エムバペに対するパラグアイ議員の人種差別騒動とクラブの声明
ワールドカップのベスト16でフランスがパラグアイを1-0で破った試合の終了後、キリアン・エムバペがパラグアイの若きGKオルランド・ジルとの握手を拒否し、彼の顔に向かって叫んだとされる行動が大きな波紋を呼んでいます。これに対し、パラグアイのセレステ・アマリージャ上院議員がSNSや議会でエムバペに対して過激な人種差別的暴言を放ちました。
アマリージャ議員はエムバペを『植民地化されたカメルーン人で、フランス人のふりをしているだけの、ひねくれた、成金で、傲慢で、ブサイクな男』と呼び、さらに『あのバカは字の書き方すら学んでいない。母乳の代わりにココナッツを吸って育ち、これまで聞いた中で最も知的な言葉はチンパンジーのものだ』と非常に攻撃的な言葉を並べました。また、別のフアン・カルロス・ガラベルナ議員も彼を『横柄なエムバペ』と呼び、過去に男性との関係があったと揶揄しました。
これに対しエムバペはSNSで強く反論しました。『あなたは卑劣で、その職にふさわしくない女性だ。パラグアイを代表していない。あなたの無自覚さとあからさまな人種差別により、世界中が、このワールドカップでの選手たちの歴史的な道のりや努力を忘れ、自国の最悪のイメージを提供する無能な女性に注目してしまった。私は、あなたのような人々が世界中に憎しみと人種差別を広める自由を持つことを決して許さない』
エムバペの反論を受けたアマリージャ議員は自身の発言を謝罪するどころか、さらに逆上して『ジェンダー暴力で訴える』と脅迫しました。『パラグアイ人を舐めるな、エムバペ。ここにはロナウジーニョを汚職で刑務所に入れた実績がある。私を甘く見ないことだ。私が弁護士を雇えば、勝てると言われるだろう。ジェンダー暴力、そして女性に対する政治的暴力だ。これは深刻だ。私にはまだ行動を起こす権利があるので、謝罪を要求する』と発言しています。
この事態に対し、国連人権高等弁務官がエムバペへの支持を表明し、フランスのエマニュエル・マクロン大統領も彼を擁護しました。パラグアイのサンティアゴ・ペニャ大統領は『私たちはいかなる差別にも完全に反対する』と述べ、議員の発言は政府の見解ではなく個人の責任であると火消しに追われました。
レアル・マドリードも所属選手を守るために、強硬な公式声明を発表しました。『レアル・マドリードC.F.は、パラグアイのセレステ・アマリージャ上院議員が当クラブの選手キリアン・エムバペに対して行った、嘆かわしい人種差別的およびゼノフォビア(外国人嫌悪)的な発言を最も強く拒絶します。私たちのクラブは、政治代表にふさわしくないこの種の発言を断固として非難し、何百万人もの人々、特に世界中の子どもたちの模範であるキリアン・エムバペへの全面的な支持を表明します。憎しみを煽るこのような行動は、社会に居場所があってはなりません。サッカーとスポーツは平等と連帯のための舞台であり、レアル・マドリードは人種差別、ゼノフォビア、暴力が永遠に根絶されるよう引き続き取り組んでいきます』
フランス代表のディディエ・デシャン監督も会見でこの騒動に触れ、『キリアンは精神的に大丈夫だ。何かがあったが、過去には戻りたくない。彼は肉体的にも精神的にも非常に強い若者だ。明日の試合に集中している』と語り、エースの精神状態に問題がないことを強調しています。(via MARCA)