【走らないが速い

ペレグリーノ・マタラッツォ監督率いるレアル・ソシエダの戦術的アイデンティティを示す公式トラッキングデータMediacoachの最新指標が明かされ、チームの特異なフィジカル構造が浮き彫りになりました。

今季のソシエダは、走行距離の総量(総カバー距離)においてラ・リーガ全20チーム中14位という低い順位に位置しています。これはバルセロナやセルタ、デポルティーボ、レバンテといったチームと比較しても全体の運動量自体は控えめであり、無駄な走り込みを避けていることを意味します。

しかし、スピードと走行の質を分析すると評価は一変します。時速21キロメートル以上で走るハイインテンシティ走の項目では、1試合平均7,236メートルを記録してリーグ2位へ急上昇。これはラ・リーガ全体の平均値である6,472メートルを大幅に越える数字です。さらに時速24キロメートルを超える最高強度のスプリント走でも、1試合平均3,866メートル(リーグ平均3,257メートル)、スプリント回数199.7回を計測し、同じくリーグ2位の爆発力を誇っています。時速21キロメートル以上のアクション数においても、1試合平均405回と全体平均の379回を大きく上回っています。

この極端なデータの開きは、マタラッツォ監督が植え付けたメリハリのある戦術スタイルに起因しています。チームは相手にボールを握られた際やハイプレスが破られた際、中途半端な追い回しで疲弊することを拒否し、高密度な低ブロックを形成して中央のスペースを消しながら体力を温存します。

一方でボールの奪い合いにおいては一転して猛威を振るいます。敵陣でボールを失った直後の数秒間に行う強烈な即時奪還プレスと、自陣で奪った後の垂直な高速カウンターという2つの局面に全エネルギーを注入。時速24キロメートルを超えるスピードで敵陣の背後へ一気に飛び出すスプリントを仕掛けます。ただし、このスタイルの裏返しとして、ネガティブトランジション(攻撃から守備への切り替え)で相手にカウンターを浴びた際には全力でバックスプリントして戻らざるを得ず、長年抱える守備面での課題や筋肉トラブルのリスクとも隣り合わせの構造になっています。長距離ランナーではなく短距離スプリンターとして研ぎ澄まされた戦術機能が、データによって証明されています。(via Mundo Deportivo)