フィオレンティーナとの親善試合は2-2のドロー、若手の活躍と新戦力デビュー
オーストリアのクラーゲンフルトにあるヴェルターゼー・シュターディオンにて、3万人の観客を集めて行われたフィオレンティーナとの親善試合は2-2の引き分けに終わりました。試合前には、66歳で亡くなったイタリアの元サッカー選手、フランコ・バレージ氏へ向けた1分間の黙祷が捧げられています。
ホセ・モウリーニョ監督の復帰後、初めて観客を入れて行われたこの試合。マドリーはW杯参加組の多くが休暇中や負傷中で、トップチームの選手は9人しかおらず、スタメンには8人が名を連ねました。モウリーニョ監督は4-2-3-1のフォーメーションを採用し、GKにルニン、左サイドバックにアルバロ・カレーラス、そしてセンターバックには負傷のラウル・アセンシオやエデル・ミリトン、ディーン・ハイセンに代わって、カンテラから18歳のジョアン・マルティネスと19歳のマリオ・リバスを抜擢しました。中盤の底にはエドゥアルド・カマヴィンガとフェデ・バルベルデが入り、その前にアルダ・ギュレルがトップ下として配置されました。
右サイドでは、デンゼル・ダンフリースとトレント・アレクサンダー=アーノルドの共存という実験的な起用が見られました。新加入のダンフリースは右ウイングとしてプレーし、その後方にトレントが配置されました。ダンフリースは試合後、『私の自然なポジションではありませんでしたが、良い親善試合でした。私は様々なポジションでプレーできますし、慣れています。普段は右サイドでプレーしますけどね。監督からはハードワークと自分の価値を証明することを求められました』と語っています。トレントも右サイドバックとして好調なプレーを見せ、新シーズンのポジション争いが平和的にスタートしました。
試合は序盤からマドリーが支配し、前半12分にアルバロ・カレーラスからの左サイドからのパスを受けたエンドリッキが、反転して左足で鋭いグラウンダーのシュートを放ち、GKダビド・デ・ヘアから先制点を奪いました。エンドリッキはエンブレムにキスをするパフォーマンスを見せ、新加入のカルロス・エスピに対する強烈なアピールを行いました。
さらに前半24分には、カマヴィンガの個人技からのパスを受けた16歳のアレクシス・シリアが落ち着いて右足でゴールを決め、2-0とリードを広げました。シリアはセビージャのカンテラから1月に加入して以来、フベニールA、レアル・マドリードC、カスティージャ、そしてトップチームと驚異的なスピードでゴールを記録し続けています。試合後、シリアは『最初は少し緊張していましたが、ピッチに出たら自分の好きなことをやっているのだから緊張は解けました。ボールが来たときは周りが見えなくなりましたが、ゴールに入ったのを見たときはホッとしました。カレーラスやバルベルデの隣でプレーするのはとても簡単でした』と喜びを語りました。モウリーニョ監督からは『自分らしくあれ、自信を持て、プレッシャーを感じずに楽しんでプレーしろ』と声をかけられたこと、そして試合前に父親から幼い頃の写真とともに『この写真のため、そして誰よりもお前を愛している家族のために頑張れ』というメッセージをもらっていたことも明かしています。
しかし、前半終了間際の41分、マドリーのカンテラ出身であるアレックス・ヒメネスのパスに抜け出したロベルト・ピッコリにニアサイドを抜かれるシュートを決められ、2-1で折り返します。後半に入るとフィオレンティーナが攻勢を強め、58分にはモイーズ・キーンがファジョーリのクロスを頭で合わせて2-2の同点に追いつきました。
この試合では、新加入のカルロス・エスピが75分からエンドリッキに代わってデビューを果たしました。試合の最終盤にはトレントの完璧なクロスからエスピが頭で合わせる決定機がありましたが、惜しくも枠を越えました。エスピは試合後、『世界で一番幸せな男だと感じています。説明のつかない3日間でした。マドリーに来てまだ72時間も経っていません。チームメイトと練習し、デビューできたのでとても幸せです。最初はショックで信じられませんでしたが、本当でした。モウリーニョ監督からは、試合が難しくなっていたので、自分らしくあり、エリア内にいて全力を尽くすように言われました。チームメイトを助け、最大限の力を出し、監督がくれる全てのチャンスを活かすためにここにいます』と語りました。また、手に巻いているテーピングについては『ベンゼマの影響ではなく、3年前から巻いていて調子が良いので、験担ぎです』と明かしています。
モウリーニョ監督は試合後、『チームのすべてが気に入りました。ロッカールームで携帯を見ると「2つの顔を持つマドリー」という見出しがありましたが、私にはフレッシュな顔、疲れた顔、そして超疲れた顔の3つの顔が見えました。フレッシュな状態では非常に良いプレーをしました。前半の2-1という結果は短すぎます。3-0や4-0で終えていてもおかしくない質の高い前半でした。後半は典型的なイタリアのフィジカルの強いチームに対してプレッシャーを受けました。ジョアンとマリオという18歳と19歳の子供たちがエリア内で素晴らしい試合をしましたが、まだキーンのような怪物と戦うフィジカルはありません。しかし、それも成長の一部です。超疲れた顔も見事でした。チームとして機能し、ゲームをコントロールしました。ダンフリースとエンドリッキは3日しか練習していないのに70分以上プレーしてくれました。限界まで挑戦してくれたことは私にとって大きな意味があります』と選手たちを称えました。
また、自身の復帰については『まだ何も感じていません。良い試合はこれからですから(笑)』とジョークを交えつつ、『月曜日にはヴィニシウス、ブラヒム、ベルナルド・シウバが合流します。W杯の準決勝や決勝を戦った選手たちが戻ってくるまで、今いる選手たちで準備を進めます』と今後の見通しを語りました。
なお、エンドリッキの先制ゴールの際、スタジアムに集まったマドリーファンから、永遠のライバルであるバルセロナを侮辱する『プー〇・バルサ!』というチャントが一斉に沸き起こる一幕もありました。また、この試合の招集メンバーには、アトレティコ・マドリードのカンテラから引き抜いたばかりの19歳の大型右センターバック、アイマル・ガルシア(身長192cm)が名を連ねており、ヘスス・フォルテアやセルヒオ・メストレに続くアトレティコからの引き抜きとして注目を集めています。 (via SPORT, MARCA, Estadio Deportivo, Mundo Deportivo, ElDesmarque)
ヴィニシウスの契約延長交渉が難航、アーセナルと基本合意の衝撃報道
ヴィニシウス・ジュニオールの契約延長交渉が暗礁に乗り上げており、夏の移籍市場における最大のメロドラマへと発展する可能性が出てきました。ヴィニシウスとレアル・マドリードの現行契約は2027年6月30日までとなっていますが、クラブが1年前に提示した年俸2000万ユーロのオファーに対して、選手側は約3000万ユーロを要求しており、両者の溝は埋まっていません。
もし合意に至らない場合、2027年の夏にフリーで退団することを防ぐため、また2027年1月からは他クラブと自由に交渉できるようになってしまうため、マドリーは今夏中にヴィニシウスを売却市場に出すことを検討しています。
そんな中、イングランドからは衝撃的なニュースが飛び込んできました。プレミアリーグ王者のアーセナルがヴィニシウスの獲得に本腰を入れており、情報アカウント『HandofArsenal』や『The Sun』、そして最新の『The Athletic』の報道によると、アーセナルとヴィニシウスの代理人であるRoc Nationの間で、すでに個人条件での基本合意に達しているとのことです。アーセナルはクラブ史上最高額の給与を用意しており、ヴィニシウス自身もこの移籍を前向きに捉えているとされています。
アーセナルはレアル・マドリードに対して、固定額1億3500万ユーロに変動ボーナスを加えた総額1億4500万ユーロのオファーを提示する予定です。マドリーはヤン・ディオマンデやロドリといった高額な選手を補強するための資金を必要としており、契約延長がまとまらないのであれば、この巨額のオファーを受け入れる可能性も否定できません。 (via SPORT, Mundo Deportivo, ElDesmarque)
カンテラ大量売却で2億ユーロ超を調達、トップチームの大型補強資金へ
フロレンティーノ・ペレス会長は、バルデベバス(カンテラ)を文字通り「ATM」へと変貌させました。今夏のカンテラ出身選手の売却額は、すでに2億ユーロの大台に迫る1億9600万ユーロに達しています。これは、トップチームの超大型補強にかかる総額約2億7500万ユーロ(ヤン・ディオマンデ1億3500万ユーロ、ロドリ約6000万ユーロ、マルク・ククレジャ6000万ユーロ、ダンフリース2000万ユーロ、コナテとベルナルド・シウバはフリー)の大部分を賄う計算になります。
主な売却の内訳は以下の通りです。
・ニコ・パス:コモへ6000万ユーロ(買い戻しオプション8000万ユーロ)。帳簿上は今季6000万ユーロの収入として計上されます。
・ゴンサロ・ガルシア:フラムへ4000万ユーロ+変動200万ユーロ(権利の70%)。買い戻しオプション付き。
・ビクトル・ムニョス:オサスナからリバプールへの4000万ユーロの移籍に伴い、マドリーに2000万ユーロが転がり込みました。
・マリオ・ヒラ:ミランへ1500万ユーロ。
・アルバロ・ロドリゲス:エルチェからボーンマスへ3000万ユーロで移籍し、その半額の1500万ユーロを獲得。
・アレックス・ヒメネス:ボーンマスへ1250万ユーロ。
・セサル・パラシオス:フラムへ1000万ユーロ(権利の70%)。
・ハコボ・オルテガ:ストラスブールへ800万ユーロ。
・ビクトル・バルデペーニャス:フィオレンティーナへ800万ユーロ(権利の50%、5年契約。最初の3年間は1000万〜1200万ユーロの買い戻しオプション付き)で完全移籍が公式発表されました。
・フラン・ガルシア:ベティスへ400万ユーロ。
・マリオ・マルティン:ヘタフェへ350万ユーロ。
・フラン・ゴンサレス(GK):セビージャへ300万ユーロ(権利の50%)。契約は2031年まで。カスティージャで28試合に出場し、モウリーニョ監督は第3GKとして残したかったものの、出場機会を求めた本人の希望を尊重しました。
この結果、レアル・マドリード・カスティージャは文字通り解体状態に陥っています。さらに、フラムはゴンサロ・ガルシアとセサル・パラシオスに続き、膝の負傷から回復中のMFティアゴ・ピタルチ(Thiago Pitarch)の獲得も狙っていると報じられています。
この状況に対し、ジャーナリストのマティアス・プラッツは『バルセロナではカンテラーノが次々と成功を収めているのに、マドリーで自前の選手がトップチームで成功するのは不可能なのか?』と、クラブの育成方針に対して厳しい批判の言葉を投げかけています。 (via SPORT, MARCA, ElDesmarque)
トップチームの大型補強:ディオマンデ、ロドリ、ククレジャ
マドリーは現在、トップチームのさらなる強化に動いています。
まず、RBライプツィヒに所属するコートジボワール代表の19歳、ヤン・ディオマンデについて。選手本人はすでにマドリー行きを切望しており、PSGなどからの関心を断ってマドリーとの個人合意に達しています。しかし、クラブ間交渉は停滞しています。マドリーが提示した1億ユーロから1億1500万ユーロのオファーは即座に拒否され、ライプツィヒ側は最低でも固定額で1億2000万ユーロ、変動を含めれば1億3500万ユーロを要求しており、マドリーからの2度目のオファーに対して返答を行っていません。なお、この移籍が成立した場合、前所属のレガネスには売却益の10%(約1000万ユーロ)が転がり込むことになります。
ディオマンデは現在、ライプツィヒの練習を欠席しており、親善試合にも出場せず、オーストリアでのプレシーズン合宿にも帯同していません。ドイツのメディアでは「試合に出ないということは移籍するということだ」と報じられていましたが、ライプツィヒのマルティン・デミチェリス監督は『彼が病気だというのは本当だ。話題になっているのは知っているが、彼は本当に病気で合宿には行かない』と明言し、移籍に向けたボイコット説を否定しています。
次に、マンチェスター・シティのロドリ(30歳)の獲得についてです。マドリーは48時間以内のスピード決着を想定していましたが、シティ側は売却の必要性がなく、2027年にフリーで退団されても構わないという強気の姿勢を見せています。シティは変動ボーナスを含めて7000万ユーロを要求しており、一歩も引く気配がありません。ロドリ本人はすでにシティに退団を申し入れていますが、クラブへの敬意から交渉は慎重に進められています。また、この取引の影響でコバチッチがシティから放出される可能性があり、シティはロドリの後釜としてリールの19歳、アユブ・ブアディ(Ayoub Bouaddi)を約1億ユーロで狙っているとの情報もあります。
マドリーのレジェンドであるマノロ・サンチス氏はラジオ番組で、『ディオマンデも素晴らしい将来性がある選手だが、ロドリと言われたら私は3回サインする。今のマドリーに一番必要なスペシャリストだ』と、ロドリ獲得を熱望しています。
そして、チェルシーからの移籍が決定したスペイン代表のマルク・ククレジャは、すでにマドリーへの引っ越し準備を進めています。ホルシャム(Horsham)の郵便配達員であるゲイリーさんがククレジャに郵便を届けた際、ククレジャは気さくにW杯の優勝メダルを持たせてくれたそうです。ゲイリーさんは『とても感じの良い人だった。英国人で世界チャンピオンのメダルを持ったのは60年ぶりだと思う』と喜びを語っています。 (via SPORT, MARCA, Mundo Deportivo, Estadio Deportivo)
カルロス・エスピ獲得の舞台裏とゴンサロ・ガルシアとのビッグデータ比較
レバンテから2500万ユーロで獲得した21歳のストライカー、カルロス・エスピの移籍の裏には、わずか6日間の電撃的なドラマがありました。マドリーは先週土曜日に仲介者を介さず直接レバンテに接触し、モウリーニョ監督が直々に獲得のゴーサインを出しました。レバンテは他のオファーをすべて断り、マドリーへの移籍を推進。火曜日にはクラブ間合意に達しましたが、マドリー側はゴンサロ・ガルシアのフラムへの売却が完了するまでエスピの契約を保留しました。ハル・シティ、ブライトン、クリスタル・パレスなどが土壇場でハイジャックを試みましたが、すべて失敗に終わりました。エスピの父、フアンホ・エスピ氏は『マドリーが現れてからは他のクラブのことは考えられなかった。親族にも秘密にしなければならず、ストレスの多い1週間だった』と明かしています。
データ分析プラットフォーム『Driblab』のビッグデータを用いて、フラムへ去ったゴンサロ・ガルシアと新加入のカルロス・エスピを90分あたりのスタッツで比較すると、明確なプレースタイルの違いが浮かび上がります。
・ゴンサロ・ガルシアはより連携に優れたタイプで、ボールロストの少なさ(0.34回 対 1.72回)、ドリブル成功数(0.43回 対 0.34回)、パス成功率(84.2% 対 67.1%)、期待アシスト(0.08 対 0.02)、キーパス(0.52 対 0.23)、ゴール関与(0.66 対 0.52)、シュートあたりのゴール数(0.19 対 0.13)でエスピを上回っています。
・一方、カルロス・エスピは生粋のフィニッシャーであり、期待ゴール(0.35 対 0.31)、シュート数(2.69本 対 1.46本)、敵陣エリア内でのボールタッチ数(4.81回 対 3.27回)、空中戦の効率(2.47 対 1.99)でゴンサロを凌駕しています。また、個人のプレッシングでもエスピが優れています。エスピはゴンサロより1歳4ヶ月若く、プレースタイルの違いが移籍金(エスピ2500万ユーロ、ゴンサロ4000万ユーロ)の差に表れているとも言えます。 (via SPORT, ElDesmarque)
カスティージャの開幕節の試合日程が決定
トップチームの話題に隠れがちですが、スペインサッカー連盟(RFEF)はプリメーラRFEFの第1節の試合日程を発表しました。レアル・マドリード・カスティージャは、8月31日(月曜日)の21:15から、アウェーでCDテルエルと対戦することが決まりました。主力が大量に引き抜かれたカスティージャがどのような戦いを見せるのか、注目が集まります。 (via SPORT)
【本日の総括】
フィオレンティーナ戦ではエンドリッキやアレクシス・シリアといった若手が躍動し、モウリーニョ監督の采配も光りましたが、一方でヴィニシウスの契約延長問題やアーセナルとの合意報道、そしてカンテラの大量売却といったピッチ外の話題がマドリーの周辺を大きく騒がせています。ディオマンデやロドリといった大型補強の行方とともに、今後の移籍市場の動向から目が離せません。
デスクコメント
戦術デスク
配置と起用法から読む
フィオレンティーナ戦で見せた4-2-3-1は、モウリーニョ監督らしい実戦的なテストでした。特に興味深いのは、ダンフリースとトレントの右サイドでの共存です。本来の役割を入れ替えるような配置は、個の能力を戦術的な枠組みにどう落とし込むかという試行錯誤の表れでしょう。また、後半にフィジカルの強い相手に押し込まれた点は、若手主体の編成における構造的な課題を浮き彫りにしました。個々のタレントが輝く一方で、チームとしてどうゲームをコントロールし続けるか。このバランスの構築こそが、シーズン序盤の鍵を握るはずです。
クラブ動向デスク
フロントとクラブの空気を追う
モウリーニョ監督の復帰は、クラブに再び「結果への強烈な執着」をもたらしています。カンテラを売却してトップチームの即戦力を補強する手法は、ペレス会長らしい冷徹な経営判断ですが、サポーターの間では育成方針への懸念もくすぶっています。ヴィニシウスの契約問題が報じられる中、クラブは「誰が去ろうともマドリーは止まらない」というメッセージを体現しようとしているようです。ピッチ上の若手の躍動と、フロントのドライな決断。この両輪がどう噛み合うのか、クラブ全体の温度感は非常に高い緊張状態にあります。
移籍・契約デスク
契約・補強・登録を整理する
カンテラ出身者の大量売却で約2億ユーロを捻出する編成術は、極めて計算された動きです。帳簿上の利益を確保しつつ、ディオマンデやロドリといった高額なターゲットを狙うための資金源を自前で用意しました。特にゴンサロ・ガルシアとエスピの入れ替えは、連携重視からフィニッシャー重視への明確なシフトチェンジを意味します。ヴィニシウスの去就は予断を許しませんが、クラブは既に次世代の核を見据えた投資を加速させており、この夏の編成は「持続可能な大型補強」という難しい命題への挑戦と言えるでしょう。