モウリーニョ新体制と今夏の大型補強の詳細
フロレンティーノ・ペレス会長は、2シーズン連続の無冠とロッカールームの分裂という状況を打破するため、ジョゼ・モウリーニョを新監督として復帰させた。ベンフィカに違約金1500万ユーロを支払って引き抜いた形となる。モウリーニョにはチーム編成の全権が与えられており、すでにフリーでマンチェスター・シティからベルナルド・シウバを、同じくフリーでイブラヒマ・コナテを獲得している。さらに、退団したダニ・カルバハルの後釜として右サイドバックにデンゼル・ダンフリースを2000万ユーロで、左サイドバックにはチェルシーからマルク・ククレジャを5500万ユーロ(変動ボーナス込みで最大6000万ユーロ)で獲得した。これでモウリーニョの違約金を含めた今夏の投資額はすでに9000万ユーロに達している。
モウリーニョの教え子でもあり、彼をトップチームデビューさせた元レアル・マドリードのホセルは、イケル・カシージャスのポッドキャスト番組に出演し、『彼は非常にキャラクターが強く、明確なアイデアを持っている監督だ。人々を正しい場所に置くために必要なものを持っている。彼が市場で最高の選択肢だったかどうかは、試合を重ねて数ヶ月経たないと分からないが、チームには規律が必要だ。レアル・マドリードのようなクラブが2年もタイトルなしでいることは許されない』と語り、カシージャスもそれに同意した。また、F1ドライバーでマドリーファンのカルロス・サインツも『モウリーニョの就任がチームの再構築に役立つと思う。シャビ・アロンソも好きだったが、今は良いチームになることを信じて待つ必要がある』と期待を寄せている。
一方で、鳴り物入りで加入したマルク・ククレジャは、FCバルセロナのカンテラ出身であることからSNSで論争を呼んだが、本人は意に介していない。『一番の夢は、何よりもチャンピオンズリーグで優勝することだ。それが一番ワクワクする』と、新たな挑戦への決意を語っている。
また、加入したばかりのベルナルド・シウバは、モウリーニョからの直接の電話による迅速な交渉の末に加入したが、ワールドカップのポルトガル代表で出場時間を急速に減らしている。第1節は45分、第2節は15分、第3節は0分と、これまでの270分間でわずか60分しかプレーしておらず、大会の優勝候補である代表チームの中で存在感が薄れていることが懸念されている。(via SPORT / Estadio Deportivo / MARCA)
攻撃陣の共存問題とワールドカップでの疲労懸念
レアル・マドリードは現在、ワールドカップで最も多くのゴール(11得点)を生み出しているクラブである。ジュード・ベリンガム(イングランドの10番)、ヴィニシウス・ジュニオール(ブラジルの7番)、キリアン・ムバッペ(フランスの10番)といった選手たちが代表チームで圧倒的な輝きを放っている。しかし、マドリディスタの間では、代表で活躍する彼らがクラブに戻るとエゴがぶつかり合い、スペースを潰し合ってうまく機能しないという不満が渦巻いている。ファンは代表での輝きをサンティアゴ・ベルナベウでも見せることを強く求めている。
この3人の世界的リーダーを衝突させずにまとめることが、モウリーニョ新監督の最大の課題となる。モウリーニョはこれに対し、『世界最高の選手たちを抱えることは、最高の問題だ』と語っている。
その一方で、モウリーニョはプレシーズンに向けて『ワールドカップに出場しているマドリーの選手たちが早く敗退して、プレシーズン開始前に休んでほしい』と冗談交じりに語っていた。この願いは一部現実となり、トルコ代表のアルダ・ギュレル(270分出場)とウルグアイ代表のフェデ・バルベルデ(237分出場)は早期敗退によりすでに休暇に入った。また、イブラヒマ・コナテ(14分)やエンドリッキ(35分)は出場時間が短いため疲労の心配は少ない。しかし、全試合フル出場のマルク・ククレジャをはじめ、ティボ・クルトワ、ヴィニシウス、ジュード・ベリンガム、ブラヒム・ディアスらは疲労の蓄積が強く懸念されている。(via SPORT / ElDesmarque)
ニコ・パスとビクトル・ムニョスの売却益とカンテラ動向
フロレンティーノ・ペレス会長は、今夏の補強資金を回収するため、カンテラ出身選手の売却を積極的に進めている。ニコ・パスはイタリアのコモ1907へ6000万ユーロで完全移籍することが正式に発表された。マドリーは2年前に彼を600万ユーロでコモに売却していたが、今夏1000万ユーロで買い戻す権利を行使する構えを見せた。これに対しコモは、ニコ・パスを失うことを避けるため、違約金である6000万ユーロを満額支払うことを決断した。これにより、マドリーはコモが保有していた50%の権利分(600万ユーロ)を差し引き、実質5400万ユーロの純利益を手にした。なお、マドリーは2027-2028シーズンに向けて8000万ユーロの買い戻しオプションと、将来の移籍に対する優先交渉権を保持している。
ニコ・パス本人は移籍について、『何週間も考えた結果、僕のキャリアにとってこの瞬間の最良の選択は、僕を成長させ、今の選手にしてくれたコモにもう一年残ることだと決断した。このキャリアの段階での重要な一年であり、選手として成長し将来に備えるためのまたとない機会なので、僕にとってもレアル・マドリードにとっても最良の決断だと個人的に信じている』と語っている。
さらに、ビクトル・ムニョスの売却でも大きな利益を上げた。オサスナに売却していた彼を800万ユーロで買い戻し、直後にリヴァプールへ4000万ユーロで売却した。オサスナが昨年支払った500万ユーロを加え、買い戻し費用の800万ユーロを引き、リヴァプールからの移籍金の50%である2000万ユーロを合わせることで、最終的に2500万ユーロの利益を計上した。これら2人の取引だけで、マドリーは今夏の補強費の大部分にあたる7900万ユーロを回収している。
クラブは今後さらに資金を調達するため、フラン・ガルシア、エドゥアルド・カマヴィンガ、ゴンサロ、ティアゴ、アセンシオを市場に出している。さらに、ヒラ、ハコボ・ラモン、チェマ・アンドレス、ブランコ、セルヒオ・アリバスといったカンテラーノの活用も視野に入れている。
また、18歳のカンテラ出身CBであるジョアン・マルティネスにはバレンシアCFが強い関心を示している。彼は昨年十字靭帯断裂の重傷を負って1シーズン離脱したが、シャビ・アロンソ監督の下で2回、アルベロア監督の下で1回トップチームに招集され、プリメーラRFEFで継続的にプレーしている。バレンシアは公式に獲得(ローンまたは移籍)の打診を行っており、マドリーは将来的なブレイクに備えて権利の大部分を保持する形であれば放出を容認する構えだ。さらに、21歳のカンテラ有望株セサル・パラシオスは、エージェントをStellarからBest of Youに変更した。2027年6月まで契約を残す彼にも複数のクラブが関心を寄せている。(via SPORT / ElDesmarque / MARCA)
ダニ・セバージョスの退団と新天地の行方
ダニ・セバージョスがレアル・マドリードを正式に退団し、フリーエージェントとなった。彼は自身のSNSで『同じ情熱を持って新たな挑戦へ』と別れを告げた。彼は2027年まで残っていた契約と、受け取るはずだった総額1000万ユーロの給与を放棄してまで自由を手に入れた。
彼にはサウジアラビアからの巨額オファーのほか、ビジャレアルやユヴェントス、さらにマドリーに600万ユーロの移籍金を支払う用意があったアヤックスからもオファーが届いていたが、そのすべてを拒否している。彼の最優先希望は古巣レアル・ベティスへの復帰である。ベティスの現在の給与上限はイスコと同じ300万ユーロであり、セバージョスは大幅な減俸を受け入れる必要があるが、マヌエル・ペレグリーニ監督も彼の復帰を強く支持しており、交渉は最終的な金銭面の合意を残すのみとなっている。(via SPORT / Estadio Deportivo)
エンツォ・フェルナンデスとマイケル・オリーズの獲得動向
ペレス会長は選挙戦で公約した1億5000万ユーロ級の銀河系選手の獲得を目指し、中盤の強化としてチェルシーのエンツォ・フェルナンデスをリストの最上位に置いている。エンツォ本人もマドリーでのプレーを強く望んでおり、チェルシーも1億3000万ユーロであれば売却に応じる構えを見せている。マドリー側の提示額の上限は1億2000万ユーロとされている。しかし、チェルシーの新監督に就任したシャビ・アロンソは、すでにマルク・ククレジャをマドリーに引き抜かれたこともあり、チームの核であるエンツォの放出を全力で阻止しようとしている。
もう一人のターゲットがバイエルン・ミュンヘンのマイケル・オリーズである。マドリーは彼に対し、ネイマールが記録した2億2200万ユーロの史上最高額を上回る金額を支払う用意があるとも噂されている。これに対し、バイエルンのハイナー会長は『フロレンティーノ・ペレス会長が彼を獲得しようと考えているなら、その労力は省ける。我々はマイケルを売るつもりはない』と断言した。マドリー側もバイエルンとの良好な関係を重んじ、『彼とは全く接触していないし、メディアの絶え間ない憶測は望んでいない』と公式に声明を伝えている。しかし、オリーズ本人はこの騒動を認識しており、ワールドカップ終了後にバイエルン首脳陣との面談を要求している。この会談の結果次第で、状況が大きく動く可能性がある。(via SPORT / MARCA)
W杯でのヴィニシウスとエンドリッキの活躍と発言
ワールドカップの決勝トーナメント1回戦、日本対ブラジル戦でレアル・マドリードの選手たちが躍動した。ブラジル代表の7番を背負うヴィニシウス・ジュニオールはスタメン出場し、圧倒的な存在感を放った。彼は日本のサノから足裏を見せた激しいタックルを受け、痛みに顔を歪める場面もあった(サノにはイエローカードが提示された)。しかし後半には自陣からドリブルで駆け上がり、日本の冨安を股抜きでかわしてペナルティエリア内に侵入。アウトサイドでのシュートを放ったが、これはGK鈴木彩艶とポストに防がれた。このプレーはワールドカップのベストゴールになる可能性があったと絶賛された。試合を通してパス成功率90%、ドリブル成功率70%超、デュエルで11回中6回勝利と驚異的なスタッツを残している。
ヴィニシウスは試合前のテレビ番組で祖母ニルザさんからのビデオメッセージを見て涙を流し、『彼女はとても特別な人だ。父は離れて暮らしていたので、母、兄弟、祖母と育った。家は小さく、彼女と一緒に寝ていた。言葉が出ない。彼女は私の人生を変えてくれた。人が去る時が来るのは分かっているので、一緒にいる時間を大切にしている』と語った。さらに人種差別問題についても触れ、『ピッチ外でのこれらの成果は、ピッチ内でのものよりもずっと重要だ。多くの人を助けられるから。進歩は遅いが、次の世代が同じ苦しみを味わわないように前進し続けることを願っている。私には7歳の弟がいるが、彼には絶対に人種差別を経験してほしくない。私のような発言力を持たない黒人の若者たちにインスピレーションを与え続けたい』と力強く語った。また大会に向けては、『私たちはブラジルを再び頂点に置くために戦っている世代だ。6つ目の星は時間がかかりすぎている。ここ数年で多くを学んだ。アンチェロッティ(ブラジル代表監督)は私たちに自由、落ち着き、トップに戻る希望を与えてくれる。ネイマール、カゼミロ、アレックス・サンドロ、ダニーロ、マルキーニョスのような経験豊富な選手がいることで、私たち若手に大きな自由が与えられる。私はまだ25歳だが、非常に良い世代が来ている』と自信を見せた。
一方、19歳のエンドリッキは背番号19を背負い、ハーフタイムにパケタに代わって投入された。しかし、ヴィニシウスら攻撃陣と上手く連携できず、試合から完全に切り離された状態となり、期待された輝きを放つことはできなかった。それでも本人は『試合に出られてとても幸せだし、素晴らしい試合だった。日本との難しい試合だったが、今は代表でのこの瞬間を楽しんでいる』と前向きなコメントを残している。(via SPORT / ElDesmarque / MARCA)
アントニオ・リュディガーが語る壮絶な生い立ち
レアル・マドリードの守備の要であるアントニオ・リュディガーが、ベルリンのノイケルン地区で過ごした壮絶な幼少期について明かした。彼の母リリーはシエラレオネ内戦から逃れてドイツへ渡り、アフリカにルーツを持つ父マティアスと共に過酷な環境で家族を育てた。
リュディガーは当時の生活を『私の子供時代は貧困によって特徴づけられていた。金持ちであるということは、食べ物と飲み物があるということだった。もし食卓に鶏肉があれば、その日は金持ちだった』と回顧している。最も心が痛んだ記憶として、『母が修学旅行のお金を出せなくて、その顔を見た時に心が痛んだ。その時、今すぐ男にならなければならないと自分に言い聞かせた。8歳だった』と語った。荒れた環境については『それが日常だった。結局、私が来たところでは、一番強い者だけが生き残る』と述べつつも、『でも、お金はなくても私たちは一緒にいて、その点では豊かだった』と家族の強い絆を強調した。また、彼のアントニオという名前は、父親が俳優のアントニオ・バンデラスの大ファンだったことに由来していることも明かした。(via SPORT)
ベルナベウ地下駐車場建設計画の完全頓挫
レアル・マドリードが推進していた、サンティアゴ・ベルナベウ周辺に2か所の地下駐車場とトンネルを建設する巨大プロジェクトが完全に頓挫した。最高裁判所がレアル・マドリードの控訴を退け、マドリード高等裁判所(TSJM)が下した入札無効判決を確定させたためである。この決定により、スタジアム周辺のモビリティ計画の重要な部分が白紙に戻った。さらに、最高裁判所はレアル・マドリードに対し、訴訟費用として2000ユーロの支払いを命じた。これにはTSJMで命じられた1万2000ユーロと、影響を受けた近隣住民に支払われる市議会分の6000ユーロが加算されることになる。(via SPORT)
ペレス会長の対抗馬リケルメによる新たなプラットフォーム設立
先のレアル・マドリード会長選挙でフロレンティーノ・ペレス会長に対抗し、11,814票(得票率35%)を獲得した再生可能エネルギー企業Coxの代表エンリケ・リケルメが、新たな動きを見せた。彼は自身の選挙プロジェクトを常設のプラットフォームへと移行させ、サンティアゴ・ベルナベウのすぐ近く(ラファエル・サルガド通り)に拠点を構えた。
このプラットフォームの最初の目的は、ペレス会長が進めているクラブの価値の5%から10%を外部投資家に売却するという財務計画に対し、透明性と情報を要求することである。リケルメ側は声明で、『クラブの性質、所有権、アイデンティティの変更への扉を開く可能性のある、クラブの将来に影響を与えるような特に重要な財務上の作戦について、十分で明確かつ検証可能な情報を持つソシオの権利を要求する』と主張。さらに『マドリードはあと20年も選挙なしでいることはない。ソシオは4年ごとに投票し続けるだろう。ソシオの意見に耳を傾けることが最善だ』と訴え、ペレス体制に対する恒久的な監視役として活動していくことを宣言した。(via SPORT)
【本日の総括】
モウリーニョ新監督の下、ククレジャやダンフリースなど次々と大型補強を決める一方で、カンテラーノの巧みな売却で資金を回収するペレス会長の手腕が光る一日。W杯でのヴィニシウスの圧巻のプレーと感動的な言葉は、マドリディスタの胸を熱くさせたはずだ。