ベルナベウでの最終戦

ラ・リーガ第38節、サンティアゴ・ベルナベウでのレアル・マドリード戦は4-2で敗戦となった。今シーズンはチャンピオンズリーグやコパ・デル・レイの準決勝進出といった明るい話題はあったものの、リーグ戦に関しては呪われたようなシーズンとなってしまった。

最終順位は12位、勝ち点は45。降格圏まではわずか3ポイントという薄氷の差だった。さらに衝撃的なのは、今シーズンの敗戦数が「19」に達したことである。これは38試合の半分を落としたことになり、アスレティック・ビルバオの長い歴史においてワースト記録となる。また、昨シーズンはナポリと並んで欧州5大リーグで最高の守備を誇っていたにもかかわらず、今シーズンは58失点、得失点差マイナス15と守備が崩壊した。引き分けが極端に少なく、勝つか負けるかという極端な結果が多かったことが、かろうじて降格を免れた要因となった。FCバルセロナ、レアル・マドリードと共に一度も2部に降格したことがないというクラブの誇りは守られたが、非常に厳しいシーズンであったことは間違いない。

試合はレアル・マドリードに主導権を握られる展開となった。前半13分に先制を許し、18分にはジュード・ベリンガムの強烈なタックルを受けたジェライ・アルバレスが足首を捻挫。給水タイムにテーピングを巻いてプレーを続けたが、ハーフタイムでアンドニ・ゴロサベルとの交代を余儀なくされた。41分にベリンガムに追加点を奪われた直後、前半アディショナルタイムにイニャキ・ウィリアムスのクロスからゴルカ・グルセタのボレーで1点を返したが、後半立ち上がりにキリアン・ムバッペにゴールを許し、さらに終盤にはブラヒム・ディアスにも決められ突き放された。後半アディショナルタイムにウルコ・イセタが意地のヘディングシュートを決めたものの、及ばなかった。(via ElDesmarque)

バルベルデ監督の退任

3度にわたってアスレティック・ビルバオを指揮し、計10シーズンを務め上げたエルネスト・バルベルデ監督が、このレアル・マドリード戦をもって退任した。公式戦通算504試合の指揮はクラブ歴代最多記録であり、40年ぶりのコパ・デル・レイ優勝に導いたことでビルバオ市長から「名誉市民」にも選ばれた名将が、ついにクラブを去る。

バルベルデは試合前、『まだ実感が湧かない。いつも通りトレーニングをして試合に集中している。でも、これだけの年月を経て、もうここで続けることはないのだと考える瞬間はある。落ち着いて受け止めているよ』と心境を語っていた。

試合後、バルベルデは次のように振り返った。『504試合というのは非常に意味のある数字だ。人々の愛情を感じられて満足しているし、少し圧倒されている。今日は皆で別れを惜しんだ。キャプテンたちも私も話をして、感傷的になってしまった。これが最後であり、しかも特別なスタジアムでのことだったからね』

今シーズンについては、『チャンピオンズリーグやコパ・デル・レイの準決勝を除けば、期待通りのシーズンではなかった。いくつかの困難を乗り越えられなかったのは我々のマイナス面だ。リーグ戦は我々にとっても他の多くのチームにとっても良いものではなかった。それが現実だ』と厳しく総括した。

試合内容についても、『暑さのせいでリズムが出なかった。相手に早く先制されたが、ハーフタイムには2-1で食い下がる可能性も見えていた。しかし彼らには高いクオリティがあり、ムバッペはどんな状況でもゴールを決めてしまう。追いつくチャンスが見えていた分、少し腹が立っているが、マドリーは容赦してくれない。激しい戦いの中で、ボールを奪って前に出たいという気持ちが強すぎた』と無念さを滲ませた。

辞任の理由については、『時間が経てばより客観的に見られるだろうが、監督の日常というものは確実に消耗していくものだ。本当に多くの試合があった。終わることにとても感動している。今が離れるべき時であり、これからはアスレティックの一人のファンになる時だと思っている』と語った。

なお、後任には元ボルシア・ドルトムント監督のエディン・テルジッチが2年契約で就任することが決まっている。ユップ・ハインケスに次ぐクラブ史上2人目のドイツ人監督であり、20人目の外国人監督となる。彼に対するアドバイスを求められたバルベルデは、『私のアドバイスなんて聞かない方がいい(笑)。それぞれが自分で経験するのが一番だ。でも、このクラブは本当に特別なんだ。そのことは彼が到着すればすぐに気づくはずだよ』とエールを送った。(via ElDesmarque)

イニゴ・レクエの引退

アスレティック・ビルバオ一筋11年、トップチームで公式戦282試合に出場したイニゴ・レクエが、33歳で現役を引退した。ダノク・バトの育成組織出身で、イニャキ・ウィリアムスに次ぐ第2キャプテンも務めた彼は、スーペルコパを2度、コパ・デル・レイを1度制覇し、3つのタイトルを獲得した。

前節のセルタ戦では出番がなかったものの、最終戦のレアル・マドリード戦で後半60分からウナイ・ゴメスに代わってピッチに立ち、素晴らしいスラロームも見せるなど、プロとして最後のプレーを披露した。バルベルデ監督は当初、レクエをスタメンで起用するつもりだったが、『キリアン・ムバッペがそのエリアでプレーすると考えたため、ダニ・ビビアンを右サイドバックに入れた』と戦術的な理由であったことを明かしている。

試合後、レクエは感慨深く語った。『11年を振り返ってみると、その感覚は間違いなく素晴らしいものだ。経験したすべてのことが心に残っていて、他のすべてを上回るようなたった一つの瞬間を選ぶことはできない。たくさんの試合、練習、遠征、そして日々の生活のすべてが思い出だ。今年は引退するのに最高の年ではなかったかもしれないが、振り返るとものすごい誇りを感じる』

さらに、『一番寂しいのはもちろんロッカールームだ。皆とお別れすることだよ。今週の最後の数日間、最後の食事や朝食の時間が一番辛かった。なぜなら私の人生はほぼロッカールームのためにあったようなものだからだ。今週は、これまで出会った人々やファン、知人からたくさんの愛情あふれるサポートのメッセージをもらった。この道のりで出会った人々との絆が、一番心に残っている』と周囲への感謝を口にした。

『私の世代では、アスレティックの選手としてすべてを経験することができた。私の友人や家族が見たアスレティックのタイトルは3つだけで、私はそれを内側から見て経験する幸運に恵まれた。本当に満足しているし、幸せで誇りに思う。たくさんの感情や思いがあるが、そのすべてがポジティブなものだ』

『言葉では言い表せないほど多くの感情がある。時間が経てばそれを整理できると思うが、本当に美しい時間だった。ピッチで終えられたこと、友人たちが見に来てくれたこと、家族やチームメイト全員を近くに感じられたことは、絶対に忘れない』と清々しい表情でサッカー界に別れを告げた。(via MARCA)

グルセタの怒りと自己評価

今シーズン、リーグ戦でチームトップの10ゴール、公式戦合計で17ゴールを記録したゴルカ・グルセタ。レアル・マドリード戦でも前半アディショナルタイムにイニャキ・ウィリアムスのクロスを見事なボレーで叩き込み、一矢報いるゴールを決めた。しかし、試合後の彼の口から出たのは喜びではなく、チームの現状に対する強い怒りだった。

『個人の話をすることは好きではない。我々には再びヨーロッパに入るチャンスがあったのに、ファンや選手、全員が期待したようなシーズンにはならず、まだ少し怒っているんだ。本当に悔しい気持ちで去ることになる。全員にとって厳しい1年だったし、試合に負け続けて悪い感覚を払拭できなかったことに腹が立っている。全く満足していない』と吐露した。

自身のゴールについても『ゴールはプラスになるしもちろん嬉しいけど、慰めにはならない。それよりも試合に勝つことの方がずっと好きだが、今年はそれが達成できなかった』と厳しく自己評価した。

一方で、退任する指揮官への感謝は忘れなかった。『エルネスト(バルベルデ)には感謝したい。彼のおかげで我々は皆成長できた。ここ数年彼と共に成し遂げたことは素晴らしい。でもサッカーは日々の結果で生きているもので、たとえガバラ船を出すような歴史的なことをしたとしても、過去のことはすぐに忘れられてしまうんだ』

また、引退するレクエについては『彼はロッカールームにとても大きな影響を残していく。彼は重要な存在で、個人的にはもう1年続けるべきだったと思うが、サッカーは続くし、それはクラブの決定だ。僕は涙もろいので、ロッカールームでの彼の別れはとても感動的だったが、それは自分の中に留めておくよ』と思いを語った。(via ElDesmarque)

イニャキ・ウィリアムスの大記録

キャプテンのイニャキ・ウィリアムスが、レアル・マドリード戦に出場したことでアスレティック・ビルバオでの公式戦通算出場数を510試合に乗せた。これにより、クラブのレジェンドであり、現在ボーンマスの監督を務めるアンドニ・イラオラの記録に並んだ。

この試合でもイニャキは豊富な運動量とアイデアを見せ、前半アディショナルタイムにグルセタのゴールを見事にアシスト。さらに後半アディショナルタイムにもウルコ・イセタのゴールをお膳立てし、2アシストの活躍でチームを牽引した。パスの精度に課題を残す場面もあったが、チームの象徴として最後まで奮闘した。(via ElDesmarque)

最終戦の起用とスタッツ

最終戦のゴールマウスは、正GKのウナイ・シモンではなくアレックス・パディージャが守った。バルベルデ監督は、コパ・デル・レイで活躍したパディージャへの「ご褒美」としてこの大舞台でのスタメン出場をプレゼントした。パディージャは先制点などどうしようもない失点もあったが、クロス対応などで集中力を見せ、後半には好セーブも披露した。

また、欠場者も多く、ウナイ・シモンのほか、ユーリ・ベルチチェ(出場停止)、ニコ・ウィリアムスとアレックス・ベレンゲル(共に筋肉系の負傷)、オイアン・サンセト(負傷)、ウナイ・エギルス(1年足らずで2度目となる右膝十字靭帯断裂)がメンバーから外れた。

その中で、左サイドバックにはアダマ・ボイロが起用され、意欲的なプレーを見せた。また、最近出番を得ている若手ストライカーのウルコ・イセタが後半途中から出場し、終了間際にイニャキ・ウィリアムスのクロスを頭で合わせて見事なゴールを記録した。(via ElDesmarque)

新ユニフォームを巡る政治的論争

アスレティック・ビルバオは、来シーズン(2026/27)着用するCastore製の新しいユニフォームをレアル・マドリード戦で初披露した。しかし、このユニフォームのデザインが大きな政治的論争を巻き起こしている。

首の後ろの部分に、バスクの7つの県を描いたエウスカル・エリア(バスク国)の地図とイクリニャ(バスク旗)がデザインされているのだが、この地図にナバラ州や、カンタブリア、ブルゴスの一部が含まれているとして、UPN(ナバラ住民連合)、PP(国民党)、Voxなどの右派政党が猛反発したのだ。

UPNのクリスティーナ・イバロラから3通の抗議文が届き、法的手続きに訴えるとの警告もあったほか、各政党はクラブへのデザイン撤回と、政府やスポーツ機関への対応を要求した。しかし、アスレティックはこうした圧力に屈することなく、予定通りベルナベウのピッチでこのユニフォームを着用した。

FCバルセロナに所属する元アスレティックのイニゴ・マルティネスも遠くから支持を表明し、自身のSNSでこの新ユニフォームと「zazpiak bat(7つで1つ)」のモットーへの誇りを綴った。法的な問題に発展する可能性は低いと見られているが、メディアやSNSでの大論争が宣伝効果となり、実店舗やオンラインストアでのユニフォームの売り上げは急増しているという。(via ElDesmarque)

カルバハルへの花道

レアル・マドリードのダニ・カルバハルが後半84分に交代でピッチを退く際、両チームの選手が花道を作ってレジェンドを見送った。バルベルデ監督は『ダニ・カルバハルへの花道は両チーム間で事前に話し合っていたわけではない。ライバル関係があっても、選手間には常にリスペクトがある。蹴り合いになることはあっても、リスペクトは常にそこに存在しているんだ』と、自然発生的な敬意の表れであったと称賛した。

しかし、この感動的なシーンの中で、アスレティックのロベルト・ナバロだけが花道に参加せず、脇に避けていたことが確認されている。この行動に対しては、相手チームへの敬意を欠いているとして批判の声が上がっている。(via SPORT)

移籍と去就の噂

移籍市場に向けた動きも報じられている。アスレティックが過去数回の移籍市場でリストアップし続けてきたジローナのMFイバン・マルティンについて、ジローナが最終節で痛恨の引き分けに終わり2部降格が決定したことで、獲得の「夢のチャンス」が到来する可能性がある。

また、レアル・マドリード戦の後半60分から途中出場した若手のアレックス・レゴについては、自身の将来の扉を閉ざすことなく、去就の判断をクラブに委ねる意向を示している。(via ElDesmarque)

ラ・リーガ歴代勝ち点ランキング

バレンシアが最終戦で勝利を収めたことで、ラ・リーガの歴代勝ち点ランキングにおいてアスレティック・ビルバオに追いついた。両クラブは現在3,850ポイントで並んでいる。ただし、バレンシアはアスレティックよりも4シーズン少なく、試合数にして98試合少ない状態でこのポイントに到達しており、アスレティックにとっては歴史的な順位争いで猛追を受ける形となっている。(via SPORT)

【本日の総括】

バルベルデ監督とレクエの感動的な別れとなったベルナベウでの最終戦は敗北に終わり、クラブワースト19敗という記録とともに12位でシーズンを終えました。グルセタが語ったようにチーム内には怒りや不満が渦巻いていますが、テルジッチ新監督のもとでの再建に期待がかかります。新ユニフォームの論争や移籍の噂など、ピッチ外でも話題の絶えない一日となりました。