劇的な1部残留と最終節の展望
エスパニョールはラ・リーガ・EAスポーツの第37節でオサスナの本拠地エル・サダルに乗り込み、1-2の勝利を収めて見事に1部残留を確定させました。カルロス・ロメロが先制点を挙げ、一度はビクトル・ムニョスに同点ゴールを許したものの、キケ・ガルシアの決勝ゴールで勝ち越しました。この試合でのエスパニョールの枠内シュートはわずか3本でしたが、そのうち2本をゴールに結びつける驚異的な決定力を発揮しています。また、GKドミトロヴィッチの再三にわたる好セーブもチームを救う決定的な要因となりました。
チームは今年に入ってから5月13日までリーグ戦で18試合未勝利という大スランプに陥り、一時は順位を大きく落として降格の危機に瀕していました。しかし、直近のホームでのアスレティック・クラブ戦で2-0の勝利を収めると、続くオサスナ戦でも勝利して連勝を飾り、最も重要なシーズン終盤で最高の状態を取り戻しました。アスレティック戦では、昨年の12月22日以来約5ヶ月ぶりにペレ・ミージャがゴールネットを揺らし、キケ・ガルシアも2ヶ月以上遠ざかっていたゴールを記録するなど、不振に苦しんでいたアタッカー陣の復活が残留への大きな原動力となりました。
今週末にRCDEスタジアムで開催されるリーグ最終節のレアル・ソシエダ戦は、すでに残留が決定しているためプレッシャーのない状態で行われます。ヨーロッパの大会への出場権獲得は奇跡的な結果が必要となるため実質的に不可能ですが、ホームのファンの前で残留を祝う凱旋試合となります。
(via Estadio Deportivo / SPORT)
マノロ・ゴンサレス監督の去就とモンチ新SDの決断
劇的な1部残留を果たしたことで、マノロ・ゴンサレス監督の契約は2027年まで自動的に延長されました。これは1年前に契約を更新した際に盛り込まれていた条件です。エル・サダルでの勝利後、現地に駆けつけたファンからは指揮官の残留を願うチャントが送られました。
選手たちも監督に全幅の信頼を寄せており、エドゥ・エスポシトは試合後に次のように語っています。
『彼は私たちのキャプテンであり、この船の船長です。私たちは彼を信頼していますし、彼も私たちを信頼してくれています。それは全員がピッチで証明してきたことです。私が常に言っているように、結局のところ長期的な強力なプロジェクトが必要であり、私たちはまさにそれを達成しつつあります』
マノロ・ゴンサレス監督自身も、試合後の記者会見で感極まりながらエスパニョールへの強い愛情と続投への意欲を口にしています。
『私はここから去りたくありません。契約はあと1年残っており、引き続きエスパニョールで指揮を執りたいと思っています。当然ながらこれまでに多くの苦しみを味わいましたが、今の私は力強く前を向いています』
現在、クラブのスポーツ部門の全権を握っているのは、新たにゼネラル・スポーツ・ディレクター(SD)に就任したモンチです。モンチは就任以来、監督の記者会見に同席し、パンプローナでのアウェイゲームにも帯同するなど、ゴンサレス監督をサポートする姿勢を見せています。また、オーナーのアラン・ペースを筆頭とする経営陣も、成績不振で批判を浴びていた時期に監督を解任せず留任させたという事実があります。
しかし、後半戦の深刻な成績不振を重く見て、来季に向けて新たなサイクルを始める可能性も残されています。ホセ・ボルダラスやホセ・フアン・ロメロといった新たな監督候補の名前も浮上しており、モンチSDとアラン・ペース・オーナーは、このままマノロ・ゴンサレス体制を継続して波風を立てないか、それとも監督交代に踏み切るか、慎重に状況を評価して決断を下すことになります。
(via Mundo Deportivo)
ロベルト・フェルナンデスの移籍金追加支払い
エスパニョールが1部残留を果たしたことで、来季に向けたチーム編成において、FWロベルト・フェルナンデスに関する高額な追加費用が発生することが確定しました。
クラブは昨夏、ポルトガルのクラブから620万ユーロを支払って同選手の保有権の50%を獲得しました。この契約にはエスパニョールが1部に残留した場合の条件付き支払い条項が含まれており、今回の残留決定により、クラブはこの夏に155万ユーロを追加で支払い、保有権をさらに12.5%買い取る義務が生じます。
さらに、この契約は来シーズンにも適用され、再び1部残留を果たした場合には、もう一度155万ユーロを支払ってさらに12.5%の権利を買い取ることになります。また、クラブは残りの25%の権利を310万ユーロで買い取るオプションも保持しており、これらをすべて行使した場合、移籍金の総額は最大で1,240万ユーロに達する計算となります。
ロベルト・フェルナンデスは期待されたほどの得点数は残せていないものの、マノロ・ゴンサレス監督の戦術において重要な役割を担ってきました。今季はキケ・ガルシアとともに攻撃の起点としてリーグ戦37試合に出場し、6ゴール4アシストを記録しています。
(via SPORT)
左サイドバックの補強と退団情報
モンチSDの就任により、エスパニョールのプロジェクトは安定と成長を目指した大規模な再編が約束されており、この夏は選手の出入りが激しくなる見込みです。
まず、左サイドバックのカルロス・ロメロはレンタル期間満了に伴い、所属元のビジャレアルへ復帰します。また、現スポーツ部門は控えサイドバックのサリナスを戦力に含めておらず、今季ほとんど出場機会のなかった同選手もシーズン終了後に退団することが濃厚です。
手薄になる左サイドバックの穴を埋める第一候補として、バーンリーに所属するクィリンシー・ハルトマンの獲得が浮上しています。ハルトマンは昨夏にフェイエノールトから1,000万ユーロでバーンリーに加入し、今季はほぼレギュラーとしてプレーしました。オランダ代表キャップも持ち、ロナルド・クーマン監督のワールドカップ最終メンバーには入らない見込みですが、市場価値は上昇しており、24歳という年齢からも左サイドで大きな成長が期待できる選手です。
エスパニョールは完全移籍での獲得を目指しており、投資としての価値も高いと判断しています。ただし、大幅な戦力補強にはサラリーキャップの問題をクリアする必要があるため、ラ・リーガと連携しながら慎重に資金をコントロールしています。ハルトマンの現在の評価額は1,800万ユーロと高額ですが、エスパニョールのオーナーであるアラン・ペースがバーンリーのオーナーも兼任している関係性が、この移籍交渉において有利に働くと見られています。
ハルトマンにはドイツやイタリアのクラブも関心を寄せていますが、将来的な売却を見据えた投資と成長の場として、スペインリーグが最適であると考えられており、エスパニョール行きが最優先されています。他クラブから破格のオファーが届かない限り、彼が最初の新戦力となる可能性が非常に高い状況です。
(via SPORT)
アレイシ・フェバスの獲得競争
来季の戦力補強として、6月30日でエルチェとの契約が満了するMFアレイシ・フェバスの獲得を狙っていましたが、状況は厳しくなっています。
モンチがエスパニョールのスポーツディレクターに就任する前は、エスパニョールがこの契約争奪戦を一歩リードしていました。しかし、来季のヨーロッパリーグ出場権獲得を視野に入れるセルタが強力なライバルとして浮上。セルタのスポーツ部門トップであるマルコ・ガルセスが数ヶ月にわたってフェバスの動向を追い続け、ヨーロッパの大会に出場できるという条件を武器に猛烈なアプローチをかけたことで、形勢は逆転しました。
エスパニョール側は現在もフェバスの獲得を完全に諦めたわけではありませんが、セルタの強引な交渉により、彼を獲得できる可能性は急激に低下していると感じています。
(via ElDesmarque)
ラ・リーガ歴代順位で7位を死守
エスパニョールはラ・リーガの歴史において常に上位に位置し続ける名門としての地位を証明しています。今季の残留により、2026-2027シーズンはクラブにとって記念すべき1部在籍90シーズン目となります。これはバレンシア(92)、アスレティック・クラブ(96)、バルセロナ(96)、レアル・マドリード(96)に次ぎ、アトレティコ・マドリードと並ぶ歴代5位の記録です。
さらに、ラ・リーガ通算獲得ポイントの歴代順位においても、エスパニョールは長年にわたり7位の座を維持しています。近年のエスパニョールは、チェン・ヤンション前会長時代の負の遺産により3年間で2度の2部降格を経験し、カテゴリーを行き来する苦しい時期を過ごしました。一方、すぐ下の歴代8位につけるレアル・ソシエダは、ヨーロッパリーグやチャンピオンズリーグに連続出場するなど黄金期を謳歌しています。
過去16シーズンのうち実に12シーズンでレアル・ソシエダにポイント差を縮められ、今季開幕前には通算ポイント差がわずか11にまで迫っていました。今季も両チームは第37節終了時点で同じ勝ち点45で並んでおり、クラブの現状の資金力や戦力を考えれば歴代順位の逆転は免れないと見られていました。しかし、マノロ・ゴンサレス監督率いるチームがリーグ屈指の低予算ながら2年連続で1部残留を成し遂げ、直近の連勝によって歴史的な地位を死守しました。
現在、エスパニョールの歴代通算ポイントは3,085、レアル・ソシエダは3,074です。今週末に行われる直接対決の結果次第で、その差が14ポイントに広がるか、8ポイントに縮まるかが決まります。なお、歴代6位のセビージャ(エスパニョールより242ポイントリード)には遠く及ばず、歴代9位のレアル・ベティス(2,396ポイント)も大きく引き離しています。
(via SPORT)
元所属GKが語るウー・レイの絶大な影響力
かつてエスパニョールのゴールマウスを守ったGKロベルト・ヒメネスが、ポッドキャスト番組に出演し、元中国代表FWウー・レイがクラブにもたらした異次元の影響力について語りました。
ウー・レイは、チェン・ヤンション前会長がスポーツ面および商業面の拡大を狙って上海ポートから獲得した選手です。加入1年目はリーグ戦16試合(うち先発12試合)に出場して3ゴールを挙げ、そのうちの1つはクラブを13年ぶりのヨーロッパリーグ出場へ導く決定的なゴールとなりました。2年目はチームが2部へ降格する厳しいシーズンとなりましたが、バルセロナ相手に土壇場で劇的な同点ゴールを決めるなど、ファンの記憶に残る活躍を見せました。2部では控えに回ることが多く、1部昇格を見届けた後に古巣の上海ポートへ復帰しています。
ロベルト・ヒメネスは当時のウー・レイの熱狂ぶりについて、次のように振り返っています。
『私たちのチームでの彼の選手としてのレベルには見合っていませんでした。もちろん、彼は非常に優れた特徴と素晴らしい才能を持った良い選手でしたが、私たちの国では彼よりはるかにメディアへの影響力を持つ素晴らしい選手たちに囲まれていたため、私たちがどこへ行っても起こる熱狂ぶりは、彼の実力に釣り合うものではなかったのです。まるでブラッド・ピットと一緒にいるような感覚でした』
ウー・レイの影響力は完全に中国のファンに向けられたものであり、チームの遠征先では彼との写真撮影やサインを求める中国人ファンでホテルが溢れ返っていたという、異例のエピソードが明かされました。
(via SPORT)
ジョアン・ガルシアの古巣への思い
昨夏にエスパニョールからFCバルセロナへ加入し、今季はラ・リーガとスペインスーパーカップの優勝を経験、サモラ賞(最少失点GK賞)も手中に収めようとしているGKジョアン・ガルシア。彼は新たなクラブでの充実した日々を送りながらも、自身を育ててくれた古巣エスパニョールへの愛情を決して忘れていません。
インタビューの中で彼は、自身の原点であるRCDEスタジアムでの記憶を大切にしており、次のような感謝と応援の言葉を残しています。
『エスパニョールには今でもたくさんの友人がいますし、彼らの最高の幸運を祈っています』
(via SPORT)
【本日の総括】
資金面や戦力面で苦しみながらも、マノロ監督の下で執念の連勝を飾り、見事に1部残留を決めたエスパニョール。クラブは歴代7位の座を死守し、来季は記念すべき1部在籍90シーズン目を迎えます。新SDモンチの主導による監督の去就やハルトマン獲得などの来季に向けたプロジェクト再編に、大きな期待と注目が集まっています。



