クラブ会長選挙の動向とペレス会長の思惑
フロレンティーノ・ペレス会長が、対立候補であるエンリケ・リケルメの動きを牽制する形で会長選挙の実施を呼びかけました。Grupo Coxの創業者兼CEOであるリケルメについて、識者のトニ・ムナルは『選挙が行われるのは素晴らしいことだと思うが、リケルメが30%の支持を得るとしたら驚きだ』と語る一方、ラモン・アルバレス・デ・モンは『エンリケ・リケルメが行っている特定の動きを見ると、選挙が行われるだろうと思わされる』と分析しています。また、同氏はラジオで『フロレンティーノ・ペレスの軌跡は非常に重みがあります。多くの成功を収めた20年間があります。フロレンティーノは永遠ではありませんが、まだ元気です』と現会長の強さを強調しました。対するリケルメは陣営のSDや監督探しを進めており、『まだ準備中だ。意味のあることをするための時間が少なすぎる。無駄な時間を過ごすつもりはないし、2、3日中にどうするか決める』と出馬への最終調整を行っています。
一方のペレス会長は記者会見で『クラブはソシオのものだ』というメッセージを何度も繰り返し、テレビインタビューでも同様の主張を重ねました。コミュニケーションの専門家であるハビエル・ベルナド博士は、ペレス会長がメディアの陰謀論を証拠なしに語ったことや、会見中に携帯電話のメッセージを読むなどの非言語的な態度をコミュニケーション上のミスと指摘しています。テレビ番組に出演したペレス会長は『昨日は違うフロレンティーノを見たね』『疲れているように見えるかな?』と自嘲気味に笑い、親しみやすさをアピールして事態の収拾を図りました。(via SPORT)
モウリーニョ新監督の全権掌握と大改革プラン
無冠のシーズンを終えようとしているチームの立て直しのため、来季からジョゼ・モウリーニョが新監督に就任することが決定的となっています。ポルトガル人指揮官は復帰にあたり、クラブに対してスポーツ面とロッカールームの管理において絶対的な決定権を要求しています。本人は『オファー次第だ。私に何を期待しているかだ。お金の問題ではなく、私に何を求め、私がその条件や仕事のプロフィールを満たせるかどうかが重要だ』と語り、自身の権力を保証することを求めています。
モウリーニョは今夏の移籍市場で最大6人の補強をクラブに求めています。右サイドバックには、攻撃的なトレント・アレクサンダー=アーノルドのバランスを取るために、よりフィジカルで守備的な選手を希望。左サイドバックは高給のフェルラン・メンディが残留する見込みですが、フラン・ガルシアは放出対象となり、新たな補強かアルバロ・カレラスの起用が検討されています。センターバックはダビド・アラバの退団が迫っており、アセンシオも売却濃厚のため、フイセンとリュディガーに加えて2人の補強を要求しています。中盤はダニ・セバージョスが退団し、エドゥアルド・カマヴィンガにも放出の可能性が浮上。理想のターゲットはPSGのヴィティーニャですが獲得は極めて困難と見られています。(via MARCA)
アルベロア暫定監督の退任と泥沼の内紛劇
シーズン途中に解任されたシャビ・アロンソ(チェルシー新監督就任が決定)の後を継いで暫定監督を務めたアルバロ・アルベロアですが、今週末のアスレティック戦を最後に退任します。27試合を指揮し、17勝2分8敗。コパ・デル・レイではトレドに敗れ、チャンピオンズリーグではバイエルン・ミュンヘンに敗退。ヘタフェやマジョルカなどにも取りこぼし、成績不振に終わりました。
ロッカールームの管理も崩壊しており、キリアン・ムバッペから「自分は第4FWだと言われた」と批判されると、アルベロアは『良心はとてもはっきりしている』と反論。さらにフェデ・バルベルデとオーレリアン・チュアメニが練習中に殴り合いの喧嘩を起こし、バルベルデが頭部を縫う怪我で病院送りになる事件も発生しました。クラブは両者に50万ユーロの罰金を科しましたが、アルベロアは『選手たちとこの健全なロッカールームを誇りに思う。彼らを火あぶりにはしない。多くの嘘が言われている』と選手を擁護しました。
バルセロナのガビはこの騒動について『もし本当に手を出したのなら、(チュアメニを)招集してプレーさせた監督は間違っていると思う。でも何が起こったのか真相は分からない』と苦言を呈しています。内紛を抑えきれなかったアルベロアですが、自身の任期については『この4ヶ月間は素晴らしい経験であり、大きな学びだった。このエンブレムを守れたことは誇りであり、修士課程のようだった。CLでレアル・マドリードを指揮したと言える監督は多くない。これが終わる日、成長したことに加えて、私は晴れやかな良心を持って去ることになる』と総括しています。(via SPORT)
カルバハル退団とエンドリッキの帰還
クラブの功労者であり、27のタイトルと450試合出場を誇るダニ・カルバハルが13年間のマドリード生活にピリオドを打ちます。今季は不遇のシーズンを過ごし、右サイドバックの序列でアレクサンダー=アーノルドやカスティージャのダビド・ヒメネスの後塵を拝し、スペイン代表のW杯メンバーからも落選しました。皮肉にも、かつて彼をレバークーゼンへ放出したモウリーニョが新監督に就任するタイミングでの退団となります。
一方で、オリンピック・リヨンへのレンタル移籍で21試合8ゴール8アシストと結果を残したブラジル代表のエンドリッキが復帰します。左サイドを好むアタッカーが多いチームにおいて、彼は右ウイングとしてモウリーニョの構想に入っています。エンドリッキはリヨンファンに向けて『ブラジルでは困難な時期にある時、1日に1匹のライオンを殺さなければならないと言われる。数ヶ月間、アスリートが経験したくないようなことを経験したが、私は1匹もライオンを殺さないと決めた。私自身がライオンになることを決めたのだ。ここで活力を取り戻し、仲間や温かく迎えてくれた人々を守るためにライオンのように攻撃する本能を取り戻した。苦悩の月日は、喜びと勝利、学びの月日に変わった。しかし、ライオンはどれほど強くても1つの場所に留まることはできない。戻る旅は長いが、来た時よりも多くのものを背負って帰る。この街は一生私の心と記憶に残る』と熱いメッセージを残しました。また、コモで活躍したニコ・パスも約900万ユーロの買い戻しオプションを行使して復帰する予定です。(via MARCA)
ロドリ獲得の可能性とラファ・マリンの買い戻し
トニ・クロースの引退以降、クラブが長年夢見てきたマンチェスター・シティのロドリ・エルナンデス獲得の可能性が高まっています。シティのペップ・グアルディオラ監督が今季限りで退任する濃厚な状況となり、ロドリ自身もスペイン復帰に前向きな姿勢を見せています。190cmを超える体格と抜群の戦術眼を誇る彼は、守備の安定とビルドアップの改善に最適な人材と評価されており、資金面など条件が整えば獲得に動く構えです。
また、現在ナポリからビジャレアルにレンタル移籍している24歳のセンターバック、ラファ・マリンの動向も注視しています。今季ビジャレアルで30試合に出場し好パフォーマンスを見せている彼に対し、クラブは今夏2500万ユーロ、来夏3500万ユーロの買い戻しオプションと優先交渉権を保持しています。ビジャレアルが1200万ユーロの買い取りオプションを行使すれば権利を失いますが、ナポリに戻った場合はクラブが買い戻しに動く可能性があります。(via ElDesmarque)
バルベルデの次期キャプテン就任とリーダーシップへの懸念
在籍年数の最長者がキャプテンを務めるというクラブの伝統に従い、2016年加入のフェデ・バルベルデが新キャプテンに就任する予定です。しかし、28歳を前にして腕章を巻く彼に対しては、リーダーシップを疑問視する声も上がっています。過去にはビジャレアルのアレックス・バエナとの暴行騒動があり、直近ではチュアメニとの殴り合いの喧嘩で頭部を負傷。クラブはその傷を隠すために彼をクラシコやオビエド戦、セビージャ戦で欠場させたとも報じられています。ピッチ内での献身的なサポート役としては評価が高いものの、セルヒオ・ラモスやマルセロ、ベンゼマ、ナチョ、モドリッチ、カルバハルら歴代キャプテンと比較し、カリスマ性に欠けるとの指摘が絶えません。(via SPORT)
リュディガーが語る壮絶な過去とW杯への想い
アントニオ・リュディガーが自身の財団とUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の協力のもと、SNSで自身のルーツについて赤裸々に語りました。『両親はシエラレオネの戦争から難民として逃れた。私はドイツで生まれ、ベルリンのノイケルン地区で育った。当時のベルリンのストリートは私を形成し、身の守り方を教え、今の私にしてくれた。家には多くはなかったが、愛情と強いコミュニティに囲まれていた。子どもの頃の夢は特定のチームでプレーすることではなく、レアル・マドリードのユニフォームを着ることになるとは想像もしていなかった。目標は常に家族を助け、彼らのために成功することだった。今年の夏、ドイツ代表としてW杯に出場する。私にとってこれは一周して戻ってきたようなものであり、誇りに思う』と、感謝と大舞台への決意を表明しました。(via Mundo Deportivo)
本拠地サンティアゴ・ベルナベウがGoogle Mapsでハッキング被害
ピッチ外でも問題が絶えません。本拠地サンティアゴ・ベルナベウのGoogle Maps上の名称がハッキングされ、悪意のある名前に改ざんされる被害が発生しました。地図上には「チュアメニのノックアウト」「独裁者ムバッペ」「コーンのアルベロア」といった内紛や不振を揶揄する名称や、ライバルを想起させる「バルセロナの練習場」といった名前が表示される事態となりました。スタジアムは改装後も近隣住民からの騒音苦情によって高収益が見込まれていたコンサートが中止になるなど、トラブルが相次いでいます。(via Esport3)
セビージャ戦の判定に対する審判委員会の見解と暴言被害
1-0で勝利したセビージャ戦の判定について、CTA(審判技術委員会)が見解を発表しました。ヴィニシウスの決勝ゴールの直前、ムバッペの腕がホセ・アンヘル・カルモナの顔面に入ったシーンについて、CTAは『攻撃側による腕の使用が存在し、競り合いで相手に不利益を生じさせているため、違反と解釈しうる。ゴールの前に攻撃側のファウルとして罰せられる根拠がある』とファウルの可能性を認めました。一方で、VARが介入しなかったことについては『接触の強度と性質に関する解釈の問題であり、明白なエラーではないためVARが介入しなかったのは正しい』と主審の判定を支持しました。また、キケ・サラスのクリアがヴィニシウスに当たって倒れたシーンでのPK要求についても、『クリアされたボールが遠くへ行ったため、無謀なプレーとは言えず、解釈の余地がある。VARが介入しなかったのは正しい』と結論付けています。
この試合では、セビージャのウルトラスからレアル・マドリードやフロレンティーノ・ペレス会長への集団的な暴言があり、LaLigaが公式に告発しました。試合中には空のペットボトルが投げ込まれる事態も発生し、フイセンがこれを拾って片付ける一幕もありました。
なお、ペレス会長が「今季は審判の判定で16から18ポイント奪われた」「7つのリーグタイトルを盗まれた」と発言したことに対し、バルセロナのGKジョアン・ガルシアは『リーグ戦を見た人なら誰もがそれが真実ではないと知っている。私たちはクラシコの後に貰ったカップに満足している』と反論。同じくガビも『マドリードから常に我々の勝ち取ったものやタイトルを軽視したり価値を下げようとしたりすることは誰もが知っている。気にしなくていい』と一蹴しています。(via Estadio Deportivo)
フベニールAが史上初の4冠へ王手
アルバロ・ロペス監督が率いるフベニールA(U-19)が、下部組織の歴史を塗り替えようとしています。すでにリーグ戦とコパ・デル・レイを制し、UEFAユースリーグでもクラブ史上2度目の優勝を果たして欧州制覇を成し遂げました。そして現在、コパ・デ・カンペオネスのファイナルフォーに進出しており、準決勝でグラナダと激突します。これに勝利してタイトルを獲得すれば、アルベロア監督時代にも成し遂げられなかった国内と欧州を完全制覇する史上初の「4冠(ポーカー)」達成となります。34歳の青年監督の指揮のもと、若き才能たちが黄金期を築いています。(via MARCA)
【本日の総括】
トップチームは無冠に終わり、選手間の乱闘や監督と選手の対立などロッカールームの崩壊が露呈しました。アルベロア暫定監督が去り、次期監督のモウリーニョに全権を託した大改革が始まろうとしています。一方でペレス会長の求心力にも陰りが見え、会長選挙に向けた動きが活発化。ピッチ外でもスタジアムのハッキング被害など混乱が続く中、下部組織のフベニールAの快進撃だけがクラブの明るい希望となっています。








デスクコメント
戦術デスク
配置と起用法から読む
モウリーニョ招聘による全権掌握は、戦術的な規律とロッカールームの統制を同時に取り戻すための劇薬です。特に右サイドバックの補強要求や、守備的バランスを重視する姿勢は、昨季の崩壊した距離感と守備の脆さを修正する意図が明白です。バルベルデのキャプテン就任も、ピッチ上の献身性をリーダーシップへ昇華させたい狙いがあるのでしょう。しかし、個々のタレントをどう配置し、いかに規律あるユニットとして再構築するか。戦術的な噛み合わせ以上に、選手間の信頼関係という土台をどう修復するかが、新体制の成否を分ける鍵となります。
クラブ動向デスク
フロントとクラブの空気を追う
ペレス会長の求心力が揺らぐ中、クラブは今、大きな転換期を迎えています。会長が強調する「ソシオのもの」という言葉と、メディア対応で見せた疲弊感のギャップは、長年続いた一強体制の限界を示唆しているようにも映ります。ロッカールームの泥沼化した内紛や、スタジアムを巡るトラブルは、クラブのブランド価値を損なう深刻な事態です。モウリーニョという強烈な個性を招き入れることは、現状の閉塞感を打破する一手ですが、同時にクラブの伝統的な品格とどう折り合いをつけるのか。フロントの舵取りがかつてないほど問われています。
移籍・契約デスク
契約・補強・登録を整理する
今夏の編成は、モウリーニョの要求に応えるための大規模な整理が不可欠です。特に高給のメンディや放出濃厚な選手たちの動向は、サラリーキャップの観点からも重要です。ロドリ獲得の可能性は、クロース引退後のビルドアップの質を担保する上で理想的ですが、シティとの交渉は難航が予想されます。また、ラファ・マリンの買い戻しオプション活用やエンドリッキの復帰など、若手と即戦力のバランスをどう取るかが編成の肝です。功労者カルバハルの退団は一つの時代の終わりを告げており、年齢構成を若返らせつつ、いかに競争力を維持するかがフロントの腕の見せ所です。