プレシーズンマッチ・カステリョン戦
プレシーズン第3戦は、パテルナのシウダ・デポルティーバにあるエスタディオ・アントニオ・プチャデスにて約1,200人の観客を集めて開催され、バレンシアはカステリョンに1-2で敗北を喫しました。昨年の夏に続き、またしてもカステリョンに敗れる結果となっています。
非常に厳しい暑さの中で行われた前半は、両チームともに互いをリスペクトし合う慎重な展開となり、ゴールキーパーが暇を持て余すほどチャンスの少ない時間が続きました。バレンシアは左サイドからビルドアップを試み、高い位置からのプレスで相手のミスを誘発しようとしましたが、決定的なシュートには至りませんでした。前半終了間際にカステリョンのアルバロ・ガルシアが見事なトラップからシュートを放ちましたが、ボールは枠を越え、0-0のままハーフタイムを迎えました。
後半開始時、カルロス・コルベラン監督はゴールキーパーのビセント・アブリルを除く全フィールドプレーヤーを交代させました。しかし、後半立ち上がりからカステリョンの激しいプレッシャーとスピーディーなパス回しに圧倒されます。50分、左サイドからのクロスを受けたカステリョンのラウール・サンチェスが、アクロバティックな左足のアウトサイドシュートを決めて先制を許しました。その後、バレンシアはオトルビが同点のチャンスを迎えますが、相手ゴールキーパーの素晴らしいセーブに阻まれます。逆に60分、ティンチョの絶妙なスルーパスに抜け出したアダム・ヤコブセンにエレガントなループシュートを決められ、リードを2点に広げられました。
0-2となった後、バレンシアはロングボールを放り込んでセカンドボールを拾う単調な戦術に終始し、防戦一方となりました。この不甲斐ない戦いぶりに対し、スタンドの一部からは「コルベラン、辞任しろ」「ピーター、もう出て行け」という抗議のチャントが沸き起こりました。カステリョンのカマラに3点目を決められたかに見えた場面もありましたが、これはオフサイド判定で取り消されています。
試合終盤は完全に荒れ模様となりました。85分、サディク・ウマルが両足での危険なタックルを行い、それに抗議してきた相手選手のバリからボールをぶつけられると、報復としてボールのないところでバリに蹴りを入れ、一発退場となりました(サディクは退場後に謝罪しています)。
一人少なくなったバレンシアですが、87分にダニ・ラバからのパスを受けたアリウ・ディエンが、トラップなしでペナルティエリア手前から強烈なミドルシュートをゴール隅に叩き込み、1点を返しました。
しかし直後の90分、ダニ・ラバが激しいタックルの後に相手選手のフアンホ・ニエトと激しく対峙し、ニエトから額で小突かれたラバが平手打ちで応戦。この乱闘騒ぎにより両者が退場処分となり、後味の悪いまま試合は終了しました。バレンシアはこれでプレシーズン2敗目となり、次のキャンプはイギリスで行う予定となっています。
(via SPORT / ElDesmarque / Estadio Deportivo / MARCA)
選手個人評価とプレー詳細
カステリョン戦に出場した選手たちの詳細なパフォーマンス評価は以下の通りです。
・ビセント・アブリル:チームで唯一のフル出場を果たしました。1失点目と2失点目はディフェンスが完全に崩されており防ぎようがありませんでしたが、その後は非常に価値のある素晴らしいセーブを何度も見せました。
・ワンジャラ:右サイドバックのルボ・イランソが負傷したため、コルベラン監督は苦肉の策としてBチームのセンターバックである彼を右サイドバックで起用しました。派手さはありませんでしたが、無難に役割をこなしました。
・セサル・タレガ:迅速にプレーし複雑な処理を避けましたが、ベストな状態にはまだ遠く、イケル・コルドバにボールを奪われる危険な場面もありました。
・フスティン・デ・ハース:与えられたディフェンスの仕事を問題なくこなしました。
・ヘスス・バスケス:前のエルデンセ戦ほどは目立った活躍ができませんでした。
・ギド・ロドリゲス:コンディションを順調に上げており、バレンシアのテンポを作るという求められた役割をしっかりと果たしました。前半のベストプレーヤーでした。
・ウグリニッチ:このプレシーズン期間中はまだ動きが重く、より多くの貢献が期待されています。
・ルイス・リオハ:右サイドでスタートし、その後左サイドに移ってから調子を上げました。サイドバックからの支援が少なく試合から消える時間帯もありましたが、姿を見せた時には違いを作り出しました。前半には相手ゴールキーパーからボールを奪う惜しいシーンもありました。
・リュウノスケ・サトウ(佐藤龍之介):再び攻撃陣の中で最もアクティブな動きを見せ、観客から最も多くの拍手を浴びました。最初の数分間におけるチームの最高のプレーは彼の足元から生まれました。ライン間に入り込んで深さを作ろうと試みましたが、相手の守備に苦しむ場面もありました。
・ハビ・ゲラ:トップ下で自由を与えられ、ラインを破る深いドリブルを見せて脅威を生み出しました。リオハへのパスで前半唯一の枠内シュートを演出しました。
・ウーゴ・ドゥロ:ほとんどボールに触れる機会がありませんでした。42分に最も明確なチャンスがありましたが、相手ゴールキーパーに先回りされてシュートを打てませんでした。
・ロドリゴ・ガモン:1失点目のシーンでの守備の対応が良くありませんでした。しかし、その後のスローインでの機転がディエンのゴールを生み出しました。
・イケル・コルドバ:あまり良い日ではなく、良いポジションでの決定的なヘディングシュートをわずかに外してしまいました。
・ディアカビ:長期離脱からの実戦復帰となりましたが、試合勘の欠如が如実に表れていました。失点シーンでも状況を把握できていませんでした。
・ガヤ:サイドを駆け上がることは少なく、サディクへ2本の良いスルーパスを通した以外に目立ったプレーはありませんでした。
・ダビド・オトルビ:運に見放されましたが、最後までトライし続けました。
・ペペル:強打を受けた影響もあり、後半のチーム全体と同様に目立たないパフォーマンスに終わりました。
・アリウ・ディエン:単なるストッパー以上の存在であることを証明しました。50分に決定機を迎えるもゴールキーパーに阻まれましたが、後半の悪いチーム状況の中で最高の選手でした。87分には、ペナルティエリア手前からの見事なゴラッソを決めました。
・アンドレ・アルメイダ:何度かクオリティの高さを見せ、後半のバレンシアの少ない攻撃は彼の足元から生まれました。相手ゴールキーパーのエラーからペナルティエリア手前でシュートを放つ場面もありました。
・ダニ・ラバ:エルデンセ戦よりはるかに静かで、ほとんど試合から消えていましたが、ディエンのゴールをアシストしました。試合終了間際に乱闘騒ぎを起こして退場処分を受けました。
・サディク・ウマル:出場直後に大チャンスを迎え、難しいディフェンスの処理はすべてこなしたものの、最後に押し込むだけの場面でシュートを外してしまいました。その後も何度もオフサイドの網にかかり、85分には無用な報復行為で一発退場となりました。
(via ElDesmarque / SPORT)
監督・選手のコメント
カステリョン戦の敗戦後、ゴールキーパーのビセント・アブリルが取材に応じ、現在の心境を語りました。
自身の現状と今後について問われると『どうなるかは本当にわからないですが、監督が与えてくれるチャンスを活かしています。試合とチャンスに集中し、全力でトレーニングを続けてチームメイトを助けたいです』と謙虚に語りました。現在トップチームのゴールキーパーはディミトリエフスキのみという状況下で、アピールを続けています。
前回のエルデンセ戦より内容が悪かったかという問いに対しては『はい、でもプレシーズンは結果を気にするべきではありません。今やっているようにトレーニングを続ける必要があります。これらすべてを乗り越えられると自信を持っています。チームメイトを助けながらこの調子で続ければ、きっとうまくいくはずです』と前を向く姿勢を強調しました。
コルベラン監督の戦術やアイデアについては『結局のところ、ボールを持ち、ボールを支配すること、それだけです』と簡潔に説明しました。
また、スタンドから沸き起こったファンの抗議の声については『ファンが勝利を求めていることは理解しています。我々は勝って勝ち点3を取るためにプレーしています。この調子で続ければ、シーズンはきっとうまくいくはずです』と、ファンの不満に寄り添いながらもチームの成長を約束しました。
(via ElDesmarque)
怪我人・欠場者情報
現在のバレンシアは負傷者が相次いでいます。コペテ、カノス、ディエゴ・ロペスの3選手は長期離脱中となっています。
特に深刻なのが右サイドバックの状況です。ディミトリ・フルキエが9月まで復帰見込みがないことに加え、ルボ・イランソも打撲で欠場となり、純粋な右サイドバックが全滅状態に陥りました。このため、カステリョン戦では本来センターバックのワンジャラが急遽右サイドバックで起用され、Bチームからモンフェレールが追加招集される事態となりました。
また、クリスティアン・リベロ、ディミトリエフスキ、アルナウト・ダンジュマの3選手は、これまでのトレーニングによる疲労蓄積を考慮されて休養が与えられました。ダンジュマはベンチ入りこそしたものの、フィールドプレーヤーの中で唯一、1分も出場機会が与えられませんでした。
(via ElDesmarque / SPORT)
移籍・契約・噂
かつてバレンシアのカンテラで育ったカン・イン・リーが、PSGからアトレティコ・マドリードへ移籍することが正式に決まりました。移籍金は3500万ユーロの固定額に加え、最大500万ユーロのボーナスが見込まれています。
これにより、バレンシアは12歳から20歳まで彼を育成した権利として、FIFAの連帯貢献金(育成補償)システムに基づき、移籍金の3.5%(固定額で約120万ユーロ+ボーナス分)を受け取ることになります。クラブの財政やファイナンシャル・フェアプレーにとっては少なからずプラスになりますが、ファンにとっては複雑な感情を抱かせるニュースです。当時、マルコス・アンドレを獲得するための外国人枠を空ける目的で、カン・イン・リーをフリーでマジョルカに放出するという大失敗を犯した経緯があるため、ピーター・リム、アニル・マーシー、マルセリーノ、そしてホセ・ボルダラスらの当時のずさんな経営管理が改めて非難の的となっています。
このカン・イン・リーの移籍に際し、ビジャレアル出身のアレックス・バエナがSNSで『ようこそ友よ、また一緒にプレーするのがとても楽しみだよ』と歓迎のコメントを投稿しました。2人はプロレベルで一緒にプレーした経験はありませんが、バレンシア州選抜(U-15、U-16)時代にチームメイトでした。当時の2人が写った写真がSNSで拡散されており、その写真には元バレンシアのウーゴ・ギジャモンも一緒に写っています。
その他の補強の噂として、レアル・マドリードで出場機会を求めている若手アタッカー、ゴンサロ・ガルシアに対してバレンシアが強い関心を示していると報じられています。
(via ElDesmarque / SPORT)
クラブ運営・小ネタ
今シーズン新たに発表されたピンクの第3ユニフォームが、クラブの予想を大きく上回る爆発的な売れ行きを記録しており、早くも第1ユニフォームの売上に肉薄する勢いを見せています。
この好調なセールスの背景には、新加入のリュウノスケ・サトウがこのピンクのユニフォームを着てデビュー戦で見事なゴラッソを決めた影響が大きいと分析されています。日本のファンを中心に「サトウマニア」と呼ばれる現象が巻き起こっており、日本は現在、バレンシアの公式グッズ購入国のトップ5にランクインするほどの熱狂を見せています。
施設面のニュースとして、バレンシアCFはノウ・メスタージャに隣接する「ベニカラプ市立スポーツセンター」の最終プロジェクト案をバレンシア市議会に提出しました。この施設はクラブが全額費用を負担し、建設自体は市議会が行うことになっています。
予算は税込で11,270,045.06ユーロとなっており、クラブはすでにこの建設費用と、敷地内にある古代の水車(マルケサの風車)の遺跡保護費用に充てられる5%の金額を供託済みです。
計画に修正がなければ市議会が入札を開始します。このスポーツセンターには、176人と139人を収容する2つのパビリオン(体操やフットサルなどの用途)、2つの温水プール、屋外コート、庭園などが含まれており、完成までには1年以上を要する見込みです。
(via ElDesmarque)
【本日の総括】
プレシーズンマッチのカステリョン戦は、後半に守備が崩れて2失点し、終盤には退場者が続出する後味の悪い敗戦となりました。サトウの積極的なプレーやディエンのゴラッソなど新戦力のアピールはあったものの、一部ファンから監督・フロントへの抗議が起きるなど、チームの完成度にはまだ多くの課題が残っています。一方で、ピッチ外ではピンクの新ユニフォームの記録的な売上や、新スポーツセンター計画の進展など、明るい話題も届いています。