痛恨の自滅劇 魔境エル・サルディネロで前半に3失点を喫し、反撃及ばず3対2で敗戦
エルチェCFは敵地エル・サルディネロで行われたラ・リーガ第3節で、ラシン・サンタンデールに3対2で敗れました。22496人の大観衆が詰めかけたスタジアムで、今季初勝利を目指したチームでしたが、前半だけで3失点を喫するというあまりにも重い代償を支払うことになりました。
試合は立ち上がりからホームのラシンが激しいハイプレスで主導権を握る展開となりました。エルチェは前半15分にGKの痛恨のミスから先制を許すと、そこから坂道を転げ落ちるように失点を重ねます。21分、そして36分と相手フォワードのザビリにハットトリックを許し、前半を終えた時点で0対3という悲惨なスコアボードを見上げることになりました。
後半に入るとシステム変更を施して猛烈な反撃に出ました。78分にブバ・サンガレ、79分にフェル・ニーニョが電光石火の連続ゴールを奪い、1点差まで詰め寄りました。アディショナルタイムの5分を含め、センターバックを前線に上げて同点を目指す執念の放り込みを見せ、あと一歩で奇跡の同点劇というところまで追い詰めましたが、前半のあまりの低調さが響いて試合は終了。開幕3試合で1分2敗、勝ち点1にとどまる非常に厳しい現状が突きつけられました (via Mundo Deportivo)。
指揮官の怒りと自己批判 「前半45分を無駄にプレゼントした」と選手たちの姿勢を猛烈に糾弾するアンセルミ監督
試合後の記者会見に臨んだマルティン・アンセルミ監督は、激しい怒りと落胆を隠しませんでした。指揮官はタクティカルな問題以前に、前半に見せた選手たちの戦う姿勢そのものを厳しく糾弾しています。
アンセルミ監督は、前半の出来について次のように強い口調で振り返りました。
『サッカーは90分以上プレイされるものであり、45分間をただ相手に無駄にプレゼントしてしまうようなことは決して許されない。ピッチ上のあらゆるアクションにおいて、私たちは常に最大限の力で競い合わなければならない。最初の45分間のような気の抜けたプレイをしていては、そもそも勝負の舞台に立つことすら不可能なのだ』
さらに、自身の采配に対する責任も認めつつ、チーム全体のメンタリティに警鐘を鳴らしました。
『もちろん戦術的なミスもあっただろう。コーチ陣と共にしっかりと試合を分析し、修正を加えなければならない。負けた時は全員の責任だ。しかし、これだけは言える。フットボールにおいて、前半の丸々45分間、ピッチに存在していないかのような無気力な戦い方をするのは絶対に避けるべきだ。今日の試合の前半は、ピッチ上に私たちの姿はなかった』
ハーフタイムのロッカールームでは、うなだれる選手たちに対して『もうスコアのことは忘れろ。あれは終わったことだ。ここからはゼロ対ゼロの新しい試合が始まると考えてピッチに戻り、とにかく戦う姿勢を見せるんだ。スコアがどうなろうと構わない、後半は別のチームの姿を見せ、後半のミニゲームだけでも勝って戻ってこい』とだけ告げ、メンタルの切り替えを要求したことを明かしています。
後半のシステム変更についても、以下のように冷静な見解を示しました。
『2トップにシステムを変えたことで、相手ペナルティエリア内での存在感が増し、サイドを使って多くのクロスを供給できるようになったのは事実だ。しかし、この反応のすべてを単なるシステム変更によるものとして片付けるのは安易すぎる。じっくりとビデオを見直して、これが私たちが本当に目指すべきスタイルなのかを見極めたい。後半の戦い方こそが勝利に近づく道だが、いかんせん反応が遅すぎた。これでは勝利を掴むには不十分だ』 (via Estadio Deportivo)。
守護神ディトゥロの悪夢 先制点献上につながったGKの致命的ミスと露呈した守備の脆さ
この試合の最大のターニングポイントであり、チームを窮地に陥れたのが、15分に発生したGKマティアス・ディトゥロの信じがたいイージーミスでした。
自陣へ送られた何の変哲もないロングボールに対して、守護神ディトゥロはキープを試みました。しかし、足元でのコントロールを誤ってボールをルーズにしてしまいます。すぐさまペナルティエリア外まで詰めてきていたラシンの21歳FWザビリに一瞬の隙を突かれ、ボールを強奪されて無人のゴールに流し込まれました。この衝撃的なミスは、後ろから繋ぐサッカーを目指すチーム全体に大きな動揺を与え、その後のゲームプランを完全に破壊してしまいました。
実際、ミスは連鎖しました。21分の2失点目では、ディフェンス陣が素早い反応を見せられず、ビッグスとアッフェングルーバーが簡単に中央を突破されました。さらに36分の3失点目では、若きブバ・サンガレがロングボールの処理を誤ってヘディングミス。こぼれ球を拾われ、イニゴ・ビセンテの正確なクロスに対してマークを完全に外し、再びザビリに豪快なボレーシュートを突き刺されました。前半のエルチェの守備陣は、極度の緊張と自信喪失からバタつき、完全に空中分解した状態でした (via SPORT)。
1分間の猛反撃 若きブバ・サンガレとフェル・ニーニョが魅せた執念の連続ゴール
どん底の前半を終えた後、エルチェは後半に見事なプライドと執念を示し、ホームのラシンを恐怖に陥れました。その主役となったのが、若き新戦力たちです。
後半、指揮官はエゼ・ポンセとテテ・モレンテを投入し、ダブルトップへ移行。中盤の構成を変えてポゼッションを高めました。そして迎えた78分、敵陣深くでルカス・セペダが絡み、こぼれたボールを右サイドから上がってきたサイドバックのブバ・サンガレがエリア外から強烈なミドルシュート。これが相手ディフェンダーに当たって軌道が変わり、相手守護神アギレサバラの逆を突く形でゴールネットを揺らしました。これが若きサンガレにとってエルチェでの嬉しい初ゴールとなりました。
そのわずか1分後の79分、スタジアムの雰囲気が一変します。右サイドを切り裂いたテテ・モレンテが、対峙する相手ディフェンダーを鮮やかなキックフェイントで翻弄し、ゴール前へ高精度のクロスを供給。これにファーサイドで完璧なタイミングで飛び込んだフェル・ニーニョが、相手DFとの競り合いに勝ち、素晴らしい首の振りから強烈なヘディングシュートを突き刺しました。
わずか60秒の間に3対2と1点差に迫る怒涛の展開に、エル・サルディネロはパニックに陥りました。その後もエルチェはチュストを前線に残してロングボールを放り込み続け、アディショナルタイムにはアッフェングルーバーやフェル・ニーニョが立て続けに惜しいシーンを作りましたが、あと一歩が及ばず。それでも、この若手たちの気迫あふれるプレイは、今後の暗闇を照らす一筋の光となりました (via MARCA)。
戦力不足の限界 急務とされる補強とアンセルミ監督の「ポジション適性」に関する嘆き
ラシン戦での敗北は、エルチェCFの現スカッドにおける選手層の薄さと、適正ポジションの不足という極めて深刻な課題を浮き彫りにしました。
アンセルミ監督は試合後、システム変更や戦術調整を行うにあたっての制約について、極めて具体的な例を挙げて語りました。
『私たちは状況を打開するためのツールを探しているが、いま持っている選択肢はあまりにも限定的だ。例えば、今日の試合でも後半にテテ・モレンテを右サイドバックに、ルカス・セペダも右サイドバックに、そしてヘルマン・ヴァレラを左サイドバックに配置せざるを得なかった。しかし、言うまでもなくテテは純粋な右サイドバックではないし、ヘルマンも左サイドバックではない。純粋な適性を持つ選手がベンチにいないため、試合が難しくなった時に即座に効果的な調整を施すことが非常に困難になっている。この移籍市場が閉まるまでに、こうした異なる戦術を可能にするための専門的なポジションの選択肢、オルタナティブを必ず獲得しなければならない』
クラブのスポーツ部門を率いるシノッカらフロント陣も、この戦力不足を痛感しています。移籍期限は来週の9月1日(火)23:59に迫っており、時間は一刻を争います。特に、バルセロナへ移籍したイニャキ・ペーニャの退団によって空白が生じているGK陣には、ディトゥロの今回の致命的なミスも相まって、実力派の第二キーパー、あるいは競争を促せる守護神の補強が最優先事項となっています。さらに、指揮官が強く望んでいる本職のサイドバック、そして中盤でゲームを組み立てられるクリエイティブなプレイメーカーの獲得交渉を急ピッチで進める必要があります。この残された短い時間でフロントが実力者を連れてこられるかどうかが、今シーズンのエルチェの運命を左右することになります (via MARCA)。
【本日の総括】
前半のあまりにもお粗末な自滅劇から、ハーフタイムの指揮官の激怒を経て、後半は怒涛の追い上げを見せたエルチェCF。しかし、前半にプレゼントしたゲームをひっくり返すには時間が足りず、3対2で苦渋をなめました。新戦力のブバ・サンガレとフェル・ニーニョの初ゴールという収穫はあったものの、アンセルミ監督の言葉通り「適正ポジションの選手層不足」は致命的です。9月1日の移籍期限まで残りわずか。フロントは一刻も早く実力派のGK、サイドバック、プレイメーカーを補強し、チームを立て直す必要があります。
