激動の監督人事とペレス会長の動き

レアル・マドリードは今シーズン、無冠という最悪の結果に終わった。フロレンティーノ・ペレス会長はメディアとの対立姿勢を強める中、エンリケ・リケルメ率いる対抗勢力の動きを封じるために急遽会長選挙の前倒しを発表した。リケルメは『我々は時間を無駄にするつもりはない。今後数日でどうするか決断する。もし一歩を踏み出すなら、それは今後10年、20年の新しいレアル・マドリードにとって意味のある、希望に満ちたものになるだろう』と出馬の意欲と資金保証の存在を口にしている。選挙が実施されれば、新たな監督の公式発表は遅くとも6月8日頃までずれ込む見通しだが、来季の指揮官としてジョゼ・モウリーニョの復帰が事実上確定している。モウリーニョは『オファー次第だ。彼らが私に何を期待しているかによる。金額の問題ではなく、提示された仕事のプロファイルや要求に応えられる状況かどうかが重要だ』と語り、チームへの完全な権力と自治、そしてフロントと選手を繋ぐリエゾン(パイプ役)の配置、さらにベンチに元選手をコーチとして置くことを絶対条件として突きつけている。

現場のスタッフ編成においてもモウリーニョは大きな改革を求めている。近年、エデル・ミリトンの度重なる前十字靭帯断裂の再発など、負傷者が続出している原因としてフィジカルコーチのアントニオ・ピントゥスが疑問視されている。今季途中に退任したシャビ・アロンソは彼を外し、自身のスタッフを起用していたが、ペレス会長はピントゥスに全幅の信頼を寄せ、トップチームの責任者に復帰させた。しかし、全権掌握を狙うモウリーニョはクラブからの人事の押し付けを極端に嫌っており、ベンフィカで右腕として活躍しているアントニオ・ディアスを新たなフィジカルコーチとして連れてくる意向を固めている。これにより、ピントゥスは配置転換か解雇に追い込まれる見込みだ。さらに、GKコーチについてもモウリーニョは自身の信頼するヌーノ・サントスの招聘を希望しているが、現職のルイス・ジョピスはティボー・クルトワやアンドリー・ルニンへの指導でクラブ内から極めて高い評価を受けており、今後の交渉の焦点となっている。

今季のベンチ事情はまさに混乱の極みだった。シーズン序盤を率いたシャビ・アロンソは、首位陥落やチャンピオンズリーグでの苦戦など結果を残せず、さらに選手たちに権力を持たせすぎたペレス会長の介入もあって解任された。1月から後任を託されたアルバロ・アルベロアは、就任会見から選手に媚びるような甘い言葉を並べ、ロッカールームの掌握に失敗した。選手たちからは会長の操り人形や密告者として扱われ、戦術面でも迷走を続けた。コパ・デル・レイでは初陣となったトレド戦で敗退し、チャンピオンズリーグではバイエルン・ミュンヘンに敗れ、リーグ戦でもヘタフェ、オサスナ、マジョルカに敗北を喫した。最終的に27試合の指揮で17勝2分8敗という散々な成績に終わり、今週末のアスレティック・クラブ戦をもって退任する。アルベロア自身は『この4ヶ月間は素晴らしい経験であり、大きな学びだった。このエンブレムを守れたことは誇りであり、修士課程のようなものだった。チャンピオンズリーグでレアル・マドリードを指揮できた監督は多くない。これが終わる日には、成長したという実感とともに、やましいことは何もないという清々しい気持ちで去ることができる』と、どこか的外れな総括を残している。

(via SPORT / ElDesmarque / COPE)

ロッカールームの完全崩壊と権力闘争

現在のレアル・マドリードのロッカールームは、スポーツ心理学の専門家からも制御不能な空間と断じられるほど崩壊している。その引き金となったのが、キリアン・エムバペの加入とバロンドール騒動だった。バロンドールでヴィニシウスが受賞を逃すと知るや否や、クラブはアンチェロッティが最優秀監督賞を受賞する予定だったにもかかわらず、式典のボイコットを強行した。これが選手たちに、自分たちが監督よりも偉く、クラブの決定すら左右できるという過剰な特権意識を植え付けてしまった。

エムバペとヴィニシウスによる主役の座を巡る争いは、監督交代のたびにシーソーゲームの様相を呈した。シャビ・アロンソ体制ではエムバペに絶対的な権限が与えられ、エムバペが29ゴールを量産する一方で、ヴィニシウスはわずか6ゴールと冷遇された。前半戦のクラシコでは、70分に交代を命じられたヴィニシウスが怒りを露わにし、アロンソとの握手を拒否してピッチを去るという事態に発展した。これが結果的にアロンソ解任の決定打となった。後を継いだアルベロアは逆にヴィニシウスの自尊心を回復させることに努め、彼を中心に据えた。その結果、アルベロアの下ではヴィニシウスが16ゴールを記録し今季合計22ゴールに到達した一方、エムバペの得点ペースは鈍り、今季合計41ゴールにとどまった。不満を募らせたエムバペは、レアル・オビエド戦を前にアルベロアから第4のフォワード扱いされたと公然と批判した。これに対しアルベロアは『フォワードは4人もいないし、そんなことは一言も言っていない。彼は聞き間違えたのだろう』と反論し、両者の関係修復は不可能な状況に陥っている。

さらに、フェデ・バルベルデとオーレリアン・チュアメニの間で激しい口論が二日連続で発生し、二日目には殴り合いの喧嘩に発展した。この際、バルベルデがロッカールームのテーブルに頭を打ち付けて頭部外傷を負い、病院へ運ばれ縫合処置を受けるという大事件が起きた。クラブは両者に50万ユーロの罰金を科したが、ペレス会長は『26年間で殴り合いがなかったシーズンなど一度もない』と事態を矮小化しようとした。この流血騒動について、バルセロナのガビは『トレーニングでチームメイトと競い合って少し揉めるのは普通のことだし、ある程度までは良いことだ。でも殴り合いになったのなら、監督は彼をプレーさせるべきではなかった。もし本当に手を出したのが事実なら、彼(チュアメニ)を招集してプレーさせたことは間違いだったと思う。まあ、本当のところは何があったのか知らないけれどね』と苦言を呈している。

一部では、ヴィニシウスがエムバペを批判の的にするために内部情報をメディアにリークしているという疑惑も浮上した。これに対し、ジャーナリストのフアンマ・ロドリゲスは『信じられない。アルベロアがエムバペに第4のフォワードだと言ったなんて、あり得ない。ヴィニシウスにはそんなリークをする必要はない。チュアメニとバルベルデがロッカールームで問題を起こした時、彼がバルデベバスから笑顔で出てきたのはカメラがあったからだ』と擁護しつつも、『ヴィニシウスにもう一度言う。こんなことは割に合わないから、タオルを投げて出て行くべきだ』と退団を勧告する事態となっている。

こうした無秩序な状況を立て直すため、モウリーニョはチームの新たな絶対的リーダー(アルファオス)として、エムバペでもヴィニシウスでもなく、ティボー・クルトワを指名した。モウリーニョはすでにクルトワと直接連絡を取り、クラブの現状と今後のビジョンについて共有している。また、これまでのキャプテンであったバルベルデからはすでに腕章が剥奪されており、チーム内のヒエラルキーは根底から覆されようとしている。

(via SPORT / ElDesmarque / Mundo Deportivo / MARCA)

大改革に伴う10人の放出リスト

無冠のシーズンを受け、レアル・マドリードは今夏、血の入れ替えを断行する。すでに10人の選手が放出リストに名を連ねている。

1. ダニ・カルバハル:契約満了で退団。13年間クラブに尽くし、6度のチャンピオンズリーグ制覇など27のタイトルを獲得したが、寂しい別れとなる。今季はトレント・アレクサンダー=アーノルドやカスティージャのダビド・ヒメネスの後塵を拝し、第3の右サイドバックに降格。バレンシア戦でヒメネスが先発したことに激怒し、一時的にアルベロアからチームを外される屈辱も味わった。スペイン代表のワールドカップ予選のプレリストからも漏れた。モウリーニョの第一次政権時、カルバハルは実力を認められず、わずか500万ユーロでレバークーゼンへ放出された因縁がある。当時彼は『レアル・マドリードでの10年間を経て、たった1分の出場機会も得られなかったのは悲しかった。モウリーニョが私を使わなかったのは、ただ彼がそうしたくなかったからだ。言い訳はない』と怒りを滲ませていた。今回もまた、モウリーニョ復帰の前にクラブを去ることになった。

2. アンドリー・ルニン:ピッチに出れば素晴らしいパフォーマンスを見せているが、クラブはユースリーグを制覇したフベニールAの若き英雄、ハビ・ナバロをトップチームの控えGKに昇格させる方針を固めており、出場機会を求めて売却される。

3. ダビド・アラバ:契約満了に伴い退団が決定。

4. フラン・ガルシア:昨夏にアルバロ・カレラスが加入した影響で、出場機会が激減。新体制では構想外となり放出される。

5. フェルラン・メンディ:度重なる負傷に苦しみ、最近も大手術を受けたばかり。高額な年俸もネックとなっており、契約解除を含めた退団交渉が行われる。

6. ダニ・セバージョス:契約をあと1年残しているが、長年脇役に甘んじており、ついにクラブを去る。

7. エドゥアルド・カマヴィンガ:期待されたパフォーマンスから程遠く、成長が完全に停滞していると判断され、売却資金捻出の対象となった。

8. フェデ・バルベルデ:チュアメニとの流血騒動でキャプテンの座を失った。プロフェッショナルではあるがチームを引っ張るリーダーではないと評価されており、高額な移籍金が見込める今夏に売却される。

9. ゴンサロ:クラブ・ワールドカップでブレイクし、シャビ・アロンソの下では重用されたが、アルベロア体制になってからは出場機会が激減し、構想から外れた。

10. ヴィニシウス・ジュニオール:2027年6月まで契約を残しているものの、契約更新に向けた話し合いが一切行われていない。ペレス会長がエムバペをチームの顔として公言したことに強い不満を抱いており、来夏に契約の残り期間が1年となって足元を見られる前に、巨額の移籍金で売却する計画が進んでいる。

一方で、アントニオ・リュディガーは1年間の契約延長に合意して残留が確定。若手のハイセンもチームに残る見込みだ。

(via Mundo Deportivo / SPORT / MARCA)

モウリーニョが突きつけた補強リクエスト

来季を見据え、モウリーニョはすでに大掛かりな補強プランをフロントに提示している。攻撃陣では、オリンピック・リヨンにレンタル中のエンドリッキと、コモで活躍するニコ・パスの買い戻しオプション(合計わずか900万ユーロ)を確実に行使するよう要求している。エンドリッキは、現在のチームの攻撃陣が左サイドに偏重している問題を解決するため、右ウイングのレギュラーとして起用される予定だ。ニコ・パスはトップ下やインテリオールとして計算されている。一方で、マスタントゥオーノは経験を積ませるためにレンタルで放出される。

守備陣の再建は急務である。右サイドバックには、退団するカルバハルの穴を埋めるべく、マンチェスター・ユナイテッドのディオゴ・ダロト(27歳)を最優先ターゲットに指名した。モウリーニョはユナイテッド時代に彼を指導しており、その能力を高く評価している。アレクサンダー=アーノルドとポジションを争わせ、よりフィジカルで守備的な強度をもたらすことを期待している。市場価値は約3500万ユーロであり、マイケル・キャリック監督の下で大幅な血の入れ替えを計画し、資金を必要としているユナイテッドは売却に応じる可能性が高い。左サイドバックについても、メンディとフラン・ガルシアの退団を見越し、即戦力の獲得を求めている。さらに、アラバとアセンシオが去るセンターバックにも、確実に計算できる選手を2名追加するよう指示している。

中盤の底には、スポルティングに所属するデンマーク代表のモルテン・ヒュルマンド(26歳、1.85m)の獲得を強く要請している。ヒュルマンドはポジションセンスに優れ、的確な散らしで中盤を安定させる選手であり、移籍金は約5000万ユーロと見積もられている。クラブの最大の夢はPSGのヴィティーニャを引き抜くことだが、実現は極めて困難と見られている。また、トニ・クロース引退後のゲームメイカー不足を解消するため、マンチェスター・シティのロドリ(29歳)もリストの最上位に位置している。ペップ・グアルディオラの退任が濃厚となったことで、ロドリ自身もスペインへの帰還を前向きに検討している。

(via SPORT / ElDesmarque / COPE / MARCA)

審判技術委員会の公式見解

先週末に行われたセビージャ対レアル・マドリードの試合で、ヴィニシウスが挙げた決勝ゴールについて、審判技術委員会(CTA)の広報担当であるマルタ・フリアスが公式見解を発表した。このゴールの直前、エムバペがポジション争いの中でセビージャのカルモナの顔面に肘打ちを見舞っていたが、サンチェス・マルティネス主審はこれをファウルと判定せず、VARも介入せずにゴールが認められていた。

CTAは、主審が『腕の動きはスペースを保護するための自然なアクションであり、攻撃側のファウルを宣言するほどの過剰な強さや無謀な腕の使用は見られなかった』と解釈してプレーを流したことについて一定の理解を示しつつも、最終的な結論として『攻撃側の選手による腕の使用が存在し、それが相手選手に命中してディフェンダーに不利益をもたらしたため、このアクションは反則として理解されるべきである』と断言した。つまり、エムバペのファウルを見逃し、ヴィニシウスのゴールを取り消さなかったのは明確なミスであったと公式に認めたのである。この1点がなければセビージャは勝ち点を獲得し、最終節を待たずに残留を確定させるチャンスがあっただけに、大きな波紋を呼んでいる。

一方で、同じ試合でレアル・マドリードが主張した、ペナルティエリア内でのキケ・サラスとヴィニシウスの接触によるPKの要求については、キケ・サラスが先にボールに触れており、意図的で暴力的なアクションもなかったとして、ノーファウルとした判定を正当と支持した。

(via Estadio Deportivo / ElDesmarque)

ユースチームの躍進

トップチームが混乱の極みにある中、アルバロ・ロペス監督が率いるフベニールA(U-19相当のユースチーム)は希望の光となっている。今季、UEFAユースリーグを制覇し、国内リーグのグループVでも26勝2分2敗、99得点16失点という圧倒的な成績で、2位のアトレティコ・マドリードに23ポイントもの大差をつけて優勝を飾った。

そして今日、アルカラ・デ・エナレスのエスタディオ・ムニシパル・エル・バルにて、ユース年代の日本一を決めるコパ・デ・カンペオネスの準決勝でグラナダと対戦する。準々決勝ではアスレティック・クラブと激突し、第1戦をハイメ・バローソとカルロス・ディエスのゴールにより2-0で勝利したものの、第2戦はビルバオで0-1と敗れ、苦しみながらもベスト4へと駒を進めた。昨シーズンは準決勝でバレンシアに敗れているだけに、雪辱に燃えている。この大会で過去最多8回の優勝を誇る彼らは、新たなタイトル追加を目指している。

(via SPORT / MARCA / Mundo Deportivo)

過去の移籍エピソード

かつてレスター・シティの奇跡の優勝に貢献したリヤド・マフレズが、過去にレアル・マドリードへの移籍に近づいていた事実を明かした。現在サウジアラビアのアル・アハリでプレーする彼は、レスター時代に欧州のメガクラブから強い関心を集めていた。マフレズは当時の状況について『レアル・マドリード、バルセロナ、ユナイテッドと話をしたけれど、レスターが私を手放すために非常に高額な金額を要求してきたんだ。退団条項もなかったから、そうしたチームに行くことはできなかった』と振り返り、金銭的な障壁と契約内容が理由でマドリード行きが幻に終わったことを告白した。

(via ElDesmarque)

【本日の総括】

来季のモウリーニョ監督就任が既成事実化する中、エムバペとヴィニシウスの派閥争いや暴力事件などロッカールームの崩壊が浮き彫りに。今夏はキャプテンのカルバハルを含む10人が放出される大粛清が行われ、ダロトやヒュルマンドらを迎えた新たなマドリードが産声を上げようとしています。