[ブエルタ・ア・エスパーニャ]23歳女性教師がネットカフェから送ったメール1通の奇跡!「南のアングリル」と呼ばれる伝説の激坂ラ・パンデラに隠された誕生秘話

世界最高峰の自転車ロードレース、ブエルタ・ア・エスパーニャ。その中でも「南のアングリル」と恐れられる超難関の激坂ルート「ラ・パンデラ」は、かつて冷戦期に米ソの監視基地として建設された後、長年にわたり放棄され一般の立ち入りが制限されていた山だった。しかし2001年の夏、ジャエン県で開かれたお祭りの席で、当時23歳だった体育教師の女性、フアニ・サフラが、羊飼いたちの「古い軍事用道路のゲートが開いているらしい」という噂話を聞きつけたことからすべてが始まる。

好奇心を抑えきれなくなった彼女は、パートナーのファン・アルベルトを説得し、車でその山道を登ってみることにした。すると、車のエンジンが悲鳴をあげるほどの凄まじい激坂の先に、目の覚めるような美しいオリーブ畑が広がる絶景が待っていた。このあまりの衝撃に「ここをブエルタが通るべきだ」とひらめいた二人は、すぐに近くのインターネットカフェへ駆け込み、大会主催者のウニプブリックへ一通の電子メールを送った。当時はまだ電子メールが「ボトルにメッセージを詰めて海に流す」ような不確かな時代だったが、新たな難関ルートを模索していた主催者の目に留まり、実際に現地視察が行われることになる。

その結果、なんとわずか1年後の2002年には早くも公式ルートとして採用され、ロベルト・エラスが初代王者に輝いた。翌年2003年には若きアレハンドロ・バルベルデがその名を歴史に刻み、2022年にはリチャルド・カラパスが勝利を収めている。たった一人の女性が送ったメールが、今や世界中が熱狂する伝説の激坂へと姿を変えた。そして今、リーダーであるエンリック・マスが赤色のマイヨ・ロホを身にまとい、ライバルたちの追撃をかわすためにこの過酷な頂に再び挑もうとしている。 (via MARCA)