ラ・リーガMVP候補にフォルナルスが選出、今季のチーム総評
今シーズンのレアル・ベティスは、マヌエル・ペジェグリーニ監督の下で勝ち点60を獲得し、リーグ戦5位で21年ぶりとなるUEFAチャンピオンズリーグ(CL)への出場権を手にする素晴らしい結果を残しました。リーグ戦の評価としては文句なしの「優」と言える一方で、コパ・デル・レイでのアトレティコ・マドリードに対する0-5の大敗や、ヨーロッパリーグでのブラガ戦での痛恨の敗北が、シーズン全体の評価にわずかなほろ苦さを残しています。
しかし、国内リーグでの躍進は疑いようがなく、来季は欧州最高峰の舞台で世界の強豪と肩を並べることになります。
そんな歴史的なシーズンの象徴となったのが、パブロ・フォルナルスです。スペイン代表のW杯メンバーからは惜しくも落選してしまいましたが、LaLiga EA Sportsの年間MVP候補6名(ラミン・ヤマル、エムバペ、フォルナルス、ムリキ、ペペ)に堂々と名を連ねました。今季のフォルナルスは、国内リーグで38試合中37試合に出場し、9ゴール6アシストを記録。公式戦全体では51試合に出場し、ペジェグリーニ監督の下でチーム最長となる3,709分のプレー時間を誇りました。中盤の5つのポジションを巧みにこなし、MFとしてリーグ最多となる18ゴールに直接関与する驚異的な活躍を見せ、名実ともにベティスの中心選手として評価されています。
(via Estadio Deportivo)
W杯出場メンバー続々決定、クラブ史上最多の代表選手を輩出か
北中米(アメリカ、メキシコ、カナダ)で開催されるW杯に向けて、ベティスの選手たちが次々と各国の代表メンバーに選出されています。モロッコ代表にはエズ・アブデとソフィアン・アムラバトが順当に選ばれました。さらに、クチョ・エルナンデス(コロンビア)、リカルド・ロドリゲス(スイス)、セドリック・バカンブ(コンゴ民主共和国)、そしてメキシコ代表の合宿に参加中のアルバロ・フィダルゴの出場も事実上確定しています。
さらにアルゼンチン代表の候補に入っているジオヴァニ・ロ・チェルソが最終メンバーに残れば、合計7人がW杯に出場することになり、2022年カタール大会の5人を抜いてクラブ新記録となります。一方で、パブロ・フォルナルス(スペイン)、アントニー、ナタン(ブラジル)、ネルソン・デオッサ(コロンビア)は惜しくも選外となりました。
(via MARCA)
攻撃陣の大刷新へ、チミー・アビラらの契約打ち切りと退団選手
チャンピオンズリーグという新たな挑戦に向けて、ベティスはウイングとトップクラスのストライカーを獲得するため、攻撃陣の完全な再建を計画しています。この構想から外れた選手の整理が急ピッチで進められており、その筆頭がチミー・アビラです。
クラブは、アビラとの契約に隠されていた『最終年の契約を有効にしない』という一方的なオプションを行使し、6月30日をもってフリーで放出することを決定しました。すでに本人にも通達済みです。アビラ自身は残留を希望していましたが、今季は30試合(1000分強)の出場で3ゴール3アシストと、冬に4700万ユーロ近いコストをかけて獲得した期待に応えることはできませんでした。クラブは売却益を放棄してでも、前線の刷新を優先する構えです。
また、同じく冬に加入したセドリック・バカンブや、リカルド・ロドリゲス、そしてベテランGKのアドリアン・サン・ミゲルも6月30日で契約満了を迎え、退団することが確定しています。これにより、既存のストライカーで確実にチームに残るのはクチョ・エルナンデスのみとなっています。
(via Estadio Deportivo, ElDesmarque)
エズ・アブデの絶好調とアムラバトの去就問題
モロッコ代表としてW杯に挑むエズ・アブデは、公式戦43試合で15ゴール13アシストを記録し、キャリア最高のシーズンを謳歌しています。現在、家族の住むエルチェに滞在し、リコ・ペレス・スタジアムで専属のフィジカルトレーナーと共にW杯に向けたハードな調整を続けており、SNSでは水分補給をするリラックスした姿も公開しています。彼の市場価値は3000万ユーロにまで高騰しており、プレミアリーグや古巣バルセロナなどが関心を寄せていますが、ベティスは法外なオファーがない限り、彼やナタンを来季のCLに向けた重要戦力として引き留めたい方針です。
一方、同じくモロッコ代表に選ばれたソフィアン・アムラバトは、レンタル期間が終了するため、一旦フェネルバフチェに戻る予定です。ベティスはトルコのクラブが要求する1200万ユーロの買い取りオプションを行使するつもりはなく、給与の負担割合を上げた形での再レンタルや、共同保有といった別の枠組みでの残留を模索しています。
(via AS, Estadio Deportivo)
期待外れに終わったデオッサ、意味深なSNS投稿で物議
今季1200万ユーロの移籍金でモンテレイから鳴り物入りで加入したネルソン・デオッサですが、ピッチ外の問題や適応の遅れもあり、ゴールゼロという極めて低いパフォーマンスに終わりました。コロンビア代表のW杯メンバーからも落選し、バレンシア戦で見せたパブロ・フォルナルスの決勝点につながるドリブル以外に目立った活躍はありませんでした。
さらに、CL出場を決めてチームが歓喜に沸く中、デオッサは一人離れた場所にいたり、退団するアドリアン・サン・ミゲルの別れに近づかなかったり、アブデのイタズラにも無反応である姿がSNSで拡散され、話題を呼んでいます。そんな中、デオッサは自身のInstagramのストーリーにベティスでの写真と共に、『そして覚えておいて…エッフェル塔は1日で建てられたわけじゃない。そして私は塔の話をしているわけじゃない』という謎めいたメッセージを投稿し、ファンをざわつかせています。彼は今夏、放出候補の筆頭と見られています。
(via ElDesmarque, SPORT)
冬の補強アルバロ・フィダルゴ、メキシコ代表としてW杯の舞台へ
1月にクラブ・アメリカから200万ユーロで加入したアルバロ・フィダルゴは、メキシコのハビエル・アギーレ監督の勧めで国籍を取得し、ついにメキシコ代表としてW杯の舞台に立つことになります。
加入当初はペジェグリーニ監督のスタメンに定着し、セビージャとのダービーマッチでゴールを決めるなど、怪我人が続出していた中盤にダイナミズムをもたらしました。シーズン終盤は出場機会を減らしたものの、公式戦13試合(リーグ9試合、EL3試合、コパ1試合)に出場し、見事にCL出場権とW杯出場の両方を掴み取りました。
フィダルゴは自身のInstagram(フォロワー100万人)で、『セビージャでの最初の数ヶ月は信じられないものだった。働き、適応し、ピッチで学び、家族の近くにいた。CLという重要な目標を達成してシーズンを終えられて満足。これはまだ始まりにすぎない。みんなありがとう』と感謝の言葉を綴り、充実したシーズンを振り返っています。
(via Estadio Deportivo)
カンテラの至宝パブロ・ガルシア、1000万ユーロでの売却の噂
ベティスの下部組織が生んだ最高の才能の一人、19歳のパブロ・ガルシアの去就が大きな注目を集めています。彼はプレベンハミン(U-8)からトップチームまでの全カテゴリーでゴールを決めたクラブ史上唯一の選手です。今季は出場機会を求めて自ら志願してベティス・デポルティーボ(Bチーム)に合流し、9試合(749分)で7ゴールを挙げチーム内得点王となりました。トップチームでもコパ・デル・レイのパルマ・デル・リオ戦で2ゴールを記録しています。
契約は2029年まで残っており、契約解除金は3000万ユーロに設定されていますが、クラブは6月30日までに収支を合わせる必要があり、将来の移籍金の数パーセントを保持した上で、約1000万ユーロで彼を売却する準備があるとの情報が流れました。アヤックスなど欧州のビッグクラブが関心を寄せていますが、パブロ・ガルシア本人は『マヌエル・ペジェグリーニ氏』の構想を知りたいと考えており、クラブが望めば残留したい意向を持っています。この売却の噂に対し、ファンはSNSで猛反発しています。
(via Estadio Deportivo, Mundo Deportivo, ElDesmarque)
移籍市場の動向、若手アモンダラインとヤン・ビルジリへの関心
来季のCLに向けた補強として、ベティスのマヌ・ファハルドSDはアルゼンチン・エストゥディアンテスの21歳MF、ミケル・アモンダラインの獲得を狙っています。3月末にスカウトが現地で視察し、『度肝を抜かれた』という高い評価を与えました。彼の市場価値はこの5ヶ月で150万ユーロから350万ユーロに倍増しており、エストゥディアンテスは保有権の80%に対して約500万ユーロを要求する構えです。選手自身も欧州挑戦に前向きで、獲得できた場合はスペインの環境に慣れさせるためにレンタル移籍に出す計画です。
また、マジョルカの降格に伴い、契約解除金が3000万ユーロから1200万ユーロに激減したヤン・ビルジリにも強い関心を示しています。バルセロナが同選手の将来の移籍金の40%と優先交渉権を保持しているため複雑ですが、ベティスは同じくバルサが権利の20%を持つアブデの状況と絡めて動向を注視しています。
一方で、獲得を狙っていたヘタフェのMFルイス・ミージャについては、サウジアラビアのアル・ナスルが破格のオファーを出しており、資金力で太刀打ちできないため獲得は非常に困難な状況となっています。
(via Estadio Deportivo, SPORT, MARCA)
2025/26シーズン 全選手パフォーマンス超詳細評価
リーグ戦5位でCL復帰を果たした今シーズンの全選手の詳細な通信簿です。
・アルバロ・バジェス (7): 夢のために1年を棒に振って加入したが、最終的にチームの象徴に。クラブの過去20年のクリーンシート記録まであと2試合に迫る活躍を見せたが、致命的なミスは減らす必要がある。
・パウ・ロペス (5/6): エスパニョール戦での劇的なPKストップで勝ち点をもたらした一方、ブラガ戦の敗退の責任を負い、一貫性を欠いた。
・アドリアン・サン・ミゲル (3/5): コパのムルシア戦でのキーセーブやレバンテ戦での好守で引退を飾ったが、アトレティコ戦でのミスが今季の評価を落とした。契約満了で退団。
・エクトル・ベジェリン (6/7): 怪我に苦しむ時期もあったが、シーズン終盤には最高の選手の一人に。ポジショニングの理解度が抜群で、アントニーと見事な連携を見せた。
・アイトール・ルイバル (7/8): 『マンケピエルダ』の象徴。泥臭く這い上がり、FW、WG、SBの全てをこなし、42試合で5ゴール3アシスト。監督が最も欲しがる無私のキャプテン。
・アンヘル・オルティス (6): 怪我で23試合の出場に留まったが、コパでトップチーム初ゴールを記録。常に最後の選択肢だったが、出場すれば同僚より信頼できることを証明した。
・マルク・バルトラ (6/7): 怪我の影響もあり安定感には欠けたが、ピッチに立てばディエゴ・ジョレンテと共にリーダーシップを発揮した。
・ディエゴ・ジョレンテ (5/7): アトレティコ戦やコパを含め不可欠な壁として機能。ただ、小さなミスやリズム不足が指摘されることもあった。
・ナタン (7): 守備陣の最高評価。チーム最長の3700分以上プレー。集中力の欠如はあるが、デュエルに強く、圧倒的なフィジカルで全試合に出場。
・バレンティン・ゴメス (5): エリート1年目で41試合に出場。左SBなど不本意な位置でのプレーを強いられた。空中戦や裏への対応に課題が残る。
・リカルド・ロドリゲス (4/5): 34歳でCLチームのスタメンを張ったが、最小限のプレーに留まり、ブラガ戦やダービーでは非常に悪い出来。契約満了で退団。
・ジュニオル・フィルポ (3): 今季最大の失望の一つ。英2部最高のSBとして加入したが、4度の怪我で本来の姿を全く見せられず。
・ソフィアン・アムラバト (4/6): 時にはタコのように中盤を支配したが、イスコとの衝突による負傷、代表合流の遅れ、ブラガ戦でのPK献上など、エリートらしからぬ落第点レベルのプレーも散見された。
・マルク・ロカ (4/5): 序盤は中盤で信頼性を示しジローナ戦で重要なゴールを決めたが、疲労からか終盤は大きく失速した。
・セルジ・アルティミラ (5/6): 昨季より出場が1000分減少。ライプツィヒのSDとの会談発覚後に干された。ポテンシャルは高いが、今夏の大型売却候補。
・アルバロ・フィダルゴ (5): 冬に加入し中盤に活力と見事なゴールをもたらしたが、主力復帰後は影が薄くなった。
・ネルソン・デオッサ (1/2): 1200万ユーロの投資に見合わない大失敗。ピッチ外の態度も含めて市場に出されている。
・ロドリゴ・リケルメ (3/4): 攻撃面での数字が極めて乏しく、アトレティコ時代のような輝きは皆無。コパやザグレブでの活躍はあったが、期待外れ。
・ジオヴァニ・ロ・チェルソ (3/6): アラベス戦など序盤はチームの手綱を握ったが、大怪我で3ヶ月離脱。ピッチ上での緊張感のなさや態度が、彼の持つユニークなクオリティを台無しにしている。
・パブロ・フォルナルス (10): 今季の絶対的MVP。3700分出場し怪我ゼロ。ダービーでのゴールを含め、チームをCLに導くために不可欠な魂のプレーを見せた。
・イスコ・アラルコン (5/6): キャリアで最も苦しい怪我に泣かされたが、シーズン終盤に見事に復活。彼が戻ってからチームは蘇り、CLへと導くキャプテンとして機能した。
・エズ・アブデ (10): チーム最大の資産。15ゴール13アシスト、さらにプレーのタイミングを完璧に理解し、スキャンダラスな大活躍のシーズンとなった。
・アントニー (8): 恥骨の痛みを抱えながらも、驚異的な献身性で14ゴール11アシストを記録した。
・チミー・アビラ (0/2): 破滅的な取引。30試合で3ゴールのみ。エルチェ戦での活躍以外は見せ場がなく、クラブは契約解除を決断。
・セドリック・バカンブ (2): 4ゴール3アシスト。ベテランとしての役割を果たせず。契約満了で退団。
・クチョ・エルナンデス (9): チーム得点王(15ゴール)。身長は高くないが、最も賢くスペースを使い、ポストプレーもこなす異質のストライカー。
・ダニ・ペレス、イバン・コラレホ、ホセ・アントニオ・モランテ (採点なし): いずれもトップチームデビューを果たし、少ない時間ながら経験を積んだ。
(via ElDesmarque, SPORT)
【本日の総括】
今季はCL出場権とW杯への大量メンバー輩出という華々しい成果を上げた一方で、期待外れの補強や欧州カップ戦での苦戦といった課題も浮き彫りになりました。ペジェグリーニ監督はすでに来季の「CL仕様」に向けた攻撃陣の完全解体と再構築に着手しており、アビラらの退団と新たな才能(アモンダラインやビルジリ)の獲得に向けて、フロントは全力で動いています。