アスレティック・ビルバオ テルジッチ監督の留任方針と試練のヘタフェ戦
アスレティック・ビルバオを率いるドイツ出身の指導者、エディン・テルジッチ監督に対し、クラブ首脳陣は進退を問う考えがなく留任させる方針を固めている。開幕から戦術的な迷いが続きサン・マメスのサポーターから懸念の声が上がる中、指導陣への全面信頼を貫くクラブの姿勢が注目を集めている。
今シーズンのアスレティック・ビルバオは、開幕直後から予期せぬ不測の事態や過酷な試練に見舞われ、ピッチ上で一貫した戦いぶりを見せられずにいる。アトレティコ・マドリードやセルタ・デ・ヴィゴといった並み居るラ・リーガの強豪クラブを相手にした一戦では、目を見張るような素晴らしいパフォーマンスを披露してファンを沸かせた場面もあった。しかしながら、シーズン全体を通じてチームとして明確な戦術的スタイルを確立できておらず、試合ごとの内容や結果の浮き沈みが極めて激しいのが現状だ。順位表においても降格圏とわずか2ポイント差という不本意極まりない位置に低迷しており、順位を押し上げるための勝ち点獲得が日増しに切迫した大命題となっている。
このようなピッチ上の混迷とファンの焦りとは対照的に、クラブの内部では極めて静かで落ち着いた対応が保たれている。ラジオ局のカデナ SERで放送された人気スポーツ番組『SER デポルティボス・ビルバオ』において、クラブの内情に精通するジャーナリストのイニゴ・マルキネス記者が明かしたところによれば、フロント幹部の間で指揮官の解任や更迭を検討する動きは一切存在しないという。同記者は番組のマイクロフォンの前で、クラブ内において誰も、提案や噂レベルを含めて文字通り誰一人としてテルジッチ監督の立場や椅子を揺るがそうと目論む者は存在せず、現状では警戒のアラームすら鳴っていない状態だと強調している。
現在の厳しい順位にもかかわらず首脳陣が動じることなく平静を維持できている背景には、消化試合数の違いという明確な数値上のデータが存在する。アスレティック・ビルバオは他クラブに比べて未消化の延期試合を1試合抱えており、仮にヴァジェカスで開催されるラヨ・バジェカーノ戦などの延期分で勝利を収めることができれば、一気に上位7クラブがひしめくヨーロッパカップ戦出場圏内へ躍進できる計算が成り立っている。この勝ち点上の見通しと反撃の余地が残されている事実が、フロント陣に不必要な焦りを感じさせない客観的な裏付けとなっているのだ。
さらに、メンデン出身のドイツ人指揮官であるテルジッチ監督が、クラブの最高権力者から絶大なバックアップを受けている点も重要な要因だ。ヨーロッパ最高峰の指導者の一人として招聘された同監督の就任は、ヨン・ウリアテ会長自身の強い意志による個人的な抜擢人事であり、会長からの信頼と評価は絶大なものがある。くわえてスポーツディレクター陣をはじめとするスポーツ機構の最高責任者たちや、日々ピッチで汗を流す選手たちも一致団結して指揮官を支持する姿勢を示しており、クラブ内部の結束は極めて強固だ。そのため、周囲から問われてもいない段階でわざわざ支持を公式表明する必要すら感じていないのが実情である。
もっとも、ホームスタジアムであるサン・マメスを埋め尽くすサポーターの感情までが完全に落ち着いているわけではない。一部のファン層からはドイツ人指揮官の採用する戦術やチーム作りの手法に対する不満や疑問が噴出し始めており、今週末に控えるヘタフェCF戦で勝利を逃した場合、スタンド全体から批判のざわめきが急速に拡大する危うさを孕んでいる。ヨーロッパトップレベルの実績と知名度を誇る指導者であっても、敗戦が重なってチームが降格の危険に晒されれば契約を切られるのがフットボール界の避けられない冷酷な掟である。
では、今回の留任方針と揺るぎない信頼が意味するものは何なのか。この動きが示すのは、一時的な勝ち点の伸び悩みや周囲の喧噪に流されることなく、招聘した指導者の手腕と長期的なチーム構築のプロセスを高く評価するクラブ側の固い覚悟だ。つまり、混戦を極めるラ・リーガの戦いにおいて、目先の危機感に惑わされることなくスタイル形成を優先し、指揮官とともに難局を突破しようとする確固たる意思を示す段階にあるといえる。(via ElDesmarque)
