スタジアムから逃亡?名ばかりの会長キアット・リム氏が直面する冷酷な現実

バレンシアのピッチ外における最大の問題が、経営陣の「迷走」と「不在」です。最大株主であるピーター・リム氏の息子であり、クラブの会長を務めるキアット・リム氏ですが、その実態は決して一般的な会長の姿とはかけ離れています。かつて前会長のレイフン氏が、彼はサッカー部門ではなくビジネスの他の領域を担当していると発言していた通り、彼の会長就任は、心身ともに疲弊して退任を望んでいたレイフン氏をひっそりと身を引かせるための「都合の良い舞台装置」に過ぎませんでした。

キアット・リム氏が会長に就任して以来、彼はメスタージャのスタジアムでバレンシアの試合を一度も直接観戦していません。これは決して多忙なスケジュールのせいではなく、彼自身の明確な意思によるものです。先日、彼はバレンシアの練習場を訪れましたが、試合当日にサポーターから浴びせられる激しい非難やブーイングから逃れるため、試合が始まる前にそそくさと街を去るという逃亡劇を見せました。これは、サポーターからの冷ややかな歓迎を彼自身が自覚していることの現れと言えるでしょう。

さらに驚くべきことに、父ピーター・リム氏がバレンシアで重要な食事会を催した際、そこには現クラブ会長であるはずのキアット・リム氏の姿はありませんでした。彼に与えられた役割は、きれいな写真をたまに自身のインスタグラムに投稿するだけのものであり、クラブを率いるリーダーとしては完全な「脇役」であることがあらためて露呈しています。クラブの未来を背負うサポーターにとって、この現状はあまりにも寂しく、そして冷酷な現実です。(via Superdeporte)

トリプル国籍の神童アライン・ゴメス、知られざるルーツと『狂気』の幼少期

バレンシアの下部組織から、またしても非常にユニークなルーツを持つ神童が台頭しています。アルゼンチンのU-20代表に選出され話題を呼んでいる19歳の守護神アライン・ゴメス。バレンシア・メスタージャでの目覚ましい活躍が認められ、9月12日から26日までアルゼンチンのロサリオで開催される南米ユース選手権への招集を勝ち取りました。アルゼンチンはグループステージでパラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラと対戦する予定です。

彼の人生は非常に国際的です。スペインのテネリフェで生まれ、父親はベネズエラ人、母親はアルゼンチン人という、3つの国籍を持つトリプル国籍の持ち主。当然、3つのサッカー連盟すべてが彼を自国代表に誘いましたが、彼は迷うことなく、自身の幼い頃からの夢であったアルゼンチン代表の青白のユニフォームを選びました。

彼は、かつてバレンシアで出会った元守護神ギオルギ・ママルダシュヴィリに強い憧れを抱いており、彼のようなヨーロッパ最高峰のゴールキーパーになることを夢見ています。

しかし、彼のキャリアのスタートはキーパーではありませんでした。5歳まではフォワードとしてピッチを駆け回っていましたが、その後すぐにゴールマウスの前に立つようになったのです。当時の驚きに満ちた様子を、母親がアルゼンチンのテレビ局のインタビューで明かしています。

『あの子は自分自身のことを、アルゼンチンの伝説的なゴールキーパーであるガッティとモノ・ブルゴスを混ぜ合わせたような存在だと言い張っていたわ。ゴールポストに頭をぶつけたりして、見ているこちらが本当にハラハラさせられる酷い有様だったの。小さい頃から何も恐れない、本当に恐ろしい子だったわ』

この幼少期の規格外なエピソードこそが、現在の彼の並外れた闘志と不敵なプレースタイルのルーツになっているに違いありません。(via Superdeporte)

たった50万ユーロをケチった代償!右SB不足の中で手放したリサンコスがオサスナへ栄転

現在のバレンシアの最大の弱点は、壊滅的な状況にある右サイドバックの選手層です。ティエリ選手がヴェネツィアへ移籍し、ベテランのフルキエ選手は負傷離脱、さらにルボ・イランソ選手も問題を抱えているため、まともに起用できる右サイドバックがほぼ枯渇しているという惨状です。

しかし、この事態は防げたはずのフロントの完全な人災でした。実は2025年の夏、バレンシアは当時ルゴに所属し、3部リーグで最高峰の右サイドバックと評価されていたアレックス・リサンコス選手を、わずか50万ユーロ未満という安価で獲得できるチャンスを手にしていました。複数の2部クラブが争奪戦を繰り広げる中、バレンシアは有利な立場にありました。

それにもかかわらず、フロントは僅かな移籍金を出し渋り、「Bチームに所属させ、トップチームでの練習には参加させるが、他選手が放出されない限りトップチームの公式戦には登録しない」という消極的かつ一方的な条件を提示しました。この提示に呆れたルゴ側は、資金をしっかり用意したブルゴスへと彼を放出し、ブルゴスは大喜びで彼を迎え入れました。

そこから1年。ブルゴスで圧倒的な輝きを放ったリサンコス選手は、今夏、右サイドバックの負傷に頭を悩ませるオサスナへの移籍がほぼ確実となっています。オサスナの現監督は、昨季ブルゴスでリサンコス選手を指導し、その才能を誰よりも高く評価している人物です。たった50万ユーロをケチったバレンシアは、今や右サイドバックの穴を埋める術もなく立ち尽くし、ライバルチームが若き才能を手に入れるのを見届けるしかないという皮肉な結果となりました。(via Superdeporte)

ウルグアイ代表DFホセ・ヒメネス獲得の失敗!減給要求が仇となりデポル奪取を許す裏事情

バレンシアの補強を巡る失策は、右サイドバックだけにとどまりません。移籍市場の最終盤、バレンシアのスポーツ部門は、現在アトレティコ・マドリードでシメオネ監督の構想外となっていた31歳のウルグアイ代表DFホセ・マリア・ヒメネス選手の獲得に向け、緊急の交渉を行っていました。

バレンシアのセンターバック陣は悲惨な状況です。デ・ハース選手やコペテ選手が負傷で離脱し、ディアカビ選手は常にケガの不安と隣り合わせ、さらに期待されたタレガ選手もパフォーマンスを落としているため、守備陣を統率できる「格上のセンターバック」が是が非でも必要でした。国際経験豊かなウルグアイ代表として99キャップを誇るヒメネス選手は、まさに理想的なターゲットでした。

アトレティコ側もレンタル移籍を容認し、交渉の席につきました。しかし、ここで大きな障害となったのがバレンシア側の「資金力不足」です。バレンシアのフロントは、契約をまとめるためにヒメネス選手に対して高額な年俸を大幅に引き下げるよう要求したのです。

全盛期の輝きを知り、欧州でも高い価値を持つヒメネス選手が、この理不尽な減給要求を受け入れるはずもありませんでした。結果として、同じくレンタルでの獲得を狙っていた昇格組デポルティーボ・ラ・コルーニャが、好条件を提示してヒメネス選手をほぼ手中に収めることに成功しました。戦力不足が明白な守備陣を補強する絶好の機会は、お粗末な減給要求によって完全に泡と消えてしまいました。(via Superdeporte)

新星ハーヴェイ・エリオット獲得の舞台裏!ママルダシュヴィリの熱いアドバイスと伝統の「街巡り」

リヴァプールから期限付き移籍での加入が正式発表されたハーヴェイ・エリオット選手。彼がバレンシアへの移籍を決断した背景には、現在リヴァプールで同僚となっているバレンシアの偉大な元守護神ギオルギ・ママルダシュヴィリ選手からの熱いアドバイスがありました。

エリオット選手は、移籍決定に際してママルダシュヴィリ選手との親密なやり取りを嬉しそうに明かしています。

『ギオルギは僕に、バレンシアのサポーターは信じられないほど素晴らしい存在だと教えてくれたんだ。チームの調子が良くないときでも、彼らは決して背を向けず、最後まで寄り添って一緒に戦ってくれる。そして試合に勝って良いプレーをすれば、世界で最高のサポーターになってくれるんだとね。街についても、本当に素晴らしいところだと絶賛していたよ。移籍計画が事前に漏れてしまうのを避けるために、あえて多くは聞かないようにしていたけれど、彼がクラブと街をあまりにも褒めるから、自分自身で体験するのが待ちきれなくなったんだ』

また、カルロス・コルベラン監督とも事前に電話で長時間の会談を行い、求められる役割について話し合いました。

『監督とじっくり話して、何を求められているかを理解できた。彼とは非常に良い関係を築けると確信しているよ。チームとして前進し、素晴らしいシーズンを送りたい』

さらに、バレンシアが今シーズン取り組んでいる伝統的な選手紹介「Terra de Valentia(勇気の地)」のキャンペーンにおいて、エリオット選手はバレンシア南部の伝統的な農村地域である「ポブラス・デル・スッド(Pobles del Sud)」の代表として紹介されました。これは、バレンシアのアイデンティティと、逆境に立ち向かう人々の強さを象徴するユニークなプロモーションです。

エリオット選手は、歴史ある本拠地メスタージャへの期待を膨らませています。

『メスタージャのような歴史的なスタジアムで、熱狂的なファンの前でプレーできるのは特別な特権だ。将来、自分のキャリアを振り返ったときに「僕はあのメスタージャでプレーしたんだ」と誇りを持って言える。ただ、これだけ太陽が照りつける気候だから、イギリス人の僕はすぐに肌が真っ赤に焼けてしまう。日焼けには十分に気をつけないといけないね』

週末のバルセロナ戦での先発デビューの可能性も囁かれる中、新たな若き司令塔は並々ならぬ熱意を燃やしています。(via Mundo Deportivo)

サディク離脱の衝撃とドゥクシュ獲得の電撃破談、エヨン緊急打診のドタバタ劇

バレンシアの今夏の移籍市場最終日は、まさに目を覆いたくなるような大失態の連続でした。すべての悲劇の引き金となったのは、チーム唯一の得点源として期待されていたウマル・サディク選手がデポルティーボ戦で右ハムストリングを断裂し、最低でも2ヶ月(約10試合近く)の長期離脱が決定したことでした。サディク選手は自身のインスタグラムで悲痛な祈りの言葉を投稿しています。

『神よ、私に最善をお与えください。わが主よ、私はあなたが送ってくださるどのような恩恵も、心から必要としています』

攻撃陣の崩壊に直面したフロントは、緊急の代役としてバーミンガム・シティに所属する32歳のドイツ人FWマルヴィン・ドゥクシュ選手のレンタル獲得に動きました。交渉は一気に進み、選手自身もバレンシアでの挑戦に同意していました。

しかし、ここで致命的な問題が浮上します。ドゥクシュ選手が今年4月にイギリス国内のヘンリー・イン・アーデン付近のA3400道路において、メルセデスを運転中に飲酒運転を起こして交通事故を誘発し、1万6000ポンドの罰金を科されていた不祥事が発覚したのです。スポーツディレクターのロン・グーレイ氏らが獲得を急ぐ一方、倫理的な問題を懸念する上層部との間で判断が遅れ、バレンシア側の回答は引き延ばされました。

これに業を煮やしたのが、この日サウザンプトンとの試合を控えていたバーミンガム・シティ側でした。「もう手続きを完了させる時間的な余裕がない」として交渉の打ち切りを通告し、ドゥクシュ選手を試合の招集メンバーに入れてしまいました。選手本人はバレンシア移籍を熱望していたため、この破談に大きな不満を漏らしていると伝えられています。

パニックに陥ったバレンシアは、残り数時間という段階でレバンテの22歳カメルーン人FWエッタ・エヨン選手に緊急アプローチを試みました。しかし、レバンテ側は「今さらライバルチームを助けるつもりはない」と一蹴。さらに100%の権利に対して2000万ユーロという、到底支払えるはずのない莫大な移籍金を要求され、交渉はあっけなく破談しました。

この結果、バレンシアは最も補強が必要だったストライカーを誰も確保できないまま移籍市場を終えることになりました。週末のバルセロナ戦では、残された唯一のFWウーゴ・ドゥロ選手と、若手の佐藤龍之介選手を2トップに置く極端な布陣を敷くか、守備的MFのペペル選手を後ろに下げるような満身創痍のパッチワーク戦術を強いられることになります。構想外で120万ユーロの高給がネックとなり残留したダニ・ラバ選手にとっても、皮肉にもこのサディク選手の離脱が出番を得る数少ない好機になろうとしています。(via ElDesmarque)

【本日の総括】

移籍市場の最終盤、サディク選手の長期離脱という大打撃に見舞われながらも、フロントの判断の遅れと交渉力の低さから、獲得寸前だったドゥクシュ選手を不祥事の精査遅れで逃し、エヨン選手への緊急打診も高額な要求で一蹴されるという最悪の結末を迎えました。エリオット選手の電撃加入という一縷の光はあるものの、右サイドバックやセンターバックの補強失敗も含め、今季のバレンシアはあまりにも脆く、満身創痍の状態で首位バルセロナをメスタージャに迎える過酷な戦いを強いられます。