世界に衝撃を与えたバロンドーラー、ロドリ・エルナンデスのバルサ電撃移籍と宿敵レアル・マドリードを拒絶した交渉のインサイドストーリー

今夏の欧州フットボール界を揺るがす最大の衝撃となったのが、マンチェスター・シティのスペイン代表MFロドリ・エルナンデスが、バルサへの電撃完全移籍を完了させた一件です。

ロドリは先日のワールドカップにおいて大会最優秀選手(MVP)に選出され、2024年のバロンドールを受賞した現代フットボール界の最高峰のゲームメーカー。彼が7シーズン過ごしたイングランドを離れて母国への帰還を熱望した際、獲得の最有力候補と目されていたのは、トニ・クロースの電撃引退後に中盤の指揮者を失い、深刻な組織崩壊をきたしていたレアル・マドリードでした。

マドリードのエンリケ・リケルメ大統領候補が『ペレス会長に対抗してロドリとハーランドの獲得を公正証書で確約した』とアピールしていたものの、現職のフロレンティーノ・ペレス会長はこのリケルメ氏の動きを極めて不愉快に感じており、さらにクラブがヤン・ディオマンデの獲得交渉やヴィニシウスの給与更新オペレーションを優先してロドリへの対応を遅らせたことが決定的な亀裂を生みました。

ロドリは自身へのリスペクトを欠いたマドリードの消極的な姿勢に完全に失望。その隙に、デコSD率いるバルサの交渉チームが電撃的に介入し、わずか1週間という驚異的なスピードでマンチェスター・シティと合意に達しました。

取引の具体的な財務スキームは以下の通りです。バルサは固定額「6000万ユーロ(約60M€)」をシティに支払うことで合意。ここに、達成難易度の高い出場試合数などの条件に基づく1000万ユーロのボーナス、および達成が極めて容易な600万ユーロのボーナス(計1600万ユーロのインセンティブ)が加わり、総総額は7600万ユーロに達します。契約は2030年までの長期契約です。

水曜日のジョアン・ガンパー杯において、ロドリがスタジアムのサポーターの前にその姿を現した瞬間、Spotifyキャンプ・ノウのスタンドからは地鳴りのような『ロドリ!ロドリ!』の大チャントが沸き起こり、バルサファンの熱狂は最高潮に達しました。

マドリード側の解説者であるアルバロ・ベニト氏は、ロドリを失ったマドリードの痛恨のダメージを指摘しつつ、『バルサもマドリードも今季は縦への速さを重視した非常に垂直なフットボールを展開するため、スタイルによる選択ではない。マドリードは彼を失ったことで、中盤のビルドアップを整理する世界最高のパーツを宿敵に明け渡すことになった』と語り、マドリードの重大な失策を論評。

ロドリ自身、プロのアスリートでありながら学業を怠らず、Villarreal時代には大学の学生寮に住みながら2014年からカステリョン大学(UJI)で企業管理(ADE)の学位を取得。イングランドへ移籍した後もわざわざマンチェスターからスペインまで飛行機で試験を受けに戻るほどのストイックな規律の持ち主です。

彼はRTVE of ドキュメンタリー番組において、バロンドール受賞時の心境について次のように語っていました。

『受賞した瞬間、私のこれまでの人生のすべてが頭を駆け巡りました。しかし、スペイン国内では海外のように自国の選手を100パーセント称える文化が薄く、まるでバロンドールを勝ち取ったことで周囲に謝罪しなければならないかのような息苦しい空気すら感じました』。

名将ペップ・グアルディオラのもとで『まるでマトリックス(仮想現実)のシステムに入り込んだかのような全く異なる戦術的視野』を授かったと語るロドリの加入は、フリック監督が進めるバルサ再生プロジェクトにおける絶対的な「脳」として機能することになります。 (via SPORT / ElDesmarque / Mundo Deportivo)

クラブの歴史に埋もれた偉大なるレジェンド「パコ・ロドリ」の功績とマラドーナ獲得を最初に推薦したスカウティング秘話

ロドリ・エルナンデスが今夏バルサのユニフォームを身にまとったことで、バルサの歴史上における『もう一人のロドリ』、すなわちクラブ史における比類なき忠誠の象徴である「パコ・ロドリ(Francesc Rodriguez)」ことフランセスク・ロドリゲス氏(1934-2022)の高潔なキャリアが改めて見直されています。

1934年にバルセロナのサンツ地区で生まれたパコ・ロドリは、カンテラから昇格してHelenio Herrera(エレニオ・エレーラ)監督にその卓越した空中戦の強さと冷徹なマーク能力を見出され、1950年代後半のバルサの伝説的な守備の絶対的柱としてリーグ連覇に大きく貢献しました。

現役引退後も彼は一貫してバルサの裏方としてクラブを支え続けました。下部組織やアマチュア部門の監督を務める傍ら、技術秘書として欧州全域のスカウティングレポートを担当。

実は、若き日のディエゴ・アルマンド・マラドーナの卓越した才能を見抜き、クラブに対して『何が何でも、すぐにこのアルゼンチンの真珠を獲得すべきだ』という内容の、世界で最初のスカウティング推薦レポートに署名したのが、他ならぬパコ・ロドリでした。

それだけでなく、彼はミゲリやキケ・コスタス、デ・ラ・クルス、アラン・シモンセン、およびビクトル・ムニョスといった、後にバルサの黄金期を築くことになる数々の名手たちの獲得を決定づけた数万枚のプロファイルレポートを書き上げました。

ピッチ上で神のように君臨するロドリ・エルナンデスが中盤のゲームを完璧に支配する存在であるならば、1930年代から2020年代までバルサ一筋でその生涯を全うしたパコ・ロドリは、クラブが窮地にあるときも常に裏から支え続けた『最も美しいバルサの魂』そのものです。 (via SPORT)