主力2名の電撃売却と巨額の財政的救済

セビージャFCは財政難を克服するため、今夏の市場で非常にダイナミックかつ苦渋の決断を下しました。

まず、カンテラ(下部組織)出身でファンの高い人気を誇る22歳のDFフアンル・サンチェスが、イングランド・プレミアリーグのボーンマスへと完全移籍することが決定しました。フアンルはすでに水曜日の早朝、代理人や家族を伴ってサン・パブロ空港からプライベートジェットで英国へと出発しました。この取引による移籍金は、固定額1100万ユーロに加えて変動額200万ユーロ(総額1300万ユーロ)となります。選手自身はボーンマスと4年契約を結び、総額1100万ユーロ(ネット)という破格の年俸を受け取ることで合意に達しています。

早朝の空港には、フアンルの熱狂的なファンである少年ダニエル君が涙を流しながら見送りに現れ、別れを惜しみました。フアンルはダニエル君との強い絆から、ダニエル君のために自身の背番号16番に敬意を払い、彼が信仰するサン・ゴンサロの兄弟会(コフラディア)にも加入するほど深い親交を持っていました。フアンルは出発前に『クラブがこの移籍金を必要としていたこと、そして自分自身もフットボール選手としてさらに成長するために、今回の挑戦は避けて通れない最善の道だった。セビージャへの愛は永遠であり、遠く離れた地から常にクラブを応援し続けるし、いつの日かまた戻ってきたい』と、クラブへの深い愛情と誓いを語りました。 (via ElDesmarque)

また、スイス代表MFジブリル・ソウのイタリア・セリエAのジェノアへの完全移籍も電撃的に合意に達しました。ジェノア側がソウの契約解除金である400万ユーロを全額支払うことで合意。ソウはすでにイタリアへ到着しており、木曜日にはメディカルチェックを済めて2030年までの長期契約に署名する予定です。

この取引の裏には、昨夏の移籍市場におけるソウのセビージャへの偉大な貢献がありました。当時、クラブの新規選手登録を助けるためにソウは自らの給与の繰り延べ(一部カット)を受け入れ、その代わりに契約を2029年まで1年延長すると同時に、契約解除金を400万ユーロに引き下げるという特別な条項に合意していました。

ソウの売却により、セビージャは彼の年間400万ユーロという高額な年俸を今後3シーズンにわたって完全に削減することになり、実質的に合計1200万ユーロという巨額の人件費を節約することに成功しました。これはクラブの財政にとって非常に大きな救済となります。ソウ自身はセビージャでの3年間で公式戦100試合に出場し8ゴール7アシスト(昨季は5ゴール)を記録したものの、ピッチ上ではやや冷淡なパフォーマンスに終始し、ファンの期待に完全に応えられたとは言えませんでした。ジェノアへの移籍に際しては、ジェノアのダニエレ・デ・ロッシ監督からの熱烈な直接の電話が、ソウの決断を決定づける大きな要因となりました。 (via Estadio Deportivo)

補強計画と新アタッカー獲得交渉

主力選手の売却によって得た豊富な資金力を背景に、スポーツディレクターのホセ・イグナシオ・ナバロは、即座に中盤と前線の緊急補強へと動き出しています。

中盤の最優先ターゲットとして、セビージャはジョージア代表MFギオルギ・コチョラシュヴィリの獲得をほぼ確実なものにしています。ヘタフェやデポルティーボ・ラ・コルーニャといった競合クラブとの激しい争奪戦を演じていましたが、ヘタフェが Sporting CP との交渉を停滞させていた隙を見逃さず、セビージャが電撃的な強硬アプローチを仕掛けて Sporting CP との交渉を完全に支配しました。 Sporting CP 側はローン移籍での放出に買い取り義務条項を含めることを強く要求しており、セビージャは買い取り義務に繋がるオプションの条件を交渉中ですが、ラ・リーガへの復帰を最優先としてセビージャ行きを切望している選手本人とはすでに条件面で合意しているため、取引の妥結は極めて近いです。コチョラシュヴィリは昨季レバンテでの昇格貢献後、 Sporting CP へ550万ユーロで移籍したものの、出場時間が1000分以下に留まるなど不遇の時を過ごしていました。 (via Estadio Deportivo)

前線には、スウェーデンのIKシリウスで今季公式戦20試合20ゴール3アシスト、リーグ戦15試合15ゴール2アシストという驚異的なスタッツ(通算でも50試合31ゴール7アシスト)を叩き出している22歳のスコットランド人FWロビー・ウアに、正式な公式オファーを提示して獲得交渉を本格化させています。レンジャーズの下部組織からアンデルレヒトを経てシリウスにわずか75万ユーロで加入したウアですが、現在はその爆発的な決定力からチェルシーやマンチェスター・シティといったプレミアリーグのメガクラブも若手タレントハントの一環として強い関心を示しています。シリウス側は彼の評価額を900万〜1000万ユーロに設定しており、セビージャは獲得交渉を急ピッチで進めています。 (via Estadio Deportivo)

また、攻撃に異なるバリエーションを加えるため、ボーンマスに所属する元ヘタフェのトルコ代表FWエネス・ウナルの獲得についても打診を行いました。しかし、ボーンマス側はウナルの売却による資金回収を最優先しており、セビージャやアラベス、ヘタフェなどが望んでいる「買い取りオプション付きの期限付き移籍(ローン)」という取引方法には非常に難色を示しています。さらに、ウナルの高い給与負担(セビージャが一部のみを負担するか選手本人が減給を受け入れる必要性がある)や、ウナル自身がラ・リーガ復帰の際には古巣であるヘタフェへの復帰を最優先としていることが大きな障壁となっており、このウナルの獲得交渉は進展が極めて難しい状況です。 (via Estadio Deportivo)

選手放出「オペレーション・サリダ」の明暗

新規選手を登録し、さらなる補強を行うための「オペレーション・サリダ(放出計画)」は、いくつかの成功と深刻な停滞という2つの側面を見せています。

まず放出に成功したケースとして、昨季ローン移籍の末に完全移籍へと繋がったFWアコル・アダムスを、イタリアのヴェネツィアへ固定移籍金1680万ユーロ+変動額670万ユーロの総額2350万ユーロで売却しました。また、DFタンギ・ニアンスについても、自らの給与の70パーセントを潔く放棄してフランスのリールへの移籍を受け入れ、売却を完了させました。さらに、性的暴行容疑で裁判が続いているラファ・ミルについては、ギリシャの裁判所から「月1回、サロニカのスペイン領事館に出頭して署名を行うこと」を条件に国外への移籍が許可され、ギリシャのアリス・サロニカへの買い取りオプション付き期限付き移籍が正式に成立。ミル自身はすでに現地に滞在しており、セビージャは契約最終年の高額なサラリーの負担から解放されることとなりました。 (via 3cat)

一方で、構想外となっている4名のベテランの放出交渉は完全にストップ(泥沼化)しています。

1人目のアドリア・ペドロサについては、国内外で高い需要がありデポルティーボからも具体的な問い合わせがあるため放出は容易と見られています。しかし、2人目のジョアン・ジョルダンは、プラザ監督から戦力外通告を受けてグループ練習から除外されたことに激しく反発しており、代理人はクラブのこの強硬な措置に対してスペイン選手協会(AFE)への提訴を真剣に検討して抵抗しています。3人目のフェデ・ガットーニについては、他クラブからの具体的な関心が全くなく、放出の目処が立っていません。

さらに4人目のDFファビオ・カルドーソについても交渉が完全に暗礁に乗り上げています。カルドーソはアラブ地域(かつて在籍したアル・アインなどの中東地域)への復帰を強く希望しており、代理人が複数の市場を模索していますが具体的なオファーは届いていません。セビージャは2027年まで残っている契約を解除して desvinculación(契約解除)することを提案しましたが、カルドーソ側は残り1年分の給与を一切妥協せず全額支払うべきだと主張。一方のクラブ側も給料の支払いを拒否して traspaso a coste cero(移籍金ゼロでの完全移籍)による解決を求めているため、両者の不和は解消の兆しが見えず、カルドーソはプレシーズンでも1分も出場しておらずガルデンレンの全体練習でも完全に冷遇されています。 (via Estadio Deportivo)

また、ゴールキーパーの補強として、レアル・マドリードの若きGKフラン・ゴンサレスを急遽獲得したことに伴い、これまでバックアップを務めていた22歳のGKアルベルト・フローレスの売却が決定しました。フローレスのBチーム(セビージャ・アトレティコ)としての役割は終了しており、今後はセグンダの複数の実力派クラブから具体的なオファーが届いているため、移籍金ゼロのフリートランスファー(将来的な売却権のパーセンテージ付き)で売却されます。クラブは将来的に彼が再びサンチェス・ピスフアンに戻ってくると強く確信しています。 (via Estadio Deportivo)

ルイス・ガルシア・プラザ監督の決意と新シーズンへの現実的な展望

セビージャFCを率いるルイス・ガルシア・プラザ監督は、メディアに対して新シーズンに向けた極めて冷静かつ現実的なビジョンを語りました。プラザ監督は現在のチーム状況について『確かに現状、我々のスカッドは非常に短く、人員が不足していることは事実だ。しかし、移籍市場の閉幕まではまだ丸1ヶ月残されている。現時点では焦る必要はない』と冷静に分析しました。

さらに、クラブの財政的な困難な立ち位置について『セビージャはスペインのみならずヨーロッパでも最も重要な位置にある偉大なクラブだ。だが、現在は深刻な財政の困難に直面していることも理解している。チームに選手を登録するためには、絶対に主力を売却してスペースを空けなければならなかった。この苦しい状態から復活することは間違いないが、それが今シーズンすぐに起こるとファンに説明するのは、嘘を売りたくない私にとっては、都合の良い夢を語るようなもので誤りだ。今季の最大の目的は、まずは残留争いなどで苦しまないこと。それが再生への第一歩(一歩前進)となる。私はサポーターに都合の良い嘘を語りたくないし、現実的なのだ。ピッチの上で、選手たちが完全にコミットし、一致団結した姿をサポーターに届けることが私の使命であり、そうすれば必ず素晴らしいシーズンになると信じている』と、断固たる覚悟を口にしました。

また、8月15日に本拠地エスタディオ・ラモン・サンチェス・ピスフアンで行われるラージョ・バジェカーノとの開幕戦に向けて、ファンに向けて熱狂を強く呼びかけました。

『開幕戦のラージョ・バジェカーノ戦が今から待ちきれない。我々のホームスタジアムであるサンチェス・ピスフアンをサポーターで埋め尽くし、まるでマニコミオ(狂気、熱狂の渦)のような凄まじい大熱狂のスタジアムを演出してほしい。開幕戦の3ポイントも、昨季の激闘の勝ち点と何ら変わらない極めて重要な価値を持っている。厳しいカレンダーの序盤戦を乗り切るためにも、初戦からサポーターとチームが完全に一体となって、最高のスタートを切ろう』 (via Estadio Deportivo)

新キャプテンの任命とウイング・前線のやり繰り

主力選手の流出が相次ぐ中、プラザ監督はチームの新たな精神的支柱となるリーダーを正式に指名しました。

昨季キャプテンを務めていたMFネマニャ・グデリの退団、さらにソウの放出を受け、新シーズンのキャプテンマークは、DFマルカンが引き続きその役割を維持するほか、カンテラ出身の若きDFキケ・サラス、そしてガブリエル・スアソの2名が新たにキャプテンとして指名されました。指揮官はサラスについて『サラスはチームの中で、カンテラ精神、謙虚さ、学ぶ意欲、そして強い忠誠心といった最も美しい価値をすべて完璧に体現している選手であり、今シーズンはさらに大きな責任を背負して一歩前進するべきタイミングだ』と最大級の賛辞を送り、厚い信頼を示しました。また、プレシーズン第1戦で一時的にマークを巻いた Juan Iglesias についても、将来的な強いリーダーとしての成長を評価しています。 (via Estadio Deportivo)

ピッチ内においては、プラザ監督は右ウイングにミゲル・シエラ、左ウイングにマヌエル・アンヘル・カスティージョといった若手陣をテストし、その素晴らしいパフォーマンスに非常に満足しています。しかし、長いシーズンを戦い抜くためには、やはり左右の両ウイングを高い次元でこなせる、デシシブ(決定力)と突破力を備えた実力派の極めて質の高いアタッカーがもう1名不可欠であると確信しています。

現在、前線のフォワードはアイサック・ロメロのみが本職のストライカーとなっており、プレシーズンでは「ペケ」・フェルナンデスが偽9番として奮闘して適性を証明したものの、アコル・アダムスの売却に伴い、前線で基準点となる頑強で大柄なセンターフォワード、さらにウイングにも流れて攻撃を活性化させられる、ニール・モペイ(Neal Maupay)のような多才なアタッカーの獲得に向けて水面下で交渉を進めています。

なお、バイエルン・ミュンヘンで冷遇されている快速ウインガー、ブライアン・サラゴサ(Bryan Zaragoza)の獲得交渉からは、バイエルンが望んでいる売却の移籍金負担をクリアできないため、セビージャは正式に争奪戦から撤退(除外)しました。 (via Estadio Deportivo)

また、プレシーズンにおけるもう一つの重要なテストマッチとして行われたコルドバCFとの対戦においては、セビージャは0-0で引き分けを演じたものの、その後のPK戦を5-4で制し、確固たる勝負強さと守備の組織力をピッチ上で披露しました。 (via SPORT)

元セビージャ戦士ルケバキオの去就と臨時収入の期待

セビージャは現在、他クラブに所属しているかつての主力アタッカーの去就についても、大きな関心と財政的なチャンスを抱えて注視しています。

昨夏の移籍市場において、セビージャからポルトガル名門ベンフィカへと固定2000万ユーロ+変動400万ユーロ(総額2400万ユーロ)で完全移籍したベルギー代表ウイング、ドディ・ルケバキオ。セビージャはこの売却取引の際、将来的にベンフィカが彼を他クラブへ売却した際の「売却益(plusvalía)の15パーセント」を保持する権利を契約に含んでいました。

現在、ルケバキオはベンフィカを指揮するマルコ・シウバ監督(昨季のモウリーニョに引き続き)の戦術構想から完全に外れており、クラブから売却対象として放出リストに掲載されています。彼に対しては、トルコのトラブゾンスポルやベシクタシュが獲得に向けて強い関心を示して問い合わせを始めています。

ルケバキオの現在の市場価値は1500万ユーロに下落していますが、ベンフィカ側は彼を獲得した際と同等かそれ以上の金額(2000万ユーロ以上)での売却を目指して強気な交渉を行っており、もしこの売却金額が2000万ユーロを上回った場合には、その超過分の15パーセントがセビージャへ臨時収入として入る契約であるため、クラブのフロント陣は彼の去就を注意深く見守っています。ルケバキオは昨季ベンフィカにおいて、ケガの多さや前監督モウリーニョとの確執により25試合(1300分)で1ゴール2アシストに留まる不本意なシーズンを過ごしていました。 (via Estadio Deportivo)

【本日の総括】

セビージャFCは現在、非常に厳しい財政難を克服するための「オペレーション・サリダ(放出計画)」の過渡期にあります。フアンル・サンチェスやジブリル・ソウの完全売却、にあたってソウ自らのサラリーカット協力による1200万ユーロの人件費大幅削減、ニアンスらの人件費削減、さらにミルやアダムスの売却に成功したことで、莫大な財政的メリットを確保しました。この資金力を背景に、ホセ・イグナシオ・ナバロSDは Sporting CP のMFコチョラシュヴィリ獲得を秒読み段階に進め、スコットランドの若き至宝ウアに公式オファーを投じるなど、迅速な中盤と前線の再建に全力を尽くしています。

ルイス・ガルシア・プラザ監督は『都合の良い嘘は売りたくない、現実的だ』と語り、残留争いを避けることを新プロジェクトの現実的なマイルストーンに据えながらも、キケ・サラスを新キャプテンに任命するなどカンテラ精神を前面に押し出したチーム作りを遂行しています。8月15日のラージョとの開幕戦に向け、サンチェス・ピスフアンを満員の大熱狂に包み込むための熱い結束が確実に生まれています。