リアル・ベティス
アイルランドのダビド(ダブリン)で行われたプレシーズンマッチにおいて、ベティスはプレミアリーグ王者のアーセナルを相手に、1-3という極めて説得力のある素晴らしい勝利を収めました。この試合の主役となり、プレシーズン中に凄まじい覚醒を見せているのがコロンビア人のネルソン・デオッサです。
本来は退団が既定路線であり中東への移籍も検討されていたデオッサですが、ペレグリーニ監督が急遽「偽9番(ゼロトップ)」として中央に配置したところ、これが完全に大当たり。アーセナル戦では驚異的なボディバランスでのキープから1ゴール1アシストを記録する大暴れを見せ、一躍今シーズンの攻撃の軸へと躍り出ました。この覚醒にはチームメイトも大興奮しており、モロッコ代表ウインガーのアブデはSNS上で『アイイイイイ、キイイイロ、ムヒホ!!!(めちゃくちゃ調子がいいぞ!)』と独自のストリート言葉で絶賛し、ブラジル代表アントニーも『おめでとう、私の兄弟』とコメントを送りました。デオッサ自身もSNSで『どんどん体が軽く、調子が上がってきている。自分を信じてくれた人に感謝したい』と確かな手応えを語っています。
さらに、アーセナル戦で1-3となるトドメの弾丸ミドルシュートを突き刺したパブロ・フォルナルスが、ゴール後に両腕を交差させてハンマーを形作る「ハンマーズ・ポーズ」を披露したことで、かつて4年半在籍した古巣ウェストハムのサポーターたちが大興奮。SNS上では『一度ハンマーになった男は、永遠にハンマーだ』といった愛に満ちた賛辞が嵐のように吹き荒れています。また、マドリードから加入したロドリゴ・リケルメもコロンビーノ・トロフィーでの劇的ゴールに続き、メンタル面での大幅な成長を遂げて前線で最高のキレを見せています。
負傷からの復帰ロードを歩む天才イscoは、アルメリア戦での実戦復帰に続き、今回の強豪相手にも45分間しっかりと出場。試合後のインタビューでは、一時の暗黒期について極めて重い言葉で独白しました。
『一時期は、背中の負傷や関節の激痛から、もう二度とフットボールをすることすら叶わないのではないかという終わりのない恐怖に苛まれた。練習をしても回復の手応えがなく、時間が永遠のように感じられた。今でも関節の痛みを抑えるために強力なコルチコイドや痛み止めの薬を使用しながらピッチに立っているが、再び走れる喜びは言葉にできない』
また、かつてレアル・マドリードやセビージャでプレーし、モンチSDとの喧嘩の末に事実上の引退状態に陥った時期についても言及。
『あの頃は完全に自分自身を見失い、すべての周囲の人間に噛みついていた。自分自身を悲劇の主人公(被害者)だと盲信していたが、全く違った。すべて他人のせいにしていた。心理療法(セラピー)を受けて専門家とじっくり向き合えたことで、ようやく自分の傲慢さを恥じ、人間として、プロとして精神的に大きく立ち直ることができた』
しかし、ベティスには頭の痛い問題も残っています。大黒柱であるブラジル人DFナタンに対し、クラブはアタッカー補強の資金を確保するために3500万ユーロ(市場価値は現在2500万ユーロまで暴騰)という高額な売却価格を設定しました。ナタンには中東の富豪クラブから巨額のオファーが届いたものの、選手本人が『チャンピオンズリーグなどの欧州最高峰の舞台でプレーすることと、今以上の高給』を移籍の絶対条件として突きつけ、エキゾチックなリーグへの移籍を即座にブロック。バルセロナが一時交渉に乗り出したものの、ベティスの提示した3500万ユーロという数字が高すぎるとして交渉は完全にデッドロック状態です。なお、チームは追加の攻撃補強として、ドルトムントから元ウルヴスのファビオ・シルバをローンで獲得することを目指しています。(via ElDesmarque / Estadio Deportivo / Canal Sur)
セビージャFC
セビージャの新生フロント陣を率いるホセ・イグナシオ・ナバロSDは、今夏だけで実に約30件におよぶ選手移動(イン・アウト)を成立させようとしており、これは伝説的なディレクターであるモンチ氏が13/14シーズンや19/20シーズンに記録したクラブ史上最大の狂乱市場に匹敵する、まさに歴史的な大改革となっています。
その中で、今週木曜日の夜に2名の主力選手の電撃売却が公式発表されました。まずはスイス代表の中盤の要、ジブリル・ソウのセリエAのジェノアへの完全移籍です。移籍金はソウの契約解除金である4000万ユーロ(ネットで400万ユーロ:昨夏に財政難を救うため選手本人が年俸の引き下げをのむ代わりに違約金が半減していた)の満額が支払われました。セビージャはこれにより、チームで最も高額だった部類の給与を削減することに成功。ソウは退団に際し、 sevillistas(セビージャのサポーター)に向けて美しい惜別の言葉を残しています。
『セビージャという、フットボールが人生の熱狂そのものである偉大なクラブに別れを告げるのは本当に辛い。「死ぬまでセビジスタ」というフレーズは、ここにおいて決してただの言葉ではない。ファンが辛い時期に私を支えてくれた愛情を一生忘れない。ふたたびサンチェス・ピスファンに最高の喜びと誇りが戻ることを願っている』
なお、セビージャはソウの代役として、レバンテのジョージア代表MFコチョラシュヴィリの獲得に向けて交渉を急いでいます。
もう一人の電撃売却は、カンテラ出身の金メダリストである23歳のファンル・サンチェスです。プレミアリーグのボーンマスへの完全移籍が合意に達し、移籍金は固定1100万ユーロに加えて、試合出場数50%以上および欧州カップ戦出場権獲得による200万ユーロの変数が付帯。さらにセビージャは将来の売却益の10%を回収できる権利を確保しました。ファンルは自身のSNSで感動的な手紙を公開しました。
『12歳だった2015年にこのカンテラに入り、セビージャは私の家そのものだった。子供の頃からスタンドで声を張り上げ、いつかこのユニフォームを着てピッチに立つことを夢見ていた。セビジスタとして、ここで永遠にプレーし続けることだけを考えていたが、フットボールは時に予期せぬ道を用意する。クラブの財政的ニーズを救うため、そして私自身の成長のために旅立つことを決めた。永遠の愛を。私はこれからも一生、一人のセビジスタだ』
これに対し、かつてカンテラで共に育ち現在はレバンテで輝くカルロス・アルバレスらが『君は信じられないほど偉大だ。いつかまたピッチで会おう』と熱いメッセージを返しています。
また、22歳の生え抜きGKアルベルト・フローレスがグラナダ(2部)に4年契約で完全移籍することが決定しました。セビージャは移籍金を免除する代わりに、将来の売却権利の40%と、グラナダが1部に昇格した際のボーナス権利を確保しました。さらにカンテラ期待のFWアレックス・コスタには2部の複数クラブから熱烈なローン打診があり、選手自身も合意していましたが、セビージャ側が「500万ユーロという不可能な買取オプション」の付帯を義務付けたため、相手クラブが撤退し交渉は完全に決裂。コスタは失意のままBチームでの調整を余儀なくされています。
一方で、懸案となっている攻撃の補強として、スウェーデンのシリウスで15試合15ゴールと爆発している22歳のスコットランド代表FWロビー・ウアの獲得に向けて、約800万から1000万ユーロのファーストオファーを提示しました。シリウス側は1000万ユーロの満額一括を求めており、ウア自身も『今夏に世界で最も競争力のある5大リーグに挑戦することが、私にとって完璧なステップアップだ』と移籍を切望しています。現地メディアでは、彼の強靭な身体と突破力をして「スウェーデンに出現したハーランド」と評される怪物です。
なお、ファンル・サンチェスが去ったことで空席となった伝統の背番号「16番(アントニオ・プエルタの魂)」は、今季からキャプテンマークを任されることが決定した生え抜きのDFキケ・サラスが継承することが決定しました。(via ElDesmarque / Estadio Deportivo)