【幻のバレンシア戦士テージョが現役引退

かつてバレンシアが幾度も獲得を熱望した元スペイン代表アタッカー、クリスティアン・テージョが35歳でプロサッカー選手としてのキャリアに幕を閉じました。バルセロナやレアル・ベティス、ポルト、フィオレンティーナ、ロサンゼルスFC、そしてサウジアラビアやドバイの地で16年間戦い抜いた俊足ウインガーは、自身のSNSで感動的な動画を公開し、現役引退を表明しています。

テージョは動画内で『今日はどんなサッカー選手にとっても、本当に難しい日の一つです。ついにプロサッカーに別れを告げる瞬間がやってきました』と切り出し、『これほど大好きなことを、16年間も最高峰の舞台で楽しむことができるなんて、今までの人生で想像すらしていませんでした。私は本当に恵まれた存在、特権的な人間だと思っています』と、長きにわたる現役生活への深い感謝と誇りを熱く語りました。

しかし、テージョのキャリアにおいて、一つの大きな心残りがあるとすれば、それはホームの主としてメスタージャのピッチに立てなかったことかもしれません。バレンシアの移籍市場において、テージョは常に名前が挙がる常連のターゲットでした。特に2016年と2022年の夏には、バレンシア加入が極めて現実味を帯びていました。

2016年の夏、バルセロナに所属しフィオレンティーナへのレンタル移籍から戻ったテージョに対し、バレンシアは強い関心を示しました。この夏はアンドレ・ゴメスがバルサへ移籍し、モントーヤがバレンシアに加入するという両クラブ間の交渉が進んでおり、その対話の中でテージョの獲得も熱心に議論されていました。しかし、オーナーのピーター・リムが突きつけた厳しい経済的条件が大きな障壁となり、最終的にこのオペレーションは決裂。メスタージャへの移籍は幻となりました。

その後、ベティスで5シーズンを過ごして契約満了を迎えた2022年の夏、フリーエージェントとなったテージョに再びバレンシアがアプローチをかけました。ラ・リーガの他クラブからも引き合いがあったテージョですが、最終的にはアメリカのロサンゼルスFCへの移籍を選択しました。この時、テージョの獲得を逃したバレンシアは、代役としてアトレティコ・マドリードからサム・リーノをレンタルで迎え入れることになったのです。

テージョとバレンシアの因縁は、2022年のコパ・デル・レイ(国王杯)決勝にも深く刻まれています。レアル・ベティスの選手として、決勝戦でバレンシアと対峙したテージョは、延長戦でベンチから途中出場。PK戦までもつれ込んだ激闘の中で、しっかりとPKを決めてベティスの優勝に大きく貢献しました。これがベティスでの最後の試合となり、その後はサウジアラビアのアル・ファティ、アル・オロバ、そしてドバイのパーム・シティでプレーして現役生活を終えました。

引退にあたり、メスタージャでのプレーという「もしも」の未来に思いを馳せつつも、テージョは自身のフットボール人生に対して悔いのない、素晴らしい満足感を示しています。 (via SPORT) (via Superdeporte)