新生モウリーニョ・マドリードが初陣を勝利で飾る
ジョゼ・モウリーニョが13年ぶりにレアル・マドリードの指揮官としてベンチに帰還し、プレシーズン初戦となるアルコルコンとの親善試合を1-0の勝利で飾った。バルセロナが築いた過去2年間の覇権を打ち破るための新プロジェクトが、バルデベバスにあるアルフレド・ディ・ステファノ・スタジアムで幕を開けた。
試合は17時30分(CET)にキックオフされ、最初の25分間のみがテレビ中継された非公開試合として行われた。モウリーニョは17時48分になってようやくピッチサイドに姿を現し、ポケットに手を入れた落ち着いた様子で選手たちのウォーミングアップを見守った。
先発メンバーは、キャプテンマークを巻いたアンドリー・ルニンをゴールキーパーに据え、最終ラインは右からトレント・アレクサンダー=アーノルド、ディーン・ハイセン、ラウル・アセンシオ、アルバロ・カレラスが並んだ。中盤はセステロがポジション的な役割を担い、エドゥアルド・カマヴィンガがメインのオーガナイザーとしてプレー。その前にフランコ・マスタントゥオーノ、アルダ・ギュレル、ガブリ・バレロが配置され、最前線にはゴンサロ・ガルシアが入る4-2-3-1のフォーメーションが採用された。
モウリーニョは、デンゼル・ダンフリースやマルク・ククレジャといった新戦力がいるにもかかわらず、サイドバックにアーノルドとカレラスを起用した。また、クラブが今夏の放出先を探しており、構想外と噂されるディーン・ハイセンを先発のセンターバックで起用し、今後はイブラヒマ・コナテとのポジション争いが予想される。
試合開始わずか1分、右サイドで仕掛けたフランコ・マスタントゥオーノがペナルティエリア内で倒され、早々にPKを獲得する。しかし、キッカーを務めたアルダ・ギュレルのグラウンダーのシュートは、アルコルコンのGKオリオル・マルティ(ミゲル・バニュスとの記載もあり)の素晴らしいセーブに阻まれ、先制の絶好機を逃した。
後半に入ると、モウリーニョは先発組をリカバリーセッション(芝生およびジムでの調整)へと回し、チームをほぼ総入れ替えしてカンテラーノたちをピッチに送り込んだ。試合が動いたのは後半81分、自らファウルを受けてPKを獲得したカンテラーノのダニエル・ヤニェスがしっかりと決め、これが決勝点となった。モウリーニョはホイッスルが鳴るまでピッチサイドで熱心に指示を送り、プレッシングとポジショニングの修正を絶え間なく続けた。
スタンドでは、リハビリを続けるエデル・ミリトンとロドリゴ・ゴエス、そして2026年ワールドカップを終えて水曜日に合流したばかりのウルグアイ代表キャプテン、フェデリコ・バルベルデが試合を見学した。チームは今後、レガネスとの非公開試合を経て、フィオレンティーナ、フェレンツヴァーロシュと対戦し、デポルティーボ・ラ・コルーニャとのテレサ・エレーラ杯に臨む予定だ。 (via SPORT) (via Esport3) (via ElDesmarque)
ピントゥス・メソッドの復活とコーチングスタッフの再編
フロレンティーノ・ペレス会長の鶴の一声により、アントニオ・ピントゥスがフィジカルコーチとして第一線に復帰した。シャビ・アロンソ前監督の体制下では、ピントゥスは新たに設けられた「パフォーマンス・マネージャー」という役職に就き、ピッチ上での指導から外されオフィスワークに専念させられていた。ボールを使ったトレーニングを重視するシャビ・アロンソのメソッドと、ピントゥスの手法が合わなかったためだ。
しかし、チームの成績低迷とフィジカル面の不安から、ペレス会長はピントゥスを現場に戻すことを決定した。これに伴い、シャビ・アロンソ時代にフィジカルコーチを務めたカメンフォルテはチェルシーへと去った。ピントゥスの復帰により、かつての成功を支えた「低酸素マスク」を使用した過酷なトレーニングも再開されている。また、メディカル部門にはニコ・ミヒッチも復帰を果たした。
モウリーニョのコーチングスタッフ陣も陣容が固まっている。ピントゥスと役割を共有するフィジカルコーチには、モウリーニョの右腕であり「教授」の異名を持つアントニオ・ディアスが就任。第2監督にはジョアン・トラリャンが就き、サミ・ケディラとペドロ・マチャドがテクニカルアシスタントを務める。スポーツサイエンス責任者にはサンドロ・カリーソ、チーフアナリストにはロベルト・メレッラが任命された。また、ルイス・ジョピスに代わる新たなGKコーチとして、ヌーノ・サントスが加入している。 (via SPORT) (via ElDesmarque)
カンテラーノの躍動とトップチーム選手の動向
アルコルコン戦で最も輝きを放ったのは、昨夏6000万ユーロで加入した18歳のアルゼンチン人ウインガー、フランコ・マスタントゥオーノだった。ビジャレアル、フルハム、フィオレンティーナなどが買取オプションなしのレンタル移籍を打診している中、彼は右サイドで常に1対1を仕掛け、優位性を作り出してPKを獲得するなど、モウリーニョに強烈なアピールを見せた。
トルコ代表としてワールドカップに出場し、予想よりも早くチームに合流したアルダ・ギュレルは、開始早々のPKこそ失敗したものの、トップ下で精力的にプレーした。試合後、メディアの取材に応じたギュレルは次のように語っている。
『家が恋しかったです。ピッチ上で常に最高の自分を見せるために、またトレーニングを始められてとても幸せです』
『モウリーニョのようなレジェンドと仕事ができるのは、私にとって素晴らしい機会です。彼と彼のチームはすべてを非常に明確に説明してくれます。ピッチの外でもとても誠実です』
『この時期はフィジカル面を鍛えることが最も重要です。しかし、ピッチ上でうまくやるために、モウリーニョが求めることを聞き、学ぶことも重要です』
『私は多くを学び、成長しましたが、私の情熱は決して変わっていません。初日のようにすべてを勝ち取り、マドリディスタを幸せにしたいです』
中盤でフル稼働したエドゥアルド・カマヴィンガは、他クラブから重要なオファーを受けながらもマドリード残留を決意しており、期待を下回った昨シーズンの払拭に燃えている。また、アルバロ・アルベロア率いるフルハムのターゲットとなっているゴンサロ・ガルシアもスタメンに名を連ね、モウリーニョからの信頼の厚さを示した。
一方、ベルギー代表としてワールドカップに参加し負傷したティボー・クルトワは現在リハビリ中だが、ピッチ外でも自身の情熱を燃やしている。彼はスペインF4に参戦する「TC Racing」というチームのオーナーであり、コンテンツクリエイターのPlexとの対談で将来の夢を語った。
『サッカーを辞めたら、モータースポーツの何かをしたいです。すべてをこなすドライバーたちには最大限の敬意を払っていますが、ライン取りについてはよく理解しているので、自動車チームを始めたかったのです』
『バーチャルの世界から来た少年を連れてきて、F4に乗せてレースをさせること、それが私の持っている夢です』
自身の愛車であるポルシェ911 GT3 RSのカラーリングについては、『車を買いに行ったとき、自由に選ばせてくれました。パラーディウムという色で、私が最初に選んだのですが、後で他にも買った人がいると言われました。カスタムシートも付けています』と笑顔で明かした。 (via SPORT) (via ElDesmarque)
ヤン・ディオマンデの獲得が1億2000万ユーロで決定的
レアル・マドリードは、RBライプツィヒに所属する19歳のコートジボワール代表ウインガー、ヤン・ディオマンデの獲得を決定的なものとしている。クラブは当初、マイケル・オリーセの獲得を目指していたが、バイエルン・ミュンヘンのスポーツディレクター、クリストフ・フロイントからペレス会長へ直接『オリーセを売りたくないため、オファーを考えているなら無駄な努力だ。メディアでの絶え間ない推測も望んでいない』と通達され、獲得を完全に断念。ターゲットをディオマンデに一本化した。
ディオマンデはモウリーニョ監督の強い要望による補強であり、ヴィニシウスやエンドリッキと同じエージェンシー「Roc Nation」に所属している。リヴァプールやPSGも強い関心を示し、PSGとは5年契約の口頭合意に達していた時期もあったが、マドリードが電撃的に交渉をまとめ上げた。最初の9000万ユーロ+変動1000万ユーロ(計1億ユーロ)のオファーはライプツィヒに拒否されたものの、マドリードは要求額の1億2000万ユーロを満額支払う決断を下した。実はバルセロナも5月に1億ユーロで獲得するチャンスがあったが、金額が高すぎると判断してアンソニー・ゴードンの獲得を優先した経緯がある。
わずか1年前にレガネスから2000万ユーロでライプツィヒへ移籍したディオマンデは、市場価値を一気に9000万ユーロまで高め、ブンデスリーガ新人賞を獲得。ワールドカップでも強烈なインパクトを残した。レガネス時代の恩師であるボルハ・ヒメネス監督は、彼の才能について次のように証言している。
『彼との第一印象はとても衝撃的でした。代表ウィークの3月、Bチームとの試合で彼を見たのですが、思い通りにドリブルで突破し、ゴールを決めたため、45分しかプレーさせられませんでした。誰かに怪我をさせる可能性がありましたから。常に方向を変え、1部リーグの選手を何事もなかったかのようにドリブルで抜き去る能力を持っていました』
『非常に大きなインパクトでした。運動量を繰り返し、とてもパワフルな選手です。我々は非常に驚きましたし、あんなものは見たことがありませんでした。彼はとても謙虚な少年でした。いつもトレーニングの後に最後に出ていくというエピソードを話しています。みんなが用具を片付けるのを手伝っていました。常に向上心を持っていました』
『彼がビッグクラブへ飛躍できる状態にあるのは明らかです。それを毎週ブンデスリーガで証明しています。彼が持っている天性の才能です。数的不利な状況からドリブルで抜け出す技術。非常に違いを生み出します。多くの点でラミン・ヤマルを思い出させます』
また、当時のチームメイトであるエンリク・フランケサもその衝撃を語る。
『私をとても驚かせた選手でした。成熟度、大胆さ...一緒にトレーニングした初日から、彼が違いを生み出す選手だと感じました。彼が上がってきたときのチームメイトのコメントが印象に残っています。ロッカールームでは、この男はプレーしなければならないと言い始めました。下部組織から上がってきた選手に対して、トップチームの選手がプレーすべきだと言ったのは、私のキャリアで初めてだと思います』
『彼は控えめで、目立たない少年でした。言葉もあまりうまく話せませんでした。日々の生活ではとても控えめでしたが...ピッチ上では違いました。彼はヨーロッパのトップチームに行き着くでしょう。彼にはすべての条件が揃っています。彼の1対1の能力は見つけるのが最も難しいものであり、彼はそれを持っています。それが彼がビッグクラブと契約するための扉を開くでしょう』
しかし、ディオマンデには過去の発言という火種もある。レガネス時代、ベルナベウでのマドリード戦(3-2でマドリード勝利)で、後半アディショナルタイムにラウル・アセンシオに倒されたプレーがPK判定にならなかった際、彼は次のように不満を露わにしていた。
『私にとってはPKです。なぜそうならないのか分かりません。レフェリー? 彼のパフォーマンスは悪かったと思います。エムバペへのファウルでもなかったし、あれもPKではありませんでした...でも、レアル・マドリードとはいつもこうです』
この動画が現在SNSで拡散され、議論を呼んでいる。 (via SPORT) (via MARCA) (via Estadio Deportivo) (via ElDesmarque)
ヴィニシウスの契約延長問題とアーセナルの強襲
ヤン・ディオマンデの加入が秒読みとなる中、弾き出される可能性があるのがヴィニシウスだ。彼の契約は2027年6月30日までとなっているが、契約延長交渉は完全に暗礁に乗り上げている。シャビ・アロンソ前監督との対立以降、交渉はストップしたままだ。
経済的な溝は深く、ヴィニシウス側は契約延長の条件として、キリアン・エムバペと同等の年俸(約3000万ユーロ)と、ロイヤリティボーナス1500万ユーロを要求している。26歳を迎えた彼は今が大型契約を結ぶ理想的な時期だと考えているが、フロレンティーノ・ペレス会長はこの要求に完全にうんざりしている。昨シーズンのバロンドールはロドリが受賞したが、チャンピオンズリーグ優勝に貢献したヴィニシウスこそがふさわしいと多くの支持を集めており、今大会のワールドカップでもブラジル代表はベスト16で敗退したものの、彼は4ゴールを挙げる活躍を見せた。しかし、クラブ側はエムバペ加入以降の彼のパフォーマンスに疑問を抱いている。
この状況を虎視眈々と狙っているのがアーセナルだ。ミケル・アルテタ監督率いるアーセナルは、フリアン・アルバレスにも関心を示しているが、ヴィニシウス獲得のために1億6000万ユーロという巨額のオファーを準備し、プレッシャーをかけている。マドリード側は、来週予定されているRoc Nation(ヴィニシウスとディオマンデのエージェンシー)との会談で最終的な決断を下す方針であり、契約延長に応じなければ今夏中の売却も辞さない構えだ。
ただし、モウリーニョ監督はヴィニシウスの残留を強く熱望しており、クラブ幹部に対して「いかなるスター選手も放出しないでほしい」と明確に伝えている。ディオマンデは左右どちらのウイングでもプレー可能だが、すでにエムバペとヴィニシウスが衝突している左サイドのポジション争いは、さらにカオスな状況となる。 (via SPORT) (via MARCA) (via ElDesmarque) (via Mundo Deportivo) (via Estadio Deportivo)
W杯MVPロドリの獲得へ本腰、PSGも参戦
レアル・マドリードは、トニ・クロースとルカ・モドリッチの退団以降不在となっている中盤の絶対的なオーガナイザーとして、マンチェスター・シティのロドリ獲得に全力を注いでいる。2024年のバロンドール受賞者であり、2026年ワールドカップでもスペイン代表を優勝に導いてMVPに輝いたロドリは、モウリーニョが求める「中盤の筋肉とコントロール」を体現する完璧なピースだ。
ロドリはマンチェスター・シティとの契約を2027年6月まで残しており、シティからは契約延長オファーを提示されているが、返答を保留している。ワールドカップ中のインタビューで将来について問われた際も『そのこと(将来について)からは完全に離れています』と明言を避けた。彼自身はスペインへの帰還を強く望んでおり、すでにマドリードとは個人的な条件で合意に達している。
フロレンティーノ・ペレス会長は、ロドリが選挙戦での対立候補リケルメの公約選手だったため当初は獲得に難色を示していたが、バルデベバス内での圧倒的な支持とモウリーニョの承認により、獲得へゴーサインを出した。マドリードは4500万ユーロにボーナスを加えた条件で、2030年までの契約をシティに提示する準備を進めている。資金面や給与枠の確保については、エドゥアルド・カマヴィンガの放出によってスペースを空けるプランも浮上している。
しかし、ここにきてパリ・サンジェルマン(PSG)とバルセロナもロドリ獲得レースに参戦。特にPSGはすでにマンチェスター・シティに接触し、状況の問い合わせを行っている。ロドリは現在休暇中だが、シティのエンツォ・マレスカ監督(グアルディオラの後任)は『月曜日に手術があり、彼は休暇が必要だ。その後我々に合流する』と意味深な発言をしており、来週がこの移籍劇の決定的な1週間となる。 (via SPORT) (via ElDesmarque) (via Mundo Deportivo)
【本日の総括】
モウリーニョが13年ぶりに帰還した初陣を勝利で飾り、ピントゥスのフィジカルメソッドも復活。1億2000万ユーロでのヤン・ディオマンデ獲得が決定的な一方で、ヴィニシウスの契約延長は絶望的となりアーセナルへの巨額売却の可能性が浮上しています。さらにW杯MVPのロドリ獲得へ向け、PSGとの熾烈な争奪戦が幕を開けました。新時代のマドリードは、かつてない激動の夏を迎えています。
デスクコメント
戦術デスク
配置と起用法から読む
モウリーニョの初陣は、4-2-3-1をベースに個の突破力を活かす実戦的な構成でした。特筆すべきは、サイドバックにアーノルドとカレラスを配し、攻撃的な幅を確保した点です。また、後半の総入れ替えを含め、プレッシングの強度とポジショニングの修正を執拗に求める姿勢は、彼らしい規律の再構築を感じさせます。ディオマンデの加入が噂される中、左サイドの渋滞をどう整理し、カマヴィンガを軸とした中盤のオーガナイズをどう完成させるか。戦術的な噛み合わせは、今後の親善試合での選手起用から読み解く必要があります。
クラブ動向デスク
フロントとクラブの空気を追う
ピントゥスの現場復帰は、ペレス会長がチームの規律とフィジカルの低下に強い危機感を抱いていたことの証左です。シャビ・アロンソ体制からの脱却を象徴するこの人事は、クラブが再び「結果」を最優先するモウリーニョ流の管理体制へ舵を切ったことを示しています。ヴィニシウスの契約延長問題やロドリ獲得への動きも、クラブがスター選手のブランド力以上に、チームの機能性と勝利への執念を重視し始めた過渡期にあることを物語っています。
移籍・契約デスク
契約・補強・登録を整理する
ディオマンデに1億2000万ユーロを投じる決断は、クラブの補強方針が「将来性」から「即戦力の絶対的タレント」へシフトしたことを意味します。一方で、ヴィニシウスの要求額とクラブの提示額の乖離は深刻で、アーセナルへの売却は単なる噂ではなく、編成上のバランス調整として現実味を帯びています。ロドリ獲得にはカマヴィンガの放出という代償も浮上しており、今夏の編成は、高額な新戦力を迎えるための「枠と資金の確保」という極めてシビアなパズルを解く作業になりそうです。