オトルビの2031年新契約:新SDブラウリオが即決した6000万ユーロの巨額プロテクトとナサレの神童の軌跡
バレンシアCFは、アカデミー最高峰の宝である生え抜きサイドアタッカー、ダビド・オトルビ(19)との契約を2031年まで延長したことを正式発表した。契約書へのサインは火曜日に行われ、クラブは10月30日に公式発表へと至った。
今回の電撃的な契約更新を主導したのは、今期より新スポーツディレクター(SD)に就任したブラウリオ・バスケス氏だ。本来、オトルビの契約には「トップチーム公式戦10試合出場」を達成した時点で自動更新が発動する条項が含まれていた。しかし、ブラウリオSDは規定の試合数到達を待つことなく自ら能動的に権利を行使。年俸条件を大幅に改善すると同時に、契約解除金(違約金)を従来の3000万ユーロから一気に2倍となる6000万ユーロ(約98億円)へと引き上げた。
この背景には、先のラシン・サンタンデール戦に英プレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドをはじめとする複数クラブのスカウトが極秘裏に視察に訪れるなど、海外強豪からの引き抜き工作が急速に過熱していた事情がある。クラブは今回の超・長期契約と6000万ユーロの巨額プロテクトにより、英クラブからの猛攻を完全にシャットアウトした形だ。また、直近のメスタージャでのリーグ戦で右大腿二頭筋(ハムストリング)の筋断裂を負い、約2ヶ月間の戦線離脱を余儀なくされている神童に対し、クラブとして全幅の信頼と温かいサポートを示す狙いも込められている。
2007年生まれのオトルビは、ナイジェリア出身の両親(マンデー氏とパティエンス氏)のもと、バレンシアの下町ナサレ地区で育ち、12歳だった2019年にバレンシアのアカデミー(パテルナ)に入団した。元々は中央盤のミッドフィルダーだったが、爆発的なスピードと力強さを買われてウインガーへとコンバートされた。
クラブ史上最年少での公式戦デビュー記録(コパ・デル・レイ対カルタヘナ戦:16歳2ヶ月19日)および最年少ラ・リーガデビュー記録(対バルセロナ戦:16歳306日)を保持する逸材だが、その歩みは決して平坦ではなかった。街のクラブ「マルバ・ロサ」時代に最初の恩師であったナチョ・ガジャルト氏は当時を振り返り、『最初の年はあまりにも個人主義的なプレーが目立ったため、彼をチームに入れないという、いわばお仕置きをした。しかし彼自身が「この素晴らしいチームで戦いたい。もっと味方と連携してチームのためにプレーしなければならない」と気づき、改心した』と明かしている。その後、ガジャルト氏の指導のもとで連勝街道を突き進んだオトルビは、やがてバレンシアのスカウトの目に留まり、ガジャルト氏自らが代理人となってメスタージャへの扉を開いた。
バレンシアはピッチ外でも彼を親身に支えてきた。パテルナ練習場に隣接する私立学校と提携し、毎日の送迎車を手配。寮生活では同世代のレスリー・オカイらと深い友情を育み、その凄まじいスピードとフィジカルから仲間内で「パンテラ(黒ヒョウ)」の異名で愛された。
本人はかつて『守備をするのは全く好きではない』と本音を漏らしていたが、『指導陣と一緒に自分の試合映像を繰り返し見直し、守備でのポジショニングや役割を改善してきた』と語るなど、プロとしての課題と誠実に向き合ってきた。現在はESO(中等教育)と英国式職業教育(BTEC)を修了し、すでに指導者ライセンス(レベル1)の取得に向けて勉強に励むなど、知的で計画的な一面も見せている。
2019年の加入、2023年10月(16歳到達時)の初プロ契約、2026年4月の延長(違約金3000万ユーロ)を経て、今回で4度目の契約締結となった。怪我からの完全復活後、進化を遂げた「ナサレのパンテラ」がメスタージャのピッチを切り裂く日が待たれる。(via MARCA)
