アトレティコ・マドリード
アトレティコ・マドリードは、本拠地リヤド・エア・メトロポリターノで行われたビジャレアルCFとの大一番において、退場者を出すなど極めて過酷な状況に追い込まれながらも、最終盤の執念で2-2の引き分けに持ち込み、勝ち点1を死守しました。(via Mundo Deportivo)
しかし、この日のスタジアムを支配していたのは、フットボールの戦術論以上に、アルゼンチン代表フォワードであるジュリアン・アルバレス選手を巡る重苦しいピッチ外の緊迫でした。今夏、バルセロナへの移籍願望を公言してクラブとの関係が完全に冷え切ったとされるアルバレス選手に対し、メトロポリターノのサポーターは容赦のない審判を下しました。キックオフ前の選手紹介において、彼の名前がメガホンから流れ、大型スクリーンにその顔が映し出された瞬間、スタジアム全体から耳を裂くような凄まじいブーイングと口笛の嵐が吹き荒れました。さらに、後半に彼がウォーミングアップを開始した際には、一部の過激なサポーター席からバルセロナやカタルーニャを激しく非難するシュプレヒコールが沸き起こり、66分に彼がピッチに入る際にも、スタンド全体から極めて冷酷な非難の口笛が浴びせられました。(via SPORT)
試合終了後、アトレティコの選手たちがピッチの中央に集まり、最後まで声援を送り続けたサポーターに挨拶に向かう中、アルバレス選手は他の選手たちと行動を共にすることなく、ただ一人頭を下げて足早にロッカールームへと続くトンネルに消えていきました。トンネルに入る際、スタンドのファンからアトレティコのマフラーが投げ込まれましたが、彼はそれを避けて静かに去って行きました。ディエゴ・シメオネ監督は試合後、この件について次のように語り、クラブの決定であったことを明かしました。
『クラブの関係者から聞いたのですが、ジュリアンが他の選手たちと一緒にグラウンドに残ってファンに挨拶をしないよう、あらかじめトンネルへ引き揚げさせる指示を出したのはクラブ側でした。彼自身の意志ではなく、不必要な衝突や対立から彼を保護するための決定でした。ジュリアンは間違いなく私たちのプロジェクトにとって素晴らしい、極めて重要なフォワードです。彼がこのチームにいる限り、私たちは全力で彼をサポートし、大切に育てていくつもりです』。(via ElDesmarque)
ピッチの上では、アトレティコはビジャレアルの素早いカウンターに終始手を焼き、過酷な試合展開を強いられました。59分には、この日スペイン代表メンバーとして初の先発を飾ったセンターバックのマーク・プビル選手が、エリア外の左コーナー付近から豪快な左足のシュートを突き刺し、1-0と先制点を奪いました。しかしわずか5分後、中盤での不用意なパスロストから、モルテン・ユルマンド選手がエリア内で相手のタジョン・ブキャナン選手を倒してしまいペナルティキックを献上。これをジェラール・モレノ選手に冷静に決められ1-1の同点に追いつかれました。さらに78分には、ジョージア代表のギオルギ・ミカウタゼ選手にディフェンスラインの背後を完全に突破され、これを止めようとしたロビン・ル・ノーマンド選手がエリア内で彼を倒してしまい、2度目のペナルティキックを献上。さらにル・ノーマンド選手は決定的な得点機会の阻止として一発レッドカードを提示され、退場処分となりました。このペナルティキックをミカウタゼ選手自身に決められ、1-2と試合をひっくり返されました。(via SPORT)
数的不利に陥り、万事休すかと思われたアトレティコを救ったのは、指揮官の愛息子であるジウリアーノ・シメオネ選手でした。85分、アレックス・バエナ選手が自慢の推進力でボールを運び、タイミングを完全に見極めてエリア内に逆転への絶妙なラストパスを供給。これに反応して相手の裏へ完璧に抜け出したジウリアーノ選手が、右足の冷静なシュートでニアサイドを撃ち抜き、2-2となる劇的な同点弾を突き刺しました。ロア・キャプテンのヤン・オブラク選手は試合後に以下のように語り、チーム全体の結束を訴えました。
『今は何よりも、クラブが一つにまとまって進んでいくことが極めて重要です。ジュリアンはここにいて、僕たちと同じチームの一員なのだから、ピッチに立つ以上は彼を全力で支えるつもりだ。彼の持っている素晴らしいクオリティは、誰もが知っていることだ。チームが困難なときこそ、お互いに反発し合うのではなく、一丸となってこの荒波を乗り越えなければならない』。(via ElDesmarque)
ジュリアン・アルバレス選手については、移籍の可能性が取り沙汰されており、複数の報道によると、プレミアリーグのアーセナルが獲得に向けた緊急解決策として関心を示しているものの、選手本人の希望はあくまでスペイン国内、とりわけバルセロナへの加入を最優先としており、泥沼の状況が続いています。(via AS)
ビジャレアルCF
ビジャレアルCFは、アウェーとなる難所メトロポリターノにおいて、新指揮官イニゴ・ペレス監督が徹底して仕込んだ魅力あふれるポゼッションと獰猛なハイプレッシングを完璧に披露し、アトレティコを試合の大部分で圧倒しました。しかし、2-1のリードと数的優位を得た終盤に、ほんのわずかな集中力の欠如から同点を許し、2-2のドローに終わるという極めて悔しい結末を迎えました。(via Marca)
試合開始から、ビジャレアルはピッチの上で素晴らしいパーソナリティを示しました。パペ・ゲイェ選手が中盤のボールハントで完璧なフィルターとして機能し、新加入のニコラス・ペペ選手がキレのあるドリブルで左サイドバックのグリマウド選手を翻弄。さらにアルベルト・モレイロ選手が中央に流れて攻撃に多大なバリエーションをもたらしました。前半からミカウタゼ選手やアヨセ・ペレス選手が決定的なシュートを放ち、アトレティコの守護神オブラク選手の驚異的なセーブに何度も阻まれたものの、ハーフタイムを0-0で折り返しました。(via SPORT)
後半、59分にマーク・プビル選手に素晴らしいシュートを叩き込まれて先制されたものの、ビジャレアルの精神力は一ミリも揺らぎませんでした。ペレス監督はすぐさま動き、ベンチに温めていたエースのジェラール・モレノ選手とタジョン・ブキャナン選手を同時にピッチへ投入。この交代策が劇的な大逆転劇を呼び込みました。64分には、ブキャナン選手がエリア内で相手のモルテン・ユルマンド選手から倒されてペナルティキックを獲得。これをジェラール・モレノ選手が冷静にネットに沈めて1-1。さらに78分には、ミカウタゼ選手がハーフライン付近からの素晴らしい縦パスに反応して抜け出し、相手ディフェンダーのル・ノーマンド選手の反則を誘発して2度目のペナルティキックを獲得。さらにル・ノーマンド選手を退場に追い込みました。ミカウタゼ選手自身がこのペナルティキックを冷静に決めて1-2とし、スタジアムに静寂をもたらしました。(via Marca)
しかし、数的優位を得て勝利を確信したわずか7分後、信じられない隙が生まれました。85分、中盤での緩慢な守備からアレックス・バエナ選手にパスを通され、ジウリアーノ・シメオネ選手に痛恨の同点弾(2-2)を許してしまいました。ペレス監督は試合後の記者会見で、深い落胆とフラストレーションをこのように表現しました。
『アウェーでこれほど自分たちの理想とするゲームを展開し、完璧にプランを表現できていただけに、引き分けという結果には極めて強いフラストレーションを感じている。選手たちの姿勢やアイデアの実行力には大いに満足しているが、数的優位に立った瞬間に、自分たちの中で無意識のうちに「もうこの試合はコントロールできている」という誤った甘いメッセージを頭に送ってしまった。アトレティコのようなクラブは、相手の一瞬の油断を見逃さず、スタジアムのエネルギーと指揮官の執念で襲いかかってくる。あの同点ゴールの場面における守備のコンセプトは、私たちが深く猛省し、改善しなければならない最大の課題だ』。(via Mundo Deportivo)
