アトレティコ戦で今季初黒星、前半の守備崩壊が響きホームで1-3完敗

ラ・リーガ第3節、開幕2連勝で首位タイに立っていたセビージャは、本拠地ラモン・サンチェス・ピスファンにアトレティコ・マドリードを迎えました。スタジアムのサポーターは試合前から発煙筒でサンチェス・ピスファン周辺を赤く染め、ボルテージは最高潮に達していました。しかし、試合が始まるとアトレティコの圧倒的なクオリティの前に屈することになります。

アトレティコはジュリアン・アルバレスやアレクサンダー・セルロートといった本職のフォワードを欠く状況でしたが、ディエゴ・シメオネ監督はアレックス・バエナを「偽9番」として起用する奇策を採用。これがセビージャの守備陣を大混乱に陥れました。開始わずか4分、イ・ガンインに右サイドでフリーでボールを持たれると、中央へ絶妙なスルーパスを通され、これに反応したバエナに冷静に沈められて先制を許します。

セビージャは23分にキケ・サラスがエリア手前で得たこぼれ球から強烈な左足シュートを放つもわずかに枠を外れ、直後の26分にはアトレティコのパブロ・バリオスに中盤を完全に割られ、パスを受けたアデモラ・ルックマンにエリア左からグラウンダーの鋭いシュートをニアサイドに決められ2失点目。さらに33分、バエナにエリア手前から強烈なミドルシュートを突き刺され、わずか前半30分過ぎで0-3という絶望的なスコアになりました。ホームスタジアムで前半のうちに3失点を修めたのは、2016年8月のエスパニョール戦以来、実に10年ぶりの悪夢です。

ハーフタイムを終えてもセビージャは諦めず、後半55分にチディ・エジュケと新加入ギオルギ・コチョラシュヴィリを同時投入。この交代策が的中し、チームは息を吹き返します。エジュケの快速ドリブルを起点にアタッキングサードでの時間が増え、68分にガブリエル・スアソの左クロスからミゲル・シエラが見事なハーフボレーを決めて1点を返しました。しかし反撃もそこまで。試合は1-3で終了し、今季初黒星を喫して勝ち点6で足踏みとなりました。(via Estadio Deportivo / Mundo Deportivo / SPORT / ElDesmarque / AS)

ミゲル・シエラがプロ初ゴール!クラブ史に刻む22歳の大記録を樹立

この暗い夜において、唯一無二の輝きを放ったのがカンテラーノの極上アタッカー、ミゲル・シエラです。

開幕からチームを牽引し続けてきた22歳の若武者は、この大一番でも右サイドから果敢な仕掛けを繰り返し、アトレティコの左サイドを幾度となく脅かしました。そして後半68分、左サイドのスアソからのクロスがペナルティエリア内にこぼれた瞬間、野生的な勘で反応。見事なハーフボレーを放ち、守護神ヤン・オブラクのセーブを破ってゴールネットを揺らしました。これがシエラにとって記念すべきプロ初ゴールとなります。

この得点はクラブ史にも残る大記録となりました。22歳46日でのラモン・サンチェス・ピスファンにおけるラ・リーガでの得点は、2024年12月のセルタ戦でマヌ・ブエノが20歳140日で記録して以来、セビージャにおけるホーム最年少得点記録となりました。

試合を通じて孤軍奮闘したシエラは、後半終了間際にピッチに倒れ込み、ふくらはぎの痙攣によってアルフォンと交代するまで、その持てるすべての体力をピッチに置いていきました。ベンチに下がる彼に対し、本拠地のサポーターは立ち上がり、万雷の拍手とスタンディングオベーションを贈りました。

プレシーズンでチーム最多の3ゴールを挙げていたシエラは、開幕戦のラージョ戦でPKを誘発し、続くアスレティック戦では相手ディフェンダーのユーリの早い時間での退場劇を引き起こすなど、その能力をいかんなく発揮。オソがフランスへと去り、バルガスが干され、ウイングが圧倒的に不足する状況の中、完全にチームを背負って立つ絶対的な存在へと急成長を遂げています。幸いにも、クラブはすでに彼との契約更新をしっかりと完了させています。(via AS / Estadio Deportivo / ElDesmarque / SPORT)

後半83分のペナルティ疑惑に怒り爆発、キケ・サラスと指揮官が判定を猛批判

1-3で迎えた後半83分、試合の行方を大きく左右する決定的な判定が発生しました。

右サイドからのフアン・イグレシアスのロングスローの流れから、ペナルティエリア内でルーズボールを追ったキケ・サラスがアトレティコのモルテン・ヒュルマンドに先んじてボールにタッチ。直後、ヒュルマンドがボールをクリアしようと振り抜いた足が、サラスの右足を背後から明確にキックしました。

キケ・サラスはたまらず転倒し、セビージャのイレブンとサポーターは一斉にペナルティキックを要求。主審のハビエル・アルベローラ・ロハスは耳のレシーバーに手を当ててVAR室からの交信を待ちました。しかし、驚くべきことにVAR室のハビエル・イグレシアス・ビジャヌエバは「十分な接触ではない」と判断。主審はピッチ脇のモニターを確認することすらなくプレー続行を命じ、決定的な追撃のチャンスは泡と消えました。

試合後、キケ・サラスはこの理不尽な判定に対して不満を隠さず、以下のように怒りを露わにしました。

『自分が先にボールに触って、後ろから彼に蹴られたのは間違いない。そうでなければ絶対に倒れたりしない。審判は十分な接触ではないと言ったようだが、なぜVARでちゃんと映像を確認しなかったのか理解できない。明らかに激しい接触があったし、あの状態からプレーを続けるのは不可能だった。この判定には全く納得がいかないが、サッカーの一部として受け入れるしかない。それでも、あのペナルティが決まっていれば、残り10分で2-3となり、チームは勢いに乗って同点や逆転まで狙えたはずだ。本当に悔やまれる。アトレティコが我々を圧倒していたとは思わない。前半はプレスがはまらず苦労したが、後半は素晴らしいファイトを見せて、最後まで戦い抜いたのだから』。

さらに、ルイス・ガルシア・プラサ監督も試合後に大激怒。疑惑という言葉すら否定し、審判団の対応を痛烈に皮肉りました。

『疑惑なんかではない。はっきりとペナルティだったと言ってくれ。前節の試合で退場処分を巡ってあんなに大騒ぎされ、まるで我々が歴史上最も判定で得をしているチームであるかのように叩かれたのだから、今日のこの明らかなファウルこそペナルティキックとして判定されるべきだ。審判技術委員会が、あのお馴染みの番組でこのシーンを取り上げて、ペナルティだったと公式に認める解説ビデオを公開してくれることを心から期待しているよ』。

判定による不利益を強く訴えたセビージャですが、試合の結果が変わることはなく、悔しい敗戦を受け入れることになりました。(via MARCA / Estadio Deportivo / ElDesmarque / AS)

新戦力コチョラシュヴィリがデビュー!エジュケと共に後半の猛反撃を牽引

敗れはしたものの、後半に大きな希望をもたらしたのが交代選手たちの躍動でした。

ルイス・ガルシア・プラサ監督は後半55分、中盤のジョン・ギュリディに代えて新加入のジョージア代表MFギオルギ・コチョラシュヴィリをピッチに送り出し、待望のデビューを飾らせました。さらに同時に、フリオ・ディアスに代えてドリブラーのチディ・エジュケを投入。この二人が前半は沈黙していたセビージャの攻撃に一気に血を通わせます。

コチョラシュヴィリはピッチに入るやいや、鋭い反応からエリア手前でこぼれ球をフリックして枠をわずかに外れる惜しいシュートを放ち、サポーターを沸かせました。彼は中盤でのボール回収やプレッシングの強度を劇的に高め、アトレティコに譲り渡していた主導権を取り戻す重要な役割を果たしました。

一方のエジュケは、得意の圧倒的なスプリントと独特のドリブルのリズムでアトレティコの右サイドを幾度となく蹂躙。対面したジリアーノ・シメオーネやマーク・プビルを翻弄し、プビルには彼を止めるためのファウルでイエローカードを余儀なくさせました。

彼らの投入によってスタジアムの雰囲気は一変し、アトレティコを守勢に追い込むことになりました。指揮官も試合後、彼らの貢献に満足感を示しています。

『コチョラシュヴィリもエジュケも、本当に素晴らしい形でゲームに入ってくれた。アイザック・ロメロは実は一晩中熱を出していて、本来なら起用できる状態ではなかったのだが、1-3と追い上げて勝機が見えたために、やむを得ずペケの代わりに急遽投入した。このチームは全員が命をかけて最後まで戦い抜うタフな集団だ。何が課題かも全員が自覚しているし、後半の出来には非常に満足している』。(via SPORT / ElDesmarque / Estadio Deportivo / AS)

前半の守備崩壊で厳しい低評価、GKヴラホディモスとスアソに辛口コメント

強豪アトレティコに敗れたことで、セビージャの選手たちにはメディアやファンから厳しい評価が下されています。特に前半の3失点に直結した守備陣には手厳しいコメントが相次ぎました。

今夏加入し正GKを務めるオディッセアス・ヴラホディモスは、枠内シュート3本をすべて決められる厳しい結果となり、最低評価をつけられました。特にルックマンに決められた2点目は、自身のニアサイドを抜かれる手痛い失点であり、防げたはずの失点だとして厳しい視線が注がれました。後半にバリオスのヘディングシュートを抜群のセービングで防ぐ場面もありましたが、全体としての信頼を取り戻すには至っていません。

また、左サイドバックのガブリエル・スアソも守備の軽さを露呈。アトレティコが意図的にセビージャの左サイドを突いてきたため、前半は完全にスアソの裏やスペースを突かれ、2つのゴールが彼のサイドから生まれるなど、左サイドが高速道路のようになっていたと評される惨状でした。後半にはシエラのゴールをアシストする左からのクロスを上げたものの、守備面での貢献度は8月最悪の出来と極めて厳しい烙印を押されました。

さらに、前節に続き左サイドで急遽初先発を任された19歳のカンテラーノ、フリオ・ディアスも、本来のサイドバックではなく一列前で起用されたことでポジショニングや強度の低さが目立ち、マルコス・ジョレンテに終始主導権を握られるなど厳しい洗礼を受ける結果となりました。

一方、トップ下に入ったペケも決定機で持ち前の丁寧すぎるタッチが災いしてシュートブロックを浴びるなど終始ブレーキとなり、後半に交代を命じられた際には本拠地から激しい指笛を浴びせられながらピッチを後にしました。(via SPORT / ElDesmarque / Estadio Deportivo)

アストン・ヴィラのジャマイカ代表FWレオン・バイリー獲得に電撃参戦!非EU枠の空きも後押し

試合での黒星の一方で、移籍市場は最終盤を迎え、セビージャのフロントは信じられないようなビッグネームの獲得に向けて極秘裏に動き出しています。

現在、補強のターゲットとして急浮上しているのが、イングランド・プレミアリーグのアストン・ヴィラに所属するジャマイカ代表の快速ウイング、レオン・バイリー(29歳)です。

世界的に有名な移籍専門記者ファブリツィオ・ロマーノ氏の報道によると、ウナイ・エメリ監督率いるアストン・ヴィラで完全に構想外となり、今季一度も公式戦に招集されていないバイリーに対し、セビージャが急進的に興味を示しているとのことです。バイリーは、かつてレバークーゼンで大活躍した経歴を持ち、ヴィラとの契約は2027年6月までとなっています。現在の市場価値は1400万ユーロと見積もされています。

財政難に苦しむセビージャにとって完全移籍での買い取りは不可能ですが、フロントのホセ・イグナシオ・ナバロ氏は買い取りオプション付きのレンタル移籍での獲得を目指して交渉を行っているとされます。

登録上の追い風もあります。セビージャはディフェンダーのマルカオの国籍取得(EUパスポート化)が完了したため、現在トップチームに登録されている非EU枠の選手はガブリエル・スアソただ一人。最大3枠のうち2枠が完全に空いているため、ジャマイカ国籍のバイリーをチームに登録することに何の問題もありません。

ただし、バイリー獲得を巡っては、同じプレミアリーグのハル・シティや、莫大な資金力を背景に持つサウジアラビアのアル・ディリヤも争奪戦に加わっています。セビージャにとっては非常にタフな競合相手となります。また、クラブのインサイド情報によると、バイリーは魅力的なオプションではあるものの、補強優先順位としては最も高い第一候補というわけではないとも言われていますが、その行方にサポーターからの期待が高まっています。(via ElDesmarque / Estadio Deportivo)

移籍市場最終盤の思惑、デンマーク代表FWハーダー獲得接近とバルガス放出の膠着

移籍市場の締め切りまで残り3日となる中、セビージャは極めて慌ただしい日々を送っています。指揮官が17名(カンテラーノを除けば15名のみ)と嘆くほど深刻な選手層の薄さを解消するため、少なくともあと3〜4人の補強が必要不可欠です。

現在、最も獲得交渉が本格化し、合意間近とされているのが、RBライプツィヒに所属する21歳の若きデンマーク代表フォワード、コンラッド・ハーダーです。セビージャの弱点である前線の枚数を埋め、アイザック・ロメロとの強力な2トップを実現するためのラストピースとして、交渉は非常に前向きに進んでいます。

一方で、放出を巡る動きは膠着状態に陥っています。スイス代表のルベン・バルガスは、ギリシャのオリンピアコスへの売却が秒読みと見られていましたが、交渉が一時停止状態に。ギリシャ側の報道によれば、オリンピアコスはバルガス獲得の交渉から事実上撤退し、別のターゲットに乗り換えたとされています。このためバルガスはセビージャでも完全に飼い殺しとなって招集外が続いており、新たな売却先を模索するフロントにとって頭の痛い問題となっています。

また、アトレティコに所属し、今回の遠征メンバーから外された若手ミッドフィールダーのオーベド・バルガスの獲得に向けた動きも依然として継続しており、中盤の層を厚くするためにギリギリまで引き抜きの可能性を探っています。(via Estadio Deportivo / ElDesmarque / AS)

【本日の総括】

アトレティコ戦での1-3の敗戦は、今のセビージャの厳しい現実を突きつけられた一戦となりました。しかし、若き星ミゲル・シエラのプロ初ゴールや、新加入コチョラシュヴィリ、エジュケが見せた後半の反撃は、今後に向けて大きな希望を抱かせるものです。移籍市場の閉幕まであとわずか。新戦力の獲得と現有戦力の融合が進めば、さらなる飛躍が期待できます。