍金全体の「3.3%」を受け取る権利を有しています。
これにより、バレンシアの金庫には約160万ユーロのキャッシュが直接振り込まれることになります。ロン・グーレイGM率いるフロントは、この資金をそのままジローナのアルナウ・マルティネス獲得のための引き上げ資金や、手薄なサブGK、左SB、および前線の新戦力獲得の軍資金として直接ピッチへ投資する計画を立てています。 (via ElDesmarque)
アンドレ・アルメイダのセルタ移籍におけるフロントが設定した絶対的な譲れない一線
ポルトガル人ゲームメーカーであるアンドレ・アルメイダは、今夏の退団リストに入っており、同じラ・リーガのセルタ・デ・ヴィーゴとの間で移籍に向けた具体的な話し合いが行われています。すでに選手本人とセルタ側は個人的な給与や契約条件で完全に合意しており、移籍金は400万ユーロ前後で決着する見通しです。
しかし、バレンシアのフロントは、この移籍交渉において決して譲ることのない極めて明確な「レッドライン(赤い一線)」を設定しました。それは、いかなるオファーが届いたとしても、8月22日の開幕戦であるセルタとの直接対決が終了するまでは、絶対にアンドレ・アルメイダの放出を許可しないという決定です。
フロント側は、直接のライバルであるセルタを開幕戦の前に強化するような愚行は断じて避けるべきだと判断。これにより、交渉の決着は市場の最終盤へと持ち越されることになりました。セルタ側も獲得資金を調達するためにイライクス・モリバなどの他戦力の放出を進めており、開幕戦が終了した直後から、一気にこの取引が完了に向けて動き出すことになります。 (via ElDesmarque)
クラブのレジェンド、ラファ・ドミンゴが語る現バレンシアの惨憗な管理体制への大批判
元バレンシアの伝説的な左サイドバックであり、現在72歳となったラファ・ドミンゴ・アルナウが、愛するクラブの現在の惨憗な状況に対し、怒りと失望を剥き出しにして痛烈な大批判を展開しました。
ドミンゴはインタビューにおいて、現在のバレンシアのピッチ上のパフォーマンスやフロントの経営方針について次のように辛辣な意見を述べました。
『現在のバレンシアは完全に大惨事であり、どこを切り取っても全く手の施しようがありません。先日のニューカッスルとのプレシーズンマッチを見ましたが、選手たちはまるで半分魂が抜けたかのように温いプレーをしていました。ガヤのあの信じられないようなタックルやペナルティの献上は、プロとして説明のつかないずさんなものです。彼はここ2、3年の間、自分がピッチで何をすべきなのかさえ全く分かっていないように見えます。キャプテンだからという理由だけで、自動的にスタメンで起用され続けるべきではありません。控えにはヘスス・バスケスのように懸命にトレーニングに励み、価値を証明している若手がいるのですから』。
さらに、カルロス・コルベラン監督やピーター・リムら上層部の存在価値についても徹底的に糾弾しています。
『コルベランはただクラブにとって扱いやすいだけの便利な監督に過ぎません。彼にはこの伝統あるメガクラブを指揮するだけの本物の器やレベルはありません。スタジアムにいる何万人ものファンが気付いている戦術的な欠陥や問題を、彼と彼の後ろにいる4人のコーチ陣だけが全く読み解くことができない。あるいは、あえて見ようとせず、自分の頑固なアイデアと心中しているだけです。このクラブの上層部たちが居座り続けている唯一の理由は、新しいスタジアム建設のビジネスから得られる莫大な利権があるからに他なりません。彼らにとって、バレンシアはフットボールクラブではなく、毎年主力を売って利益を出すだけのただの冷徹な企業なのです』。 (via Estadio Deportivo)
2019年国王杯覇者フランシス・コクランを襲った仏2部での悲劇的な頭部衝突事故
かつてバレンシアの一員として活躍し、2019年のコパ・デル・レイ制覇の美酒をファンと共に味わった元フランス代表MFフランシス・コクランが、母国フランスの地で非常に心配な大怪我に見舞われました。
今夏から自身がプロとして育った古巣のスタッド・ラヴァルへと復帰したコクランは、リーグ・ドゥ(フランス2部)第2節のナント戦において、自身初の先発メンバーとしてピッチに立ちました。しかし、前半開始わずか12分の場面、空中戦の競り合いの際に相手のユヌサと猛烈なスピードで頭部同士がクラッシュ。
そのあまりに激しい衝撃に、ピッチ上の両チームの選手たちは即座にプレーをストップさせ、信じられないほどのパニック状態で医療スタッフの緊急投入を叫びました。スタジアム全体が不気味なほどの完全な静寂に包まれる中、コクランは意識が不透明な状態でピッチ上で長時間の応急処置を受け、最終的に担架に乗せられてそのまま救急搬送されました。
かつてメスタージャで中盤の防波堤として魂を燃やした戦士を襲ったこの悲劇的なニュースに、バレンシアサポーターの間からも早期の回復と無事を祈る声が数多く寄せられています。 (via SPORT)
【本日の総括】
バレンシアCFは、プレシーズンで4敗を喫するという不透明感の中で新シーズンの開幕へ向かっています。ハビ・ゲラと佐藤龍之介の若い才能たちのケミストリーがチームの希望となる一方、カルロス・コルベラン監督が抱える選手層の薄さは深刻であり、ピッチ外ではアルナウ・マルティネス獲得の資金交渉難航や、アンドレ・アルメイダのセルタ移籍に伴う「開幕戦前の放出禁止」というレッドラインの設定、さらには元所属選手であるコクランの悲劇的な怪我など、ピッチの内外で激しい嵐が吹き荒れています。フェラン・トーレスのPSG移籍による160万ユーロの臨時収入を最大限に活用し、レジェンドのドミンゴから寄せられた厳しい批判の言葉を真摯に受け止めて、チームは一丸となって8月22日のセルタとの過酷な開幕戦へと突き進まなければなりません。
