セルヒオ・ラモスのクラブ買収交渉が決裂、主要株主陣が激怒の声明を発表

セビージャFCの過半数株式を巡る、セルヒオ・ラモスおよび投資グループ「Five Eleven Capital」による買収交渉は完全に決裂しました。ラモスの記者会見の数時間前、クラブの主要株主陣(カストロ家、デル・ニド・ベナベンテ家、アレス家、カリオン家、ギハロ家)は、かつて対立していたデル・ニド・ベナベンテをも巻き込んだ異例の共同声明を発表し、ラモス側を強く非難しました。

声明によれば、両者は今年1月26日に株式の最大85%を現金で買い取り、後に8000万ユーロの増資を行うという拘束力のある基本合意書に署名していました。5月11日の会議では、メキシコの投資グループ「DMI」からの要望として支払いの延期や価格引き下げが提案され、株主側はクラブの損失を負担する形でこれを受け入れました。

しかし、独占交渉期間の終了が迫る5月27日、ラモス側は突然、DMIが唯一の投資家でありFive Elevenは消滅したと告げ、買収条件を根本から覆しました。新しいオファーは増資額を1億2000万ユーロに引き上げ、ラモス側がクラブの60%を支配する内容であり、サンチェス・ピスフアン・スタジアムの将来すら危ぶませるものだったとされています。

主要株主陣はこれを計画的な欺瞞であり、クラブと株主に対する明らかなリスペクトの欠如であると断罪しました。さらに、合意違反に対する違約金約50万ユーロの支払いを求める内容証明を送付したほか、資産査定で得た機密情報を漏洩したことによる損害賠償請求も警告しています。株主側は現在、保留となっていた他の強力な投資グループとの交渉を6月1日から再開し、クラブの再建に向けた独自のロードマップを進めています。

(via Estadio Deportivo)

セルヒオ・ラモスが反論会見を実施、クラブの危機を訴え再交渉を希望

株主側の厳しい声明を受け、セルヒオ・ラモスはセビージャ市内のホテルで約1時間にわたる記者会見を開き、自身の潔白を主張しました。会見の冒頭、彼は『セビージャFCのことだけを話すためにここに来た。守るべき守秘義務の範囲内で全てに答える。株主からの警告はあったが、直接顔を出して事実を伝えたい』と語り、自身が提示したプランこそがクラブを本来あるべき場所に戻すための最も強固なプロジェクトであると自信を見せました。

ラモスは、セビージャが累積赤字によって事実上の技術的破産状態にあると指摘し、オファーの変更はクラブを救うために不可欠だったと説明しました。最初のオファーでは85%の株式取得と8000万ユーロの増資で総額3億5900万ユーロでしたが、最終提案では増資額を1億2000万ユーロに引き上げ、支払いを2段階に分ける総額3億6200万ユーロの形に変更されました。彼は『差額はわずか500万ユーロだ。1株あたり3,175ユーロという価格は変えていない』と強調し、『私たちがクラブを救うために努力するのだから、株主の皆さんも支払いが後になることを受け入れて助けてほしい』と訴えました。

また、株主側からの法的措置の警告については『我々は株式売買契約に署名しておらず、違約金を払うような違反はしていない。騙しても盗んでもいないし、セビージャを救いたいだけだ』と反論。スタジアム売却の噂についても『全く議論の優先事項ではない』と一蹴しました。そして最後に『彼らから連絡があることを望んでいる。私はセビージャに残り、交渉の席につく準備がある。我々のオファーは柔軟であり、クラブの状況は一刻を争う』と述べ、交渉の扉がまだ開かれていることをアピールしました。

(via SPORT)

ラ・リーガがラモスの発言を真っ向から否定、増資額の推奨は完全な虚偽と断言

セルヒオ・ラモスは会見の中で、オファーを変更した理由について『ラ・リーガと我々のアドバイザーから、クラブの存続を保証するには6月30日までに8000万ではなく1億2000万ユーロの増資が必要だと勧められたからだ』と説明しました。しかし、この発言に対してラ・リーガ側は即座に反応し、真っ向から否定しています。

ラ・リーガの情報筋は、3月の第1週にラモスのパートナーであるFive Eleven CapitalのCEO、マルティン・インクと面会した事実は認めたものの、特定の増資額を推奨したことについては『完全に虚偽である』と断言しました。

ラ・リーガ側は『我々は誰にも特定の行動を推奨することはない。彼らは8000万ユーロの増資をした場合の影響について尋ねてきただけだ。それ以降、3月から一切の連絡は受けていない』と主張しています。1億2000万ユーロという数字は、近年のセビージャの損失額がファイナンシャル・フェアプレーに悪影響を及ぼしているという公開データに基づき、ラモス側のアドバイザーが独自に算出したものに過ぎないとの見解が示されています。

(via ElDesmarque)

ラモスが描く新スポーツプロジェクトの全容、モンチ復帰の噂にも言及

記者会見では、買収が成立した場合のスポーツ部門の再建計画についても質問が飛びました。セビージャはピッチ上でも深刻な低迷を続けており、新体制がどのようなビジョンを描いているのかはファンにとって最大の関心事です。

ラモスは『もし取引が成立すれば、我々にはセビージャを再建するための非常に魅力的なスポーツプロジェクトがある。すでにトップレベルの専門家たちと連絡を取っている』と明言しました。彼のネットワークを駆使し、国際的な舞台で活躍する最高の人材を招集する準備ができているとのことです。

また、アストン・ヴィラで活躍中の前スポーツディレクター、モンチを連れ戻す可能性について問われると、ラモスは『モンチは良い友人であり、彼がセビージャで成し遂げたことは誰もが知っている。しかし、彼には現在別のプロジェクトがある』と語り、現時点での復帰はやんわりと否定しました。それでも『私は国際的なサッカー界で多くの経験があり、セビージャが必要としているトップレベルの人材を知っている。とてもワクワクするプロジェクトだ』と語り、強力な体制を築く自信を覗かせています。なお、一部では新監督としてホセ・ボルダラスを招聘する計画があるとも報じられています。

(via Estadio Deportivo)

深刻な財政難を圧迫するニアンズの巨額年俸、クラブは契約解除に向け全力

買収騒動に揺れるクラブの裏側で、セビージャの財政をさらに圧迫しているのがタンギ・ニアンズの処遇です。現在、セビージャは選手登録のための人件費削減が急務となっており、その中でニアンズとジョアン・ジョルダンの2人が受け取っている合計2000万ユーロもの高額年俸が大きな障害となっています。

ニアンズは2022年の夏にモンチの主導でバイエルン・ミュンヘンから1600万ユーロで加入し、5年という長期かつ高額な契約を結びました。しかし、欧州大会の出場権を逃した現在のクラブにとって、この給与負担は致命的です。スポーツ面でも彼は完全に戦力外となっており、ルイス・ガルシア・プラサ新監督は、自身の初陣となったオビエド戦でニアンズが退場して以来、彼に一度もチャンスを与えていません。ガルシア・プラサ監督は自動契約延長を果たし新プロジェクトを率いる予定ですが、そこにニアンズの居場所はありません。

昨夏、マルカオやヤヌザイといった選手たちがクラブの現状を考慮して減俸に応じた中、ニアンズはこれを拒否しました。ピッチ上でのパフォーマンスが低調なため、現在の巨額な年俸を引き受けてくれる移籍先を見つけるのは極めて困難な状況です。

クラブの当面の計画は、残り1年となった彼の契約を解除することです。一方的な契約解除は不可能なため、選手本人の同意が必要となりますが、交渉は難航が予想されます。それでもクラブは、少しでも早く財政の健全化を図るため、ニアンズの退団に向けて全力を尽くしています。

(via Estadio Deportivo)

【本日の総括】

セルヒオ・ラモスによるセビージャFCの買収交渉は、オファー条件の変更を巡って主要株主陣との間で激しい対立に発展し、法的措置も辞さない泥沼の様相を呈しています。ラモスは会見でクラブの技術的破産を訴え再交渉を呼びかけましたが、ラ・リーガからの否定発言もあり状況は複雑です。一方、現場では財政難を少しでも改善すべく、高額年俸を受け取りながら戦力外となっているニアンズの契約解除に向けた動きが加速しています。