プレシーズン始動と合流メンバー
ハンジ・フリック監督が朝7時10分に施設に到着し、新シーズンのプレシーズンが始動した。W杯の影響でトップチームからは10名が参加。その顔ぶれは、テア・シュテーゲン、シュチェスニー、バルデ、クリステンセン、フェルミン・ロペス、カサド、ジェラール・マルティン、マルク・ベルナル、エクトル・フォルト、ルーニー・バルドグジとなっている。第5中足骨の負傷から回復したフェルミンは、開幕戦に間に合う見込みだ。
また、W杯に招集されていたロナルド・アラウホとフレンキー・デ・ヨングも休暇を切り上げて姿を見せた。アラウホは大会前にふくらはぎを負傷し出番がなかったが、マドリードの専門医の診察を受けた後、本来7月20日合流の予定を前倒しでメディカルチェックに訪れた。デ・ヨングも下腹部の不調を抱えながらW杯で4試合331分プレーしたが、初日から意欲を見せている。
さらにカンテラからは15名の若手が参加している。アロン・ヤアコビシュヴィリ(19歳/アンドラへのレンタルから復帰し再レンタルの可能性)、ジョフレ・トレンス(19歳/レンタルでの武者修行の可能性)、アルバロ・コルテス(21歳/CBとして評価)、ハフィズ・ガリバ(19歳)、トミー・マルケス(18歳/監督のお気に入り)、オリアン・ゴレン(17歳/イスラエル出身でペドリと比較される逸材)、エブリマ・トゥンカラ(18歳)、イブラヒム・ディアラ(19歳)、ギジェ・フェルナンデス(18歳)、アレックス・ゴンサレス(19歳)、シェイン・クライファート(18歳/最近契約更新し左ウイングでアピールを狙う)、トニ・フェルナンデス(17歳/契約更新が最優先)、オスカル・ギスタウ(18歳/契約更新済み)、シャビ・エスパルト(19歳)、そしてエジプト代表としてW杯に出場し150万ユーロで獲得されたハムザ・アブデルカリム(18歳)が顔を揃えた。(via SPORT / Mundo Deportivo)
テア・シュテーゲンの退団状況
フリック監督の構想外となったテア・シュテーゲンは、アヤックスへのレンタル移籍で選手・クラブ間合意に達しているものの、税務上の問題で手続きが遅れている。バルサが支払う年俸と選手が放棄する分で給与の90%をカバーし、アヤックスが残り10%を負担する条件だが、出場試合数や目標達成による変動があるため法的手続きが難航している。アヤックスのミチェル監督は7月23日のカンファレンスリーグ予選に向けて焦りを見せているが、今週中には解決してアムステルダムでメディカルチェックを受ける予定だ。
バルサの狙いは、彼に出場機会を与えて価値を高め、来夏に完全売却して高額な契約を解除することにある。プレシーズン初日にはメディカルチェックを受けた後、無言で施設を後にした。なお、現在のバルサの正GKはジョアン・ガルシア(市場価値4500万ユーロ)が務めており、今季がバルサでの最終年となる見込みのシュチェスニーがその控えとなる。(via SPORT / MARCA)
アデイェミ&ゴードン獲得の詳細
バルサはすでにアンソニー・ゴードンを8000万ユーロで獲得しているが、さらにカリム・アデイェミ(24歳)の獲得でもボルシア・ドルトムントと合意に達した。移籍金は2200万ユーロ+変動700万ユーロで、将来の売却益の20%をドルトムントが保持する。契約期間は2031年までとなる。
アデイェミはドルトムントでのプレシーズンに参加しておらず、W杯不参加だったため、休養を経てプライベートチャーター機でドルトムントに立ち寄った後、バルセロナへ向かう予定だ。近日中にメディカルチェックと入団発表が行われる。ドルトムントでは146試合で36ゴール25アシストを記録。フリック監督は2022年のW杯予選で彼をドイツ代表デビューさせており、その試合でアデイェミは代表唯一のゴールを決めている。(via SPORT)
フリアン・アルバレス獲得への道
バルサはフリアン・アルバレスの獲得を狙っており、本人の合意も得ている。アトレティコ・マドリードは補強費用として1億ユーロ近くを費やしており、資金捻出のために8000万ユーロ以上の売却を必要としている。アトレティコはティアゴ・アルマダをリーベル・プレートへ2000万ユーロ(権利の50%)で売却する口頭合意に達しているものの、W杯の影響で手続きが遅れている。
さらにアトレティコは、アレクサンデル・セルロートに4000万ユーロを要求しユベントス等と交渉しているが停滞中。ホセ・マリア・ヒメネスやマッテオ・ルジェーリの売却も画策しているが、十分な資金が得られない場合、フリアン・アルバレスの売却を余儀なくされる。アーセナルも関心を示しヴィクトル・ギェケレシュ獲得と並行して動いているが、バルサは焦らずオファー額を上げるつもりはない。(via SPORT / Mundo Deportivo)
フェラン・トーレスと秘密の契約条項
フェラン・トーレスは2027年までの契約を残しているが、PSGからの関心を集めている。デコSDが契約延長に消極的で今夏の売却を好意的に見ている背景には、マンチェスター・シティとの秘密の契約条項がある。フェランが2027年以降の契約を延長した場合、バルサはシティに約800万ユーロの追加ボーナスを支払う義務が生じるのだ。2022年に5500万ユーロ+変動1000万ユーロ(条件達成済み)で獲得したため、総額が7300万ユーロに膨れ上がることをクラブは危惧している。
バルサは移籍金として5000万ユーロを要求しているが、PSGは残り契約年数を理由に値切りを狙っている。本人はPSGの関心について『知らないし、どうでもいい』と語っている。ジョアン・ラポルタ会長はダラスで『噂は聞いたが正式なオファーはない。彼はバルサの選手だ。メリノへのアシストなどスペイン代表でも素晴らしい活躍をしている』とコメント。一方、アトレティコ・マドリードのマテウ・アレマニーSDは、来夏のフリー獲得を狙って契約金を提示するプランを画策している。(via SPORT / Mundo Deportivo / ElDesmarque / MARCA)
カサドとクンデ、ルーニーの去就
マルク・カサド(22歳)はフリック監督の構想において中盤の序列が最も低く、退団が濃厚となっている。代理人のジョルジュ・メンデスが移籍先を模索しており、ジョアン・カンセロが所属するサウジアラビアのアル・ヒラルなどが興味を示している。バルサは彼に対し3000万〜4000万ユーロを要求している。
ジュール・クンデ(27歳)については、バイエルン・ミュンヘンが状況を問い合わせている。バルサではアンタッチャブルな存在ではないが、本人は残留とフリック監督の下でのプレーを強く希望している。契約は2030年まであり、市場価値は約6000万ユーロ。W杯でフランス代表として95%の時間をプレーし、評価を再上昇させている。
ルーニー・バルドグジ(20歳)は、昨季ヤマルの控えとして28試合に出場し2ゴール4アシストを記録した。2029年までの契約があるが、今夏に退団する可能性があり、リーズ、アストン・ビラ、サンダーランド、ブライトンなどが関心を示している。プレシーズン初日のファン対応では『すべて順調だよ』と語り、クラブはレンタルか買い戻しオプション付きでの売却を検討している。(via SPORT / Mundo Deportivo)
カンテラ&若手選手の動向と契約
ブリアン・ファリーニャス(20歳)は、ジローナが約150万ユーロで権利の50%を獲得する交渉が大詰めを迎えている。バルサ・アトレティクで33試合2799分に出場し5ゴール7アシストを記録した彼は、トップチーム昇格が難しいためセグンダで経験を積むことになる。
U-19欧州選手権で無失点優勝を果たしたスペイン代表からは、シャビ・エスパルトが大会ベストイレブンに選出された。彼はピボーテとして活躍し、『フィリップ・ラームのようだ』と高く評価された。同じくベストイレブンかつMVPに選ばれたキム・ジュニェンは、バルサとの契約を更新せずアルメリアへフリーで移籍した。元バルサのアンドレア・ナターリもベストイレブン入りし、レバークーゼンへ移籍している。
また、2027年までバルサと契約しているアンドレス・クエンカは、コモへレンタル移籍する予定だが、スポルティングもレンタルの延長を希望している。(via SPORT / Mundo Deportivo / Esport3)
ビシウとカイセドの獲得詳細
バルサ・アトレティクは、LDUキトから18歳の左SBホスエ・カイセドを今季末までのレンタル移籍で獲得した。この契約には250万ユーロの買い取りオプションが付いており、トップチームで公式戦4試合に出場すれば買い取り義務が発生する。その場合、2030年6月30日までの契約となり、LDUキトは将来の売却益の20%を保持する。同様の手法でパトリシオ・パシフィコも獲得しており、他にもハビ・カストロ、フアン・イバーラ、ジョニ・エルナンデス、イグナシ・ケールを確保してジュリアーノ・ベレッチ監督のチームを強化している。
さらに、クラブ・ブルッヘからジェシー・ビシウを1000万ユーロ未満の移籍金+将来の売却益30%で獲得した。ジョアン・アマラルとデコが2025年からオランダ・ベルギーへ飛び注視しており、今年4月の初オファーは拒否されたものの、選手が契約更新を拒否したため実現した。フベニールまたはBチームで起用され、フリオ・トウスのフィジカル部門で育成される。(via SPORT / Mundo Deportivo)
フリック監督の守備陣構想
フリック監督はディフェンスラインの編成に頭を悩ませている。CBはクリステンセンの契約を2年延長し、クバルシ、アラウホ、エリック・ガルシアと合わせて4人を確保。さらにジェラール・マルティンを本来の左SBからCBへコンバートして考えており、アルバロ・コルテス(21歳)も評価している。
右SBはクンデが基本となるが、控えをシャビ・エスパルトとエクトル・フォルト(19歳/エルチェへのレンタルから復帰)で争わせる。左SBはジョアン・カンセロの獲得を確実視しているがアル・ヒラルとは未合意。控えには残留を宣言しているバルデを置き、ジョフレ・トレンスもテストして去就を判断する予定だ。(via Mundo Deportivo / SPORT)
2027/28シーズンのスタジアム移転計画
バルサは、2027年6月から開始されるスポティファイ・カンプ・ノウの屋根設置工事に伴い、2027/28シーズンの前半戦(10月中旬まで)をモンジュイック(エスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニス)でプレーすることをラ・リーガに要請した。これはUEFAの規定でチャンピオンズリーグのグループステージを同じスタジアムで戦う必要があるため、余裕を持った計画である。
今季(2026/27)は全試合カンプ・ノウでプレーする。ガンペール杯は8月19日に開催され、リーグ開幕戦(ラージョ・バジェカーノ戦)はW杯の影響で8月29日か30日に延期される予定だ。なお、カンプ・ノウの第3層は10月に一部開放される見込みである。(via SPORT)
代表・W杯でのバルサ選手たちの動向と発言
7月13日、ラミン・ヤマルは19歳の誕生日を迎えた。クラブは公式SNSで『おめでとうラミン、君の日を楽しんで』と祝福のメッセージを送った。W杯準決勝進出チームで最も市場価値の高い選手イレブンには、ヤマル(2億ユーロ)、ペドリ(1億5000万ユーロ)、クバルシ(8000万ユーロ)、そしてジョアン・ガルシア(4500万ユーロ)の4人が選出されている。
スペイン代表に合流しているマルク・ククレジャ(レアル・マドリードへ移籍)は、ヤマル、ペドリ、フェルミンらバルサの選手たちとの関係について『バルサの選手たちとはとても仲が良いよ。「W杯で話すのもあと1ヶ月だぞ」と冗談を言われている。9月からは代表に集まるたびに休戦協定を結ぶことになるね』と笑顔で語った。またヤマルについては『練習で特別なものを感じる。マークするのはとても難しい』と絶賛した。
フランス代表のジュール・クンデは、ヤマルの「フランスが恐れるべきは僕らだ」という発言について、『リスペクトを欠いているとは思わない。バルサでも同じことをやっている。彼は自分とチームの長所をよく知っていて信頼しているからだ。彼にとっての特別なモチベーションだと見ている』と擁護。アドリアン・ラビオも『特別なヤマル対策はない。スペインの組織全体を警戒している』とコメントした。一方でスペイン代表主将のロドリは、『彼は時々感じる不安や、自分の価値を証明したいという願望を少し落ち着かせる必要がある。すべてを急ぎすぎることがある』と、若き才能へ冷静さを求めた。(via Mundo Deportivo / SPORT / Esport3)
イトゥラルデと祖母が語るヤマルへの政治的負荷
元審判のイトゥラルデ・ゴンサレスはラジオ番組で、ヤマルを取り巻く環境について『政治的に正しいことは言わない。これは社会学的な問題だ。彼は黒人でイスラム教徒でバルサでプレーしている。スペインの半分が彼を待ち構えている。彼には政治的な負荷がかかっている』と言及し、一部の社会的偏見を指摘した。
これに対し、ヤマルの祖母ファティマはメディアの取材に答え、『この子にモロッコは関係ない。ここで生まれ育ち、ここで教育を受けた。息子のムニルは彼に何も強制していない。彼がスペインを選んだんだ』と強く反論し、ヤマルのルーツとアイデンティティを巡る外部からのプレッシャーを一蹴した。(via Estadio Deportivo / SPORT)
プジョルとラ・ボルペの激論
メキシコのテレビ番組『Los Maestros』にて、カルレス・プジョルと1978年W杯優勝メンバーのアルゼンチン人監督リカルド・ラ・ボルペが激論を交わした。ラ・ボルペが「スペインは2010年以前は存在しなかった」「ブスケツとピルロは比較できない」「4-3-3はスペインの専売特許ではない」と挑発。
これに対しプジョルは、『2008年にも勝っている』と反論。さらにブスケツの偉大さについて『スタメン発表で最後にブスケツの名前があると安心した。彼がいれば試合ははるかに簡単になる。攻守のバランスをもたらし、ワンタッチで局面を打開してくれたからだ』と熱弁した。ラ・ボルペが自身の考案したビルドアップ戦術「ラボルピアーナ」を検索するよう勧めた際にも、プジョルは『検索する必要はないよ。ボールの出口でブスケツがいたら、あなたを大いに助けてくれたはずだ』と笑顔で切り返した。(via Esport3 / SPORT)
過去の幻の移籍:オスカルのケース
チェルシーから中国の上海海港(Shanghai Port)へ巨額の契約で移籍したブラジル人MFオスカルが、ポッドキャスト番組で衝撃の事実を明かした。2022年の冬、バルサが財政難に苦しんでいた時期に、バルサ側から『無料で半年プレーしないか』と獲得の打診があったという。
オスカル自身は合意の寸前までいっていたが、『すべてはウムティティが退団するかどうかにかかっていた。だが彼らは期限までにウムティティの移籍先を見つけることができなかった』と語り、最終的に破談となった裏話を披露した。(via SPORT / Mundo Deportivo)
【本日の総括】
フリック監督の下でプレシーズンが本格始動し、若手選手たちがトップチーム昇格へのアピールを開始しました。アデイェミやカイセドなどの新戦力獲得が進む一方で、テア・シュテーゲンやフェラン・トーレスの退団交渉には契約や税務の壁が立ちはだかっています。また、W杯で活躍するヤマルやクバルシの市場価値が高まる中、彼らを取り巻く環境や他チームの選手からの評価も注目を集めています。
デスクコメント
戦術デスク
配置と起用法から読む
フリック監督の始動により、守備陣の再編が急務となっています。特にジェラール・マルティンのCB転向や、右SBの競争激化は、ハイラインを志向するフリックの戦術的要請を反映したものでしょう。また、カンテラから多くの若手が招集されたことは、単なる頭数合わせではなく、プレッシングの強度や切り替えの速さを担保できる人材を早期に見極める意図を感じます。戦術の浸透には、既存の主力と若手の噛み合わせが鍵を握るはずです。
クラブ動向デスク
フロントとクラブの空気を追う
クラブは今、フリックという新指揮官を迎え、規律と刷新を強く求めています。テア・シュテーゲンやフェラン・トーレスといった実績ある選手たちの整理は、単なるコストカットではなく、チームの空気を入れ替えるための決断と映ります。一方で、ヤマルを取り巻く過熱した報道や政治的負荷に対し、祖母が毅然と対応したことは、クラブが若手選手を保護し、ピッチ外の雑音から守る環境作りがいかに重要かを示唆しています。
移籍・契約デスク
契約・補強・登録を整理する
編成面では、アデイェミ獲得による攻撃陣の強化と、フェラン・トーレスの契約条項に絡む売却検討という、対照的な動きが目立ちます。特にフェランの件は、過去の契約が現在の補強を縛る典型例であり、デコSDの手腕が問われる局面です。また、若手獲得において買い取り義務や売却益保持条項を巧みに活用しており、将来の資産価値を最大化しつつ、現在の財政的制約をクリアしようとする現実的な戦略が見て取れます。