ルイスカストロ監督 奇跡のラリーガ残留を振り返る
ルイスカストロ監督は、スペインの深い底からチームを救い出し、誰もが奇跡と呼ぶ残留を成し遂げました。12月の就任時点では残留ラインから6ポイントも離れた絶望的な状況にあり、周囲からは悲観的な声も多く聞かれました。しかし、そこからヨーロッパの大会出場権を争う上位チームに匹敵する32ポイントを獲得し、見事に1部残留を果たしました。
世間からは奇跡と呼ばれていますが、監督本人は『これは奇跡だとは思わない。フランスのUSLダンケルクでも同じような経験をした。非常に困難だったが、多くの人のハードワークと能力によって達成されたものだ。もし神の助けがあったのなら感謝するが、奇跡ではないと思う。よく働き、善良な人には神がより多くを与えてくれるのだと思う』と否定し、日々のハードワークの成果であることを強調しています。
また、この劇的な残留劇は自身のキャリアの中で、ダンケルクやベンフィカでの経験と並ぶ、最も感動的な3つの瞬間の一つだと認めています。
厳しい戦いの中でも諦めそうになった瞬間は『一度もない』と断言しており、『怪我で主力選手を失った時も、代わりになる選手が十分いると言い続けた。常に信じていた。私は信じるというスローガンも、38節まで集中すれば必ず達成できると全員に伝えていた』と、最後まで揺るがなかった強い信念を明かしました。(via SPORT)
ベティス戦の敗北とラカルトゥーハでの歓喜の胴上げ
残留を争う下位のライバルたちが毎週のようにポイントを重ねる中、レバンテは最後まで戦い抜きました。敗れたベティス戦についても、監督は『ベティス戦の敗北は、もはや些細なことだ。負ければ決して満足はできないし、ゴールを決めるチャンスもあったが、わずかの差で決められなかった。最後の1分まで戦い、ポストに当たるシュートもあった。100%の満足とはいかないが、何カ月も目標のために戦い、それを達成できたのだから、心は穏やかだ』と振り返っています。
試合終了の笛が鳴った瞬間の心境については、『終わった。達成した。今は祝って、未来のことを考えよう』と思ったそうで、安堵というよりは『やるべきことをやり遂げたという感覚』だったと語りました。
ラカルトゥーハのピッチで選手たちから胴上げされたことについては、『あの時は彼らを殺してやりたいと思ったけれど、笑。でも、私の仕事を評価してくれているのだと感じて幸せだった。私たちのいた場所を考えれば、天に触れるような出来事だ。他の資金力のあるチームが優勝するよりも、我々が成し遂げたことの方が難しいと選手たちとも話した』と、笑顔を交えながら選手たちとの強い絆を語っています。(via SPORT)
勝利へのメンタリティ改革とカルロスエスピの急成長
就任直後から監督が着手した最大の課題は、選手たちの意識改革でした。『最も重要だったのはチームのメンタリティを変えることだった。何が起こるか様子を見るのではなく、勝つためにプレーしなければならない。勝ち点1を取りに行くような試合をすれば、確実に死ぬ。たいてい負けるものだ。選手の考え方を変え、戦術を修正し、チームに私のアイデンティティを与えた』と、勝利への執念を植え付けたプロセスを説明しています。
選手との対話も非常に重視しており、『私はセットプレーの練習は担当していないが、近くにいて選手と話をする。理由を理解していれば動きは変わる。選手たちは非常に賢い。例えばカルロスエスピは、オビエド戦とマジョルカ戦でボール奪取から2ゴールを決めた。どこでどうプレスをかけるか話し合い、彼は賢いからすぐに理解した』と、具体的なエピソードを交えて選手たちのインテリジェンスを称賛しました。
感情のコントロールについても、『私は言ったことは感じるし、実行する。記者会見で落ち込んではいけないと言いながら、ビデオ分析で悪いところばかり指摘して選手を怒鳴りつけるようなことはしない。言葉よりも行動が大事だ。言行不一致があれば選手は騙されたと感じる』と、指導哲学を語っています。
若手のカルロスエスピについては、『就任前に全選手を見ていたが、半年経って一番驚かされたのは彼らの人間性だった。カルロスエスピがこれほど短期間でここまで進化できるとは知らなかった。実際に指導してみて初めてわかることだ』と、その急成長に驚きを隠しませんでした。(via SPORT)
ペペダンビラとの対話とレバンテ就任の舞台裏
レバンテの監督に就任した背景には、ドラマチックな展開がありました。ナントを退任した翌日の12月11日、ペペダンビラからメッセージを受け取った監督は、当初はオファーを断るつもりだったといいます。
『正直、2回目に話した時は断るつもりだった。状況的にベストではないと思ったからだ。しかし彼は「いや、君は来なければならない」と言い、クラブの歴史、アイデンティティ、なぜ私を求めているのかを詳細に説明してくれた。私のプレースタイルや選手への接し方まで知っていて、本当に私を求めていると感じた』と、ダンビラの熱意が心を動かしたことを明かしました。
決断を下す前には、スタッフと共にレバンテの試合を徹底的に分析したそうで、イケルロサダについても就任前のセビージャ戦などでプレーを見て既に把握していました。『代理人も「あなたがそう感じるなら一緒に行く」と支持してくれた。残留の確信はなかったが、できるという予感はあった』と、リスクを承知で挑戦を選んだ理由を語っています。
現在ではクラブへの愛情も深まり、『このスタジアムでプレーする時、私は彼らの一員だと感じる。初日からファンは私を愛情と敬意を持って扱ってくれた。将来何が起ころうとも、レバンテは常に私の心の中にある』と、ファンへの深い感謝を口にしました。(via SPORT)
2028年までの契約延長とスポーツ部門への賛辞
見事に1部残留を果たしたことで、ルイスカストロ監督の契約は自動的に更新され、2028年まで延長されました。これは単なる救済者としてではなく、中長期的なプロジェクトを任されたことを意味します。
監督はクラブのフロント陣の仕事を高く評価しており、『クラブのスポーツ部門は、限られた予算と選手の質を考えれば、ラリーガで最高の仕事をしたと思う。この予算でこれほどのチームを作れるクラブは他にない』と絶賛しています。
今後の展望については、『単にチームをラリーガに残して終わりという仕事は好きではない。クラブをより安定した状況に置き、そこから成長するための未来への仕事ができる』と、レバンテでの長期的なプロジェクトに強い意欲を燃やしています。(via SPORT)
体育教師からの異色のキャリアと憧れの指導者
プロ選手としての経験がないルイスカストロ監督は、自身の異色のキャリアについても語りました。『自分がここまで来るとは思っていなかった。元々は体育教師で、ハンドボールやフットサル、空手、水泳などもやっていた。大学時代にヴィゼラというクラブから週末に子供たちにサッカーを教えないかと誘われたのが始まりだ』と振り返ります。
5歳や6歳の子供たちの指導から始まり、そこから着実にステップアップしていきました。『サウジアラビアからプロのオファーが来て教師を辞める決断をした。自分が優秀な監督になれるかどうか悩んだ時期もあったが、長期的な計画があったわけではない。ただ真摯に働き、一歩一歩進んできた結果が今につながっている』と、地道な努力の積み重ねであることを強調しました。
憧れの指導者については、『最初はモウリーニョだった。彼がポルトを率いていた頃、そのプレーは素晴らしく、同じ体育教師出身ということで大学生の憧れの的だった』と明かしています。その後、グアルディオラやクロップからも影響を受けたそうですが、現在最も惹かれているのは意外な人物でした。『現在プレースタイルや人間性で最も惹かれるのは、オリンピックリヨンのパウロフォンセカだ。資金がない中で主力を失い、降格の危機に瀕しながらも素晴らしいシーズンを過ごしている』と、同郷のポルトガル人指揮官へのリスペクトを語りました。(via SPORT)
【本日の総括】
絶望的な状況からチームを救ったルイスカストロ監督のインタビューからは、揺るぎない信念、選手たちとの対話を重視するメンタリティ改革、そしてレバンテというクラブへの深い愛情がひしひしと伝わってきます。2028年までの長期契約を手にし、来季以降の新たなプロジェクトでのさらなる飛躍に大きな期待が持てます。