クラブとサポーターの溝を深めた「3つの火種」:チケット急騰、VIPエリア過剰拡大、そして応援スタンド規制の実態

長い年月を経てようやく果たした、ラ・リーガ1部リーグへの復帰。本来であれば、スタジアムであるアバンカ・リアソール(ABANCA-RIAZOR)は歓喜とお祭り騒ぎに包まれるはずでした。しかし、8年ぶりの大舞台の裏で、クラブとサポーターの心は深く引き裂かれていました。

この深刻な対立と、サポーターたちの不満を極限まで高めていた背景には、主に3つの具体的な要因が存在していました。

まず第1の要因は、スタジアムのチケット価格が著しく高騰したことです。

第2の要因は、スタジアム内におけるVIPエリアの過剰な拡大です。これにより、長年チームを応援し続けてきたベテランの年間シート会員(ソシオ)たちが本来の席から追いやられてしまい、スタジアムの伝統的な座席エリアが過度に商業化・マネタイズされてしまいました。

そして第3の、かつ最も決定的な対立の引き金となったのが、熱狂的な応援グループが集結するスタンドエリア「マラトン・インフェリオール(Marathón Inferior)」への入場管理やアクセスの規制措置でした。これら3つの問題が積み重なったことで、サポーターたちの怒りは頂点に達していたのです。 (via SPORT)

50日間の危機の歩み:抗議のオレンジ、質問規制、そして泥沼の応援ボイコット宣言から奇跡の対話へ

復帰デビュー戦のスタジアムで繰り広げられたのは、お祝いのムードとはかけ離れた異様な光景でした。スタンドを埋め尽くしたのは、数千人のサポーターが身につけたオレンジ色のTシャツです。そこには『Marathón solución(マラトンに解決策を)』という抗議のスローガンが掲げられ、ピッチに向けて響いたのは、終始クラブ運営陣に対する抗議のチャントだけでした。

試合後、選手やテクニカルスタッフは事態を重く見て、クラブ側に速やかな解決策を模索するよう求めました。しかし、クラブ側がジャーナリストに対して、この問題について選手へ質問することを禁止したため、現場の空気はさらに緊迫化。この頑なな姿勢に反発し、ペーニャス連盟(Federación de Peñas)、リアソール・ブルース(Riazor Blues)、オールド・フェイシズ(Old Faces)といった主要なサポーター団体は、応援ボイコット(応援ストライキ)を少なくとも第3節以降まで延長すると宣言する事態に陥りました。

50日以上もの間、一触即発の緊張状態が続いていましたが、ついに事態が好転します。8月28日金曜日の午後、クラブ幹部と影響を受けた各サポーター団体の代表者による直接会談が開催されました。この対話は双方にとって非常に前向きなものとなり、長きにわたる危機から脱する奇跡的な合意が形成されました。 (via SPORT)

歴史的合意を形作る「5大条項」:差別チャント根絶の誓いから年間シートの柔軟運用まで、和解文書の核心

直接会談によって、クラブとファンは再び同じ方向を向いて進むことに合意しました。この歴史的な和解について、RCデポルティーボは公式SNSを通じて誇らしく発表しています。

『この金曜日、8月28日にサポーターに関連する様々な関心グループの代表者と行われた会議の後、各当事者は、信頼と結束の雰囲気を回復し、アバンカ・リアソールの環境を強化し、スポーツマンシップのために引き続き共に取り組むことを目的とした、協力の枠組み合意に達しました。』

今回の和解文書の核心である「協力の枠組み」は、以下の5つの具体的な条項で構成されています。

1. 年間シートに関する一般条件の「アネックス(付録)」の作成

不満の的となっていた、マラトン・インフェリオール・スタンドだけに適用されるような「独立した別個の規則」を完全に撤廃します。このアネックスが正式に作成・署名された段階で、これまでの個別的な特別規制はすべて無効化されます。

2. 公正な身元確認および入場管理の維持

マラトン・インフェリオールにおける身元の確認、および年間シートの使用管理については、適用される法規、および興行の主催者としてRCデポルティーボが負う責任に従って厳格に運用を続けます。

3. 年間シート(座席)の譲渡と解放プロセスの柔軟化

マラトン・インフェリオールの席を持つサポーターが、クラブの公式チャンネルを通じて席を他の人に譲渡、あるいは座席を解放するための手続きや環境を維持します。これは、既存の安全義務を果たしつつ、サポーターの利便性のために可能な限り高い柔軟性を提供することを目指します。

4. 暴力や差別的行為を根絶するためのサポーターの協力

サポーター側の代表者は、ルールを完全に把握して遵守すること、そして暴力的、威圧的、または差別的なあらゆる行為を防止・根絶するためにクラブ側と積極的に共同歩調をとることを約束しました。

5. クラブへの制裁につながる不適切チャントの防止

暴力や憎悪を助長・誘発するようなチャントや表現、行動を防止することに加え、リーグ側からクラブに対して厳しい罰則や制裁が科される恐れのあるチャントをスタジアム内から排除するため、双方が手を取り合って防止策に取り組みます。

クラブ側は、長きにわたり激しく対立したマラトン・インフェリオールについて、公式に「アバンカ・リアソールにおける主要なエンターテインメント空間の一つ」であると宣言しました。サポーターがクラブのアイデンティティやスタジアムの熱狂を守る上で不可欠な存在であると正式に認め、今回の幸福な結末を迎えることとなりました。 (via SPORT)

【本日の総括】

50日以上もの間、リアソールを重苦しく支配していたクラブとファンの「冷戦」は、お互いの歩み寄りによって最高の形で終止符を打ちました。チケット高騰や応援スタンド規制といった根本的な対立原因に光を当て、具体的な5つのルールのもとで手を取り合うことが決定しました。これでバレンシアCFを迎えるホームスタジアムは、本来あるべき最高の熱狂と団結力を取り戻し、選手たちに圧倒的な追い風を吹かせることになります。