アントニー・ドス・サントスへの5000万ユーロ破格オファー却下と残留への固い意志
レアル・ベティスは夏の移籍市場の残り2週間を、ダニ・セバージョスの獲得、センターフォワード(9番)、そして守備的ピボットの確保といういくつかの補強案件を抱えながら迎えています。そのための資金調達が急務となっていますが、ベティスの絶対的なスターであるアントニー・ドス・サントスに対し、5000万ユーロ(約85億円)という市場価値を遥かに超える驚異的なオファーが届きました。
交渉筋によると、このオファーを提示したクラブは極めて強力な経済力を有しているものの、世界で最も資金が動くプレミアリーグのクラブではないとされています。しかし、この桁外れな提案に対し、レアル・ベティスとアントニー本人は即座に「ノー」を突きつけました。
この拒否の最大の要因は、昨年ベティスとマンチェスター・ユナイテッドの間で交わされた極めて複雑な売買契約にあります。契約条項により、マンチェスター・ユナイテッドはアントニー売却時に発生する売却益の50%を受け取る権利を保有しています。ベティスが彼を獲得した際の総額(チャンピオンズリーグ出場に伴う変動分を含む)は約2200万ユーロであり、今回の5000万ユーロでの売却が成立した場合、売却益は2800万ユーロとなります。これを両クラブで等分すると、ベティスが得られる純利益はわずか1400万ユーロに留まります。
イスコ・アラルコンに次ぐファン最大のアイドルであり、マヌエル・ペレグリーニ監督にとっての絶対的なエースを手放す対価としては、1400万ユーロはあまりにも少なすぎると判断されました。
過去にもアントニーを巡っては、昨夏にFCバイエルン・ミュンヘンが4000万ユーロの正式オファーを提示したほか、フェネルバフチェFKやカタール、サウジアラビアのクラブからも高額なオファーが届いていました。しかし、アントニーは常にマンチェスター・ユナイテッド側に対しても、ベティスへの残留を強く希望する意志を明確に伝えていました。数日前にもベシクタシュからのアプローチが却下されたばかりで、彼は完全に非売品となっています。
アントニー自身もSNS上で『静かに作り上げている』とのメッセージを発信しており、プレシーズンでのデビューに向けて調整を進めています。本人は『最初の6ヶ月間のレンタル期間中、20歳でサンパウロを離れて以来失っていたフットボールの喜びをベティスで取り戻すことができた。それをこんなに早く手放すつもりはない』と語り、クラブへの深い愛情を示しています。
今季はベティスにとって2度目のチャンピオンズリーグ出場を狙う極めて重要なシーズンであり、金曜日にはラ・カルトゥハ・スタジアムでリアル・ソシエダとの公式開幕戦を控えています。昨季は恥骨炎に苦しんだものの、公式戦72試合で23ゴール15アシスト、昨季は14ゴール10アシストと自己ベストを更新したアントニーは、今季さらに高いパフォーマンスを発揮できると自信に満ち溢れています。(via Estadio Deportivo)
移籍市場最終盤におけるフォワード補強の「忍耐」と「駆け引き」の裏側
レアル・ベティスのスポーツディレクションは、最優先課題である新たなフォワード(9番)の獲得に向けて全力を注いでいます。しかし、クラブの厳しい経済状況が足枷となっており、焦らずに市場の最終盤まで「忍耐」強く交渉を長引かせることで、相手クラブの要求額を下げさせる戦略をとっています。
現在、補強の候補リストにはカリムエンド(ノッティンガム・フォレストが3500万ユーロ近くを要求していたが、価格が下がるのを待っている状態)、ファビオ・シルバ、トロイ・パロット(Troy Parrott)といった実力者の名前が並んでいます。さらに、メディアに一切リークされていない非公開のターゲットが少なくとも2名存在しています。
これまでにも、ケビン・デンキー(Kevin Denkey)やイゴール・マタノヴィッチ(Igor Matanovic)といったアタッカーを調査したものの、所属クラブの要求額が法外であったため獲得を断念せざるを得ませんでした。フロントは、8月31日の市場閉幕に向けて、クラブ側が要求を引き下げざるを得なくなる瞬間を待っており、将来の買い取りオプションや買い取り義務付きのレンタル形式での獲得も視野に入れています。
このような長期的な交渉プロセスはファンに焦りを与えがちですが、過去のベティスの補強でも、アムラバトの移籍が公式発表の数分前にようやくリークされた例や、ディエゴ・コンデ、アルヴァロ・フィダルゴ、イスコ・アラルコン(メディカルチェック中に発覚)、クチョ・エルナンデス、フォルナルスといった選手たちも、交渉の最終段階や合意直前まで情報が一切漏れなかった事実があります。移籍市場の時間はベティスにとって敵であると同時に、相手の要求を和らげるための強力な味方でもあります。(via ElDesmarque)
エズ・アブデの全体練習部分合流という吉報とペレグリーニ監督の不在
プレシーズン最後の親善試合であるインテル・ミラン戦を終え、金曜日のリアル・ソシエダとの公式開幕戦に向けて最初の練習が月曜日にシウダー・デポルティバ・ルイス・デル・ソルで開始されました。
その練習場において、最も注目を集めたのがマヌエル・ペレグリーニ監督の姿がなかったことです。クラブ側の説明によると、チリ人指揮官は個人的な理由により火曜日の午前中のセッションを欠席したものの、水曜日の練習からは通常通りチームに復帰して指揮を執る予定です。
監督不在の中でチームに大きな希望をもたらしたのは、モロッコ代表ウインガーのエズ・アブデが全体練習に部分的に合流したという吉報です。アブデは代表の試合(ワールドカップ前の親善試合ノルウェー戦)で右膝の靭帯を負傷し、ワールドカップを欠場して以降、1ヶ月にわたって特別なリハビリプランを消化していました。
この日のアブデは右脚に包帯を巻いた状態ではあったものの、他の選手たちとともに一部のトレーニングメニューを消化しました。クラブは、金曜日にラ・カルトゥハ・スタジアムで行われるリアル・ソシエダ戦の招集メンバーに彼を滑り込ませ、後半から徐々に出場時間を与えるという明確なロードマップを描いています。(via SPORT)
開幕リアル・ソシエダ戦を前にした右サイドバックの危機と負傷者たちの現状
ラ・リーガ開幕戦を目前に控え、ベティスの野戦病院化が進んでおり、特に右サイドバックのポジションが極めて危機的な状況に直面しています。
インテル戦において、スタメン出場したエクトル・ベジェリンが前半10分に相手の激しい踏みつけを受けて右足首を負傷し、途中交代を余儀なくされました。検査の結果、右足首の過度伸展が見られたものの、深刻な関節損傷には至っておらず、火曜日の練習は大事を取って欠席したものの、金曜日までには奇跡的に回復して招集される見込みです。
しかし、もう一人の右サイドバックであるアイトール・ルイバルは、昨シーズン終盤に手術した右膝半月板のリハビリが今なお続いており、開幕戦への出場は完全に不可能です。このため、もしベジェリンの回復が間に合わなかった場合、起用可能な純粋な右サイドバックはカンテラーノのアンヘル・オルティス(Angel Ortiz)のみという、極めて不安定なディフェンスラインの形成を強いられることになります。
さらに、その他の主力選手たちも満身創痍の状態です。アルゼンチン代表から戻ったジョバニ・ロ・チェルソは、ワールドカップ終了後のバカンスから合流した直後、ハムストリングスの筋肉トラブルが発覚。現在はグループ練習から外れ、個別メニューでのコンディション調整を余儀なくされており、ソシエダ戦での起用は事実上不可能です。若手フォワードのゴンサロ・プティも、右足の繊維断裂からの回復プロセスにあり、今回の開幕戦は欠場が決定しています。(via Estadio Deportivo)
Bチームを巡る動きと契約延長を拒むガンゴロ・ブアレの降格処分
プレシーズンを通じてファーストチームの練習やドイツ遠征に帯同し、ペレグリーニ監督に対してもピッチ上で素晴らしい印象を与え続けていた22歳のミッドフィールダー、ガンゴロ・ブアレ。しかし、彼の去就を巡るフロントとの交渉が決裂したため、クラブは彼をBチーム(ベティス・デポルティーボ)へ強制的に降格させる非情な決定を下しました。
ブアレとベティスの現行契約は2027年6月までとなっていますが、クラブが提示している「年俸の改善を伴う3年間の契約延長」に対し、ブアレ側は現在の実質的にアマチュア並みとされる極めて低い給与水準に対する見直しが不十分であるとして、合意を拒否し続けています。
クラブは、彼が契約延長に合意するか、あるいは他クラブへの売却が決定するまでは、ファーストチームだけでなく、Bチームでの公式戦への出場すらも認めない厳しい措置(実質的な凍結)をとる方針です。
この状況に対し、ラ・リーガ1部のレイヨ・バジェカーノを筆頭に、セグンダの複数のクラブが獲得に関心を示しています。ベティス側は、売却の条件として50万ユーロ(約8500万円)の移籍金に加え、将来的な転売時の数パーセントの権利留保、および1500万ユーロの契約解除条項の設定を求めています。
ブアレ本人は非常に謙虚な姿勢を崩しておらず、『自分自身の練習や親善試合で見せたパフォーマンスを通じて、ファーストチームでプレーする価値を証明してきた。正当な評価を待ちたい』と静かに状況を見守っています。(via Estadio Deportivo)
19歳の新星マヌ・ゴンサレスへの絶大な信頼と若手守護神アルバロ・デ・パブロの獲得
ベティスのゴールキーパー陣において、未来の守護神としての絶対的な地位を確立しつつあるのが、19歳になったばかりのカンテラーノ、マヌ・ゴンサレスです。
U-19欧州選手権でスペイン代表を優勝に導いた彼は、先日のインテル・ミランとの親善試合でも、非常に堂々とした落ち着きと圧倒的なセーブ力を披露。クラブは彼の高い将来性を評価し、2029年までの長期契約を締結しました。
現在、守護神であるディエゴ・コンデが左肩の脱臼により少なくとも2ヶ月間の離脱を強いられており、そのリハビリとして火曜日も個別メニューをこなしていたため、マヌ・ゴンサレスはペレグリーニ監督の一軍招集メンバーにおいて必須の存在(バックアップまたは実質的な第2キーパー)となっています。
彼は19歳ながら、感情の起伏を抑えて自信を深めるため、個人的にメンタルコーチを雇ってトレーニングに励んでおり、『昔はミスをすると自分を責めていたが、経験を重ねるうちに感情を管理することを学んだ。今は高い自信を持っており、ミスを恐れることはない』と驚くべき精神的成長を語っています。
マヌ・ゴンサレスが一軍に完全に定着することに伴い、Bチームのゴールキーパー陣が手薄になるのを防ぐため、クラブはレアル・バサドリード(レアル・バ Valladolid Promesas)から24歳の守護神アルバロ・デ・パブロ(Alvaro de Pablo)を買い取りオプション付きのレンタル形式で獲得することを決定しました。デ・パブロはすでにメディカルチェックを通過しており、コンデの負傷が癒えるまでは一軍の練習に参加しつつ、主にBチームの守護神として稼働する予定です。(via ElDesmarque, Estadio Deportivo)
過去の売却選手アサヌ・ディアオやノーベル・メンディがもたらす巨額のキャッシュバック還元
夏の移籍市場において、ベティスは選手登録(サラリーキャップ)の制限を大幅に超過しているため、新たな補強資金を捻出するのに非常に苦しんでいます。しかし、過去に売却した選手たちの取引から発生する「追加ボーナス」や「移籍金の取り分」が、クラブの金庫を大きく潤す救世主となっています。
まず、レイヨ・バジェカーノがディフェンダーのノーベル・メンディをイングランドのハル・シティへ売却したことに伴い、以前の売却契約に含まれていたボーナス条項が発動し、ベティスに対して500万ユーロ(約8億5000万円)という非常に大きな臨時収入が舞い込みました。
さらに現在、ベティスが熱い視線を送っているのが、コモ1907に所属するセネガル代表アタッカー、アサヌ・ディアオの動向です。プレミアリーグのエヴァートンFCがディアオの獲得に向けて4500万ユーロの2度目の正式オファーを提示したものの、コモ側は7500万ユーロの満額支払いを求めて強気な交渉を続けています。
ベティスは2025年1月にディアオを売却した際、将来の売却額の20%を回収できる権利(プラスバリア)を保持しています。もしエヴァートンの4500万ユーロで移籍が成立すれば900万ユーロ(約15億円)、コモの要求する 7500万ユーロで決まれば、なんと1500万ユーロ(約25億円)という、何もしなくても手に入る巨額の資金がベティスの口座に振り込まれることになります。
すでにベティスは、コモがチャンピオンズリーグ出場権を獲得したことによるボーナスとして1000万ユーロ以上、そしてヘスス・ロドリゲスの売却に伴う追加の50万ユーロ、さらにセルジ・アルティミラの売却で1800万ユーロ、マテオ・フローレスのアロウカ完全移籍で140万ユーロを回収しており、これらの資金がセバージョス獲得やフォワード補強の大きな財政的バックボーンとなる予定です。(via Estadio Deportivo)
補強リストから消えたヨヴァン・ミロシェヴィッチらアタッカー陣の最新動向
新たなエースストライカーを求めてリストの精査を続けていたスポーツディレクターの Manu Fajardo ですが、候補に挙がっていたいくつかの重要なアタッカーの名前をリストから除外することを余儀なくされました。
まず、シュトゥットガルトに所属し、プレシーズンで素晴らしいパフォーマンスを見せてベティスが熱心に追っていた21歳、1.90メートルのセルビア人フォワード、ヨヴァン・ミロシェヴィッチ(Jovan Milosevic)ですが、ポルトガルのスポルティング・ブラガが800万ユーロの移籍金を支払うことで合意。ミロシェヴィッチは2031年までの5年契約でポルトガル行きを決断し、ベティスへの移籍の可能性は消滅しました。ブラガにはすでにパウ・ビクトルやフラン・ナヴァロ、そして同じく獲得リストに入っていたジョナス・ヴィンドらが在籍しています。
さらに、メキシコ代表のサンティ・ヒメネスについても、FCポルトが2000万ユーロを超える買い取りオプション付きのレンタル契約でほぼ合意に達したため、ベティスは争奪戦から撤退しました。
また、クリストファー・エンクンク(ACミランからの打診)やエリー・ワイ(Eintracht Frankfurt)といった選手の逆オファーについては、クラブは獲得を却下。バイエルン・ミュンヘンのマティス・テルについても、純粋な9番タイプではないことと給与があまりにも高すぎることから、交渉の初期段階で獲得を断念しています。
現在、アタッカー陣では「チミー」アビラのアルゼンチン・インデペンディエンテへの移籍交渉が合意間近に迫っているほか、セドリック・バカンブについても、ブラジルのポルト・アレグレへの移籍はないものの、チームからの退団に向けて代理人が動いており、フォワード陣の刷新に向けた人員整理が進められています。(via Estadio Deportivo, ElDesmarque)
【本日の総括】
移籍市場の閉幕まで残り2週間となる中、レアル・ベティスはアントニーに対する5000万ユーロという破格オファーを即却下し、エースの絶対的な引き留めを断行しました。エズ・アブデの怪我からの練習部分合流という非常に大きな朗報があった一方、ベジェリンの負傷に伴う右サイドバックの深刻な人員不足や、ペレグリーニ監督の個人的理由による練習欠席など、開幕戦に向けて緊張感が漂っています。また、過去の売却選手たちがもたらす巨額のキャッシュバックは、最終盤でのフォワード獲得やダニ・セバージョス獲得に向けた貴重な資金源となり、クラブは忍耐強く、かつ野心的な交渉を裏で進めています。
