イスマ・ジアニ 相次ぐ大怪我を乗り越えフベニールAとU17W杯へ挑む大器
度重なる膝や足の負傷に苦しんでいた16歳のストライカー、イスマ・ジアニは、FCバルセロナのフベニールA昇格とモロッコU17代表でのワールドカップ出場に向けた本格的な復活プロジェクトに臨んでいる。11人制に移行してからわずか39試合しか出場できていない逸材に対し、クラブは我慢強く手厚い育成支援を続けている。天性の得点感覚と圧倒的なフィジカルを併せ持つ大器が、長年の暗闇を抜けてついに本領を発揮しようとしている。
カタルーニャ州グラノリェルスで生まれ、サン・セロニで育った本名イスマエル・ジアニ・ロペスは、モロッコ人の父親とカタルーニャ人の母親を持つ。8人制サッカーのベンハミンやアレビン時代は負傷とは無縁で、圧倒的な得点力を発揮して周囲の注目を集めていた。ところが、11人制に移行した2022-23シーズンのインファンティルB以降、膝や腓骨の手術を何度も繰り返す悪夢のような負傷の連鎖に見舞われた。インファンティルからカデテ、そしてフベニールへと至る4年間で、彼がピッチに立てたのは通算でわずか39試合に過ぎなかった。才能がありながら怪我に泣かされる若い選手は少なくないが、彼ほど残酷な試練に直面したケースも珍しい。幼少期の輝かしい活躍を知る関係者ほど、病床でリハビリに励む彼の姿に心を痛めていた。それでも、彼自身がフットボールへの情熱を失うことは一度もなく、リハビリ期間中も戦術理論の学習やメンタルトレーニングに励み、復帰の時に向けて牙を研ぎ続けていた。
それでもバルサのスカウトや指導陣は、彼が秘める類まれな才能を一度たりとも疑わなかった。クラブは専門の医療スタッフを配置してリハビリを全面サポートし、徹底したメンタルケアと栄養指導による減量プログラムを実施した。その努力が実を結び、今季はフベニールBの開幕戦でついに復帰を果たした。後半54分からピッチに立つと、85分には自ら勝ち越しとなるPKを冷静に沈めてチームを勝利へ導いてみせた。
こうした努力の甲斐もあり、彼は11月19日から12月13日までカタールで開催されるU-17ワールドカップに向け、モロッコU17代表からの招集を受けている。バルサ側もモロッコサッカー協会と連携を取りながら、ポル・プラナス監督が率いるフベニールAで実戦経験を積ませる方針を固めた。今週末に行われるレーシング・サラゴサ戦でフベニールAデビューを果たす見込みとなっており、無理のない登用でトップレベルの強度に適応させていく計画だ。
11月1日に17歳の誕生日を迎える大器に対し、クラブが忍耐強く手を差し伸べ続ける背景には、世界的に見ても希少な本格派ストライカーを自前で育て上げたいという強い意志が存在する。長期間の離脱から見事に立ち直ったこの試みは、若手選手の才能を怪我の絶望から救い出す育成組織のあり方を示す象徴的な事例といえる。つまり、目の前の結果にとらわれず、将来的なリターンを見据えて投資を続ける姿勢こそがラ・マシアの強みなのだ。(via SPORT)