スタンドと街の熱狂からブーイングのどん底へ:お祭りに沸くビラ=レアルの悲喜こもごもと、不満を爆発させたサポーターの矛先
3ヶ月半ぶりに帰還した本拠地エスタディオ・デ・ラ・セラミカ。この日は、地元の守護聖人である「マレ・デ・デウ・デ・グラシア」の祭りと重なり、ビラ=レアルの街は試合前からお祭りムード一色に包まれました。昼過ぎからサポーターグループ(ペニャ)の拠点には多くの人々が集まり、食事や歓談を楽しんでからスタジアムへと向かいました。サポーター団体「ビジャレアル・ファンズ」がスタジアムへと向かう華やかな行進(コルテオ)を行うと、通りは一気に黄色く染まり、街全体がクラブへの愛であふれていました。
午後19時にオープンしたファンゾーンでは、あらゆる年齢層が楽しめるアクティビティが用意され、地元出身のバンド「ラ・エラ・デル・ペス」が音楽フェス「グロック・タレント」のトップバッターとして素晴らしい生演奏を披露し、会場を盛り上げました。また、この日の主役ペニャである「スブマリー・グロック」は、キックオフ前にピッチ上でビジャレアルのスタメンイレブンと一緒に記念写真を撮影する特別な時間を過ごしました。
スタジアムでは、夏の改修工事を終えてお披露目された新生セラミカで、多くの年間シートホルダー(ソシオ)が新しい座席に初めて座ることになりました。新しい吐き出し口(ボミトリオ)の増設や、アクセス性の向上、観客席の一部再配置など、改修による変化を身をもって体験する夜でもありました。試合前には、セラ・デスパーダの森林火災で命がけの消火活動を行った救急隊や治安部隊へのオマージュが捧げられ、隊員たちがピッチに登場して選手たちと写真を撮る感動的なセレモニーが行われました。
しかし、この美しいお祭りの一日は、試合の最終盤で悪夢へと変わりました。デポルティボに劇的な逆転を許した瞬間、セラミカのスタンドからは怒りのブーイングが沸き起こりました。特に、失点シーンで厳しい評価を受けた守護神のGKルイス・ジュニオールに対しては、容赦ない指笛や批判が浴びせられ、サポーターたちは不満を隠せませんでした。一方、遠路はるばるアウェイに駆けつけたデポルティボのサポーターたちは、ビラ=レアルの地で勝利を狂喜乱舞し、試合終了後もそのまま街にとどまって、地元のお祭りを楽しんでいました。 (via SPORT)
選手個別採点とパフォーマンス分析:新星サリバの輝きと崩壊した守備陣の葛藤
デポルティボ戦での痛烈な敗戦を受け、選手個々のパフォーマンスには厳しい評価と、わずかな希望が浮き彫りになりました。
攻撃陣では、新戦力のニコラス・ペペがチーム最高の評価「8点」を得ました。右サイドからの果敢な突破で相手ディフェンスの脅威となり続け、素晴らしいゴラッソを決めてスタジアムを沸かせました。しかし、試合終盤には決定機を逸する場面もあり、最終的にはチームの崩壊とともに疲弊し、落胆の色を隠せませんでした。また、先発でデビューを飾った18歳の新星ナタン・サリバは「7点」と高い評価を受けました。中盤で粘り強くボールを奪い、巧みにゲームを組み立てるだけでなく、機を見た危険な攻撃参加も見せるなど、今後の大いなる成長を予感させる素晴らしいパフォーマンスでした。他方、チャンス創出に努めたジェラール・モレノは「6点」、ペペのゴールをアシストしたアヨセ・ペレスも「6点」、途中出場で意欲を見せたミカウタゼは「6点」と評価され、それぞれ持ち味を見せたものの、決定的な仕事には至りませんでした。
一方で、守備陣には極めて厳しい評価が並びました。ブラジル人GKルイス・ジュニオールは「4点」とされ、相手の3本の枠内シュートすべてがゴールになるという最悪の結果になりました。失点時の判断が遅く、終盤にはサポーターからの容赦ないブーイングを浴びる厳しい立場に追い込まれました。右サイドバックとして初の先発出場を果たしたフリーマンは「5点」でした。強靭なフィジカルを活かした守備でチームを支え、守備陣の中では奮闘していたものの、最後の2失点の場面では相手の攻撃を食い止めることができませんでした。
また、重傷から復帰したローガン・コスタは「4点」と沈みました。長期間の実戦離脱の影響は顕著で、相手エースのオーバメヤンのスピードに対抗できず、スペースへの対応の遅れが目立ちました。左サイドバックのカルドナも「4点」に終わりました。初スタメンのチャンスを活かせず、何より2-3とされる決勝点の場面では、イリアス・アフマシュからのバックパスに対する意思疎通のミスから完全に足を止めてしまい、オーバメヤンに決勝ゴールを許す致命的な事態を引き起こしました。中盤の要であるパプ・ゲイエは「5点」に留まりました。昨季見せていたような中盤を支配する力強い走りは影を潜め、相手にボールを握られた際の守備対応に苦しみ、1-1の同点ゴールを許した場面でもカバーしきれませんでした。フォイス不在のディフェンスラインを率いるべきレナト・ベイガは「5点」でした。正確なビルドアップや空中戦の強さを見せたものの、試合が「ロシアンルーレット」のような激しいノーガードの打ち合いへと変貌していく中で、守備ラインに落ち着きをもたらすリーダーシップを発揮できませんでした。 (via SPORT)
指揮官が突きつける「最悪のスタート」という真実:イニゴ・ペレス監督が明かした勝っていても残った「不安」と、CLドルトムント戦に向けた緊急警報
開幕4試合を消化して未だ勝ち点3を掴めていないビジャレアル。イニゴ・ペレス監督は試合後、言い訳を一切排除し、極めて冷徹な現実を突きつけました。
この最悪のスタートについて、指揮官は次のように痛烈な自己批判を行いました。
『開幕のスタートとしては本当に最悪だ。ひどくイライラしているし、胸に深い痛みを感じている。このような危機的な状況においては、現実から目を背けずに真実を分析し、何が問題であるかの正確な診断を下さなければならない』
また、守備陣のミスが勝敗に直結したことに対しては理解を示しつつも、より深いチームの戦術的・精神的な欠陥に視線を向けています。
『個人のミスが敗戦の代償となったことには同意する。しかし、サッカーで犯してしまうようなミスを言い訳にするのではなく、そのさらに奥にあるものを見つめ、チームに何が起きているのかを突き止める必要がある。たとえミスによる敗戦だったとしても、私たちが追い求めているフットボールの本質的な何かが欠けており、それを未だに見つけられていないことが一番の問題だ。今日、もし仮に最後を踏ん張って勝っていたとしても、私の心は不安で満たされたまま帰路についていただろう』
他チームの結果次第では早くも降格圏に転落する可能性があるという非常事態に対し、指揮官はすぐにやってくるチャンピオンズリーグの舞台を、チーム再建のカンフル剤にしようと考えています。
『ここからどれほど苦しい状況になろうとも、私たちは改善の道を模索しなければならない。火曜日には、私たちが心から望んで、戦いたいと願っていたチャンピオンズリーグという素晴らしい舞台での、タフなドルトムント戦が控えている。悲しみに暮れたり、後悔したりしている時間など一瞬もない。プロのフットボール選手であれば、こうした逆境を乗り越え、ピッチ上でもう一度スイッチを入れ直し、失った自信を自らの手で取り戻す能力があると信じている。選手たちがドルトムントの地で勝利できると信じ、そのための十分な準備を整えられるはずだ。ただ、この開幕数試合で突きつけられた現実に灯る警告は、私たちがすぐに、そして全力で対処しなければならない緊急の警鐘であることは間違いない』 (via Estadio Deportivo)
【本日の総括】
お祭りムードのスタジアムでまさかの逆転負けを喫したビジャレアル。新星サリバの輝きなど希望はあるものの、個人のミスと守備の混乱、そして指揮官が漏らした本質的な戦術的課題は深刻です。中2日で控えるドルトムントとのCL初戦に向け、チームは早急な立て直しを迫られています。
