クリスチャンタス・ウチェの悲劇
ヘタフェに大きな悲劇が襲いかかりました。ヨーロッパリーグやカンファレンスリーグへの本格的な復帰に向けてプレシーズンの基準を引き上げていた中、クラブが今夏の最大の期待作として位置づけていた新星ミッドフィールダー、クリスティアンタス・ウチェが、プレシーズンマッチでの無謀なタックルにより今シーズンすべての戦線から離脱することが確実となりました。
事件が起きたのはモナコとの親善試合でした。ボルダラス監督は中盤からフォワードへとコンバートしたウチェを後半から投入。しかし、試合終了まで残り10分を切った緊密な局面において、モナコのラモン・マウィサから激しいタックルを右膝に受け、ウチェは苦悶の表情を浮かべてピッチを退きました。タックルを行ったマウィサには一発退場が命じられました。
試合直後にヘタフェが発表した初期のメディカルリポートでは『最初の検査と臨床観察の結果、右脚の膝蓋骨に打撲を負った状態である』とされ、サポーターの間には一時安堵が広がっていました。しかし、その後の詳細な精密検査により、事態は最悪の結末を迎えることとなりました。
ウチェの右膝は、前十字靭帯から半月板に至るまで複数箇所を完全に断裂しており、完全に破壊された状態であることが判明。ウチェは数日中に手術を受ける予定ですが、これにより2026-27シーズンをすべて棒に振ることが確定しました。補強作業が依然として困難を極めるヘタフェにとって、開幕前のこの大怪我はチームの根幹を揺るがす深刻な打撃となっています。(via ElDesmarque)
プレシーズン最終戦トッテナム戦で価値あるドロー
ヘタフェはイングランドの強豪トッテナムを相手にプレシーズン最終戦に臨み、非公開で行われた実力伯仲の戦いを1-1の引き分けで締めくくりました。
トッテナムのトレーニングセンターで行われたこの試合は、前後半35分ずつの合計70分間という特殊なルールで実施されました。前半のヘタフェは持ち味である粘り強い堅守を披露。前半終了間際にわずかな決定機を作られた以外は、守護神ダビド・ソリアを中心にトッテナムの攻撃を完全に封じ込め、落ち着いた試合運びを見せました。
後半に入ると試合は一気にテンポアップします。ヘタフェは後半55分、途中交代でピッチに入ったばかりのクッロから供給された精確なパスに、ヘタフェBチーム所属のアルベルト・リスコが反応。エリア内でダイレクトで合わせ、相手キーパーのキンスキーが守るネットを鮮やかに揺らして待望の先制ゴールを奪いました。
しかしそのわずか4分後の59分、かつてアトレティコ・マドリードでもプレーしたトッテナムのコナー・ギャラガーに同点ゴールを許し、試合はそのままドローで終了しました。ボルダラス監督は、開幕のアラベス戦で先発が予想されるダビド・ソリアやジェネ、サトリアーノといった主力をピッチに送り出すと同時に、カンテラの若手であるパチョンJr.やリスコらを積極的に起用し、充実した内容でプレシーズンを完結させました。(via MARCA)
トッテナム新戦力ファン・ヘッケの怒り
トッテナムとの非公開の親善試合は、ピッチ上での結果以上に、試合後の相手選手からの発言により大きな波紋を呼んでいます。特にトッテナムがブライトンから獲得した新戦力であるオランダ人DFヤン・ポール・ファン・ヘッケは、ヘタフェのプレースタイルの激しさに対して強い怒りを示しました。
ファン・ヘッケは試合後のインタビューに応じ、親善試合に似つかわしくない相手のラフプレーを次のように厳しく批判しました。
『時にはピッチ上で高いインテンシティを持って戦うことも必要だが、彼らの昨日のやり方は明らかに度を越していた。特に怪我を避けるべき親善試合において、あのような振る舞いは一切必要のないものだ。もしこれが通常の公式戦であれば、彼らのうち少なくとも2人か3人は一発退場処分になっていたはずだ。それが彼らのスタイルなのかもしれない。私たちは試合前から彼らがそういうアプローチをしてくることを頭に入れて準備していたが、それでもフレンドリーマッチであれば、少しは手加減をするべきだと考えるのが普通だ。しかし同時に、私たちも引かずにしっかりと足を投げ出さなければ、彼らのインテンシティに押し切られて敗れてしまうため、全力で対応するしかなかった』
ファン・ヘッケのこの痛烈な言葉は、ボルダラス監督がチームに植え付ける代名詞とも言える激しいプレッシングや徹底したファウルでの遅延戦術が、相手に対していかに厄介なものであったかを物語っています。(via Mundo Deportivo)
過酷な8月日程とカンファレンスリーグへの挑戦
トッテナムとの大一番を1-1で終え、プレシーズンを2勝2分け2敗の五分の成績で締めくくったヘタフェは、ここから息をつく暇もない過酷な公式戦の連戦へと突入します。
ヘタフェは8月の後半だけで合計5試合をこなす過密日程を予定しています。そのスタートとなるのが、8月15日土曜日に予定されているラ・リーガ開幕戦。かつてヘタフェの黄金期を築き、現在はデポルティーボ・アラベスを率いるキケ・サンチェス・フローレス監督との因縁めいた対決が、アウェーのメンディソロサで幕を開けます。
さらにそのわずか5日後には、クラブにとって悲願である欧州カップ戦、カンファレンスリーグのプレーオフ第1戦が控えています。対戦相手はセルビアの名門パルチザン・ベオグラードが有力視されており、欧州の舞台での初戦に向けてボルダラス監督は、ウチェを欠いた状態での極めて限られた登録メンバーのやりくりを強いられることになります。リーグ戦での順位確保と欧州での冒険を両立させるため、ヘタフェのフロントと現場は一丸となってこの過酷なスタートダッシュに挑みます。(via MARCA)
【本日の総括】
ヘタフェはトッテナムとの最終戦を1-1で終えて上々の手応えを得たものの、試合後に相手選手から過度な荒さを批判されたほか、モナコ戦で膝の重傷を負ったウチェが今シーズン絶望となるなど、開幕を前に大きな試練に直面しています。15日のアラベス戦から始まる8月の怒涛の5連戦、そしてカンファレンスリーグプレーオフに向けて、限られた戦力でボルダラス監督がどのように立ち向かうのか、勝負の一月が始まります。