レアル・マドリード 対 フィオレンティーナ
試合サマリーと得点経過
2026年8月1日18:00(現地時間)、オーストリアのクラーゲンフルトに位置するヴェルターゼー・シュタディオンにて、観客約3万人を集めてプレシーズンマッチ【レアル・マドリード 2 - 2フィオレンティーナ】が開催された。キックオフ前には、66歳で他界したイタリアサッカー界のレジェンド、フランコ・バレージ氏へ追悼の黙祷が捧げられた。
ジョゼ・モウリーニョ監督の第二次政権において、観客を入れて行われた初の本格的な実戦テストは、序盤から見応えある攻防となった。前半はワールドカップ帰りの主力を多く欠きながらも、若手と新戦力が躍動したレアル・マドリードが圧倒し、2点を先行。しかし後半に入ると、持ち前の強靭なフィジカルで押し込むフィオレンティーナが巻き返し、最終的に2-2の引き分けでタイムアップを迎えた。
得点経過の詳細:
-1-0(12分:レアル・マドリード):中央でボールを持ったアルダ・ギュレルが相手守備の合間を縫う鋭いスルーパスを供給。左サイド深くへ侵入したアルバロ・カレーラスがダイレクトでマイナスの折り返しを入れると、ボックス中央で待ち構えたエンドリッキが素早いトラップから素早く左足を振り抜き、GKダビド・デ・ヘアの伸ばした手を弾いてゴール右隅へ力強いシュートを叩き込んだ。
-2-0(24分:レアル・マドリード):中盤でパスを受けたエドゥアルド・カマヴィンガが力強い仕掛けで相手ディフェンスを引きつけ、中央から絶妙なラストパスを供給。左サイドから走り込んだ若手のアレクシス・シリアが落ち着いて受け、ダビド・デ・ヘアとの1対1を制して右足で冷静に押し込み、トップチーム初ゴールを記録した。
-2-1(41分:フィオレンティーナ):前線のスペースを見逃さなかったアレックス・ヒメネスがライン間へ鋭い縦パスを通すと、絶妙なタイミングで抜け出したロベルト・ピッコリがマドリードの若手センターバック陣の対応が一瞬遅れた隙を逃さず、GKアンドリー・ルニンとの1対1から右足でゴール近距離を撃ち抜いて反撃の1点を返した。
-2-2(58分:フィオレンティーナ):後半途中に投入されたニコロ・ファジョーリが左サイドから高精度のクロスを供給。同じく途中出場のモイーズ・キーンが圧倒的なフィジカルで相手センターバックの間に割って入り、高い打点からのヘディングでネットを揺らして試合を振り出しに戻した。
両チームのスタメンと交代
ホーム: レアル・マドリード(4-2-3-1)
- GK: アンドリー・ルニン
- DF: トレント・アレクサンダー=アーノルド、ホアン・マルティネス、マリオ・リヴァス、アルバロ・カレーラス
- MF: エドゥアルド・カマヴィンガ、フェデリコ・バルベルデ、デンゼル・ダンフリース、アルダ・ギュレル、アレクシス・シリア
- FW: エンドリッキ
主な交代:
- 64分: ホルヘ・チェステロ In(Out: アレクシス・シリア)
- 75分: カルロス・エスピ In(Out: エンドリッキ)
- 75分: ダニエル・ヤニェス In(Out: デンゼル・ダンフリース)
- 84分: ディエゴ・ラコスタ In(Out: フェデリコ・バルベルデ)
- 87分: ラミニ・ファティ In(Out: アルダ・ギュレル)
アウェイ: フィオレンティーナ(4-3-3)
- GK: ダビド・デ・ヘア
- DF: アレックス・ヒメネス、ラドゥ・ドラグシン、ヴィエリ、ルーカ・ラニエリ
- MF: ロベルト・マンドラゴラ、クリス・ウライ、シェル・ンドゥール
- FW: アルトゥール・アタ、ロベルト・ピッコリ、アルベルト・グドムンドソン
主な交代:
- 46分: オリバー・クリステンセン In(Out: ダビド・デ・ヘア)
- 56分: ドド In(Out: アレックス・ヒメネス)
- 57分: モイーズ・キーン In(Out: ロベルト・ピッコリ)
- 57分: ニコロ・ファジョーリ In(Out: クリス・ウライ)
- 70分: ジョヴァンニ・ファッビアン In(Out: アルベルト・グドムンドソン)
- 76分: ビクトル・バルデペニャス In(Out: ルーカ・ラニエリ)
- 76分: フォルティーニ In(Out: シェル・ンドゥール)
- 85分: フェデリコ・クローチェ In(Out: アルトゥール・アタ)
- 85分: ラポ・デリ In(Out: ロベルト・マンドラゴラ)
戦術・采配のポイント
ジョゼ・モウリーニョ監督は、ワールドカップ出場後の休暇や負傷により本職のセンターバック(エデル・ミリトン、ラウル・アセンシオ、ディーン・ハイセンら)を全員欠くスクランブル態勢の中で試合に臨んだ。下部組織所属の18歳ホアン・マルティネスと19歳マリオ・リヴァスを中央に並べざるを得ない状況に対し、モウリーニョ監督は右サイドバックのトレント・アレクサンダー=アーノルドと、新加入のデンゼル・ダンフリースを縦に並べる変形型の4-2-3-1を採用。ビルドアップ時にはアレクサンダー=アーノルドが絞って3バック気味の位置を取り、ダンフリースがウイングとして右の幅を確保する柔軟な配置を試みた。
前半はエドゥアルド・カマヴィンガとフェデリコ・バルベルデのダブルボランチが機動力高く中盤を制圧し、トップ下のアルダ・ギュレルが攻撃のタクトを振った。早い攻守の切り替えと正確なパスワークでフィオレンティーナを自陣に押し込め、2点のリードを奪う理想的な展開を作った。
しかし後半に入ると、合流間もない選手たちの疲労が顕著になり、チーム全体の運動量が低下。ファビオ・グロッソ監督率いるフィオレンティーナは、前線から激しいプレッシングをかけるとともに、交代出場したモイーズ・キーンのパワーを前面に押し出した攻撃へシフトした。マドリードの若手センターバックコンビはモイーズ・キーンのフィジカルに苦しみ、同点ゴールを許すなど守備の課題を残した。
モウリーニョ監督は後半の給水タイムで喝を入れるとともに、ホルヘ・チェステロを投入して中盤の守備強度を再構築。さらにアディショナルタイムには加入からわずか数日のFWカルロス・エスピをデビューさせ、アレクサンダー=アーノルドの高精度クロスからカルロス・エスピがヘディングでゴールを脅かすなど、今後の武器となり得るラインの開拓も見せた。
現地メディアの選手採点・評価比較
スペイン現地各紙は、新体制の初陣で見えたポジティブな収穫とプレシーズン特有の課題について多角的に分析している。
-MARCA:チーム全体として「前半の躍動と後半の失速」という明確な二面性を指摘。好機を確実に決めてユニフォームのエンブレムにキスをしたエンドリッキの反骨心あふれるプレー、下部組織から抜擢されて初ゴールを挙げたアレクシス・シリアの物怖じしない突破力、そして中盤で違いを作ったアルダ・ギュレルのゲームメイク能力を高く評価した。一方で、本職のセンターバックを欠いた若手守備陣がモイーズ・キーンの力強さに後手に回った点を冷徹に分析した。
-SPORT:マドリードの「3つの顔」に注目し、フレッシュだった前半30分間のプレッシングとゲーム支配を大絶賛。「本来であれば前半だけで3-0や4-0にできた展開だった」と報じた。新加入デンゼル・ダンフリースの前線起用やカルロス・エスピのデビュー、後半に攻撃を引っ張ったアルダ・ギュレルの存在感を称賛する一方、チーム全体のコンディション低下に伴う守備陣の脆さを課題として挙げた。
- Mundo Deportivo:「上々から急降下」と表現し、前半のエドゥアール・カマヴィンガやアレクシス・シリアを中心としたスムーズなパスワークと、後半に運動量が落ちてフィオレンティーナの反撃を許した失速ぶりを対比した。
-El Desmarque:トレント・アレクサンダー=アーノルドとデンゼル・ダンフリースを縦に並べたモウリーニョ監督の戦術的実験の有効性を注目。カルロス・エスピの電撃加入で立場が危ぶまれる中で結果を出したエンドリッキの勝負強さと、エドゥアール・カマヴィンガの絶妙なアシストを高く評価した。
試合後の監督・選手コメント
- ジョゼ・モウリーニョ(レアル・マドリード監督): 「今日の試合はすべて気に入った。ロッカールームでスマートフォンを見たら『2つの顔を持つマドリード』と書かれていたが、私に見えたのは3つの顔だ。『フレッシュなマドリード』『疲れたマドリード』そして『超疲れたマドリード』だ。フレッシュな状態の前半は素晴らしいクオリティで、2-1という折り返しは少なすぎるほどだった。後半はイタリアのチームらしいフィジカル溢れる展開となり、18歳と19歳の若手2人がモイーズ・キーンという怪物と戦うことになったが、彼らにとっては成長のための素晴らしいプロセスだ。練習を始めて3日目のダンフリースやエンドリッキが70分以上限界まで走ってくれたことも意味が大きい。ベンチに戻ってきた実感はまだ何もない、本当の勝負はこれからだ」
- カルロス・エスピ(レアル・マドリードFW/デビューを果たした新加入選手): 「世界で一番幸せな男だと感じている。移籍が決まってから夢のような3日間で、72時間も経たないうちに練習し、このユニフォームを着てデビューできた。モウリーニョ監督からは『自分らしくあれ、ボックス内に留まって全力を尽くせ』と言われた。与えられたチャンスをすべて活かしていきたい」
- アレクシス・シリア(レアル・マドリードFW/トップチーム初ゴールを記録): 「大好きなサッカーを全力でプレーしているだけ。ゴールが入った瞬間は本当にほっとした。モウリーニョ監督からは『プレッシャーを感じずに頭を使って自由にプレーしろ』と言われていた。この数週間、チーム全体で非常に高い強度で取り組めている」