宿敵ベティスとの開幕戦は惜敗、エリア内での決定力不足が響き0-1ドローに届かず
ラ・リーガ第2節、レアル・ソシエダの今シーズン最初の公式戦が、かつてコパ・デル・レイの歓喜を味わった思い出のスタジアム、セビージャのラ・カルトゥハで行われました。およそ59,490人の観衆が見守る中で行われた一戦は、お互いに手の内を知り尽くしたライバル同士のタフな戦いとなりましたが、結果は0-1での手痛い敗戦となりました。
ペレグリーノ・マタラッツォ監督は、昨シーズンの守備崩壊による反省から、まずは組織としての守備を強固にする選択をしました。前線からのハイプレスではなく、自陣で1-4-4-2の強固なブロックを敷いてスペースを消すアプローチを採用しました。
前半のソシエダは、プラン通りにベティスの攻撃をよく制限していました。そして唯一の決定機は前半の終盤に訪れました。中盤で非常に安定したプレーを披露していたヤンゲル・エレラが素晴らしいボール奪取から前線へ鋭いロングフィードを送ると、これに反応したオルリ・オスカルソンが完全に抜け出し、相手GKアルバロ・バジェスと一対一になりました。オスカルソンはループシュートを選択したものの、キックに繊細さを欠き、ボールは虚しくもクロスバーの上を大きく越えていきました。
後半に入ると、ベティスがギアを上げてサイドからの攻撃を鋭くしてきました。そして62分、決定的な瞬間が訪れます。ベティスのクチョ・エルナンデスがエリア手前でタメを作り、対角線上にふわりとしたラストパスを供給。これに走り込んだロドリゴ・リケルメに左足のダイレクトボレーを叩き込まれ、先制を許してしまいました。
追いかける展開となったソシエダは、負傷明けのためベンチスタートとなっていたエースのミケル・オヤルサバルを投入し、ここから猛反撃を開始します。オヤルサバルが入ったことで攻撃の流動性が一気に向上し、中盤から前線へと効果的にボールが回り始めました。
その直後、オヤルサバルからの素晴らしい折り返しを、ペナルティエリア手前で受けたルカ・スシッチが左足で強烈なシュートを放ちましたが、これは惜しくもゴール左ポストを直撃。さらに82分、再びオヤルサバルがエリア内で複数のディフェンダーの足の間を射抜く天才的なラストパスを送り、オスカルソンがゴール至近距離で完全にフリーとなりました。しかし、オスカルソンのシュートはGKバジェスの見事なブロックに阻まれ、最大の決定機を逃してしまいました。
試合終了間際にも、18歳の新鋭アレックス・マルシャルが左サイドから素晴らしいピンポイントクロスを上げ、ファーサイドでオスカルソンが頭で合わせようとしましたが、相手DFナタンの執念のクリアに遭い、最後までネットを揺らすことはできませんでした。この敗戦により、ソシエダは昨シーズン終盤からのリーグ戦における未勝利の悪い流れを止めることができず、また公式戦および親善試合を含めて18試合連続で無失点(クリーンシート)を逃すという守備の課題も浮き彫りとなりました。(via DiarioVasco)
久保建英、開幕戦での葛藤と亡き戦友への誓い
日本が誇るアタッカー、久保建英はベティスとの開幕戦で右ウイングとして先発出場を果たしました。
久保は試合立ち上がりに非常に積極的な守備アクションを見せ、今シーズン最初の一戦に向けて高いモチベーションを漲らせている様子を窺わせました。しかし、チーム全体がまず自陣に引き気味に守る守備的なアプローチを取っていたこと、そして中盤からの効果的なビルドアップが少なかったこともあり、攻撃面では左ウイングのアンデル・バレンネチェアと同様に、なかなか良い形でボールを受けることができませんでした。
試合中に見せた最も大きな輝きは、右サイドからの個人技でした。久保は得意のクロケッタ(ダブルタッチ)を駆使し、瞬時に目の前の相手ディフェンダー2人をかわして置き去りにする素晴らしい突破を見せました。しかし、カバーに入った3人目のディフェンダーに阻まれ、シュートシーンを演出するには至りませんでした。現地メディアの評価でも、もっと自らゴールへ積極的に仕掛ける(encarar)姿勢が必要であったと、その物足りなさを指摘されています。最終的に久保は後半57分、チームの戦術変更に伴い、エースのオヤルサバルと交代してピッチを後にしました。
また、ピッチ外において非常に悲しいニュースがチームを襲っていました。ソシエダの下部組織(カンテラ)から若手選手たちの食事や栄養管理を献身的に支え、多くのファーストチームの選手たちからも兄貴分として深く愛されていた、セカンドチーム(サンセ)の栄養士であるイオン・ゴメス氏が、長い闘病生活の末に31歳というあまりにも若すぎる年齢で逝去しました。
この訃報はクラブ全体に深い悲しみをもたらしました。久保建英とイオン・ゴメス氏の間には、非常に特別な絆がありました。2025/26シーズン中、イオン・ゴメス氏が病気のために現場を離れざるを得なくなった際、久保は12月のレバンテ戦でゴールを決めた直後、ユニフォームの下に着ていた「Eutsi Iongo, zurekin gaude」(頑張れイヨン、僕たちは君と共にある)というメッセージ入りのTシャツを掲げ、彼に向けて心のこもったエールを送っていました。
この悲報を受け、ソシエダの各カテゴリーや、金曜日に行われた練習場ズビエタでは静かな黙祷が捧げられ、ベティス戦に臨んだファーストチームの選手たちも、全員が腕に黒い喪章を巻いて哀悼の意を表しながら、亡き戦友のために戦い抜きました。(via NoticiasDeGipuzkoa)
ペレグリーノ・マタラッツォ監督の強い不満とメディカル問題の真実、GKの序列撤廃宣言
ソシエダを率いるペレグリーノ・マタラッツォ監督は、開幕戦の敗戦について非常に悔しさを滲ませながらも、チームが見せた戦う姿勢に一定の手応えを口にしました。
マタラッツォ監督は試合後の記者会見で、試合のディテールと結果に対する率直な不満を次のように述べています。
『今日の戦いぶりを見て、チームは非常に良く競争できていたと感じている。だからこそ、敗北に値するゲームではなかった。特に後半終盤のオスカルソンのあの決定的なシーンが決まっていれば、結果は全く異なるものになっていたはずだ。前半はベティスを非常に良くコントロールできていたが、自分たちのビルドアップの局面で簡単にボールを失いすぎたため、望んでいたほどのチャンスを作り出すことができなかった。失点した後は、さらにリスクを背負って攻撃的に出て行き、実際に試合を揺るがす素晴らしい決定機を何度も作り出した。我々に唯一欠けていたのはゴールだ。まだシーズンの最初のステップを踏み出したばかりであり、この一戦から抽出し、向上させるべきプラスの要素は山ほどある。守備に関しては非常にコンパクトな組織を作れていたが、もちろん攻撃の質や決定力を含めて、さらに改善していく必要がある』
また、移籍市場で補強が未だに進んでおらず、ファンやメディアの間で焦りや不満が渦巻いている現状について、監督は明確な考えを示し、言い訳を拒絶しました。
『これ以上の補強が到着するのをただ待つつもりはない。私たちの目は、すでに次の水曜日に控えるレアル・マドリードとの大一番へと向いている。今日ピッチに立ち、90分間戦い抜いたこの選手たちのスカッドであれば、世界中のどのようなトップクラブが相手であろうとも、それがレアル・マドリードであっても、対等以上に競い合えると確信している。もし自分たちがやるべき仕事を完璧にこなすことができれば、ベルナベウという厳しい地であっても素晴らしい成果を勝ち取ることができるだろう』
さらに、加入が間近に迫りながらメディカルチェックで急転直下、破談となった Nayef Aguerd(ナエフ・アゲルド)の獲得失敗の背景について、監督自ら詳細を激白しました。
『私は普段、ソシエダ以外の所属選手についての言及は避けているが、今回だけは事実をクリアにするために特別にコメントする。アゲルドがクラブのメディカルチェックを受ける10日前、私は彼と本当に素晴らしい、前向きな話し合いを行っていた。しかしその後、ドクターチームから提出されたメディカル検査の結果と詳細なレポートを受けた。フットボールにおける健康状態の評価は、時に白か黒かという単純なものではなく、非常に判断の難しいグレーな解釈を伴う。クラブ、そして医療チームと慎重に議論を重ねた結果、我々は最終的に彼の獲得をここで見送り、契約を進めないことが最良かつ賢明な判断であるという結論に達した。それだけのことだ』
最後に、今シーズンの守護神争いにおいて、長年不動の1番手であったアレックス・レミロとウナイ・マレーロの起用方針について、これまでの常識を覆す大胆な序列撤廃を宣言しました。
『私の中に、すでに固定された1番手、あるいは2番手というヒエラルキーは存在しない。この過酷なシーズンにおいて、私は二人の優れたゴールキーパーが、それぞれ非常に多くの試合でゴールマウスを守ることになると考えている。選手たちともすでに直接話し合いを行っており、彼らもこの方針を明確に理解している。あらかじめ、特定の大会やリーグ戦、あるいはヨーロッパリーグといったコンペティションごとにキーパーの役割をきっちり切り分けるようなルールを設けるつもりはない。その都度、チームの最大パフォーマンスを引き出すために決断を下していく』(via ElDesmarque)
主砲オルリ・オスカルソンの悔恨と大いなる覚悟、レジェンドの悲劇を思い起こした恐怖の瞬間
この日、先発フル出場を果たした若きアイスランド代表FWオルリ・オスカルソンは、試合後に非常に深い悔しさをあらわにしていました。前後半にそれぞれ一度ずつ、チームを救うことができたはずの決定的なチャンスを逃してしまったからです。
しかし、マタラッツォ監督は決定機を外したストライカーに対して、次のように絶大な信頼を口にして彼を力強く擁護しています。
『彼は生粋のフォワードだ。フットボールの世界には、放ったシュートがすべてネットに吸い込まれる日もあれば、どうやってもゴールに入らない日もある。今日のミスについてこれ以上議論を重ねる必要は一切ない。彼はただしっかりと顔を上げ、次のゲームに向けて進むだけだ。次のレアル・マドリード戦で同じようなチャンスが訪れたとき、彼は必ずそれを決めてくれると信じている』
オスカルソン本人は、新シーズンへの意気込み、自身の身体の変化、そしてプレシーズン中のヒヤリとするアクシデントについて、35分を超える非常に長いロングインタビューで胸の内を赤裸々に明かしています。
『今年のプレシーズンは、個人的に本当に大きな変化を実感しています。昨シーズンはプレシーズンに入る段階で身体にトラブルを抱えており、開幕早々に離脱を強いられるという非常に辛いスタートでした。しかし今夏は、Vacation(休暇)をただの休みとして過ごすのではなく、事前に身体を完璧に仕上げてから合流するための準備期間として活用しました。そのおかげで身体は最初から素晴らしくフィットしています。自分がこれまでで最も素晴らしいフットボールをプレーできていたと確信しているのは、昨シーズンの2月から5月にかけての期間です。あのときの素晴らしい感覚と自信が、今の自分にもしっかりと残っています。LaLiga はインテンシティが非常に高く、激しいフィジカルコンタクトが求められる過酷なリーグです。だからこそ、この夏はフィジカルコーチと密に連携し、無駄な脂肪を落としながら、筋肉量をしっかりと増やして身体のサイズを大きくするためのトレーニングを泥臭く重ねてきました。ピッチ上での強さが増したと実感しています。プレシーズン最終戦のチェルシー戦での、ロベルト・サンチェスとのあの接触プレーについては、本当に肝が冷えました。タックルを受けた最初の5分間は、膝がみるみる大きく腫れ上がっていき、痛みで走ることすらできず、これは最悪の事態になったと本当にパニックになりました。ハーフタイムの時点ではこれ以上プレーするのは不可能だと思いましたが、なんとかピッチに戻ってテストを続けました。サンチェスはスペイン語で「最初にボールに触った」と私に言っていましたが、あのシーンを見れば明らかにファウルであり、私は彼の意見には同意しません。幸いにも重傷には至らず、ただの強烈な打撲だけで済んだのは奇跡のようです。私は、かつてこのクラブのレジェンドストライカーであるイマノル・アヒルエチェ氏が、アトレティコ・マドリードのキーパーであるオブラクとの同様の交錯プレーによって、どれほど深刻で悲劇的なケガを負い、その後のキャリアを奪われてしまったかという悲しい歴史をクラブの人々から聞いて知っていました。だからこそ、あの激しい接触で大怪我を免れたことについて、心の底から自分がラッキーだったと感じています。オヤルサバルとのプレースタイルの共存や相性については、素晴らしい可能性があると感じています。周囲からはよく、二人は全く同じポジションを争うライバルだと言われますが、私はミケルと一緒にピッチに立ち、共にゴールを目指してプレーすることを強く望んでいます。彼はピッチの内外で非凡なインテリジェンスとカリスマ性を持つ絶対的なリーダーです。彼がトップ下(10番)のポジションでクリエイティブに動き回り、私が純粋なストライカー(9番)として最前線で身体を張る関係は、チームの攻撃陣に非常に多彩で手強い選択肢をもたらすはずです。クラブが今夏の市場で新たなストライカーの獲得を見送り、私への信頼を示してくれたことについても、大きなモチベーションになっています。誰が来ようとも、私は自分のフットボールを高め、結果を出し続けることに集中するだけです』(via DiarioVasco)
移籍市場閉幕間際、フロントのトップ不在の裏で進む補強計画とゲデスへの魔の手
今夏の移籍市場におけるソシエダの動きは極めて慎重であり、ここまで新戦力の到着がないため周囲の不満は高まりを見せています。
その中で迎えた開幕戦ですが、チームの遠征バスやラ・カルトゥハのVIP席(パルコ)に、Jokin Aperribay(ジョキン・アペリバイ)会長とErik Bretos(エリック・ブレットス)スポーツディレクターの二人の姿はありませんでした。ブレットスSDがファーストチームのアウェイ戦に帯同しないのは、彼がディレクターに就任して以来、極めて異例の事態です。
この institutional(組織的)なツートップの不在が意味するものはただ一つ、移籍市場の閉幕まで11日と迫る中、彼らがサン・セバスティアンの事務所に留まり、水面下で複数の補強案件を成立させるために24時間体制で緊迫した交渉を行っているということです。
マタラッツォ監督はフロントに対して、主に「頼れるセンターバック(アゲルド破談に伴う代替)」「守備能力の高い強力なアンカー(メキシコ代表エドソン・アルバレスらと交渉中)」「信頼できる右サイドバック」の3つのポジションを明確な補強ポイントとして求めており、フロント陣にとっては時間との戦いとなっています。
一方で、現在の攻撃陣を支えるポルトガル代表アタッカー、Gonçalo Guedes(ゴンサロ・ゲデス)に対して、サウジアラビアのアル・ワハダ(Al-Wahda)が獲得を目指して関心を寄せており、非常に高額な資金力を背景に身辺調査(タンテオ)を行っているという噂が浮上しています。
ソシエダとゲデスの契約は2029年まで残っており、クラブ側は最近のチームの発展に大きく貢献してきた彼の存在を非常に重要視しており、簡単に手放すつもりはありません。また、ゲデスはプレシーズン中に非スポーツ系の個人的な事情によるプライベートな手術を受け、最近になってようやく全体練習に復帰したばかりです。そのためコンディション不足を考慮され、今回のベティス戦の招集メンバーからは外れていました。チームの戦術に完全にフィットするための時間が必要とされていますが、市場終盤の動きには警戒が必要です。(via Mundo Deportivo)
生え抜きアイヘン・ムニョスが執念の200試合出場、愛するクラブでの金字塔
ベティス戦の後半72分、イエローカードを受けて相手の突破に苦慮していたセルヒオ・ゴメスに代わって左サイドバックに入ったアイヘン・ムニョスにとって、この日は自身のこれまでのキャリアを称える特別な記念碑的な夜となりました。
アイヘンはこの出場により、レアル・ソシエダのファーストチームにおける公式戦通算「200試合出場」という見事な金字塔を達成しました。クラブの長い歴史の中でも、この節目に到達した選手はわずか70人しか存在しません。現スカッドでも、オヤルサバル(438試合)、ズベルディア(332試合)、レミロ(310試合)、バレンネチェア(235試合)に次ぐ、5番目の古参選手となりました。
アイヘンにとって、この場所にとどまり続けることは簡単な道のりではありませんでした。毎年のように移籍市場が開くたび、クラブは彼のポジションにケビン・ロドリゲス、モンレアル、ディエゴ・リコ、キーラン・ティアニー、ハビ・ガラン、そして今夏のセルヒオ・ゴメスやハビ・ロペスといった錚々たる実力者を左サイドバックの補強として連れてきました。
今夏も Osasuna(オサスナ)をはじめとする複数のクラブが彼の獲得に動き、自身の契約も残り1年となっていたため、一時は Anoeta(アノエタ)を去ることが確実視されていました。しかし、アイヘンは驚異的な粘り強さとプロ意識、そしてピッチ上での確かな献身性によって、常にすべてのライバルたちとの競争を生き抜いてきました。
クラブは公式SNSを通じて、アイヘンが子供の頃にtxuri-urdinのユニフォームを着て無邪気に笑っている愛らしい画像とともに、次のような祝福メッセージを添えてその偉業を称えています。
『200試合もの間、このユニフォームをひたむきな努力、強いコミットメント、そして熱いtxuri-urdinの精神で守り続けてくれました。すべてのtxiki(子供たち)の夢を体現した存在です。ゾリオンアック、アイヘン!さらに多くの試合を共に積み重ねていきましょう』
アイヘンはすでに、クラブのレジェンドであるアントワーン・グリーズマンやペリコ・アロンソの持つ202試合という記録を目の前に捉えており、このまま行けば今シーズン中にカルロス・ベラの持つ250試合という記録に迫ることも十分に可能です。(via Mundo Deportivo)
18歳の俊英アレックス・マルシャル、期待に応える鮮烈1部デビュー
敗戦という苦渋の結果に終わったセビージャの夜でしたが、カンテラを何よりも誇りとするソシエダにとって、非常に眩しい未来への希望の光が差し込みました。18歳の若き俊英アタッカー、アレックス・マルシャルがトップチームにおける待望の公式戦デビュー、そして輝かしいラ・リーガ1部の舞台へと足を踏み入れたのです。
マルシャルは後半57分、久保建英に代わって背番号「29」を背負い、左ウイングのポジションへと送り込まれました。
パンプローナのゴライス地区出身のマルシャルは、15歳の時にソシエダのスカウト網に見出され、当時は宿敵アスレティック・ビルバオの提携クラブであったTxantrea(チャントレア)からソシエダへと引き抜かれた経緯を持ちます。彼の父親であるイスマエル氏もかつて、あのファビオ・カペロ監督が率い、ラウルやイエロ、レドンド、ミヤトヴィッチといったスターを擁したレアル・マドリードのトップチームでデビューを飾った高名なフットボーラーです。
昨シーズン、17歳にしてすでに2部(ラ・リーガ・ハイパーモーション)に所属していたサンセにおいて、ライバルのジョブ・オチエン(今季1部での登録ライセンス枠を獲得)の影に隠れて先発13試合、約1,300分のみの出場にとどまっていたマルシャルですが、今夏のプレシーズンにマタラッツォ監督によってファーストチームの合宿に招集された12人のカンテラーノの中で、最もまばゆいパフォーマンスを披露。親善試合で監督の心を完全に掴み取りました。
ベティス戦でのデビュー当初こそ、大舞台の緊張からかボールコントロールをわずかに滑らせてしまうような初々しいミスも見られましたが、試合の終盤には、左サイドの深い位置で相手の猛烈なプレスをいなし、ライン際でボールを粘り強く残してからファーサイドのオスカルソンへ届ける極めて高精度なピンポイントクロスを配給。目の肥えたサポーターに、その類稀なる才能の片鱗をはっきりと見せつけました。攻撃陣にフレッシュなエネルギーを注入する、非常に面白い新オプションが誕生しました。(via MARCA)
アンデル・バレンネチェアを襲った疲労と違和感、強行出場の限界
左ウイングとして先発したアンデル・バレンネチェアですが、この日は本来のキレやダイナミズムを完全に見失っており、非常に苦しい出来に終始してしまいました。
バレンネチェアは、対面したマルク・バルトラとの一対一のデュエルで完全に封じ込まれ、決定的なシーンを一度も作ることができず、パスの配給やトラップといった基礎的な技術の局面でも、普段からは考えられないほどerrático( errant / 不正確)なミスを繰り返してチームの攻撃のリズムを著しく停滞させました。
そして後半55分、カウンターから仕掛けようとした局面で自らプレーを止め、ベンチに向けて交代を要請するジェスチャーを行いました。
プレシーズン中、ソシエダがこなした親善試合全7試合に出場し、そのうち5試合で先発を務めてきたバレンネチェアですが、その強行出場の蓄積により、試合前から明らかなコンディションの低下と、心身の疲弊のサインが見られました。
マタラッツォ監督は試合後の記者会見で、彼の状態について以下のように説明し、懸念を表明しています。
『バレンネチェアは、ピッチに入る前からかなりの疲労を身体に蓄積させており、試合中に特定の部位に明らかな違和感(痛み)を訴えて交代を直訴した。現時点でメディカルスタッフが精密な検査を行っている最中であり、具体的な負傷の程度や痛みの原因について詳細を話すことはできない。来週の記者会見までには、より具体的な治療期間や次戦レアル・マドリード戦への出場可否について報告できるだろう』(via Mundo Deportivo)
カンテラの悲喜こもごも、ルペレスの2軍復帰とバルセロナの新鋭ヘクトール・フォート獲得への障壁
クラブの将来を見据えた若手の育成方針において、カンテラではいくつかの非常に大きな動きが発生しています。
まず、右サイドバックとして昨シーズン最終盤にトップデビューを飾り、今夏のプレシーズンでも一貫してマタラッツォ監督のもとでアピールを続けていた23歳のDFイニャキ・ルペレス(Iñaki Rupérez)が、今シーズンはBチームであるサンセに戻ってプレーすることが正式に決定しました。
ルペレスは一昨年の活躍から非常に高い評価を得ていましたが、昨シーズンは重傷を負ったことで1年をほぼ棒に振る厳しい時間を過ごしてきました。マタラッツォ監督、そしてSDらの協議の結果、この重要な成長期においてトップチームのベンチを温めるよりも、サンセの絶対的な主力として毎週末に90分間タフに戦い、試合勘と本来のトップパフォーマンスを取り戻すことこそが、彼のこれからのフットボール人生にとって何よりも重要であると判断されました。
サンセの指揮を執るヨン・アンソテギ監督は、ルペレスの復帰と彼に託す使命について、次のように期待を語っています。
『イニャキが我々のチームに戻ってきてくれたことは、本当に心強い限りだ。彼にとってはケガからの復帰を含めて本当に苦しい1年だった。だからこそ、今我々が彼に対して行うべきことは、単にピッチでのパフォーマンスや戦術的な貢献を求めることではない。まずは彼を丁寧にケアし、それと同時に彼に対して非常に高い規律とハードワークを「要求」することだ。彼がかつてピッチの上をオートバイ(原チャリ)のような凄まじいスピードとキレで駆け回っていた、あの全盛期の輝かしいコンディションを取り戻す手助けをしたい。今シーズン中、どこかの段階であの圧倒的な姿とピッチで再会できることを心から楽しみにしている』
このルペレスのBチーム降格によって、ファーストチームの右サイドバックの登録枠が一つ空いたことを受け、エリック・ブレットスSDは、バルセロナに所属するティーンエイジャーの逸材サイドバック、ヘクトール・フォート(Héctor Fort)のレンタルでの獲得に向けて本格的に動き出しました。クラブ側は、選手本人の代理人やバルセロナのフロント陣とすでにファーストコンタクトを取ったことを確認しています。
しかし、この交渉の前には、非常に高くて険しい壁が立ちはだかっています。
ドイツの強豪ボルシア・ドルトムントが、以前からフォートの動向を真剣に追っており、選手本人もドルトムントという若手の育成に定評のある欧州の大舞台での挑戦に非常に強く惹かれており、ドルトムントへの移籍を第一希望として待機している状態です。
ドルトムントは現在、イタリアのインター・ミランが獲得を狙っている若手センターバックのルカ・レッジアーニの売却交渉を進めており、この放出によってサラリーリミット(資金力)の枠を確保でき次第、フォートの獲得オペレーションを完了させる構えです。ソシエダは、このドルトムントの動きが何らかのトラブルで頓挫すること、あるいはバルセロナ側との条件面で折り合いがつかなくなるシナリオを待ちながら、奇跡的な獲得へのチャンスを模索する厳しい状況に置かれています。(via ElDesmarque)
中盤の光と影、ヤンゲル・エレラの見事なパススタッツとカルロス・ソレールの中盤での沈黙
ベティス戦で、ソシエダの中盤を支える二人の新旧実力者たちのパフォーマンスには、極めてコントラスト(明暗)の分かれる内容となりました。
最も大きな驚きとポジティブな驚愕を提供したのが、昨シーズンに多額の移籍金で加入しながらも、プレシーズン中の度重なる負傷離脱やコンディション不良によって全く輝けず、サポーターから厳しい批判を浴び続けていたベテランのヤンゲル・エレラ(Yangel Herrera)でした。
エレラはこの試合、これまでの不甲斐ない姿を完全に払拭する、まさに彼が全盛期に見せていたインテンシティを取り戻したかのような大車輪の活躍を見せました。守備面では、中盤のアンカー(4番)のポジションに入り、ベティスが狙うセカンドラインからの鋭い飛び出しや侵入をことごとくシャットアウトする強固な壁として機能。さらにボール保持の局面でも、非常に落ち着いた技術と視野の広さでパスを散らしました。前半に見せた、オスカルソンへのあのピンポイントの超長距離スルーパスは、間違いなく前半最大のハイライトでした。
スタッツの面でもその貢献は圧倒的で、試合全体のパス成功率は驚異の「93%(46本中43本成功)」をマーク。特に自陣内でのパス成功率は「30/31」、敵陣でも「13/15」という驚異的なフットボールインテリジェンスと精度を示しました。
後半60分過ぎ、疲れから相手のプレッシャーに遭ってハーフライン付近で危ういロストを犯し、さらにリケルメのゴールシーンでは、自陣エリア内に下がりすぎてしまい、エリア手前のクチョ・エルナンデスへのマークのズレを招いて失点の一因となるなど、いくつかの致命的な守備の判断ミスはあったものの、72分に交代するまで見せたパフォーマンスは、間違いなく今後のソシエダの中盤を強固にする上で大きな希望となるクオリティでした。
その一方で、パリ・サンジェルマンからのレンタル加入で非常に高い期待と熱視線を集め、チームの中盤のダイナモ(8番)としてのタスクを任されていたカルロス・ソレール(Carlos Soler)は、90分間の全編を通して、ピッチ上で完全に「invisible」(目に見えない、存在感皆無)な状態に陥ってしまいました。
ソレールは、前半のソシエダがビルドアップに最も苦しんでいた時間帯において、ボールを引き出す動きや、中盤でパスコースを作る役割を果たすことが全くできず、ボールタッチ数が極端に少ないまま、エリア内でのクリエイティブな仕事も皆無でした。後半に入り、チームが攻撃的なシステムに変更してからは多少ボールに絡むシーンは増えたものの、本来彼が持っているはずの決定的なラストパスやゲームコントロールの質には程遠い、あまりにも寂しい低調な出来にとどまりました。次戦のベルナベウでの戦いに向けて、早急な状態の改善が求められています。(via DiarioVasco)
【本日の総括】
レアル・ソシエダは、ラ・リーガ開幕戦となるアウェイでのベティス戦に0-1で惜敗し、今シーズンを黒星という厳しい結果でスタートしました。久保建英は先発出場したもののチーム全体の守備的な戦術の中で輝きを放てず、後半に交代。チームは31歳の若さで亡くなった愛すべき栄養士イオン・ゴメス氏に勝利を捧げることができませんでした。一方で、アイヘン・ムニョスの公式戦200試合出場達成や、18歳のアレックス・マルシャルの見事な1部デビューなどカンテラ出身者の明るい話題もありました。移籍市場ではアペリバイ会長らが事務所に残って補強を急ぐ緊迫した状況が続く中、マタラッツォ監督率いるチームは、水曜日に控えるレアル・マドリードとの次なる大一番に向けて中盤の再調整と決定力不足の解消を急ぎます。
