モウリーニョ新監督の就任と決意表明
フロレンティーノ・ペレス会長は、ここ2シーズンの成績不振と会長選挙での信用低下を受け、ジョゼ・モウリーニョを新監督として招聘した。ペレス会長はこれまでスター選手を甘やかす方針をとった結果、アンチェロッティ、シャビ・アロンソ、アルベロアといった歴代監督の権威を失墜させ、チームが空中分解する事態を招いていた。エンリケ・リケルメとの会長選挙には勝利したものの、求心力を失った会長は事態の収拾をモウリーニョの規律と手腕に託し、全権を委任している。ペレス会長は『彼には全幅の信頼を置いている。チームに競争力を与え、チャンピオンズリーグを5回優勝させてくれた』と語った。
モウリーニョはInstagramにマドリーのウェア姿で『Vamos(行くぞ)』と投稿し、いち早くバルデベバスでの活動を開始した。クラブ公式メディアの初インタビューでは『言葉では不十分だ。これは使命のようなものだからだ。自分がたくさん勝つか少し勝つかなど、自分のことを心配しているわけではない。私は選手、スタッフなど、すべての人をより良くするためにここにいる。仕事の文化、責任、野心、そして私がよく知っていること、つまりレアル・マドリードのために働くという責任と名誉を作り出すために。私はこのコンセプトがとても好きだ。レアル・マドリードで働くのではなく、レアル・マドリードのために働くのだ。そして、この使命感こそが私がここにいる理由だ』と熱い決意を語った。
さらに『私たちはたくさん働いている。今日ここに来て今日すべてが始まるというわけではない。私たちはかなり前から、さまざまなレベルのクラブの構造と連携して多くの仕事をしてきた。今日はテクノロジーのおかげで現場にいなくても仕事ができる。今日ここに着いて、これまでにやったこと、これからやらなければならないことをすべてコントロールした』と準備の万全さを強調。プレシーズンについては『これからの2週間を前向きに活用する。もちろんすべての選手がここにいてほしいが、ポジティブに見る必要がある。一緒に働く若者たちを知り、彼らが私を知る機会を持つということだ。プレシーズン中、彼らの多くはカスティージャにいるだろうし、私もこの分野の成長に参加し手助けしたい。私たちはここにいる。そして世界チャンピオンもやって来るだろう。大きな自信と、このクラブを愛しているという強い思いを持ってやって来た。アラ・マドリード、そしてそれだけだ!』と力強く締めくくった。(via SPORT)
新コーチングスタッフとクラブ内人事
モウリーニョ体制の新たな右腕として、元マドリーのサミ・ケディラがシュトゥットガルトから引き抜かれ、アシスタントコーチとして復帰した。その他のスタッフ陣には、フェネルバフチェ時代からのジョアン・トラリャン(アシスタント)、ベンフィカやドルトムントなどを経験したペドロ・マチャド(第2監督兼アシスタント)、ローマ時代から同行するロベルト・メレッラ(アナリスト)、トッテナム時代からのヌーノ・サントス(GKコーチ)、そしてベンフィカからアントニオ・ディアス(フィジカルコーチ)が名を連ねている。
一方で、アントニオ・ピントゥスはモウリーニョの強い要望によりトップチームのフィジカル部門の最高責任者として残留することが決定した。これまでGKコーチを務めていたルイス・ジョピスはヌーノ・サントスにその座を譲る形となるが、クラブの高度な専門職員として残留し、来週にも新たな役割についてクラブと協議を行う予定となっている。(via MARCA)
プレシーズン始動スケジュールと参加メンバー
来週の月曜日からメディカルチェックが行われ、プレシーズンが公式にスタートする。トップチームから最初に合流するのは、ルニン、トレント・アレクサンダー=アーノルド、アセンシオ、ディーン・フイセン、アルバロ・カレラス、カマヴィンガ、フランコ・マスタントゥオーノ、ゴンサロの計8名である。ミリトン、メンディ、ロドリゴの3名は現在負傷からの回復に専念している。
ワールドカップに出場した各国代表選手たちは、大会敗退の翌日から計算して3週間の休暇を取得した後に順次チームへ合流する予定となっている。プレシーズンの実戦としては、8月12日にテレサ・エレラ杯でデポルティーボとの対戦が確定している。また、8月1日からはオーストリアでミニ合宿を実施し、そこでフィオレンティーナと親善試合を行う可能性があるほか、2018年以来開催されていないサンティアゴ・ベルナベウ杯の復活も視野に入れられている。(via Esport3)
医療部門の大規模な刷新
昨シーズンにムバッペ、ベリンガム、ロドリゴ、クルトワなど主力選手の負傷が相次ぎ、選手たちがセカンドオピニオンを外部に求めるなど医療管理への不信感が高まっていた。これを受け、フロレンティーノ・ペレス会長が医療部門の抜本的な改革を断行した。
就任からわずか1年のマヌエル・アロヨ医師が辞任し、フェリペ・セグラ氏もクラブを去った。新たなトップチームの医療責任者として、フランスのスポーツ医学の権威であり、ASモナコの医療責任者を務めていたアレクサンドル・クルゼ医師(45歳)を招聘した。なお、ニコ・ミヒッチ氏は引き続きクラブ全体の医療構造を監督する役割を担う。(via SPORT)
移籍市場の動向と獲得ターゲットの状況
バイエルン・ミュンヘンのマイケル・オリーズ獲得を狙っていたが、バイエルン側が非売品であることを明確にしたため、今夏の獲得を完全に断念した。フロレンティーノ・ペレス会長とバイエルンの関係は非常に良好であり、将来的に動きがある場合は事前に直接連絡を取り合う約束を交わしている。アトレティコ・マドリードのフリアン・アルバレスに対しても関心を示しオファーを提示したと報じられているが、バルセロナ側はこれを移籍金を釣り上げるためのブラフであると分析している。
また、今夏はマルク・ククレジャとイブラヒマ・コナテも獲得し、右サイドバックの補強としてインテルからデンゼル・ダンフリースがマドリーへ加入した。一方、以前エンリケ・リケルメが会長選の公約としてアーリング・ハーランド獲得の密約を掲げていたが、ペレス会長の再選によりそのシナリオは完全に消滅している。(via Estadio Deportivo)
選手の退団や移籍に関する情報
ダニ・セバージョスがクラブとの契約を解消し、フリーエージェントとなった。退団にあたり、手取り500万ユーロ(総額1000万ユーロ)の給与を放棄しており、現在は古巣ベティスへの復帰を目指している。また、下部組織出身のフラン・ガルシアもベティスへ移籍した。ガルシアは入団インタビューで『サンティアゴ・ベルナベウでのメリージャ戦でトップチームデビューした時、イスコのゴールをアシストしたんだ。イスコとはカンテラ時代からの仲だ』とマドリーでの思い出を振り返った。
さらに、カンテラ出身のDFマリオ・ヒラが移籍金約3000万ユーロでラツィオからミランへ完全移籍を果たした。イングランド代表のマーカス・ラッシュフォードもマドリーを退団した元選手として確認されている。(via ElDesmarque)
ワールドカップにおける所属選手の動向と発言
ジュード・ベリンガムはイングランド代表としてメキシコ戦で勝利した後、ファンに向けて『もう一杯飲んで、明日は仕事に行かないと上司にメッセージを送って』と喜びを語った。また、モウリーニョ新監督に向けてトップ下での起用をアピールし、『ラッキーなゴール? ペナルティエリアに5回入っても点が取れなくて「ああ、なんて運が悪いんだ」と言う選手もいる。僕は30回ペナルティエリアに入って、たぶん1点取る。僕の余白はもっと小さいけれど、それでもやり続けるんだ。そして、何度も何度も何かが起こるとき、それは運じゃない。ゴールを決めるのはとても満足感のある感覚で、簡単なゴールばかり決めていると批判されるのは分かっているけれど、本当のところは、それが大好きなんだ』と発言した。
フランス代表のキリアン・ムバッペは、パラグアイの上院議員セレステ・アマリージャから人種差別的な暴言を受けた際、彼女を『卑劣でその職に相応しくない女性』と一蹴した。母国のメディアのプレッシャーについては『我々は歴史ある国の代表だ。国の歴史と、フランスのためにプレーする重圧を理解しなければならない。勝たなければならないし、そうでなければフランスのジャーナリストたちに殺されてしまう。そうだね。もちろん質の高い選手はいるけれど、我々はチームとしてプレーしている。我々には集団があり、団結したグループがあり、全員が同じ方向、つまり勝つという方向に向かっているんだ』と語った。
ベルギー代表のティボー・クルトワはスペイン戦で左脚大腿四頭筋を負傷し、71分に涙ながらにピッチを退いた。試合後、自身のミスで失点した代役GKセンネ・ラメンスを抱きしめ、『セネにとってこれがどれほど嫌な気分か分かる。残念だけどゲームの一部だ。でも彼は強いメンタルを持っている。ピッチはとても乾いていた。運が悪かった。結局のところサッカーとはそういうものだ。あの子を責めるべきではない。彼は素晴らしいGKで、ユナイテッドで素晴らしいシーズンを送ったし、こんな仕打ちは相応しくない』と擁護した。自身の代表引退の可能性に触れつつ、マドリーへの復帰については『それにとても意欲と期待を持っている。まずはMRI検査で深刻な結果が出ないことを願っているし、そうではないと思う。8月中旬には完璧な状態でシーズンを始められるようにしたい』と語った。
ブラジル代表のヴィニシウス・ジュニオールは、ラウンド16での敗退後に沈黙を破りSNSで長文の謝罪メッセージを投稿。『ほぼ4年が経ち、ワールドカップでの挫折の後に何を書くべきか再び考えている。あらゆる年齢の多くの人々が私を応援し、私たちの夢を抱きしめてくれているのを見た。だから沈黙を守るのは不公平だろう。しかし、反省するための数日間が必要だった。代表のユニフォームを着ることは私の人生最大の誇りであり、ワールドカップのラウンド16で敗退したことは言葉で説明するのが非常に難しい感覚だ。自分がどれだけ準備し、どれだけ集中し、皆や家族のためにどれだけこれを望んでいたか分かっている。挫折感は計り知れない。私たちにはもっと先へ進めるだけの強いグループがあったが、それを達成できなかった。許しを請い、再び世界の頂点に立つという夢のために戦い続ける』と悲痛な思いを綴った。ベリンガムはこの投稿にハートマークを付けて励ましている。(via Mundo Deportivo)
ラ・リーガ開幕戦の延期措置
ワールドカップの準決勝にフランスとスペインが進出した影響により、ラ・リーガ第1節のレアル・マドリード対レアル・ソシエダ戦が延期されることが決定した。規定により、ワールドカップ準決勝に進出した選手は大会終了後3週間の休暇を取得する必要があるためである。マドリーにはムバッペ、チュアメニ、コナテ、キュクレジャ、ベリンガムなどの準決勝進出メンバーが在籍しており、リーグ機構は日程の再調整を余儀なくされている。(via MARCA)
【本日の総括】
モウリーニョ新監督の就任と医療部門の刷新により、クラブ全体が新たなサイクルへと突入しています。ワールドカップでの各選手の悲喜こもごもや、プレシーズンの本格始動、そして移籍市場での積極的な動きなど、来季に向けた準備が急ピッチで進められています。
デスクコメント
戦術デスク
配置と起用法から読む
モウリーニョの招聘は、単なる監督交代以上の意味を持ちます。特筆すべきは、ピントゥスを残留させつつ、ヌーノ・サントスやトラリャンら自身の信頼するスタッフを要所に配置した点です。これは戦術的な規律とフィジカル負荷の管理を両立させるための布石でしょう。また、ベリンガムがトップ下での起用を強く意識した発言をしている点も興味深い。モウリーニョが彼の攻撃的な推進力をどう構造の中に組み込み、守備のバランスと両立させるのか。プレシーズンの若手との連携構築を含め、個の能力を組織の規律へどう落とし込むかが、今季の成否を分ける鍵となります。
クラブ動向デスク
フロントとクラブの空気を追う
ペレス会長が全権を委任した背景には、近年のクラブ運営に対する強い危機感があります。スター選手を尊重するあまり失われた規律を、モウリーニョという「象徴」を呼び戻すことで強制的に取り戻そうとする意図が透けて見えます。医療部門の刷新も、選手からの信頼回復を急ぐフロントの焦りと決意の表れでしょう。クラブの空気が「個の集合体」から「使命を共有する集団」へと変われるか。モウリーニョの言葉にある『レアル・マドリードのために働く』というコンセプトが、どれだけ現場の選手たちに浸透するかが、この新体制の真価を問うことになります。
移籍・契約デスク
契約・補強・登録を整理する
編成面では、オリーズ獲得断念という現実的な判断を下しつつ、ダンフリース獲得で右サイドの補強を完了させた点は評価できます。セバージョスの給与放棄を伴う退団や、ヒラの売却など、余剰戦力の整理も着実に進んでいます。注目すべきは、ハーランド獲得という過去の公約が消滅し、現体制が現実的な戦力構築に舵を切ったこと。契約年数やサラリー負担を考慮した合理的な編成が優先されており、モウリーニョの要求とクラブの財政的整合性が取れている点は、今夏の補強戦略において非常にポジティブな兆候と言えるでしょう。