クラブ売却問題:ラモスのオファー大幅減額と決裂の危機

セルヒオ・ラモスとメキシコの投資家(Five Eleven CapitalとMartín Ink)によるセビージャFC買収交渉が、破談の危機に直面している。当初、約4億5000万ユーロ(85%の株式取得に2億9000万ユーロ、負債引き受け9000万ユーロ、増資8000万ユーロ)の投資で基本合意に達し、事前契約を交わしていた。しかし、水曜日に行われた会議の場で、ラモス側が急遽条件を大幅に変更する事態となった。

新たな提案は、1億2000万ユーロの増資を行ってクラブの42%の株式を取得し、その後さらに1億ユーロで32,000株を買い取るというもので、総額は当初の半分以下となる約2億2000万ユーロにまで減額された。この提案では、当初予定されていた86,000株の買い取りから54,000株が取引から外れることになり、増資によって現在の所有者の持ち株比率が希薄化する一方で、ラモス自身が60%の株式を握る絶対的な筆頭株主となる計算だ。

しかもこの会議には、パートナーであるはずのFive Eleven Capitalの姿はなく、ラモスは3億8000万ユーロの資金証明(4億4000万ユーロの合意額には満たない)を提示してこの新条件を突きつけた。現経営陣や大株主たちはこの提案を「受け入れがたい」として憤慨しており、約半年間優先されてきたこの買収交渉は実質的に崩壊し、成立は不可能と見られている。(via Estadio Deportivo / Esport3 / ElDesmarque)

クラブ売却問題:モンチや元役員がラモスの買収劇に言及

この混迷を極める買収劇に対し、外部からも様々な声が上がっている。エスパニョールの新スポーツ部門ゼネラルディレクターに就任したモンチは、サン・フェルナンドCDのプロジェクトで共に活動するセルヒオの兄、レネ・ラモスと電話で話したことを明かした。

『午後にレネと話をした。彼らは重要なオファーをしたと信じているようだが、噂や雰囲気からすると、株主たちはそれを受け入れないだろう。セビージャにとってクラブが売却されることが最善であるなら、セルヒオ・ラモスと彼の人々のプロジェクトは非常に良いものに見えた。だが、どうやらそこから進展していないようだ』と見解を語った。

一方、元会長の息子で自身も元セビージャ役員であるルイス・クエルバス・デル・レアルは、ラモス側が資金調達に苦労していると聞き、助け舟を出したことを暴露している。

『私はセルヒオ・ラモスの弁護士であるフリオ・センに電話し、9000万ユーロの保証(アバル)を提供しようと申し出た。だが、まだ何の返答もない。保証はすでにテーブルの上に用意できたはずなのに』と語り、ラモス側がこの支援を無視したまま条件変更に踏み切ったことを指摘した。(via Estadio Deportivo / ElDesmarque)

クラブ売却問題:「第3の道」と北米ファンドの再浮上

ラモスとの交渉が暗礁に乗り上げたことで、一度は消えかけた他の買収オプションが再び息を吹き返している。その一つが、アントニオ・ラピとフェデ・キンテロの地元実業家コンビが率いる「第3の道(Tercera Vía)」である。彼らのオファーは3億2000万ユーロ(CVCからの借入金1億1800万ユーロを差し引いた額とも言われている)に達しており、ラモスの最新のオファーを上回っている。以前、ホセ・マリア・デル・ニド・ベナベンテはこのオファーを「不十分」と一蹴したが、ラピ自身は「非常に勇敢な提案だ」と自信を見せ、交渉が再び動く可能性を示唆していた。

さらに、現在最も有力視されているのは別の北米投資ファンドの存在だ。彼らは現在の売却側が要求する金額を満たす経済力を有しているとされ、5月31日にラモス側との独占交渉期間が終了次第、ゼロから動き出すと見られている。

ただし、この新しい手続きには1ヶ月半から2ヶ月を要するため、夏の移籍市場に向けた早急な資金注入(不可欠な増資)には間に合わない恐れがある。そのため、現在の経営陣はLaLigaとのタイミングを調整し、この動きに法的な枠組みを与えるための計画を急いで練っている。(via Estadio Deportivo)

強化部門の現状:ナバロ暫定SDとガルシア・プラサ監督の始動

クラブの所有権問題がカオス状態にある中、スポーツ部門は来季に向けた準備を余儀なくされている。アントニオ・コルドンが退任に向かっているため、現在はホセ・イグナシオ・ナバロが暫定スポーツディレクターとして実質的に現場を仕切っており、テレビ中継などでもクラブの顔として対応している。クラブ内での彼に対する評価は非常に高く、後任探しの動きもないことから、彼が来季もSDを務める可能性が高い。

そして、チームの指揮を執るルイス・ガルシア・プラサ監督は、1部残留を果たしたことで2027年6月30日までの契約延長を勝ち取り、新シーズンのスタートを心待ちにしている。彼はクラブの極めて厳しい経済状況(過去最悪レベルの緊縮財政)を受け入れた上で、初日から明確で認識しやすいプレースタイルを持つチームを構築し、年間を通じて成長させていくことを約束している。(via Estadio Deportivo / ElDesmarque)

夏の補強動向:コンデ獲得へ前進、メルカドは白紙の可能性

ナバロ暫定SDの主導のもと、すでにヘタフェからフアン・イグレシアス、ル・アーヴルからアルナ・サンガンテをフリートランスファーで獲得することが確定している。さらに、レアル・オビエドのアルベルト・レイナ(代理人はレネ・ラモス)への関心も再浮上している。

そして現在、最も優先されているのがゴールキーパーの補強だ。ニューカッスルからのレンタルだったヴラホディモスは、相手側の要求額が高すぎるため引き留めが不可能となった。そこで白羽の矢が立ったのが、ビジャレアルのディエゴ・コンデ(27歳)である。今季はルイス・ジュニオールとアルナウ・テナスの控えとして90分間の出場に留まった彼は、出場機会を求めて退団を希望している。ビジャレアル側も新プロジェクトに彼を含めておらず、完全移籍を希望しているものの、少額の移籍金やボーナスのみといった柔軟な対応を見せている。セビージャは買い取りオプション付きのレンタルを希望しており、コンデ自身もスペイン国内でのプレーを優先しているため、交渉はポジティブに進んでいる。

一方で、暗雲が立ち込めているのがパトリク・メルカドの獲得だ。2月末にエクアドルのインデペンディエンテ・デル・バジェとの間で移籍合意が発表されたが、1ヶ月も経たないうちに膝の前十字靭帯断裂という大怪我を負ってしまった。相手クラブのサンティアゴ・モラレス幹部は『署名された文書や選手との契約が存在する』と主張しているが、セビージャの財政状況で600万ユーロの移籍金を支払うのは極めて困難であり、最終決定は今後のメディカルチェックの結果次第となっている。現状では、テストをクリアできずに取引が完全に消滅する可能性が高い。(via Estadio Deportivo / ElDesmarque)

選手の退団と復帰:アルフォンとモーパイの買い取り見送り

冬の移籍市場でアントニオ・コルドンが主導した2つのオペレーションは、来季に繋がらない結果となった。フランス人FWのモーパイは、500万ユーロの買い取りオプションが行使されずにレアル・マドリード戦を最後にチームに別れを告げた。

また、ビジャレアルに買い取りオプション付き(700万ユーロ)でレンタルされていたウィンガーのアルフォン・ゴンサレスも、負傷の影響などでマルセリーノ監督の下で十分な出場機会(先発3試合、1ゴール)を得られず、オプションは行使されないことが確定した。ビジャレアルは完全移籍に向けた交渉も行わない方針だ。移籍金収入で一儲けする目論見は外れたが、アルフォンは2028年6月30日までの契約を残しており、不確実な新プロジェクトにおいて、まずはプレシーズンに合流する「新戦力」として扱われることになる。(via Estadio Deportivo)

プレシーズン:ポーランドでの親善試合が決定

財政難とクラブ上層部の混乱が続く中、夏のプレシーズンの最初の予定が公式に発表された。セビージャは7月19日の16時(現地時間)から、ポーランドでKSクラコヴィアと親善試合を行う。

この試合はポーランド最古のスポーツクラブであるKSクラコヴィアの創立120周年を記念して、約15,000人収容のスタジアムで開催される。セビージャとKSクラコヴィアは1923年(103年前)のレイナ・ビクトリア・グラウンドで2度対戦しており、1試合目は3-0でセビージャが勝利(キンケが2点、スペンサーが1点)、翌日の再戦では2-3で敗れた(スペンサーが2点、相手のクルシチンスキがハットトリック)という歴史的な縁がある。また、ポーランドへの遠征は2006年9月にビスラ・クラクフと対戦して以来であり、2015年にワルシャワでドニプロを破って4度目のヨーロッパリーグを制した思い出の地でもある。

なお、今夏のプレシーズンは経費削減のため、基本的にはホームのシウダ・デポルティーバ・ホセ・ラモン・シスネロス・パラシオスでトレーニングを行い、親善試合の時だけ遠征するというオーステリティ(緊縮)スタイルが採られる予定だ。(via Estadio Deportivo / ElDesmarque)

フアン・ムニョスの言葉:ラモス擁護とカンテラーノへの称賛

ポルトガルのウニオン・レイリアで素晴らしい成績を残しているセビージャのカンテラ出身FWフアン・ムニョスが、クラブの現状とセルヒオ・ラモスについて語った。彼はラモスを強く擁護し、次のように述べている。

『セルヒオほどセビージャを知っている人は少ない。彼は様々な時期にそこでプレーし、カンテラから育ち、他のファンと同じようにセビージャ愛を生きている。彼が来て状況を180度変えるための適任者だと思う』

また、降格の危機に瀕した古巣の姿に外から心を痛めていたと明かし、『何かを変えなければならない。セビージャが本来あるべきレベルに引き上げるために』と警鐘を鳴らした。

同時に、苦境の中でチームを救った下部組織の若手選手たちを称賛した。

『こうした状況になるまで、我々がいかに素晴らしいカンテラを持っているかに気づかないことが多い。難しい局面でカンテラーノたちが踏ん張り、セビージャに求められるレベルを示して残留に大きく貢献したことは、同じカンテラ出身として非常に嬉しい。誰もがエリートに立つ力を持っていることを証明した』

彼自身はトップチームで12試合しかプレーできず、1部リーグで長くプレーできなかったことを「心のトゲ」と表現しつつも、自身のキャリアを誇りに思っていると振り返った。(via Estadio Deportivo)

【本日の総括】

セルヒオ・ラモスによるクラブ買収劇は、土壇場での大幅な条件変更により決裂が濃厚となり、セビージャの経営権問題は再び振り出しに戻りました。それに伴い「第3の道」や新たな北米ファンドが浮上していますが、資金注入の遅れが懸念されています。現場ではナバロ暫定SDとガルシア・プラサ監督が厳しい緊縮財政の中で来季の編成を進めており、GKコンデの獲得やポーランドでのプレシーズンマッチなどが決定しています。