【アイタナ・ボンマティ

女子バロンドール受賞者であり、FCバルセロナフェメニおよびスペイン女子代表の象徴であるアイタナ・ボンマティ。世界最高の選手へ上り詰める以前の無名な少女時代について、母のロサさんが微笑ましい家庭内のエピソードを明かした。

超満員のスタジアムや遠征生活を経験する前、アイタナにとって最初のライバルは自宅の中にいた。父親のマリア・ビセンテさんだ。

幼少期のボンマティ家では、リビングの家具がそのままピッチの障害物となり、少しでも空き時間があれば父娘による熾烈なボールの奪い合いが始まった。当時使っていたボールは、サッカーボールではなく「くしゃくしゃに丸めたアルミホイルの塊」だった。リビングの棚の上に保管されていたそのアルミホイル球を取り出すことが、父娘の試合開始の合図だった。

アイタナが8歳頃、習い事から帰宅するとすぐに父親へ勝負を挑んだ。イスとイスの間に作られた即席のゴールを挟み、ドリブルを仕掛けては『ズルをした!』と主張し合い、ゴールを決めれば大喜びし、負ければ『もう一回!』とリベンジを要求する熱戦が連日繰り広げられた。母ロサさんの目には、負けることを心の底から嫌がり、勝負に本気で挑む少女の姿が焼き付いている。

9歳から10歳を迎える頃になると力関係が逆転した。アイタナが父親を打ち負かすようになり、決めたゴールを父親の前で誇らしげに祝福するようになった。まさに「猫とネズミ」のような関係だったという。

この家の中でのミニボール対決は、アイタナが17歳頃になるまで続けられた。大人になっても幼少期の遊びを忘れず、ボールひとつで親子が笑顔で真剣勝負を繰り広げた時間は、世界最高峰のメンタリティと負けず嫌いな性格を育むかけがえのない原点となった。(via SPORT)