テルジッチ新監督の公式戦初陣は1-3の黒星!開始11分の早すぎる一発退場劇が響く
ラ・リーガ第2節、エディン・テルジッチ新監督の待望の公式戦初陣がホームスタジアムであるサン・マメスで行われました。アスレティック・ビルバオにとっては、7月のワールドカップに多くの代表選手を輩出した関係から開幕節のバルセロナ戦が延期されていたため、これが今シーズン最初の公式戦となりました。しかし、スタジアムを埋め尽くした49,416人のサポーターの前で、チームはセビージャに1-3という手痛い敗戦を喫する苦しい滑り出しとなりました。
試合の命運を分けたのは、キックオフからわずか11分という極めて早い時間帯の出来事でした。ディフェンスラインの背後を突かれた場面で、左サイドバックのユリ・ベルチチェが相手の Miguel Sierra を倒してしまい、主審の César Soto Grado 氏から一発退場のレッドカードを提示されました。この判定によってビルバオは残り80分間近くを10人で戦うという、極めて重い足枷を課されることになります。
混乱が収まらない15分には、セビージャの Joaquin Martinez 'Oso' に先制ゴールを許してしまいます。これはディフェンダーのアイトール・パレデスがウナイ・シモンへのバックパスをためらい、ウナイ・シモンがボールをキープしようと時間をかけた隙を相手の Robbie Ure に激しくプレスされ、奪われたこぼれ球を無人のゴールに押し込まれたものでした。
その後、後半50分には、交代出場したセビージャの Chidera Ejuke に見事なループシュートを沈められて2点目を失い、さらに57分にはディフェンダーの Jesus Areso の痛恨のクリアミスから、再び Oso を経由して Isaac Romero に3点目の決定打を叩き込まれました。
窮地に陥ったビルバオでしたが、70分にコーナーキックから Yeray Alvarez がヘディングで競り合ったこぼれ球を、アイトール・パレデスが鋭い右足のボレーでゴールネットに突き刺し、1点を返してスタジアムを沸かせました。しかし反撃もここまでとなり、1-3の敗戦で新体制の初陣は悔しい記憶となりました。(via Estadio Deportivo / SPORT)
キャプテンのイニャキ・ウィリアムズが判定に怒り!ユリの退場処分を巡り大激論
試合終了後、キャプテンのイニャキ・ウィリアムズは判定に対する怒りとフラストレーションを隠しませんでした。特に試合の勝敗を決定づける要因となった、開始11分におけるユリ・ベルチチェのレッドカード判定について、インタビューで極めて強い口調で次のように反論しました。
『私にとって、あのプレーは絶対に退場処分ではありません。相手フォワードはコントロールしたもののボールが大きく流れており、ただ自らピッチに倒れ込んだだけです。一度もボールを完全にコントロールできていない状態で、試合が始まってわずか10分の段階で、あのような判定でチームを縛られてしまうのは極めて過酷で容赦のないものです。あそこから試合はあまりにも難しくなりました。何とか耐えようと努力を尽くし、実際にチームはセビージャを上回るチャンスを作り、ピッチ上でプライドを示しました。それだけに、1-3という結果は今日の私たちの戦いぶりに全く見合っていません』
さらに、ウナイ・シモンが相手の接触を主張したセビージャの先制点の場面についても言及し、次のように続けました。
『ウナイは明らかに接触を感じていたと話していました。その種の非常にグレーな場面では最終的に主審の笛を尊重するべきですが、それ以上に、最初のレッドカードの場面こそビデオ判定(VAR)が介入して主審を助けるべきでした。ビデオ判定を使っていれば、ボールコントロールが相手から大きく流れていたことをしっかりと確認できたはずです。ファウルだったかもしれませんが、絶対に退場処分に値するものではありませんでした』
この判定を巡っては、元審判員である Iturralde Gonzalez 氏や Estrada Fernandez 氏といった複数の審判専門家も、主審の César Soto Grado 氏の決定は完全な過ちであると指摘しています。Sierraはボールコントロールを完全に失っているため、決定的な得点機会の阻止(DOGSO)の基準を満たしておらず、本来であれば「ファウルとイエローカード」が妥当であり、VARが速やかに介入してレッドカードを撤回すべきだったという意見をソーシャルメディアなどで公表し、メディアやサポーターの間で大論争が巻き起こっています。(via Estadio Deportivo / MARCA)
審判への言及を避けたテルジッチ監督!守備の気の緩みを猛省しつつチームの闘志を評価
判定を巡って周囲が大きな議論に揺れる中、新指揮官のエディン・テルジッチ監督は記者会見において、主審に対する批判を一切行わず、すべての敗因は自分たちの油断とミスにあるとする、真摯な自己批判を展開しました。
物議を醸した判定について尋ねられたテルジッチ監督は、次のように語りました。
『主審の判定についてコメントするつもりはありません。私が話すべきなのは、自分たちのプレーとパフォーマンス、そしてここからどのように良くなっていくかということだけです。あの退場になった場面では、私たちはあまりにも楽観的になり、ボールを確実にキープできると思い込んで不注意な単純ミスを犯してしまいました。以前の記者会見でもお話しした通り、守備の局面においては常に最悪の事態を想定する悲観的な姿勢でなければならず、ただ目の前のボールを傍観しているだけではいけません。私たちの対応が遅れた結果、あのような一発退場を招く状況を自ら作り出してしまいました』
しかし、数的不利という最悪の展開になって以降、ピッチ上で選手たちが見せた勇敢な反応と闘志については、高い評価を与えて誇りを口にしています。
『10人になってから、さらに追加点という二つの大きな打撃を受けた後も、チームは本当に素晴らしいリアクションを示し、試合をひっくり返そうと走り続けました。前半にも多くのチャンスを作りましたし、誰もこの敗戦を受け入れて諦めていませんでした。スタジアムに来てくれたファンも、最後まで戦い抜くそのエネルギーとスピリットをしっかりと感じ取ってくれたはずです。監督として選手たちの示したエネルギーには100%満足しています。ただ、私たちはこの痛い敗戦から多くを学び、細かな連携やパスのタイミング、各自の立ち位置などをトレーニングで徹底的に磨き直す必要があります。この7週間、素晴らしい練習を続けてくれた選手たちなら、必ず次の試合でより高いパフォーマンスを見せてくれると確信しています』
なお、試合終盤にアイトール・パレデスが太もも裏のハムストリングに違和感を訴えてピッチを去ったため、テルジッチ監督は当初のプランを変更して急遽 Hugo Rincon を投入することになり、守備陣のコンディション管理にも新たな課題が生じています。(via Mundo Deportivo / MARCA / Estadio Deportivo)
負傷者と構想外メンバーの去就動向!ダニ・ビビアンらの不在と移籍への動き
この開幕戦に臨むにあたり、アスレティック・ビルバオのメンバー構成、特に守備陣の台所事情は非常に厳しいものでした。
ディフェンスラインの絶対的な大黒柱であるダニ・ビビアンは、7月6日のプレシーズン開始から間もなく右脚長内転筋の付着部炎を痛めてしまい、チームの練習や親善試合をすべて欠場していました。今回の開幕戦に向けても回復が間に合わず、招集メンバーから完全に外れることとなりました。さらに、期待の若手であるウナイ・エギルスも怪我のために欠場を余儀なくされました。
また、ピッチ外における選手の去就や市場閉幕に向けた動きも加速しています。
中盤のウナイ・ベンセドールは、他クラブへの移籍交渉が最終段階に入っているため今シーズンのリーグ選手登録自体が見送られており、今回の試合でも招集メンバーから外されています。
さらにテルジッチ監督は、戦術的な判断として今夏に加入した Gorosabel と、若手フォワードの Nico Serrano の2名についてチームの構想外としており、移籍市場が閉まるまでの数日間での他クラブへの放出を模索して招集リストから除外しました。また、膝の大怪を乗り越えて昨シーズンを棒に振ったベニャト・プラドスについても、プレシーズンマッチからの序列で Peio Canales や Beñat Gerenabarrena らの下部組織出身メンバーに先を越されており、今回は中盤の選択肢として出場機会がありませんでした。(via ElDesmarque / Estadio Deportivo)
カンテラ出身の若き至宝コンビがスタメン抜擢!ゲレナバレーナの鮮烈デビューとカナーレスの大躍動
多くの主力を怪我や調整不足で欠く中、テルジッチ監督は中盤のスタメンとして、下部組織レザマが生み出したレンタル復帰組の若き二大巨頭、ペイオ・カナーレスとベニャト・ゲレナバレーナをコンビで大抜擢するという極めて勇敢な決断を下しました。
昨シーズンを2部のカステリョンへの武者修行で過ごしたゲレナバレーナにとっては、これが記念すべきアスレティックでのトップチーム公式戦デビューとなりました。カナーレス(昨季はラシンにレンタル)と共にダブルボランチとしてピッチに立った二人は、困難極まる試合状況の中で凄まじい存在感を示し、サポーターに大きな希望を与えました。
特にカナーレスは、10人になったチームの中で攻撃のタクトを握り、ピッチ全体を動き回ってチャンスを演出し、自らも強烈なボレーシュートで相手ゴールを脅かすなど大活躍。メディアの個人評価でもチーム最高評価を獲得する「この試合で最も傑出した選手」となりました。ゲレナバレーナも、中盤の広大なスペースを一人少ない中で埋め、驚異的なスタミナとインテンシティで何度も相手の攻撃を遮断し、ボールを回収し続けました。
テルジッチ監督は試合後、この若い二人を熱く賞賛しました。
『カナーレスとゲレナバレーナの仕事ぶりは本当にファンタスティックでした。一人少ないという極めて困難なシチュエーション下において、これほど堂々とプレーするのは決して簡単なことではありません。特にデビュー戦となったベニャト(ゲレナバレーナ)は、ピッチ上の巨大なスペースを懸命にカバーし、競り合いで何度もチームを救ってくれました。カナーレスも、ボールを自ら引き出して攻撃を加速させ、素晴らしい違いを見せてくれました。地元育成組織の計り知れないクオリティを証明してくれたと言えます』
また、デビューを果たしたゲレナバレーナ自身も、興奮気味にその思いを次のように明かしています。
『幼い頃から何年もの間、毎晩のように夢に見続けてきた瞬間でした。実際にそのピッチに立ったときは、まるで以前にも一度経験したことがあるかのように、不思議とただ心からプレーを楽しむことができました。監督からは試合前に「何も恐れず、ただお前らしくプレーしてこい。その姿勢こそがお前をこの素晴らしい場所に連れてきてくれたのだから」と、温かい言葉をかけてもらいました。ピッチの上では、幼い頃からずっと一緒に同じ価値観を持って戦ってきたカナーレスやサンセが周りにいたので、本当に何の違和感もなくプレーしやすかったです。長年の努力がようやく実を結びましたが、ここからが本当のスタートです。次の試合ではさらに素晴らしいプレーを見せて、チームの勝利に貢献したいです』(via Mundo Deportivo / MARCA)
サン・マメスに渦巻いた拍手と大ブーイング!ワールドカップ制覇の祝福と偉大なレジェンドへの追悼
試合が始まる前、満員に近いサン・マメススタジアムのピッチ上では、7月にアメリカで開催されたワールドカップでスペイン代表として世界の頂点に立った守護神ウナイ・シモン、アイメリック・ラポルト、そしてニコ・ウィリアムズの3選手に対する公式な優勝祝賀セレモシーが執り行われました。
両チームの選手、さらには審判団がピッチ上に花道を作り、3選手が記念のトロフィーを掲げてピッチ中央に現れた際、スタンドの大半からは惜しみない拍手と祝福の声が送られました。しかしその一方で、地元バスクの独自の政治的・文化的アイデンティティや独立性を強く重んじる一部の熱狂的なサポーターグループ(特にゴール裏のウルトラスなど)からは、激しいブーイングや激しい口笛、非難の指笛が吹き荒れました。彼らはバスク代表「Euskal Herria」のコールを叫び、スタジアムの意見は完全に真っ二つに分裂する物議を醸す形となりました。
事前に一部のサポーター団体からクラブに対して「スペイン代表のユニフォームを着用した映像をサン・マメスで一切上映しないこと」という強い要求が突きつけられていたため、スタジアムの大型スクリーンにはワールドカップでのプレー映像は一切流れず、セレモニーそのものも極めて限定的な形で行われました。
また、この物議を醸したセレモニーの前後には、7月6日に95歳でこの世を去ったクラブ公式戦404試合出場の伝説的レジェンドゴールキーパー、Carmelo Cedrún 氏への追悼の意を示す、厳粛で美しい黙祷が捧げられました。
試合前、かつての偉大なレジェンドであるホセ・アンヘル・イリバル氏が、現在のゴールキーパー陣であるウナイ・シモンやアレックス・パディージャを両脇に従えてピッチ中央に立ち、Carmelo 氏の象徴であった黒いゴールキーパーユニフォームをスタジアム全体に掲げて敬意を表しました。サン・マメスを埋め尽くしたサポーターたちは、この偉大なる名守護神の旅立ちを偲び、心を込めた厳かな静黙と惜しみない拍手でレジェンドを見送りました。(via MARCA / Mundo Deportivo)
【本日の総括】
アスレティック・ビルバオにとって待望の新シーズン開幕戦は、エディン・テルジッチ新監督の初陣という大きな期待の中で行われたものの、開始11分での退場劇と手痛いミスが重なり、セビージャに1-3で敗れるという極めて悔しい黒星スタートとなりました。物議を醸したユリのレッドカード判定については、キャプテンのイニャキ・ウィリアムズや審判専門家たちが「誤審である」と激しい怒りを示しましたが、テルジッチ監督自身は一切の言い訳を排し、チームの連携と守備の規律を鍛え直す決意を固めています。何より、極限の状況の中でスタメン抜擢されてピッチを躍動したカナーレスやデビューを飾ったゲレナバレーナといった「レざマ(カンテラ)の若き至宝たち」の素晴らしい活躍、そして数的不利を物ともせず最後まで走り続けたチームの精神性は、これから長いシーズンを戦い抜くビルバオにとって確かな希望の光となりました。
