14年ぶりの夢舞台!ビジャレアルとの死闘を分けた開幕ドロー劇
ラシン・サンタンデールにとって、2026年8月16日は歴史に刻まれる特別な一日となりました。実にかつて1部リーグのピッチに立ってから14年、5,000日以上もの過酷な旅路を経て、チームはついにラ・リーガ1部(プリメーラ)の舞台へと帰ってきたのです。
本拠地エル・サルディネロは、この記念すべき瞬間を目撃しようと詰めかけたサポーターによりチケットが完全完売(ソールドアウト)し、23,000人の大観衆で埋め尽くされました。試合前にはマカンブリアの海を背景に、スタジアム全体がクラブ公式の賛歌を大合唱し、サポーターグループによる感動的なコレオグラフィーが展開されるなど、素晴らしい雰囲気に包まれました。
対戦相手は、今季チャンピオンズリーグに出場する強豪ビジャレアル。しかし、ホセ・アルベルト・ロペス監督が掲げた『自分たちの基本方針とアグレッシブなプレースタイルを決して曲げない』という強い誓い通り、ラシンは立ち上がりから信じられないほどのインテンシティとガッツでビジャレアルを圧倒しました。
前半20分、エリア内で抜け目なく動いたジョージ・サリナスが相手のサティ・コメサーニャに蹴られてPKを獲得。これをアンドレス・マルティンがゴール右隅に冷静に突き刺し、14年ぶりとなる記念すべき1部復帰初ゴールを記録して先制しました。さらにスタジアムの熱狂が最高潮に達したのは前半30分過ぎ。19歳の超新星セルヒオ・マルティネスが、相手のクリアボールをエリア手前からダイレクトの豪快なボレーで捉え、ミサイルのようなシュートをゴール左上隅に突き刺して2-0とリードを広げました。
しかし、ここからラシンは1部リーグの洗礼を受けることになります。前半終了間際のわずか1分間(45分と45+1分)の間に、ビジャレアルのパペ・ゲイとニコ・ペペに相次いでエリア外からの強力なミドルシュートを沈められ、一瞬にして2-2の同点に追いつかれてしまいました。
後半は体力の消耗もあり、ビジャレアルが主導権を握る厳しい時間帯が続きました。しかし、守護神ジュレン・アギレサバラがアヨセやムリーニョの決定的なシュートを驚異的なセーブで防ぎ、失点を許しませんでした。終盤には途中出場のヤシ・ザビリのヘディングシュートなどで再び相手ゴールに迫るなど、プライドに満ちた戦いを見せました。
試合は最終的に2-2の引き分けに終わりましたが、強豪を最後まで苦しめたラシンの戦いぶりは、今シーズン彼らがリーガで大きな台風の目になることを予感させるに十分なものでした。なお、ラシンは今季、昨季2部(セグンダ)チャンピオンであることを証明する特別ゴールドパッチをユニフォームに着用して戦います。(via ElDesmarque)
19歳の超新星セルヒオ・マルティネス of Laredo の衝撃ボレーとカナーレス16年ぶりの凱旋
この歴史的な開幕戦で最大の主役となったのが、19歳の若きカンテラーノ、セルヒオ・マルティネスと、16年ぶりに愛する我が家へと帰還したレジェンド、セルヒオ・カナーレスの「二人のセルヒオ」でした。
ホセ・アルベルト監督がスターティングメンバー発表時に最大の驚きとして送り出したのが、ラレド出身の19歳ミッドフィールダー、セルヒオ・マルティネスの抜擢でした。昨季は2部のセカンドチームなどで経験を積んだばかりの若者が、1部開幕戦という巨大な舞台で先発を飾ったのです。そして前半30分過ぎ、エリア手前で浮いたボールを迷わず右足のボレーで捉えると、ボールは相手GKの頭上を越えてゴールの右上隅に突き刺さるという、まさに「一生に一度」の衝撃的なスーパーゴールとなりました。マルティネスはゴール後、歓喜の中で目に涙を浮かべながら、愛するラシンのエンブレムに情熱的なキスを捧げ、スタジアムに大歓声をもたらしました。
指揮官のホセ・アルベルト監督も彼のプレーを絶賛し、以下のように語りました。
『彼が決めたあの素晴らしいゴールについては、もう言葉はいらないだろう。あのシュートには、スタジアムに駆けつけた23,000人のサポーター全員の力が宿っていた。ゴールだけでなく、彼は中盤の守備やビルドアップでも信じられないほど素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた。これからもこの高いレベルを維持してほしい』
一方、もう一人の主役であるセルヒオ・カナーレスにとっては、16年ぶりにエル・サルディネロで緑と白のユニフォームを身にまとって戦うという、夢のような凱旋試合となりました。カナーレスは試合後、以下のように熱く喜びを語りました。
『ここに戻ってこられたことが本当に嬉しい。試合前にスタジアムに足を踏み入れた瞬間、サポーターとチームの凄まじい絆を目の当たりにして、鳥肌が立つほど感動した。これほど素晴らしい雰囲気の中で、再び1部のピッチでラシンのために戦えることを心から誇りに思うし、すべてのファンに感謝している。あまりにも長い間離れていたので、少し不思議な気持ちもあったが、このチームを本当に誇りに思っている。2-0にするまでは、自分たちが準備してきた完璧なプランを実行できていたが、相手は一瞬の隙も逃さずに罰を与えてくるチャンピオンズリーグ級のチームだった。引き分けは悔しいが、このチームには素晴らしい未来があると確信している』(via MARCA)
マノロ・イゲラ会長が断言する移籍市場最終盤の補強計画と若手主力の流出阻止
ラシン・サンタンデールのフロントは、ピッチ外において極めて慌ただしく、かつ断固とした態度で移籍市場の最終盤を戦い抜いています。
マノロ・イゲラ会長は開幕戦のキックオフ前、メディアの取材に対して今後の補強計画とチームの姿勢について極めて明確な方針を語りました。会長は、現在のチーム構成は未完成であり、さらなる戦力底上げが必要であると明言しました。
『私たちの夏の移籍市場はまだ終わっていない。これから移籍期限が閉まるまでの間に、少なくとも4人か5人の新しい補強を完了させる必要がある。リーグ戦が開幕した後にまだ市場が開いているという歪んだ日程は、大会の公平性をある意味で損なっていると感じているが、今週中にはいくつかの新戦力の獲得を公式に発表できる見込みだ。来週中にはさらに3人から4人の新たな仲間がチームに加わることになるだろう』
さらに、最も注目を集めているのが、若き左サイドバックのジョージ・サリナスに対するアトレティコ・マドリードやFCバルセロナといったビッグクラブからの獲得オファー、およびグスタボ・プエルタを巡る移籍の噂です。これに対し、イゲラ会長はファンに向けて非常に力強く、かつ絶対的な姿勢を示しました。
『サリナスとプエルタの2人については、私たちは何が何でも彼らの退団を阻止する。売却する意思は全くないし、交渉のテーブルに着くつもりも毛頭ない。彼らがこのクラブを去る唯一の方法は、他クラブが彼らの契約解除金(違約金条項)を満額支払い、私たちの手を離れて力ずくで引き抜くことだけだ。それ以外の形での放出は100%あり得ない』
スポーツディレクターのチェマ・アラゴン氏も『市場が閉まる最後の月曜日の夜12時のその一瞬まで、何が起こるか分からないのが移籍市場だ』と語り、最後の最後までチームの価値を守り抜くために徹底した交渉を続ける姿勢を見せています。(via Estadio Deportivo)
DFペドロ・フェリペを襲った悲劇 前半15分の無念の負傷交代と指揮官の懸念
この素晴らしい開幕戦の陰で、ラシンのディフェンスラインを襲ったのが、ブラジル人センターバックのペドロ・フェリペを襲った無念の悲劇でした。
先発出場を果たしたフェリペですが、試合開始からわずか15分、ディフェンスのアクションの際に太もも裏に激しい痛みを覚え、そのままピッチに倒れ込みました。彼が自らの手で太ももの裏側をしっかりと押さえたその瞬間、ピッチ上の誰もが深刻な筋肉の負傷(肉離れ)であることを察知しました。フェリペはこれから始まる1部での挑戦を前に、この早い時間での離脱に強いショックを受け、ピッチを去る際には涙を流しながら担架で運ばれていきました。代わりにマぬ・エルナンドが急遽センターバックとしてピッチに投入されることになりました。
ホセ・アルベルト監督も、この守備の要の離脱に大きな懸念を示しています。
『フェリペの怪我は典型的な筋肉トラブルだ。非常にはっきりとした肉離れ(破裂)の兆候が見られ、これは非常に残念なアクシデントだ。詳しい検査結果を待たなければならないが、しばらくの間彼を欠くことになるだろう』(via MARCA)
復帰戦における戦士たちの個別評価とエル・デスマルケによる全選手採点
14年ぶりの1部復帰戦において、ビジャレアルを相手に真っ向勝負を挑んだラシンの選手たちに対し、現地メディアのエル・デスマルケによる詳細な評価点(10点満点)と寸評が以下のように発表されました。
🔵 ジュレン・アギレサバラ(5.5)
前半の2失点については相手の驚異的なシュートに驚かされ防げなかった。しかし、後半に完全に崩された場面でアヨセやムリーニョの決定的なシュートを身体を張って防ぐなど、見事な好セーブを連発してチームを救った。
🔵 アルバロ・マンティージャ(6)
右サイドバックとして守備で非常に堅実な対応を見せた。それだけでなく、タイミング良く攻撃にも顔を出し、右サイドから果敢な突破を繰り返して最後まで走りきった。
🔵 パブロ・ラモン(6.5)
センターバックとして極めて集中した素晴らしいパフォーマンス。特に対人戦やデュエルにおいてビジャレアルの強力なアタッカー陣に対して抜群の強さを示し、高い信頼感を提供した。
🔵 ペドロ・フェリペ(採点なし)
開始わずか15分で太ももの大怪我により無念の涙の負傷交代となったため、採点なし。
🔵 ジョージ・サリナス(6.5)
左サイドから抜け目のない素晴らしいアクションを見せ、エリア内でファウルを受けて貴重なPKを奪取した。顔を上げた時のクロス精度も相変わらず高く、常にチャンスの起点となった。
🔵 グスタボ・プエルタ(5.5)
中盤の「掃除屋」として、広範囲にわたって泥臭くボールを回収する素晴らしい働きを見せた。しかし、激しいインテンシティの影響か、後半は徐々にスタミナ切れとなりパフォーマンスが低下した。
🔵 セルヒオ・マルティネス(7.5)
夢のような1部デビューを飾った。目の覚めるような弾丸ボレーシュートを突き刺し、涙を流してエンブレムにキス。ゴールだけでなく、中盤の底での守備強度や落ち着いたゲームメイクでも大活躍し、この日の最高評価を獲得した。
🔵 セルヒオ・カナーレス(5.5)
随所に類い稀なクオリティと狭いスペースでの技術の高さを見せたものの、試合全体を通じた存在感やチームの攻撃への直接的な関与度という点では、まだコンディション向上の余地を残す内容となった。
🔵 アンドレス・マルティン(6.5)
プレッシャーのかかるPKを冷静に右隅へと沈め、14年ぶりの記念すべき復帰第1号ゴールを記録した。ラ・リーガ公式からこの試合のMVPに選出され、その勝負強さを示した。
🔵 イニゴ・ビセンテ(7)
ピッチ上を自由自在に漂いながら、バイタルエリアで決定的なパスを何本も供給した。1部リーグのレベルであっても、彼のクリエイティビティと技術が完全に通用することを証明してみせた。
🔵 アシエル・ビジャリブレ(4)
「エル・ブファロ(雄牛)」の異名を持つストライカーだが、この日はボールを保持した際のキープや展開においてミスが目立ち、精彩を欠いた。前線での献身的な守備や走力は見せたものの、攻撃面では物足りない評価となった。
🔵 マヌ・エルナンド(5.5)
フェリペの急なアクシデントにより15分からスクランブル投入されたが、すぐに試合のペースに順応。エリア内での危険なこぼれ球を落ち着いてクリアするなど、ディフェンスラインの崩壊を防いだ。
🔵 ヤシ・ザビリ(6)
後半に投入され、前線での力強いフィジカルを活かして攻撃に素晴らしいアクセントを加えた。試合終盤には鋭いヘディングシュートを放ち、あと一歩で勝ち越しゴールという決定機を作り出した。
🔵 マゲッテ・ゲイ(5.5)
途中出場から中盤に安定感とバランスをもたらした。ボールを持った際にも非常に落ち着いた判断でシンプルなパスを配り、ビルドアップのテンポを整えた。
🔵 ディエゴ・ディアス(5)
試合終盤の交代出場となり、限られた時間の中で守備のタスクをこなした。
🔵 ファク・ゴンサレス(5)
守備を固めるために終盤にピッチに入り、ディフェンスラインの決壊を防ぐためのタスクを実行した。(via ElDesmarque)
【本日の総括】
14年ぶりのラ・リーガ1部復帰戦という歴史的な舞台において、ラシン・サンタンデールはエル・サルディネロに集まったサポーターの圧倒的な熱気とともに、強豪ビジャレアルを相手に2-2という劇的なドローゲームを演じました。19歳の超新星セルヒオ・マルティネスの衝撃的なデビューボレー弾やカナーレスの16年ぶりの感動的な凱旋、そしてピッチ外ではイゲラ会長による若手サリナスの売却拒否宣言とさらなる大型補強への野心など、素晴らしい未来を予感させるこれ以上ない新たな航海のスタートとなりました。
