メスタージャ最後のトロフェオ・ナランハ:ニューカッスルに1-2逆転負けとガヤの一発退場

プレシーズン最終戦であり、2027年夏のノウ・メスタージャ移籍を控えて、現在のスタジアムであるメスタージャで行われる最後の開催となる可能性が極めて高い、記念すべき第54回トロフェオ・ナランハが開催されました。41,000人以上の熱狂的なサポーターがスタンドを埋め尽くす中、バレンシアCFはイングランドのニューカッスル・ユナイテッドを相手に1-2の痛烈な逆転負けを喫し、3年連続でこの伝統的なトロフィーを敵に明け渡す形となりました。

試合は非常に素晴らしい立ち上がりを見せました。前半4分、新戦力のフィリップ・ウグリニッチがペナルティエリア手前から、自身の利き足ではない左足を振り抜き、目の覚めるような弾道の一撃をゴール右隅のデッドコーナーに突き刺して電撃的な先制点をマーク。彼にとってバレンシアでの公式戦を含む36試合目での待望の初ゴールとなり、スタジアムは歓喜の渦に包まれました。

しかし前半34分、チームの命運を分ける悲劇が発生します。キャプテンのホセ・ルイス・ガヤが、ニューカッスルのウインガーであるアンソニー・エランガに対して、親善試合の枠を完全に超えた、背後からの極めて無謀で不必要な強烈タックルを敢行。主審のホセ・マリア・サンチェス・マルティネス氏は迷うことなく直ちにレッドカードを提示し、ガヤは一発退場となりました。タックルを受けたエランガは重傷を負って担架でピッチを後にし、ガヤ自身は謝罪の態度を示したものの、スタジアムからは彼の軽率なプレーに対して厳しい指笛やブーイングが浴びせられました。

10人となったバレンシアは、日本人の佐藤恵允が右のウイングバックへ下がって粘り強く守備を固めるなど陣形を変更し、なんとか前半をリードしたまま折り返しました。しかし後半51分、ゴールキーパーのストーレ・ディミトリエフスキからギド・ロドリゲスへの不正確なパスが引き金となり、ギドがプレッシャーの中でコントロールを誤って痛恨のミス。これをニューカッスルのヨアヌ・ウィサに奪われて同点弾を許しました。

その後、バレンシアはダヴィド・オトルビが右サイドを何度も切り裂いて素晴らしいチャンスメイクを見せ、途中出場のアルナウト・ダンジューマへ2度にわたる完璧なアシストパスを配給しました。しかし、ダンジューマがトラップミスと決定的なシュートミスを犯して勝ち越しの絶好機をすべて無駄にすると、サッカー界の冷徹なルールである『好機を逸すれば制裁を受ける』という現実通り、後半75分に鋭いカウンターから再びウィサに逆転ゴールを奪われ、万事休す。

怪我から約10ヶ月ぶりに復帰を果たしたディアカビの出場には温かい拍手が送られたものの、試合後には、不満を募らせたサポーターからコルベラン監督に対して『コルベラン、辞任しろ』というチャントが静かに鳴り響く不穏なエンディングとなりました。 (via SPORT, ElDesmarque, MARCA)

キット・リム社長が初のメスタージャ観戦と新スタジアム建設の進捗

ピーター・リム大株主の長男であり、バレンシアCFの会長に就任して1年以上が経過しているキット・リム社長が、初めてメスタージャスタジアムのVIP貴賓席に姿を現し、親善試合を直接視察しました。父親のピーター・リム氏は2019年以降一度もスタジアムに足を踏み入れておらず、サポーターの現経営陣に対する強い怒りと批判を考慮して今回の訪問も極めて極秘かつ静かに進められましたが、現地メディアのスカウトによって捉えられました。

キット・リム社長は今回の訪問に先立ち、午前中には選手、コーチングスタッフ全員と共に、バレンシアの守護聖人であるデサンパラードス大聖堂を公式参拝し、伝統的な献花イベントを実施しました。

その後、選手たちを伴って急ピッチで進められている新スタジアム「ノウ・メスタージャ」の建設現場を訪問。大屋根を支えるための巨大な50本の鉄骨や圧縮リングの設置など、最新の建設フェーズが完全に完了している姿を視察し、2027年夏の移転に向けて、ヨーロッパでも類を見ない最新の持続可能かつ先進的なスタジアムが完成に近づいていることをアピールしました。この訪問の中で、社長からは懸案となっている右サイドバック獲得のための『緊急の補強資金の投資への許可』が正式に下されたことが明かされています。 (via SPORT, ElDesmarque)

右サイドバックとウイングの致命的不足とトマ・ムニエの裏切り

今シーズンのバレンシアが直面している最も深刻で致命的な課題は、右サイドの選手が完全に枯渇していることです。現在、チームにはファーストチーム登録の純粋な右サイドバックが一人も存在していません。

この異常事態は、元々獲得がほぼ確実視され、ロン・ゴーレイCEOやコルベラン監督との間で口頭合意を完了させていたベルギー代表ディフェンダー、トマ・ムニエが土壇場でバレンシアを裏切り、より優れた契約条件と高額サラリーを提示したイングランドのサンダーランドへと電撃的に移籍したためです。ムニエは同日にサンダーランドでの先発デビューを果たして快勝を飾っており、この予期せぬ破談はバレンシアのテクニカル部門を深いショック状態に陥れました。

クラブは急遽、カンテラから若手のガモンやモンフェレルを引き上げて対応しようとしましたが、不運にもモンフェレルが負傷で離脱。さらに、右サイドの主軸であるディミトリ・フルキエや、左から右までこなせるはずのルイス・リオハ、さらにはサディク・ウマルらも筋肉系のトラブルや負傷を抱えて今回のプレシーズン最終戦を欠場せざるを得ず、戦力不足は極限に達しています。

現在、クラブはアルナウ・マルティネス(ジローナ)の獲得に向けた具体的な交渉を最優先で進めているほか、アンドレス・ガルシア、トルヤン、ミケルブレンシス、エヒジブエ、チリーノといった複数の右サイドバック候補のリストを精査しており、開幕戦までの緊急契約を目指して水面下での調整を急いでいます。 (via SPORT, ElDesmarque)

アンドレ・アルメイダを巡るセルタとスウォンジーの争奪戦と指揮官の冷遇

ポルトガル人ミッドフィールダーのアンドレ・アルメイダの去就をめぐり、移籍市場の閉鎖に向けて非常に慌ただしい駆け引きが展開されています。

バレンシアとアルメイダは今夏、お互いに別の道を歩むことで完全に合意に達しています。当初、イングランド・チャンピオンシップのスウォンジー・シティから、バレンシアにとっても選手にとっても経済的に極めて高待遇な正式オファーが届いており、移籍は秒読み段階と見られていました。しかし、アルメイダ本人がイングランドの2部リーグに身を落とすことを激しく拒み、できればスペイン国内に留まり、ヨーロッパのカップ戦に出場できる高いレベルのクラブでのプレーを熱望していました。

そこへ、新シーズンにヨーロッパリーグを戦うセルタ・デ・ヴィーゴが獲得に名乗りを上げ、選手個人に対して交渉のための時間を要求しました。アルメイダの希望は完全にセルタへと傾いていますが、バレンシアのフロントオフィスはセルタ側に対し、『もしアルメイダの獲得を望むのであれば、スウォンジーが提示している高額なオファー額と同等の水準まで、移籍金の提示額を大幅に引き上げる必要がある』という極めて厳しい条件を突きつけています。現時点でのセルタのオファー額はスウォンジーの提示に届いておらず、膠着状態が続いています。

なお、コルベラン監督は今回のニューカッスル戦において、移籍の意思を固めているアルメイダを1分も起用することなく完全にベンチに放置。サポーターに対しても、彼が現在の構想から完全に外れていることを明確に示す采配を下しました。 (via ElDesmarque)

カンテラの絶対的エース、マリオ・ドミンゲスがオランダのエクセルシオールへ電撃移籍

バレンシアのアカデミーの歴史において、通算最多ゴール記録を持つ22歳の怪物ストライカー、マリオ・ドミンゲスが、オランダ1部のエクセルシオール・ロッテルダムへ、買い取りオプション付きの1年間の期限付き移籍をすることが正式に発表されました。

ドミンゲスは今夏、バレンシアとの契約を2028年まで2年間延長したばかりですが、プロのエリートレベルでの出場機会を確保するための成長プログラムとして、今回のオランダ移籍を選択しました。

この移籍合意には、エクセルシオール側が将来的に彼の保有権の50%を約150万ユーロ(約2億4000万円)で買い取ることができるオプションが設定されていると同時に、バレンシア側が彼の成長後に再び手元へと呼び戻すことができる、優先的な買い戻し条項が厳格に盛り込まれています。

ドミンゲスは過去にホセ・ボルダラス元監督やジェンナーロ・ガットゥーゾ監督のもとでトップチームデビューを果たし、将来のスペイン代表を背負う神童として注目されていましたが、U-19代表の活動中に深刻な膝の重傷を負って長いリハビリ生活を余儀なくされていました。しかし見事に復活を遂げ、昨シーズンはバレンシア・メスタージャで公式戦38試合に出場して16ゴール、さらにプレミアリーグ・インターナショナルカップで3ゴールをマーク。シーズン合計16ゴールという成績により、かつて下部組織を代表するスコラーであったフラン・ナバーロ、パコ・アルカセル、さらにはラファ・ミルといった歴代の神童たちの持つ得点記録を完全に塗り替え、カンテラ史上歴代最多得点者としてその名前を歴史に刻んでの栄転となりました。 (via ElDesmarque)

流出したかつての神童ユーゴ・ゴンサレスがセルタのファーストチームへ昇格

昨シーズンの移籍市場において、バレンシアが『将来的な売却時の30%の利益分配』および『いくつかのパフォーマンスに基づくボーナス』という、目先のわずかな経済的条件と引き換えに、実質的にフリーに近い形でセルタ・デ・ヴィーゴへと放出してしまった元カンテラーノのウインガー、ユーゴ・ゴンサレスが、新シーズンに向けて素晴らしいサクセスストーリーを歩んでいます。

ゴンサレスはセルタのBチームでセンセーショナルな大活躍を見せた後、今夏のファーストチームのプレシーズンマッチに招集。そこでなんと4試合に出場して6ゴールを叩き出すという、チーム内でも圧倒的最多となる驚異的なパフォーマンスを披露しました。

この素晴らしいアピールに感銘を受けたセルタのクラウディオ・ジラルデス監督は、彼をファーストチームに正式に昇格させる決定を下しました。ゴンサレスは1番から25番のファーストチームの背番号を正式に付与され、新シーズンからヨーロッパリーグを戦うメンバーとしてエリートの舞台に立ちます。バレンシアの首脳陣は、手放した若き逸材の突然の覚醒をただ遠くから見つめることしかできず、将来的な30%のパーセンテージによる経済的還元の時期が早く訪れることを願うしかないという、皮肉な現実を突きつけられています。 (via SPORT)

過酷な開幕スケジュールと第1節延期に伴う追加テストマッチ計画

バレンシアCFのラ・リーガ開幕に向けた公式日程と調整計画が明らかになっています。

本来、今週末に予定されていたベティスとの第1節の試合が、諸事情によって延期されたため、チームの記念すべきラ・リーガ2026/27シーズンの開幕戦は、8月22日にホームのメスタージャで行われるセルタ・デ・ヴィーゴ戦へとスライドされました。

このイレギュラーな第1節の延期に伴い、コルベラン監督は選手たちの実戦感覚やインテンシティ、ゲーム体力が低下することを極端に恐れています。

そのため、クラブは開幕の8月22日を迎える前に、急遽モロッコの強豪クラブであるラジャ・カサブランカとの追加の親善試合をねじ込む計画を立てており、試合の合意に向けて現在最終的な調整を進めています。 (via SPORT)

【本日の総括】

メスタージャで行われた最後のトロフェオ・ナランハでニューカッスルに1-2と逆転負けを喫し、キャプテンのガヤの退場や守備陣の連携ミスなど、ピッチ上で多くの重い課題を残したバレンシアCF。ピッチ外では、キット・リム社長の初のメスタージャ公式視察や新スタジアム「ノウ・メスタージャ」の順調な進捗というポジティブな光がある一方、トマ・ムニエの裏切りに伴う右サイドバックの完全な枯渇、アルメイダの退団を巡る葛藤、さらにかつてのカンテラーノであるユーゴ・ゴンサレスの他クラブでの大爆発など、フロントの戦略的な判断の甘さが露呈する激動の様相を呈しています。チームは8月22日のセルタとの開幕戦に向けて、緊急の補強と戦術の修正を急ピッチで進めることになります。