バレンシア戦の激闘と敗戦

バレンシアをホームのアノエタに迎えたラ・リーガ第37節は、両チーム合わせて7ゴールが生まれる壮絶な打ち合いとなった。レアル・ソシエダは前半3分、右サイドを駆け上がったアリツ・エルストンドのクロスにアイヘン・ムニョスが合わせ、これが相手DFウナイ・ヌニェスにわずかに触れてコースが変わり先制に成功した。しかしそのわずか5分後、ハビ・ゲラにエリア内への侵入を許し同点ゴールを奪われる。さらに22分には、エライ・キュメルトとウーゴ・ドゥロの鮮やかな連携から逆転ゴールを許してしまった。前半30分過ぎにはカルロス・ソレールがエリア内に侵入してサイドネットを揺らすシュートを放ち、グイド・ロドリゲスのボールロストから抜け出したオーリ・オスカルソンが決定機を迎えたがシュートはクロスバーを越えた。前半終了間際にもオスカルソンが左足のボレーシュートを放ったが、相手GKディミトリエフスキの指先でのセーブに阻まれた。

後半に入り、ペレグリーノ・マタラッツォ監督は58分にミケル・オヤルサバル、ルカ・スチッチ、セルヒオ・ゴメスの3人を同時投入して攻勢に出る。これが功を奏し、60分にパブロ・マリンの低いクロスが相手DFセサル・タレガに当たり、ポストを叩いてオウンゴールとなり2-2の同点に追いついた。さらに63分には、オヤルサバルの絶妙な浮き球のパスに抜け出したオスカルソンが強烈なシュートを突き刺し、3-2と再逆転に成功する。69分には相手DFキュメルトが一発退場となり、数的優位にも立った。パブロ・マリンからスチッチへのパスでゴールネットを揺らした場面もあったが、これはマリンのオフサイドで取り消された。勝利は確実かと思われたが、90分にコーナーキックからグイド・ロドリゲスにヘディングシュートを決められて3-3の同点にされると、アディショナルタイムの94分にはハビ・ゲラに個人技から決勝ゴールを許し、10人となっていた相手に3-4での逆転負けを喫する結果となった。 (via MARCA) (via Mundo Deportivo) (via ElDesmarque) (via Estadio Deportivo)

アリツ・エルストンドの退団と惜別

この試合は、長年クラブに貢献してきたアリツ・エルストンドにとってアノエタでの最後の試合となった。現在32歳のエルストンドは、これまでにトップチームで312試合(うち先発235試合)に出場してきたが、5月5日にフットボールディレクターのエリック・ブレトスから6月30日で満了となる契約を更新しない旨を告げられていた。ワン・クラブ・マンとしてキャリアを全うしたいという本人の希望は叶わず、来季はアラベスやオサスナ、あるいは海外など新天地を探すことになる。

試合前のピッチには家族とともに登場し、ジョキン・アペリバイ会長から金とダイヤモンドの記章を授与された。マタラッツォ監督が前日に予告した通り、この日は本来のセンターバックではなく右サイドバックとして先発出場し、キャプテンマークを巻いてプレーした。前半3分にはアイヘン・ムニョスの先制ゴールを見事にアシストし、空中戦の強さを見せて3-2の逆転ゴールの起点にもなるなど、攻守にわたって存在感を示した。そして84分、ホン・ミケル・アランブルとの交代でピッチを退く際には、スタジアム中から万雷の拍手とスタンディングオベーションが送られ、エルストンドは目に涙を浮かべながらアノエタのピッチに別れを告げた。一方で、一部のファンからはクラブが契約を更新しない決定を下したことに対して理解できないとの声も上がっており、1月から就任したマタラッツォ監督の構想において、ホン・パチェコの復帰やルケン・ベイティアの昇格が優先され、エルストンドがわずか7試合の出場にとどまっていたことも指摘されている。 (via MARCA) (via Mundo Deportivo) (via ElDesmarque)

ペレグリーノ・マタラッツォ監督の激怒

試合後、ペレグリーノ・マタラッツォ監督は記者会見で怒りを隠さなかった。『正直に言って、発言には気をつけないといけない。前半は望んでいたようなプレーができず、相手のスペースを見つけられなかった。後半は3人の交代で良くなり、強度で互角になったが、ラ・リーガの試合で勝つには十分ではなかった。相手が退場した後に同じ強度に戻ってしまった。低いブロックでどう動くべきか分かっていなかった。逆転したのにこのようなゴールを許すのは非常に消化しがたい。言葉にするのが難しく、アノエタでの最後の試合に負けて非常に失望している』と率直に語った。

チームは今季60失点を喫しているが、指揮官は『最初の2失点は構造的なものではない。セットプレーも毎週練習している。構造的な問題というのは、カウンターを受けたりボールを奪われたりした時に起きるものだ。インテンシティの問題であり、プロセスやコミュニケーションを改善しなければならない』と強調した。また、チームの現状について『良い感触はない。ひどいものだ。今日はどん底だ。何かをかけてプレーして負けるなら素晴らしいが、今回は十分ではなかった。「エルス」(エルストンド)のためにもホームでの別れのためにプレーしていたのに、十分ではなかった。コパ・デル・レイのタイトルは誰にも奪えないが、それだけでは十分ではないし、今見せているものも十分ではない。競争力を失えばこういう試合になる』と苦言を呈した。記者から「ここに到着して以来、今日が一番怒っているか?」と問われると、『はい、確かに。とても怒っている』と認めた。

守備の課題については『得点も多いが、攻撃的だからこそリスクが伴う。しかしこの守備の仕方は持続可能ではない。変えるべきことはたくさんある。今は詳細を言いたくないが、プレシーズンに向けた課題だ。選手たちも自分たちの状態を分かっている。ビデオで守備を分析しているし、今日も明確だった。構造はクリアだったが、強度と活動量の問題だ』と総括した。 (via MARCA) (via Mundo Deportivo) (via ElDesmarque) (via Estadio Deportivo)

出場選手たちの詳細な評価とスタッツ

この試合に出場した選手たちへの現地メディアの評価は以下の通りとなっている。

アレックス・レミロは4失点を喫し、ワールドカップが懸かっている中でアピールできず、好セーブを見せる機会も少なく厳しい評価を受けた。退団となるアリツ・エルストンドは先制点のアシストや3点目の起点となるなど、攻守に素晴らしい活躍を見せチーム最高の評価を得ている。イゴール・スベルディアは空中戦でバレンシアのFW陣に競り負ける場面が目立ち、ホン・マルティンはウーゴ・ドゥロにスペースを与えてしまうなど、守備陣の中で最も低い評価となった。

左サイドバックのアイヘン・ムニョスは、退団の可能性も囁かれる中で先制ゴールを記録し、守備でも自身のサイドで問題を起こさなかった。中盤のベニャト・トゥリエンテスは中盤に鍵をかけられず、アグレッシブさを欠いていたと指摘された。古巣対戦となったカルロス・ソレールは前半は試合をコントロールできなかったものの、後半は改善を見せた。ブライス・メンデスはアルセン・ザハリャンとポジションが重なることがあり、パスは出したものの一貫性に欠けていたと評価された。パブロ・マリンは後半に調子を上げ、同点となるオウンゴールを誘発したほか、相手の退場処分も引き出した。久々の出場となったザハリャンはポジションの重なりもあり、チャンスを活かしきれなかった。

前線のオーリ・オスカルソンは前半の2度の決定機こそ逃したものの、後半に強烈なシュートで3-2となるゴールを決め、今季終盤の数字を9ゴールに伸ばす素晴らしいパフォーマンスを見せた。途中出場のセルヒオ・ゴメスは左サイドでしっかりと役割を果たし、同じくルカ・スチッチはボールの循環を大きく改善させた。ミケル・オヤルサバルはエルストンドにキャプテンマークを譲る形でベンチスタートとなったが、投入後は2-2の起点となり、オスカルソンのゴールを絶妙なアシストで演出するなど攻撃を牽引した。終盤にはゴンサロ・ゲデスとホン・ミケル・アランブルもピッチに立っている。 (via ElDesmarque)

久保建英ら控え組の起用状況と欠場情報

この試合、ペレグリーノ・マタラッツォ監督は前節のジローナ戦から先発メンバーを9人変更するという大規模なターンオーバーを敢行した。アレックス・レミロとホン・マルティンのみがスタメンを維持し、残りのメンバーは大幅に入れ替えられた。

日本人選手の久保建英は、ミケル・オヤルサバルやルカ・スチッチらとともにベンチスタートとなった。後半にマタラッツォ監督が状況を打開するためにオヤルサバル、スチッチ、セルヒオ・ゴメス、ゴンサロ・ゲデス、ホン・ミケル・アランブルと5つの交代枠を全て使い切ったため、久保建英に出番が回ってくることはなく、この試合は90分間ベンチから試合を見守る結果となった。現地メディアの事前予想や試合中の言及でも、久保はローテーションの一環として休養を与えられたワールドカップ出場組の主力の一人として位置づけられていた。また、その他の欠場者として、ドゥイエ・チャレタ=ツァルが累積警告により出場停止となっていたほか、アンデル・バレネチェア、ウルコ・ゴンサレス・デ・サラテ、アルバロ・オドリオソラが負傷によりメンバーから外れていた。 (via MARCA) (via Mundo Deportivo) (via ElDesmarque)

クラブの現状とコパ・デル・レイ優勝後の低迷

レアル・ソシエダは今シーズン、コパ・デル・レイのタイトルを獲得するという大きな成功を収め、これによってすでに来シーズンのUEFAヨーロッパリーグ出場権を直接確保している。しかし、その偉業を達成した直後から、リーグ戦でのパフォーマンスは著しく低下している。今回のバレンシア戦での敗北により、リーグ戦では7試合連続未勝利(4分3敗)という今季最悪の泥沼の不振に陥っており、勝ち点45のまま順位も10位まで転落してしまった。

他クラブの監督であるエルチェのエデル・サラビア監督が『コパ・デル・レイの決勝をリーグ戦が7節も残っている時期に開催するのはいかがなものか』と苦言を呈したように、現地メディアでも「コパ優勝という最大の目標を達成したことで、選手たちのモチベーションが低下し、緊張の糸が切れてリラックスしてしまったのではないか」という指摘が相次いでいる。マタラッツォ監督も「コパのタイトルは誰にも奪えないが、それだけでは十分ではない」とチームのメンタル面に警鐘を鳴らしており、守備崩壊や競争力の欠如が露呈している現状に強い危機感を抱いている。一部のファンからは終了のホイッスルとともにチームへのブーイングも飛ぶなど、歓喜のコパ優勝から一転して厳しい空気が漂っている。 (via MARCA) (via Mundo Deportivo) (via Estadio Deportivo)

最終節エスパニョール戦へ向けた展望

来週の土曜日に行われるラ・リーガ最終節で、レアル・ソシエダはアウェーでエスパニョールと対戦する。対戦相手のエスパニョールはこの日のオサスナ戦の勝利によって1部残留を確定させており、さらに他会場の結果次第ではUEFAカンファレンスリーグ出場権を獲得できるわずかな可能性(5%)を残している状況にある。両チームにとってこの試合は実質的な消化試合の側面が強くなる。

マタラッツォ監督はこの最終戦について、『常に変更を加え、選手たちにチャンスを与える可能性がある。うまく繋がり、チームに良いエネルギーを生み出したい。軌道を修正し、メンタル面に取り組まなければならない。毎週同じことはしない』と語り、再びメンバーを入れ替えて新しい解決策を模索する意向を示した。また、自身の来季の去就やチーム編成の計画については『来季のことについては、この最終戦が終わってからもう少し話すことができるだろう。私の中にはアイデアがあるし、プレシーズンに向けた休みもある。今は決断を下す時ではない。ここ数試合で多くの情報を集め、結論はすでに出ている』と述べ、シーズン終了後に本格的なチーム改革に着手することを示唆している。最終節は、指揮官にとって来季構想を見極めるための重要なテストの場となりそうだ。 (via MARCA) (via Mundo Deportivo) (via ElDesmarque)

【本日の総括】

退団するエルストンドへ捧げる勝利を目指したものの、数的優位を活かせずアディショナルタイムの失点で3-4と敗戦。コパ優勝後のモチベーション低下と守備崩壊が顕著になり、指揮官も激怒する事態に。最終節での立て直しと来季の再建が急務となっています。