クラブ買収と1億ユーロ注入 ピーター・リムが株式42%をPitchwiseへ売却しクラブ評価額12.5億ユーロの巨大新体制が始動
バレンシアCFの経営権をめぐり、クラブ史に残る巨大な資本取引が電撃発表された。筆頭株主であるピーター・リム率いるメリトン・ホールディングスが、所有するバレンシアCFの株式の42%をアメリカの投資コンソーシアム『Pitchwise Holdings』へ売却することで合意に達した。今回の取引において、バレンシアCFの全資産およびクラブ全体の評価額(企業価値)は12億5000万ユーロ(約2000億円超)と査定されており、42%の株式売却額は約3億5000万ユーロから4億ユーロ規模にのぼると推計されている。
さらに大きなインパクトをもたらすのが、Pitchwise Holdingsによる直接的な資金注入だ。同コンソーシアムは、クラブのスポーツ面および運営基盤へ即時投入可能な新規資本として「1億ユーロ(約160億円)」を直接提供することを決定した。この1億ユーロの主要な使い道はスポーツ部門の強化であり、来年1月の冬の移籍市場において、ラ・リーガの財務規定(ファイナンシャル・フェアプレー)の許容範囲内で即座に補強資金として活用される見通しだ。スポーツディレクターのブラウリオ・バスケスは、手薄となっているセンターバックの獲得や、来夏に契約満了を迎える実力派選手の先行確保に向け、すでに活発な動きを開始している。
今回の合意により、ピーター・リムおよびメリトン・ホールディングスは過半数の株式(50%以上)を保持し、筆頭株主の座にとどまる。また、息子のキアット・リムが引き続き会長職を務めるものの、Pitchwise Holdingsの共同設立者であるアン・ロドリゲスとコーリー・ウールフォークが新たな経営構造に参画し、共同でクラブの舵取りを行っていく。
Pitchwise Holdingsの後ろ舘には、ウォール街や欧州・米国のスポーツビジネス界を牽引する大富豪たちが名を連ねている。世界的プライベート・エクイティ投資会社KKRの共同創業者兼共同執行会長であるジョージ・ロバーツとヘンリー・クラヴィスをはじめ、NFLデンバー・ブロンコスやMLBコロラド・ロッキーズを所有するグレッグ&キャリー・ペナー率いる『Penner Sports Group』などが参画。この動きはイギリスの経済紙『Financial Times』でも大々的に取り上げられ、欧州サッカー界における注目の超大型投資として世界的な話題を集めている。
投資の最大の決め手となったのが、建設最終段階に入っている新スタジアム「ノウ・メスタージャ(ノウ・メスタージャ)」の存在だ。7万人以上を収容する最新鋭の複合エンターテインメント施設として2027-28シーズンに開業を予定しており、商業的ポテンシャルの高さが評価された。なお、バレンシアCFは2024年11月にゴールドマン・サックスから1億8600万ユーロの信用ラインを設定され、2025年6月には新スタジアム資金として3億2200万ユーロの融資を取り付けているが、今回の株式取引においてゴールドマン・サックスは仲介に入っておらず、メリトン側とPitchwise側が直接交渉をまとめて合意に至った。
新体制の発足にあたり、会長のキアット・リムは『ヨーロッパの舞台で継続的に戦うクラブへ復帰させる』と力強く宣言。Pitchwiseのアン・ロドリゲスとコーリー・ウールフォークも共同声明で『スペインサッカーの偉大な象徴であるバレンシアCFの発展にキアットと共に携われることを光栄に思う。歴史、熱狂的なサポーター、完成間近の素晴らしい新スタジアムがあり、欧州のトップクラブへ躍進する要素が全て揃っている。明確な投資戦略と厳格なアプローチで結果を出していく』と意気込みを語った。投資家代表のジョージ・ロバーツも『キアットとの新たな同盟は欧州サッカー界で最も魅力的な機会だ』と期待を寄せている。
また、ラ・リーガのハビエル・テバス会長もこの取引を大絶賛しており、『バレンシアCFとバレンシア市にとって非常に素晴らしいニュースだ。12億5000万ユーロという評価額は、男子・女子チームや新スタジアムを含めたバレンシアの全資産の強みを証明している。過去数年間にわたるバレンシアの素晴らしい取り組みを裏付けるものであり、ラ・リーガが国際的な投資先として持続可能で魅力的であることを改めて示した』と全面的な支持を表明した。(via SPORT)
